1995/12/12 - 1995/12/14
168位(同エリア466件中)
北風さん
アフリカと言えば、
ケニヤと言えば、
マサイマラ国立公園と言えば、
「サファリ・ツアー」だった。
ケニヤのツアー会社は、
「首から日本製カメラを提げてケニヤッタ大通りを歩く方が、マサイマラのサバンナを生肉片手に散歩するより危険だ」
と、妙に説得力のあるツアーの安全性を強調していた。
さて、2泊3日のサファリ・ツアーの実態は?
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 観光バス
-
ナイロビに来たら、サファリという言葉を知らなくても、街を5分も歩けば、ツアーの客引きが教えてくれる。
2泊3日、US$135!高い!俺の旅の出費指数から考えれば、天文学的な料金ともいえる。
しかし、ナイロビについてから、タイで沈没しているジャンキーのごとく、ホテルでウダウダしている毎日。
(まぁ、ちょっと時間を外して外出すれば、2本足の獣にあっという間に襲われるサファリのど真ん中にいるわけだが)
とりあえず、アフリカに来たなら、本当のサファリも体験せねば!
郊外のほうが安全だというし・・ -
12月12日、ツアーバス(ただのバンだが)は、快調にナイロビ郊外をひた走る。
周りから人工物が消えるにつれ、車内に吹き込む風が熱くなってきた。
実は、ナイロビは白人が作った都市の例に漏れず、700mの高地にあったらしい。
どうりで涼しかったはずだ。
街から1時間、とうとう見渡す限り人工物が見当たらなくなった。
・・ん、人工物があった。
しかも、おもいっきり近代的なパラポラアンテナだ。
ケニヤの軍事施設なのだろうか?
とにかく、緑の地平線に浮かぶ白いアンテナは、誰が見てもとびっきり不自然なものだった。 -
<リフト・バレーにて>
高台から見下ろす広大な土地を指差して、ドライバーが「あそこがリフトバレーだ」と言った。
「リフトバレー」、アフリカ大陸を引き裂く大地溝帯と言うからには、恐ろしく深い谷を想像していたのだが、何処を見ても広大な平野が広がっているだけだった。
なんと、この平野自体が、陥没している所との事。 -
乾季の雨量が極端に少ないサバンナでは、なかなか背の高い木々に出会える事はなかった。
しかも、どうにか普通の木ぐらいの高さになると、キリンがバクバク食べに来るからなおさらだ。
そして、苛酷な環境緑に勝ち誇るように立っている木は、どれも一癖あるような形をしていた。
ソーセージ・ツリーは、そのバナナぐらいの実の中に、限りある水分を蓄え、アカシアの木は、漏斗の様な逆三角形のシルエットで、雨水を木の根元に集める様な形をしている。 -
アカシヤの木は、全てを焼き尽くすようなアフリカの太陽をものともせず、独特の逆三角形のシルエットをサバンナに刻みつけていた。
他の生物が次々に淘汰される中、アカシヤはあちこちの荒野で、孤独な生存を勝ち取っている。
アフリカの勝利者は、天に向かって手のひらを広げるように、今日も雨を待っている。 -
シマウマの群れが出現した頃、どうにか国立公園に到着した。
しかし、公園といっても、ただ地平線のまっただ中にゲートがあるだけで、公園の中と外に何の違いもない。
日本のサファリパークと違う所は、その広大な空間と、縞馬の元気の良さだった。 -
縞馬は美しい。
やはり、この白黒のストライブがそう見せているのだろうか?
しかし、こんな緑一色のサバンナで、何故白黒の縞を身につけなければならなかったんだろう?
これは保護色なのか?
どう見ても、「何処からでも一目で発見できます。いつでも召し上がれ!」と言っているような気がするのだが・・ -
ガイドが、小声で説明する。
「あそこにいるのは、サイです。刺激するような事はやめて下さい」
何故、この巨大なイノシシみたいな動物に、それ程神経質にならねばならないのだろう?
実は、この動物、草食動物のくせに、怒るとものすごい勢いで体当たりしてくるらしく、その角は、ジープの鉄板を軽々と突き抜けるらしい。 -
象は木々の間から、ひょっこりと現れた。
「アフリカ象」、地上最大の動物と言われているが、意外と小粒だ。
ガイドがまたもや小声で、「刺激しないで」と注意する。
サイといい、この象といい、おとなしいイメージの草食動物が、このサバンナではライオンより危険動物になっていた。 -
「GIRAFFE!」とガイドが指差す先に、ものすごく優雅にサバンナを歩く動物がいた。
日本の動物園では、あまりにも定番の動物だが、野生のキリンは比べ物にならないほど美しい! -
旅日記
ライオンとキリン
国立公園には、当然
アスファルトなどは存在しない。
しかも俺達のツアー車はかなり酷使されて既にあちこちにガタがきていた。
車内には、デコボコ道に弾むシート、きしむフレーム、悲鳴を上げるエンジンと、周りの静寂が支配する環境とは、正反対の賑やかさがぎっしり詰まっている。
ありとあらゆる雑音の中、ガイドの無線機の音が割り込んできた。
無線機を手に、ガイドが叫ぶ。
「南5km、ライオン!」
サファリが、日本のサファリパークと違う所は、野生の動物の生活を生で見れる所だと思う。
しかも今回は、ライオンの食事時らしい。
これは、ラッキーな事ではないだろうか?
