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轟音。<br />陸をはずれる最後の車輪の「ガタン」という音。<br />上向く重力を感じながら、飛ぶのだなあ、と思う。<br /><br />19時55分、羽田空港発。<br />EK6257、エミレーツ航空とJALのコードシェア便。<br />機内放送のすべての単語が懐かしく感じる、ほんとうに久しぶりの旅。<br /><br />遠いようで実は近い、中東。<br />関西国際空港から、直行でたったの10時間。<br />乗り継ぎ地であるドバイとの時差は5時間、イエメンとは6時間。<br />これなら大幅な時差ぼけもないだろう、と安心してもいた。<br />羽田―関空―ドバイ―イエメンと3つ飛行機を乗り継ぐ。<br />とりあえず、イスラム圏での9日間の断酒に備え、関空で1杯のビールを飲んできた。<br /><br />無理矢理にまどろむ機内。周到に旅をするようになった、と思う。<br />逃げるように、すべてを投げ出して軽く飛ぶような旅は、年を追うごとになくなっていた。<br />出発の前日は久々の完徹を経て、わたしにしては大きな仕事を2つ決めた。心残りない出発。<br />妙な安定感と、「逃避」からきちんと「道楽」になった旅。<br />添乗員も、旧来の友人も一緒で、かつ大好きなJunkStageのライターが現地で待っている旅は、<br />たしかに緊張感に欠け、いつもの皮膚がぴりぴりするような興奮も、なかった。<br /><br />それでも。<br />地図上の「Dubai」という地名が近づくごとに、ふわりと溶けていく感触があった。<br />天職と思う仕事にも、心地よい仲間にも、愛した人にも、埋められないスペースがわたしにはあって、やっぱりそれは決定的に、僻地の風にしか癒せないものなのだと。<br />かわいた土地に水が吸い込んでいくようなじりじりした充足を感じながら、すこしだけ寝た。<br /><br />それから先は、拷問に近い時差の洗礼。<br />飛行機を乗っても乗っても、時差がどんどん戻っていくから、いつまで経っても「朝」の繰り返し。<br />朝ごはんは4回食べた。<br />そしてイエメンの首都、サナアに着いたのも、また戻り戻って朝8時だった。<br /><br />サナアの空港は小さいが、機能はしっかりしていた。<br />今時流行の新型インフルエンザ対策か、熱を感知するペンライトのようなものを当てられ、<br />入国カードとパスポートでイミグレーションを抜け、手荷物検査を通ってバゲッジクレームへ。<br />この手荷物検査では、せんべいの表面についているミリンを「油だ」と取り上げられたり、<br />カップラーメンのフタ部分を「アルコールだ」と取り上げられたりすることが稀にあるそうで<br />非常食(日清カップヌードルは蚊取り線香に次ぐ日本の誇りである)を4個抱えたわたしは、<br />やや緊張して進む。<br /><br />無事何事もなく空港を抜けると、まずは両替をした。<br />いくら使うかわからないが、とりあえず100ドルを両替する。<br />イエメン現地通貨「イエメンリアル」で4000リアル。100リアル札を40枚だ。<br />両替屋のおやじが札束から瞬時に、適当に差っぴいて寄越す。<br />「適当すぎだろ…」と呆れながら、すべりにくい新札を1枚1枚数える。<br />ここで1番目のイエメンマジックが起きた。<br />おやじが0.1秒で差っぴいた札は、ぴったり40枚。呆気に取られるニホンジン、3名。<br />疑惑のまなざしで札を数えるニホンジンをイラっとした目で見つめていたおやじは、<br />思わず「You Are Great」と言ったリツさんに、にやり、と無言。<br /><br />空港まで、わたしたちの名前を下げた紙を持ったドライバーが迎えに来ていた。案外正確。<br />スーツケースを積み込み、駐車場へ。ラマダン明けのお祭りで、イエメンの人々はみんな正装。<br />男性は子どもからおじいちゃんまで、白いワンピースに刀を下げ、ジャケット姿。<br />女の子たちはひらひらはためく色鮮やかなお姫様ドレス。<br />オトナの女性たちは、姿を晒さないアバヤという黒装束。<br />異空間のなか、車は走る。赤茶色と白い石膏のどこまでも続いていそうな街。<br /><br />旧市街のサナアに着くまでのドライブで、恐怖と驚愕が1回ずつあった。<br />恐怖は、車の運転ルール。信号なんて滅多にないし、線の上を走るし、クラクションの嵐。<br />目の前からの対向車が2列に分かれて、左右それぞれを超速で去っていったことも。<br />他人同士の連携プレー(行き当たりばったり)がなければ正面衝突、という事態には何度も遭遇した。<br />これにはさすがに、「ちょっとやそっとのことで驚いてはいけない」と、マサさんからも添乗員の立花さんからも言われていたわたしも「アイヤイヤイ」と意味不明な悲鳴をあげざるを得ない。<br />そして驚愕は、軍用ジープに砲撃器を載せ、公道にずらりと立ち並ぶ陸軍の姿だった。<br />「あれは、カメラを向けないほうがよいです」と立花さんが、その方向を見ずに言った。<br /><br />空港から20分少々。わたしたちは、滞在するアラビア・フェリックス・ホテルへ着いた。<br />石造りの段差の大きい階段で、背中を曲げて進むようなイエメン式旅館の風情が残り、<br />広すぎない部屋は窓を明ければ旧市街の絶景を望み、<br />ステンドグラスからは明るい光の入る古き良き面影のホテル。<br />4階(日本式に数えると5階)の部屋が絶景なのだが、富士山の5合目よりも高い標高のサナア。<br />2階(日本式に数えると3階)まで階段を上るとすでに呼吸は荒く、高地トレーニングの必要性を感じたわたしたちは早くもあっさり「2階でよいです」と妥協をし、まずは腰を落ち着けたのだった。<br /><br />続きと写真はこちらから♪<br />http://www.junkstage.com/world/yuu/?cat=20

