2009/12/28 - 2009/12/28
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kuroneko12さん
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12月27日〜1月1日まで、イタリアを旅行してみた。
目的地はボローニャとその周りとフィレンツェである。
サンマリノ。
人口3万人。
世界で5番目に小さな国。
世界最古の共和国。
地図で見ると、イタリア半島という長靴にできた滲みみたいだ。
そして最近知ったが世界遺産。
なんだか不思議な国に思えてイタリアに行く機会があれば、ぜひ行ってみたいと思っていた。
幸いボローニャから日帰りできる距離にある。
というわけで、サンマリノ行きである。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 航空会社
- KLMオランダ航空
-
▼サンマリノ行き▼
朝6時。
サンマリノの玄関口である、リミニ行きの列車に乗る。
レンタカーで移動してれば別だが、サンマリノへはリミニからバスに乗るのが基本的な行き方だろう。
(ローマからの直行便もあるとかないとか)
イタリアの鉄道の切符はインターネットでも買えるし、なんと日本の駅と同様に券売機も並んでいる。
窓口を使わなくてもいいのが、他の国の鉄道よりも便利な点だ。
しかも、券売機ではカードも使えるので、小銭もいらなかったりする。
また、列車ごとの発車・到着の時刻も時刻表のように表示してくれるので、列車の時間を調べるのにも使えるのだ。
この点、もしかしたら日本よりも素晴らしいかもしれない。
(とはいえ、高額紙幣が使えなかったり、カードを入れても読み取ってくれない券売機もあるから注意が必要)
列車は1時間半ぐらいでリミニに到着。
もう少し遅い時間になると、快速だろうか?1時間ぐらいで着く列車もある。
料金は片道7.8ユーロ。 -
リミニ駅を出て道を渡り、右に行くとサンマリノ行きバスのバス停がある。
駅の左側にもバスチケット売りのボックスがあるが、そっちではない。
以下、サンマリノ行きバスの時刻表である。
(平日)8:00/9:45/10:45/12:00
13:10/14:30/17:00/18:00
(休日)8:30/9:45/12:15
14:15/16:45/18:00
チケットは、バス停にいるおばちゃんから買う。
バスを待ってるお客さんかと思ったら、他の人がチケットを買いだしたのでびっくりした。
往復で7.4ユーロ。 -
バスに揺られること1時間弱もすると、サンマリノ共和国の首都、サンマリノに到着する。
いつ国境を越えたのだろう?
気がつけば窓の外に「サンマリノ」の名前のついたお店が並んでいたので、その辺りからなのだろうけど。
つづら折りの山道には、商店や高層住宅がへばりつくように並んでいる。
サンマリノはティターノ山の上にある山国である。
終点のひとつ前に、サンマリノの市内に登るためのロープウェイの駅があるらしいが、確認できなかった。 -
▼旧市街▼
バスを降りて門をくぐると、サンマリノの旧市街である。
サンマリノは山の上というか、山の中にある。
街中の道は舗装されてるとはいえほぼ完全に山道であり、歩けばほとんど登山である。
『ロンリープラネット』日本語版のサンマリノのページを開くと、以下のようにある。
「モンティ・パイソン」の映画「ホーリー・グレイル」で、アーサー王はキャメロットのことをどう言ったでしょう?
答えは「ばかげたところだ」。(中略)
ここもどちらかというと「ばかげたところ」に見えるかもしれない。(中略)
これほど安っぽい土産物屋が密集している場所は、きっと初めて見るはず。
なかなかの言われようじゃないか。
でもたしかに山の中の街の坂道を登りながら、両側にどうでもいい感じのお土産屋さんが立ち並んでいるのを眺めていると、案外「ばかげたところ」に思えてくる。
…もしかしたら、日本の温泉街の雰囲気に似てるかもしれない。 -
道は基本的にまっすぐだが、何度かぐにゃりと道が曲がってさらに上へと続いていく。
だんだん自分がどのへんにいるのかわからなくなってくるが、地図を見ても同じように道がぐにゃぐにゃしてるからよくわからない。
でも、街のあちこちにこういう案内があるので、そんなに迷わない。
まぁ、迷うほど広くもない。 -
そんな風にしばらく歩くと、急に景色が開けてリベルタ広場に出る。
5月〜9月には政庁の前で、伝統の服装身を包んだ衛兵の交代式が見物できるのである。
サンマリノ観光の目玉といえるけど、なにしろ今は年末なので見られない。
そのせいか人気もない。
今度は衛兵交代が見られるシーズンに来てみたい。
でも、交代式のシーズンじゃないからってそもそも衛兵がいないのは、いいのか?