胸が高鳴る。 -
ライオンがいた。
何か横たわった大型動物に群がっている。
車が近づくにつれ、辺りにはものすごい異臭が漂い始めた。
ハンティングされたのは、マサイ・キリンだった。
メスライオンと子ライオンが、近づく車など気にもせず、夢中で貪りあっている。
真っ先に食われたのは、内臓らしい。
風が運んでくる異臭は、そこから来ていた。
しかし、まさかキリンが食われているとは!
どうやってハンティングしたんだろう? -
オス・ライオンがやってきた。
メス・ライオン、子ライオンを蹴散らし、エラそーにのそのそと獲物にかぶりつく。
聞けば、オスは狩にも参加せず、食う時だけ出勤してくるらしい。
百獣の王と、水商売のおねぇちゃんのヒモとの差は、ごくわずかなものではないだろうか? -
獲物を横取りする姿は、水戸黄門に出てくる悪代官以上に汚いが、さすがオス・ライオン、そのパワーはすごかった!
200kgはゆうに越しているキリンの身体が、右に左に大きく揺さぶられている。
なんとここまで、肉を噛み切る音や、骨が噛み砕かれる音が聞こえてきた。 -
旅日記
ここで押しがけ?
ものすごい食事の音がサバンナに響き渡る中、「キュルルル、キュルルル、キュウ」という、全く緊張感のないノイズが聞こえてきた。
ガイドが振り返って、白い歯をのぞかせてニカッと笑う。
その後少しも悪びれた様子も見せないで、「ごめん、エンジンがかからない」とのたまった。
確かに、この車、今までにも何度かエンストを起こし、皆で押しがけをしてはいたが・・
・・今回はジョークなのだろうか?いや、ジョークであってほしい。
「プッシュ・プリーズ」と言うからには、また降りて後ろから押してくれと、頼んでいると思われるが、・・
すぐ近くから骨が砕ける音がしているこの場で、それができる奴がいたら、教えてほしい。 -
アバラ骨までしゃぶりつくされた後、食事は終わったらしい。
一匹一匹と、彼らは立ち去っていく。
そして、お気に入りの草むらまで来ると、まるで行き倒れのようにどさっと倒れこんだ。
どうやら腹が満杯で眠くなってきたらしい。
「食っちゃ寝る」、こいつらの生活はイタリア人と同じだ。 -
ライオンの退場と共に、ハイエナ親子がノソノソ穴から出てきた。
遠くで見守っていたハゲタカも、モゾモゾと翼を動かし始める。
サバンナの食事時は、まだまだ終わらない。
キリンは明朝までには、その存在のカケラからさえも、サバンナに残す事はできないだろう。 -
キリンがサバンナで「静」の優雅さを持っているとすれば、チーターは「動」の美しさを持っていた。
確かにヨーロッパの貴婦人達が、目の色を変えて欲しがるはずだ。
なんてきれいな毛皮なんだろう。 -
<宿泊地>
やっと今夜の宿泊地に到着した。
と、言っても、ガツガツとライオンが食事をしていた場所から、車で15分ほどの所だ。
しかも、フェンスも金網もない平地に、テントが張られているだけだった。
俺にとっては馬鹿高く感じたツアー料金も、実は最低料金だったのは知っていたが、ロッジに泊まれない者には、獣の雄叫びに怯える夜までついているとは知らなかった。 -
マサイ族の少年がサバンナを案内してくれると言う。
一つだけ気にかかるのは、弓と槍の完全武装で、何故散歩に望むかだけだ。 -
旅日記
マサイの夜
サバンナの夜空には、信じられない程のきらめきがはりついていた。
目の前で燃え盛るキャンプ・ファイヤーの先端が、その星ぼしに突き刺さっている。
なんとも幻想的な光景だった。
どこからか、「ンー、ンー、ンー」と声が聞こえてくる。
観光客相手のマサイ族の儀式が、再現される時間になったらしい。
炎に揺らめく長身のシルエットが、まわりを埋め尽くした。
ひときわ高く「ンー、ンー」と、鼻を鳴らす音が聞こえる。
男達が一斉に飛び跳ねだした。
確か以前聞いた事がある。
マサイ族は相手より高く飛ぶ事で、自分の高さを誇示しているとの事。
満天の星空の下、炎に踊る長身のシルエット、
アフリカの夜は更けていく。
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