■サナア着。

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2009/09 - 2009/09

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ユウ

ユウさん

轟音。
陸をはずれる最後の車輪の「ガタン」という音。
上向く重力を感じながら、飛ぶのだなあ、と思う。

19時55分、羽田空港発。
EK6257、エミレーツ航空とJALのコードシェア便。
機内放送のすべての単語が懐かしく感じる、ほんとうに久しぶりの旅。

遠いようで実は近い、中東。
関西国際空港から、直行でたったの10時間。
乗り継ぎ地であるドバイとの時差は5時間、イエメンとは6時間。
これなら大幅な時差ぼけもないだろう、と安心してもいた。
羽田―関空―ドバイ―イエメンと3つ飛行機を乗り継ぐ。
とりあえず、イスラム圏での9日間の断酒に備え、関空で1杯のビールを飲んできた。

無理矢理にまどろむ機内。周到に旅をするようになった、と思う。
逃げるように、すべてを投げ出して軽く飛ぶような旅は、年を追うごとになくなっていた。
出発の前日は久々の完徹を経て、わたしにしては大きな仕事を2つ決めた。心残りない出発。
妙な安定感と、「逃避」からきちんと「道楽」になった旅。
添乗員も、旧来の友人も一緒で、かつ大好きなJunkStageのライターが現地で待っている旅は、
たしかに緊張感に欠け、いつもの皮膚がぴりぴりするような興奮も、なかった。

それでも。
地図上の「Dubai」という地名が近づくごとに、ふわりと溶けていく感触があった。
天職と思う仕事にも、心地よい仲間にも、愛した人にも、埋められないスペースがわたしにはあって、やっぱりそれは決定的に、僻地の風にしか癒せないものなのだと。
かわいた土地に水が吸い込んでいくようなじりじりした充足を感じながら、すこしだけ寝た。