ちなみに広場の中央にある像は、フランスから贈られた「自由の女神像」だそうだ。
アメリカに贈られたものより古いらしい。 -
広場の手前にツーリストインフォメーションがある。
ここで名物の?入国ビザがもらえる。
5ユーロで、パスポートに切手とスタンプを押してもらえる。
サンマリノは切手で有名らしい。
切手の売り上げで外貨を稼いでいるとかなんとか。
珍しい切手の博物館もあるらしい。
パスポートといえば、シェンゲン条約のせいで国境を越えるのが楽なのはいいけど、パスポートにスタンプが貰えない。 -
▼砦▼
もうちょっと登っていくと、砦に着く。
第一の砦「グアイダ」(ロッカ・グアイダ)である。
サンマリノの自由の歴史を守ってきたものの一つが、要害の地ティターノ山に築かれたこの砦である。
他国からの武力による侵攻をずっと防いできた。
砦は、11世紀に造られ少しずつ増改築を繰り返してきたらしい。
展望台になっているだけでなく、博物館にもなっている。
牢獄として使われていた部屋も見ることができる。
壁画で彩られていて、牢獄にしては可愛い感じがしなくもない。 -
サンマリノが共和国として成立したのは、初代大統領が就任した西暦301年のことだという。
時代としては、ローマ皇帝ディオクレティアヌスの治世。
ローマ帝国が四分割統治の時代に入った頃である。
この皇帝はキリスト教を迫害した。
石工職人マリヌスは信仰仲間とともにティターノ山に逃れ、この地で暮らし始めた。
それがサンマリノの始まりであるらしい。
マリヌスは301年に死んだというので、それからが共和国の歴史ということになる。
ローマ帝国は、この山の上の国をどう眺めたのだろう。
比べるのもどうかと思うが、日本では大和朝廷が成立する以前のことである。 -
最初の砦を出て、しばらく進むと第二の砦「チェスタ」(チェスタの塔)である。
サンマリノは小国とはいえ、砦の博物館によれば領土を少しずつ拡げてきたらしい。
サンマリノの面積は61平方キロメートルである。
これは、アメリカのマンハッタン島とおなじぐらいらしい。
マンハッタンじゃイメージがわかないので、日本と比べてみる。
東京23区は全部合わせると621平方キロメートルなので、東京23区の 1/10の広さ。
23区の中でも、世田谷区と大田区は60平方キロメートル弱ということで、同じぐらいの広さみたいだ。
ちなみにディズニーランドとシーを合わせて1平方キロメートルなので、ディズニー61個分の広さ。
日本最小の「市」は埼玉県の蕨市で、5.1平方キロメートルなので蕨市よりは12倍大きい。
以上、むやみに比べて見た。
とりあえず、サンマリノの小ささはなんとなく実感できると思う。 -
砦から見たアペニン山脈である。
イタリア半島を縦に走る、半島の背骨ともいえる山脈だ。
チェスタ砦からの景観がサンマリノで一番だと思う。
アペニン山脈も、アドリア海も、第一の砦も第三の砦も眺めることができるのだ。
料金は、第一の砦と共通チケットで4.5ユーロ。
ちなみに第2の砦には、古今東西の武器を集めた博物館がある。 -
グアイタ砦のほうを眺めるとこんな感じである。
サンマリノという国というか街が、ずいぶんと険しい環境にあることを実際にこの眼で見てちょっと驚く。
迫力のある眺めだと思う。
「1700年自由を守り続けてきた」というけど、ちょっと茶化して考えたら、誰もこんな険しくて貧しい土地を、真剣に我が物にしようと思わなかったからなんじゃないかとも思う。
しかし、戦乱にさらされなかったことと、外れた土地にあるせいで近代化の波に早々に巻き込まれなかったせいで、街も中世の砦も現代に残っている。 -
最後に、アドリア海方面。
晴れていればもっときれいに見えるらしい。
私がここに着いたのは10時すぎぐらい。
まだ観光客はほとんどいなくて、景観独り占めである。
こういう言い方もどうかと思うが、街にしても砦にしても大きくはないので、観光客が集まったらけっこうせせこましくなると思う。 -
中央にぽつんと立っているのが、第三の砦「モンターレ」である。
崖の縁に立っている。
砦というか、見張り塔。
ここは歩いていっても入れず、ただ見上げるだけだ。
訪れる人も少ないのか、第三の砦までの道は落ち葉にほとんど覆われていた。
とはいえ、ティターノ山のハイキングコース?というか山道に入れる小道もあるので、歩くのが好きで時間のある人はそのあたりを散策するのもいいと思う。
実際に、そっちから上がってきた観光客もいた。 -
「ロンリープラネット」によれば、中世の街並みを眺めて、リベルタ広場で衛兵の交代を見て、砦から景色を眺めればサンマリノを「見尽くした」ことになるらしい。
…このガイドはけっこう辛辣だ。
一応、見どころの教会もある。
「バジリカ・ディ・サンマリノ」(サンマリノ聖堂?)。
建国者聖マリーノの遺物が納められているらしいが、確認できなかった。
(そもそもできるのかわからないが)
でも、イタリア国内の教会と比べて、別に面白みがないってのが正直なところだ。
サン・フランチェスコ教会という、歴史の深い教会もあるらしいが、何故か行ってみるのを忘れていた。 -
さっき歴史を比べたついでに、人口3万人という数字がどんなものなのか考えてみる。
日本では「市」になるには人口が5万人必要なので、サンマリノは日本では「町」以下ということになる。
東京ディズニーランドの1日の入園者数は約7万人。
埼玉スタジアムが、浦和レッズサポーターで真っ赤に染まると約6万人である。
「この木何の木」の日立製作所の社員数は約4万人である。
比べる対象がこれでいいのかわからないけど、サンマリノの人口はこれらより少ないのか。
ちょっと暗くなる数字とも比べてみる。
日本の1年間自殺者数、約3万人。
一つの国の人口と、ほぼ同じ数字である。 -
で、3万人の国には銀行もある。
国だから当然なのだが、ちょっと面白い気もする。
金融機関は11もあるらしい。
競合しすぎじゃないだろうか?
