1997/11/09 - 1997/11/14
248位(同エリア347件中)
北風さん
ラパスの中心「サンフランシスコ寺院」の横に、観光客で溢れるサガルナガ通りという路地があった。
「セーター」「民族楽器」「絵葉書」等の土産物はもとより、雑貨屋やおしゃれなレストランまで路地裏にひしめく地帯。
さらにさりげなく黒魔術グッズや魔除けグッズを売る店も。
・・・そして、そこであるセールスマンに呼び止められた。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
サンフランシスコ寺院の路地を曲がると、サガルナガ通りは原色の嵐だった。
色とりどりのお土産と白人観光客を含めた色とりどりの人種の群れ。
道路脇で店を広げる露天商は、南米の他の国と変わらない。
が、しかし、売っている物はなかなか質が高そうな気がする。
しかも、軒を連ねる店の中にはモダンなショーウィンドーの店まである。
さすが、ボリビア土産の集散地だけの事はあった。 -
旅日記
『ボリビアのセーター売り』
「このセーターは、アルパカ100%だよ!」
サガルナガ通りのセーター売りのおばちゃん達が必ず言う決まり文句だった。
ボリビアと言えば、セーター。
正確には毛糸になるのだが、確かに富士山を見下ろす標高4000mの高地は非常に寒く、防寒の為に生活必需品となっている毛糸の質は高かった。
サガルナガ通りの軒先を飾る露天商のおばちゃん達の取り扱う品物のほとんどがセーターというのもうなずける結果だ。
そして、このセーター、実はその毛糸の種類によってピンからキリまであった。
モダンなショーウィンドゥの中に飾られている、幻の毛糸ビクーニャで編まれた1着10万円の貴重品。
果ては、リャマの毛におばちゃん達の髪の毛を織り込んで(毛糸の横流しをする為に、髪の毛で代用している)アルパカ・セーターとして売りに出している偽物。
おばちゃん達は、とりあえず口を揃えて「アルパカ100%」を強調するのだが、その真偽は素人にわかるはずもない。
俺はこの街にいる間に毛糸に関して勉強した。
何故なら、初めて買ったセーターが最低ランクの偽物セーターだったから。
世界3大毛糸には、カシミヤ、アルパカ、アンゴラの3種類があり、アルパカならばペルーとボリビアで世界の生産量の60%を占めているらしい。
そして、アルパカ系の毛糸の中でもランクが分けられ、リャマ→アルパカ→ビクーニャの順に値段が跳ね上がる。
ただし、ビクーニャは保護動物に指定されている為、その流通量が限定され、巷では幻の毛糸と呼ばれているとの事。
・・しかし、リャマもアルパカもビクーニャも、遠目から見れば毛深いただの短足な馬でしかなかった。 -
旅日記
『ボリビアの民族楽器屋』
サガルナガ通りの外れでは、ひときわでかい音で民俗音楽フォルクローレをがなりたてている店があった。
店の名は、「WALATA」
ギターで言えば、「ギブソン」、労働着で言えば、「虎一」に当たる、知る人ぞ知る有名楽器メーカーらしい。
俺はボリビアだけでなく南米の民俗音楽が好きだった。
特に「コンドルが飛んでいく」などで奏でられる、ケーニャ、サンポーニャなどの民俗楽器の音が心を揺さぶる。
(この大陸に来て、俺のルーツがどこから来たのかわかった気がした)
店の親父がプロが使うと言われるサンポーニャを持ってきた。
でかい!
ただの竹を切りそろえただけの物に見えるが、その楽器の片隅には「WALATA」の刻印が!
おやじが「腹に力を入れて、吹き込まないと音が出ないぞ!」とのたまった。
力の限りの肺活量で吹き込んだ!