それから先は、拷問に近い時差の洗礼。
飛行機を乗っても乗っても、時差がどんどん戻っていくから、いつまで経っても「朝」の繰り返し。
朝ごはんは4回食べた。
そしてイエメンの首都、サナアに着いたのも、また戻り戻って朝8時だった。

サナアの空港は小さいが、機能はしっかりしていた。
今時流行の新型インフルエンザ対策か、熱を感知するペンライトのようなものを当てられ、
入国カードとパスポートでイミグレーションを抜け、手荷物検査を通ってバゲッジクレームへ。
この手荷物検査では、せんべいの表面についているミリンを「油だ」と取り上げられたり、
カップラーメンのフタ部分を「アルコールだ」と取り上げられたりすることが稀にあるそうで
非常食(日清カップヌードルは蚊取り線香に次ぐ日本の誇りである)を4個抱えたわたしは、
やや緊張して進む。

無事何事もなく空港を抜けると、まずは両替をした。
いくら使うかわからないが、とりあえず100ドルを両替する。
イエメン現地通貨「イエメンリアル」で4000リアル。100リアル札を40枚だ。
両替屋のおやじが札束から瞬時に、適当に差っぴいて寄越す。
「適当すぎだろ…」と呆れながら、すべりにくい新札を1枚1枚数える。
ここで1番目のイエメンマジックが起きた。
おやじが0.1秒で差っぴいた札は、ぴったり40枚。呆気に取られるニホンジン、3名。
疑惑のまなざしで札を数えるニホンジンをイラっとした目で見つめていたおやじは、
思わず「You Are Great」と言ったリツさんに、にやり、と無言。

空港まで、わたしたちの名前を下げた紙を持ったドライバーが迎えに来ていた。案外正確。
スーツケースを積み込み、駐車場へ。ラマダン明けのお祭りで、イエメンの人々はみんな正装。
男性は子どもからおじいちゃんまで、白いワンピースに刀を下げ、ジャケット姿。
女の子たちはひらひらはためく色鮮やかなお姫様ドレス。
オトナの女性たちは、姿を晒さないアバヤという黒装束。
異空間のなか、車は走る。赤茶色と白い石膏のどこまでも続いていそうな街。

旧市街のサナアに着くまでのドライブで、恐怖と驚愕が1回ずつあった。
恐怖は、車の運転ルール。信号なんて滅多にないし、線の上を走るし、クラクションの嵐。
目の前からの対向車が2列に分かれて、左右それぞれを超速で去っていったことも。
他人同士の連携プレー(行き当たりばったり)がなければ正面衝突、という事態には何度も遭遇した。
これにはさすがに、「ちょっとやそっとのことで驚いてはいけない」と、マサさんからも添乗員の立花さんからも言われていたわたしも「アイヤイヤイ」と意味不明な悲鳴をあげざるを得ない。
そして驚愕は、軍用ジープに砲撃器を載せ、公道にずらりと立ち並ぶ陸軍の姿だった。
「あれは、カメラを向けないほうがよいです」と立花さんが、その方向を見ずに言った。

空港から20分少々。わたしたちは、滞在するアラビア・フェリックス・ホテルへ着いた。
石造りの段差の大きい階段で、背中を曲げて進むようなイエメン式旅館の風情が残り、
広すぎない部屋は窓を明ければ旧市街の絶景を望み、
ステンドグラスからは明るい光の入る古き良き面影のホテル。
4階(日本式に数えると5階)の部屋が絶景なのだが、富士山の5合目よりも高い標高のサナア。
2階(日本式に数えると3階)まで階段を上るとすでに呼吸は荒く、高地トレーニングの必要性を感じたわたしたちは早くもあっさり「2階でよいです」と妥協をし、まずは腰を落ち着けたのだった。

続きと写真はこちらから♪
http://www.junkstage.com/world/yuu/?cat=20

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