2009/12/28 - 2009/12/28
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kuroneko12さん
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12月27日〜1月1日まで、イタリアを旅行してみた。
目的地はボローニャとその周りとフィレンツェである。
この日、午前中はサンマリノへ、午後はラヴェンナに行ってみた。
ラヴェンナはモザイク美術で有名な街で、ボローニャに日帰りしやすいという軽い理由で行ってみた。
『歩き方』には、ラヴェンナは「イタリア観光のメインルートからはずれているが〜」なんて書いてある。
…とんでもない!
行ってみたら、そんな認識が覆された。
イタリアに行ったら、ラヴェンナへ行け!
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道
- 航空会社
- KLMオランダ航空
-
午前中観光したサンマリノからバスでリミニに戻り、列車に乗る。
列車で1時間ちょっとで、アドリア海に面した街、ラヴェンナに着く。
途中で古代ローマの国境線であったルビコン川を越えるが、川はいくつか越えるので、結局どの川だかわからなかったのが残念。
片道で3.8ユーロ程。
街にはいくつかの古い教会が点在し、その内部は美しいモザイク美術で飾られているという。
それらの教会は「ラヴェンナの初期キリスト教建築群」として世界遺産にも登録されているのだ。
まずは、駅を出て正面のファリーニ通り(Viale Farini)を歩き、旧市街の中心、ポポロ広場に向かう。
通りは並木道になっていて、葉が茂る時期はどんな風になるだろうかと思う。 -
ラヴェンナは、古代ローマの時代から続く歴史のある街である。
共和政ローマの時代には、まだローマ本国に組み入れられていなかった北伊属州の州都であり、属州総督が駐屯していた。
かのカエサルもルビコン渡河の前、北伊属州総督としてこの街に駐屯していた。
古代ローマが帝政に移行してからは海軍の拠点として軍港が置かれる。
ローマが東西に分割されてからは、防衛の利便性から西ローマの首都はラヴェンナに遷都される。
西ローマ帝国が滅んでからも、その後イタリアに入った東ゴート族の王国の首都となる。
その後、8世紀末までは政治的拠点として街は栄え、今に残るキリスト教建築もこの時期までに建設される。
これ以後ラヴェンナの立場は衰退し、そのため当時の建築物も手つかずで残ることになった。 -
駅からまっすぐファリーニ通りを10分も歩けば、ポポロ広場に着く。
これは広場にある市庁舎だ。
2本の柱の上に立っているのは、ラヴェンナの守護聖人、聖アポリッナーレと聖ヴィターレだそうだ。
サン・ヴィターレ教会まで行くには、まずこの市庁舎前を右折して11月4日通り(Via ? Novembre)に入る。
そして少し行ったところにある小さな広場で左折してカブール通り(Via Cavour)に入り、最初の角を右折しVia Salara通りに入る。
"i"の前を通り過ぎてまた次の角を左折し、ちょっと歩いていくと教会の入口にたどり着く。
地図を見ると分かると思うが、ラヴェンナの旧市街はナナメに曲がる角が多いので、ちょっと歩きにくい。 -
サン・ヴィターレ教会の入口は一見すると教会に見えない。
しかも、ポポロ広場のほうから歩いて行くと教会が見えないので、本当にこっちで合っているのか? と不安になってくる。
歩いていると、フェンスに囲まれた建物が見えてきて、それが教会の入口と国立博物館である。
サン・ヴィターレ教会は国立博物館と隣接しており、左の入口が教会、右の入口が博物館になっている。
