1997/09/10 - 1997/09/12
130位(同エリア180件中)
北風さん
パナマはシンガポールと酷似していた。
街角で聞こえる中国語、見上げるような摩天楼、まとわりつく潮風、これでマーライオンさえあれば・・・
そして、市内バスはパキスタンのバスと同様のセンスでデコっていた。
街はシンガポールで、バスはパキスタン、通貨はアメリカ・ドル、
・・・パナマは混沌としていた。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
旅の両替事情
旅行中、最も気を使う事が両替だった。
特に俺のように移動を主体とした旅ならば、下手をすると1週間に2ヶ国以上の国で両替する事になる。
当然、ヨーロッパを除き両替する紙幣は、アメリカ・ドル。
銀行もない(あってもレートが馬鹿高い)国境での両替は、今までほとんど1000円程度のアメリカドルで街までのバス代を入手し、街の大きな銀行でその後の両替をするのが俺のスタイルだった。
おかげで、俺は常にアメリカの1ドル紙幣のストックを気にしていた。
噂では聞いていた。
パナマでは、いくらでもアメリカドルが入手できると。
入国後、その理由が判明した。
なんと、この国は自国の紙幣を持っていなかった!
銀行でも、スーパーでも使われているのはアメリカ・ドル。
かろうじて、硬貨だけは「バルボア」という自前のものだが、俺が旅した国の中で自国の紙幣を持たない国は初めてだった。
パナマ運河に集まる世界中の船により「世界の十字路」と呼ばれるこの国らしいと言えば確かにその通りだ。
世界中の人間が行き交うこの国では、世界共通紙幣が一番利用価値が高いわけらしい。 -
ウィンドーを飾る「ベネトン」「ロレックス」「ルイビトン」、エアコンのガンガン効いたショッピング・モール。
都会だ。
今までの中米では考えられないぐらい都会だ。
しかも、やたらと中国語の看板が立ち並んでいる。
どうやら、「貿易ある所、華僑あり」の構図がここでも成り立っているらしい。
いきなり連れて来られて、「ほら、ここが香港だよ」と説明されても、俺は信じるかもしれない。
本当に、中米は南下するほど文化水準が上がってくる。 -
旅日記
『シンガポール』
まんま、シンガポールだった。
溢れる中華系人種、道路を覆い尽くすような自己主張の激しい看板、建ち並ぶ電気店、旧市街から歩いて30分、周りの様相は一転していた。
貿易で栄える港町には必ずあるカメラ屋では、日本製のカメラが日本のディスカウント・ショップ以下の値段で並んでいる。
パナマの新市街は、本当の先進国の街並みだった。
久々にマクドナルドに行く事にする。
日本並みに自動ドアとまではいかないが(実は自動ドアを完備している国は意外と少ない)、ドアを開けるとひんやりとしたエアコンの風が迎えてくれた。
清潔な室内、落ち着いた音楽、あれほどの喧騒が嘘のように、店内は静寂が支配している。
が、しかし、左の隅の席に違和感があった。
「えっ?」と思う光景が展開されている。
別段、やっている事は「ビッグマックを頬張って談笑する家族連れ」と、CMにでもでてきそうなありふれた光景なのだが・・
その鼻の下についているのは、オニオンリングなのか?
アメーバをデザインしたような洋服は、この国の流行なのか?
この西欧文明の象徴のような店で、クナ族の方はあまりにも浮いていた。 -
パナマ名物と言えば、「パナマ帽」と思いきや、そんなもん被っている人間など一人もいなかった。
代わりに、この国でパナマ運河と並ぶぐらい目立っていたのは、市内バスだ。
パキスタンのバスも派手だった。
日本で養った色彩センスを根底から覆すほど、原色を塗りたくり、市内を我が物顔で走り抜ける姿が、今、この国で再現されている。 -
旅日記
『パナマの市内バス』
パナマの市内バスは、派手だった。
まるで目立たなければ、バスじゃないと言わんばかりのボディペイント。
しかも、そのセンスは、ピカソがウィスキーを2本ほど空けて描いた様なすごいセンス。
派手さでは、パキスタン・バス並みのこのバスの利点は、室内は普通のバスと同じ静けさを持っていた事だろう。
パキスタン・バスは、外観に負けないぐらいの派手なロックミュージックが、室内をフルボリュームで走り回っていたから・・
俺は、バスの最前列に座っていた。
目の前のフロントガラスでは、ものすごい勢いで街並みが流れ去っている。
速い!いや、速すぎた!こんな車で溢れている市内で出す速度とは思えない。
誰かが「パナマのバスに乗る事は、アイルトン・セナがチキンレースをやっている車に同乗するようなもんだ」と言っていた。
確かに、心臓は既に何回か止まりそうになっている。
バスドライバーが、赤信号の直前でブレーキを蹴っ飛ばす。
「グワァ、ガ、ガ、ガ、」とものすごいブレーキ音を当たりに撒き散らしながら、バスが停止した瞬間、「ドガッ」という音と共に、軽い振動が起こった。
バスドライバーの黒人のおばちゃんが、スペイン語でののしりながら、バスを降りていく。
振り返ると、バスの後方の窓から、ボンネットがグシャグシャになったタクシーが白い煙を上げていた。
バスの急停車で追突する車など、ここでは珍しくないらしい。
乗客が慣れた感じで、ぞろぞろと降り始める。
・・外は、雨。 -
旅日記
『パナマから南米へ』
とうとう北米大陸を後にする日がやってきた。
日本から北米大陸北端の国「アラスカ」へ上陸したのは、確か6ヶ月前だった気がする。
時間をつぶす暇など与える隙も見せず、あまりにもハプニングの連続だった毎日、あっという間に月日が過ぎていった。
とにかくスペイン語はどうにか話せる様になった。
つまり、南米大陸へ上陸しても、言葉で不自由する事は無い。
ここまで陸路で来たならば、このまま陸路でコロンビア上陸と行きたかったのだが、なんと陸路はほとんど閉鎖状態らしかった。
理由は治安上の問題らしく、フェリーも
見つからなかった。
選択の余地はなかった。
俺の足は、パナマ空港へ向かった。
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