経営は成り立っているのだろうか?
すべてが国内向けの営業で完結してるわけではないだろうが、3万人の国に11も金融機関があるのは妙な響きだ。 -
午後はラヴェンナに行こうと思っていたので、サンマリノはここまでである。
サンマリノは不思議な国に見える。
ミニ国家であるというだけではない。
イタリアに完全に囲まれていることである。
世界にルクセンブルグ、モナコ、南太平洋の島国など、小さな国は他にもいくつかある。
しかし、海にも2カ国以上の国境線にも接してない国は、サンマリノの他にはバチカンと、アフリカのレソトぐらいしかぱっとは思いつかない。
まるでイタリアの一部分が、そのまま独立しちゃったみたいだ。
こんな小さな山の上の国が、世界最古の共和国で、1700年の自由を保ち続けた。
砦とか、要害の地とか、いろいろ理由はあるだろうが不思議だ。 -
結局、のんびり回っても3時間もあればたしかに「見どころ」は回り尽くせる。
もちろん、切手の博物館や、サンマリノGP関係の施設を回りたい人はもっと時間がかかるだろう。
ただ、この国というか街の最大の見どころは、世界遺産でもあることが示すように歴史性とか、その景観だと思う。
思う。思うのだが、どうもイマイチそういった風情に欠けるのだ。
サンマリノは観光立国である。
それを住民が自覚しすぎて、世界遺産というより、ただの普通の観光地になってしまっている気がした。
おそらく、土産物屋が立ち並ぶ古い中世の街並みは、観光のピークシーズンには目も当てられない有様になるんじゃないかと思う。
もう一度来たいか?と問われれば、お茶を濁した答えになりそうだ。
でも、行く価値がないかと問われれば、あの砦の風景は一見の価値ありだと思う。
「ロンリー・プラネット」の「ばかげたところだ」という表現も、なんだか的外れじゃないような気がした。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- spumamiさん 2011/08/18 21:52:06
- 共感!!
- こんばんは、spumamiといいます。
共感出来ることが沢山あって、クスッて笑いながら楽しんで拝見させていただきました。
私もサン・フランチェスコ教会を見逃してしまったんですよね〜!
教会好きの私としては、とても悔やまれることです。
でも、最後にコメントされているように、もう一度来たいかと問われれば
お茶を濁した答えになるんですよね〜私も、もう行かないと思います。
だからって、行った事を後悔しているかといえば、それも違いますね。
行って良かったと本当に思っています☆
確かに、国の広さから考えれば銀行も多すぎですよね〜
本当に「そう!そう!」って思えるコメントが豊富で面白かったです。
思わず投票してしまいました(^^)
- kuroneko12さん からの返信 2011/08/21 18:29:02
- RE: 共感!!
- 投票ありがとうございます!
なんだか存在自体が面白いですよね、サンマリノ。
行ってみたくて、実際に行ってみるとやっぱり不思議な感じがしてわくわくして、冷静になるとなんだかなーって感じ。
でも、そうです。行ってみてよかったという気持ちはたしかですよね。
spumamiさんの旅行記も拝見致しましたー。
私が歩いてない場所も歩いてますね…!
うーん。私ももっと歩いてみればよかったかも。
spumamiさん、イタリア記が充実してるので、私が行くときには参考にさせてもらいますね。
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