サン・ヴィターレ教会、ガラ・プラチディア廟、ネオニアーノ洗礼堂、サンタポッリナーレ・ヌオーヴォ聖堂の共通チケットが8.5ユーロ。
冬は夏季より閉館が早いので注意が必要だ。
着いたのは15時前だったが、博物館はもう閉まっていた。
見過ごすことのできないラヴェンナの素晴らしさは、ここからだ。 -
教会の暗い通路と部屋をしばらく抜けていく。
やがて暗さに慣れてきた目に、光に包まれたモザイク装飾が鮮やかに目に飛び込んでくる。
私は思わず息をのんだ。
その光と色彩は優しくて力強い。
私は、キリスト教にも、キリスト教美術にもそんなに興味がない。
だから、描かれているのが誰なのか、どんな場面を描いたものなのか、正確なことや詳しいことはわからない。
しかしこのモザイクにはそんなことは関係なく、見る者に少なからぬ衝撃を与える力がある。
少なくとも私にとっては、まちがいなく、疑いなく、温かくて美しい。
私は絶句してモザイクを見上げ、立ち尽くしてしまった。 -
近くまで寄ってみると、図柄がとても細かく、色彩も多岐に渡っていることにも驚く。
6世紀という昔につくられたものとは思えない。
フィレンツェなんかでいっぱい見られるキリスト教美術は、冷たい印象がある。
すました目で見下してくる聖母子図像の数々、見てて痛々しい磔のキリスト像の数々…どうにも重苦しいと思う。
キリスト教への偏見かもしれないが、人を縛ろうという意志が込められているように見える。
美術作品として見ても、構図なんかも似通っているしだんだん食傷気味になった。
けど、ラヴェンナで見られるモザイク装飾の数々は、どっちかといえば素朴で温かい印象を受けた。
「キリストの教えって良いものなんだよ」って伝えようとする情熱が伝わってくるというか。
まだキリスト教の歴史も浅く、それほど教会権力が人を縛ろうとしていなかったからだろうか? -
さて、モザイクの飾られていた聖堂を出ると、教会の裏庭に出る。
その敷地内に、ガッラ・プラキディア廟がある。
ガッラ・プラキディアとは、キリスト教をローマの国教と定めたローマ皇帝テオドシウスの娘である。
彼女は西ローマ帝国が弱体化し、衰退し、混乱に瀕する中、自分の息子を皇帝の座に据え西ローマ帝国の統治を試み、彼女の兄である西ローマ皇帝ホノリウスが首都としたラヴェンナの発展に貢献したらしい。
この小さな廟が、ガッラ・プラキディアの埋葬所と伝えられている。
(もともとは、彼女の廟として造られたものではないらしい)
こんな小さなところに、どんな見事なモザイク装飾があるというのだろう? -
そしてまた私は衝撃を受け、嘆息する。
内部は、ドーム天井から四方の壁から、すべて鮮やかなモザイク画で覆われている。
さまざまな聖書の場面や、聖人たちの姿が活き活きと描かれている。
これは、天井の写真である。
私のカメラと撮影技術では、これが精一杯なのが残念だ。
精緻な表現ではないが、吸い込まれるような夜の星空とその美しさは十分に実感できるし、付け加えるなら、実際の世界の美しさみたいなものや、そんな世界への感謝すら感じるような気がした。
正直な話、本当にここまでキリスト教めいた建築や美術に心を動かされたことはない。
ところで、この廟には「内部の装飾を維持するために、あんまり長居しないでほしい」というような意味の注意書きがある。
ずっと眺めていても飽きない感じだったのだが、仕方ないので、目に焼き付けて次の目的地へ向かった。 -
共通チケットで行くことができるのは残り2ヶ所、ネオニアーノ洗礼堂とサンタポッリナーレ・ヌオーヴォ聖堂である。
サン・ヴィターレ教会とガッラ・プラキディア廟のある場所からだと、まずネオニアーノ洗礼堂に行き、それから駅に帰る途中にサンタポッリナーレ・ヌオーヴォ聖堂に寄ることができる。