音が出る前に目の前に星が出た。
・・・標高4000m、空気が地上の3分の1の所で、こめかみに血管を浮かべるほど息を吐き出した結果、俺は酸欠でぶっ倒れそうになっている。 -
旅日記
『ボリビアの魔除け屋』
人々の雑踏とフルボリュームでがなりたてるフォルクローレも、サガルナガ通りを一つ裏道に入った途端にひっそりとなりをひそめる。
その店は、パッと見、俺が子供の頃入り浸っていた駄菓子屋に似ていた。
店番のおばちゃんがポツンと暇そうに座っているところなんかもそっくりだ。
が、しかし、その品揃えの中には俺が子供の頃でも、これから先でも、購入意欲を湧かせてくれる物は見当たらなかった。
これが、噂に聞いた「魔除け屋」らしい。 -
怪しい野菜、正体不明の薬、いびつなろうそく、そして、おどろおどろしいミイラの数々。
こんなん家に飾られた日にゃ、魔物でなくても寄り付けない気がする。
この商売が成り立つ事自体、ここが未だにインディオの国だと言う事になるのかもしれない。
アメリカ人のおじいちゃんが、興味津々の熱い眼差しでミイラを選んでいる。
映画じゃ、こういう人の良さげなおじいちゃんが、黒魔術の教祖だったりするものだが・・
おじいちゃんの独り言が聞こえてきた。
「こりゃ、ワシントン条約に引っかかるかな?」
・・・おじいちゃん、こんなミイラ持って帰った日にゃ、ワシントン条約の前に空港の検疫でアウトじゃないのか? -
旅日記
『ボリビアの三葉虫売り』
雑踏の中、一人の男と目が合った。
染みだらけのジーンズ、昔は白だったかもしれないスニーカー、かろうじてシャツの痕跡を残す上着、100%ファッションで古着を着ているわけじゃないのは理解できる。
男が人ごみをするりとかきわけ、俺の前で軽く前かがみになり、まるで麻薬の売人の様に耳元でささやく。
「サン・ヨー・チュー」
・・・なんだ?
そんなスペイン語なんて知らないぞ。
こいつは新手の薬の売人なのか?
「No entiend, Que quiere vendir? (わかんないよ、何が売りたいんだ?)」
との俺の問いに、男は懐から卵型の石を取り出して2つに割った。
・・・これは、
・・・「三葉虫」なのか?
いや、正確には、石の中に残っている三葉虫の化石だ。
一瞬、俺の周りの刻が止まる。
状況を整理すると、俺は「日本の裏側に位置する南米の高地4000mの路地裏で、三葉虫の化石を売りつけられているらしい」
これは、夢なのだろうか?
それともどこかにドッキリカメラでもあるのか?
男がたたみかけるようにつぶやいた。
「US$50」
・・・あまりの非現実さに笑いがこみ上げてきた。
どこの世界に、ボリビア土産に三葉虫の化石をUS$50も出して買う奴がいるんだ?
この男の強気は商人としての技術なのか?
それともコカ茶(コカイン入りのお茶)を10リッター程飲んだ結果なのか?
しかも、反射的に「高い!」と値切った瞬間、US$10にまで下がったのはどういう事だ?
旅は楽しすぎる。
冗談の様な非現実が、ポンと日常に投げ込まれてくる。
1997年11月14日、俺は三葉虫のキャッチ・セールスに出会った。 -
旅日記
『エル・アルト日曜市』
ラパス、夏とは言えど標高4000m!
冬物の暖かい服が欲しかった。
トキ・ゲストハウスに泊まっていた自称古着のバイヤーの彼曰く、「エル・アルトの日曜市にはいろいろな宝物が眠っている」との事。
どういう意味か確かめる為にも、足を運んでみる事にした。
日曜市は、すり鉢の縁にへばりつく広大な空軍基地の横で開かれていた。
人と車の渋滞がものすごい!
ここに比べれば、サガルナガ通りの雑踏なんてかわいいもんだ。
しかも、どこまで行っても市場が途切れない。
どうやらこの市は、市内の数ブロックを丸ごと飲み込んでいるらしい。
ある者は地面にござを敷いて、ある者は立派なテントの下で、民芸品、日用品、食料、サングラス、中古のタイヤ、まぁ、ありとあらゆる物が売られている。
おまけにありとあらゆる悪人顔の方々もわんさか歩いている。
ここでカメラなんか出したら、一体何人がタックルしてくるんだろう?
目指す一角がやっと見えてきた。
古着屋のブロックだ。
並べられている洋服に目をやると、この国の古着にしては妙に質が良さそうな気がする。
手に取ったジャケットのラベルには、なんと、「バーバリー」の文字が!
辺りを見回すと、「リーバイス」、「ウールリッチ」等々、アメリカ有名ブランドが無造作に並べられていた。
・・・これは、もしかしてアメリカの援助物資じゃないのか?
こいつら本来無料の援助物資を横流しして、値段を張っているのか?
南米で最も貧しい国と言われるボリビアで、インディヘナのおっちゃんが「アルマーニ」のTシャツを着ていた理由がやっとわかった。
バイヤーの彼が言うには、この山と積まれたリーバイスの中に日本じゃ10万円は下らない「Big E」なるジーンズが眠っている事もあるらしい。
確かに価値を知らない人々にとっては、古着は古着でしかないから、そんなこだわりを持つ訳は無く、とりあえず一番きれいそうな物を選ぶだろう。
いつしか古着を探しに来た一人の日本人は、全く別の目的を持って古着の山にダイビングして行った。
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