ネオニアーノ洗礼堂に行く途中、ポポロ広場の脇を通ればたぶんヴェネツィア宮殿を見ることができる。
建築自体は15世紀のものだが、使われている石柱は6世紀のものであり、東ゴートの王テオドリックのモノグラムが刻まれているのを見ることができるという。
私はちょっと急いでいたので、近道してしまった。
さて、ネオニアーノ洗礼堂は18世紀に建てられたドゥオモの脇にある8角形の建物だ。
(右側の背の高い建物がドゥオモの一部である)
ドゥオモと比べて小さくて目立たないので、気付かずに通り過ぎてドゥオモの入口まで行ってしまった。 -
ネオニアーノ洗礼堂も、5世紀に造られその姿を今に残す、ラヴェンナでも最古の建築のひとつである。
8角形をしているが、“8”というのは7日間の天地創造の後の復活の日、永遠の命を表す数なのだそうだ。
この写真は天井のモザイク画である。
ヨルダン川で洗礼者ヨハネに洗礼を受けるキリストと12使徒の図だそうだ。
ここも小ぢんまりとしているが、見上げれば美しさに溜息が出てしまう。
色使いや構図が見事である。
ところで、ドゥオーモのさらに先には大司教博物館があり、その中にも見事なモザイクや、キリスト教の遺物があるらしい。
ちょっと急いでしまい、行かなかったのが悔やまれる。 -
ネオニアーノ洗礼堂を出て、ドゥオーモとは逆方向のケネディ広場を右に曲がり、カドゥーティ広場に出る。
そこから駅に向かうように歩いていくと、ローマ通り(Via di Roma)に出るが、そこにサンタポッリナーレ・ヌオヴォ聖堂がある。
この聖堂は、6世紀にテオドリック王によって東ゴート王国の宮殿に隣接して建てられた、アリウス派の聖堂と考えられている。
9世紀に聖アポリナリスに捧げられ、サンタポッリナーレ・ヌオヴォ聖堂となったらしい。
「ヌオヴォ」とは、「新」という意味であり、サンタポッリナーレ・ヌオヴォ聖堂とは、「新・聖アポリナリス聖堂」という意味なのだそうだ。
ラヴェンナに世界遺産として現代に残るキリスト教建築の数々だが、その由来や建築の経緯の詳細はそれほど伝えられていないとのことだ。
ちなみに、「新」ではないほうの聖アポリナリス聖堂は、隣町のクラッセにあるサンタポッリナーレ・イン・クラッセ聖堂のことである。 -
内部は正面に祭壇があり、そこまでの両側に列柱が立ち並ぶというシンプルな構造である。
しかし、両側の柱の上部の壁に3段に渡って描かれたモザイクはやはり見事である。
これは殉教者たちの行列の図である。
他の壁には、聖書の場面や聖女たちの行列の図が描かれている。
聖堂の構造がシンプルと言ったが、ここのモザイクは、これまでの3か所のモザイクよりもシンプルだと思う。
それでも、図像が大きいので見応えがある。
ここのモザイクは東ローマ帝国によって、ちょっと削除されたり、描き直されている箇所があるらしい。
特に、アリウス派の聖堂であった様子はほとんど見られなくなっているという。 -
さて、駅に戻る。
ボローニャに帰るためでなく、バスに乗って隣町にあるサンタポッリナーレ・イン・クラッセ聖堂に行くためである。
駅前のロータリーがバスターミナルになっているのだ。
この写真では駅の手前にバスが止まっているが、聖堂に行くためのバスはロータリーの反対側にある。
駅を背にすると、ロータリーを渡って左側のバス停からクラッセ行きのバスが出る。
駅に近い側のバス停から乗ると、クラッセとは反対に行ってしまうから注意が必要だ。
クラッセ行きのバスは、4番か44番のバスである。
20分に一本ぐらいの運行で、往復で2ユーロ。
ところで、ラヴェンナの人にはほとんど英語が通じない。
クラッセ行きのバスの出るバス停はどこかと何人かに聞いて回ったが、英語はわからないという反応の人ばかりだった。
…自分の英語力は棚にあげておく。 -
降りる場所はわかりやすい。
バスはラヴェンナを出て、原っぱの中の道を15〜20分進んでいく。
やがて、先にレンガ造りの体育館のような大きい建物が見えてくるが、それがサンタポッリナーレ・イン・クラッセ聖堂である。
バスは聖堂の手前を左に曲がるが、すぐにバス停なのでそこで降りればいい。
ちなみに、ずっと乗っていると多分クラッセの駅に着く。
リミニからラヴェンナまで列車でくると、ラヴェンナの手前の駅がクラッセだったような記憶がある。
帰りは、聖堂を出てからまっすぐ右に歩いて行くと、ラヴェンナ行きのバス停がある。
さて、聖堂の写真であるが、年末のため17時過ぎにはもうこんなに暗い。
明るい中で見てみたかったなぁ。
ところで、この聖堂があるクラッセが、古代ローマ時代の軍港クラッシスなのだそうだ。
今では海岸線が後退し、もう港はない。 -
この聖堂は、6世紀の中頃に建てられた、聖アポリナリスに捧げられた聖堂である。
聖アポリナリスは、ラヴェンナの初代司教なのだそうだ。
こんなに立派な聖堂だが、他の聖堂と同様、建設の経緯などはあまり知られていないらしい。
資金を提供した「東方の銀行家ユリアヌス」なる人物についても、ほとんど知られているところはないらしい。
古代ローマの崩壊とともに、いろいろな出来事を詳細に記録する文化がなくなってしまったのだろうか?
前の写真で「体育館のような〜」と言ったが、これまでに見てきたラヴェンナの聖堂と比べてとにかく大きい。
5〜6世紀当時のラヴェンナが重要な街であったことをうかがわせる。
この聖堂に残るモザイクは、正面に見える後陣の部分だけである。
しかし、バスに乗ってくる価値は十二分にあると思う。 -
緑をベースにした図柄が優しい。
後代のキリスト教美術に、こんなに優しい雰囲気に満ちた作品はないと思う。
どうしてこういう美術作品を作らなくなったのだろう。
そういう意味でキリスト教の思想史に興味が湧く。
中央で腕を広げているのが、ラヴェンナの初代司教聖アポリナリス。
彼を囲む羊たちが12使徒。
聖アポリナリスの頭上、金色の十字架の周りの3頭の羊は、キリストの弟子のペテロ、ヨハネ、ヤコブを表している。
また、(この写真で見えるかどうかわからないが)十字架の中心には小さくキリストが描かれている。
十字架のさらに上に見える手は、神の手だそうだ。
6世紀の作品である。
よく、保存されていたものだと思う。
とにかく、ポカーンと見つめてしまった。
遠くから見ても、近づいて見ても、見飽きない。
帰るのが残念だった。 -
さて、ラヴェンナ滞在は以上である。
今回のイタリア旅行で訪れたのは、ボローニャ、サンマリノ、ラヴェンナ、フィレンツェだが、ラヴェンナがなんといっても一番だ。
なんとなくだが、普通はフィレンツェが一番メジャーで面白い場所なのだろう。
でも、ラヴェンナのモザイクには、フィレンツェのどんな美術館に飾られた美術品よりも迫力や凄み、生命力があったと思う。
誰かに「今度イタリア行くんだ」と言われたら、「ラヴェンナへ行け!」と言うと思う。
ラヴェンナについて書いてみて、自分の表現力の拙さにガッカリする。
ここまでの文章で、私が見たものの凄さや、そこから感じたことが十分に伝わっているとは到底思えない。
文章のプロの書きっぷりや表現力に感嘆せざるを得ない。
見て回るのに、そんなに時間のかかる場所ではない。
自由に動ける旅で、この近くまで来たのなら、ぜひラヴェンナに寄るといいと思う。
ぜひ、世界遺産にも登録されている見事なモザイク美術を、自分の目で確かめてほしい。
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