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 すでに半年以上前の話となってしまいましたが、2008年7月〜8月に、ワガノワ・バレエ・アカデミーが日本ツアーを行いました。もちろん、元サンクト・ペテルブルク在住のバレエファンとしては見逃せない、ということで公演にはもちろん足を運んだのですが、それ以外にもワガノワ・バレエ・アカデミーで副校長を務めているタチヤナ・ゴロヴィナさんの協力のもと、講演会を拝聴させていただいたり、レッスンを見学させていただいたりすることができました。折角の機会ですので、その報告をさせていただきます。まず今回は公演鑑賞とレッスン・リハーサル見学編です。<br /><br />○公演鑑賞(8月2日 オーチャードホール)<br /><br />【第一部】<br /><br />「クラシック・シンフォニー」<br />初級・中級学年による演目なので難しい技はありません。「あらまあ、可愛らしいわね〜」というだけの作品なのですが、それでもついつい見入ってしまう可愛らしさです。<br /><br />「ラ・シルフィード」<br />イリヤ・ペトロフとヴィクトリア・クラスノクーツカヤ、9年生同士のペアです。クラスノクーツカヤは無邪気なかわいらしさがあって良かったです。一方、マリインスキーに採用されたイリヤ・ペトロフは、役柄によって印象が変わるのですが、ジェイムズ(「ラ・シルフィード」の主役)は残念ながらイマイチでした。<br /><br />「シェヘラザード」<br />フィギュアスケート選手の安藤美姫選手やキム・ヨナ選手もプログラムに使用している、とても音楽が美しい作品です。そんな作品に挑戦したのは、9年生のダリア・エルマコワとデニス・サプロン。キーワードが「官能」というこの作品、二人とも色々練ったんだろうなあ、というのは伝わるのですが、まだまだそれが馴染んでいませんでした。馴染んでいたらそれはそれで末恐ろしいので、馴染んでいなくても構わないんですが・・・(笑)。<br /><br />「くるみ割り人形」<br />8年生のタチアナ・チリグーゾワと、9年生のドミトリー・チモフェーエフ。よくコンサートで踊られる2幕のパ・ド・ドゥ(デュエット)ではなく、1幕最後のアダージョです。イマイチ見せ場がない演目なのが残念ですが、チリグーゾワは華やかなダンサーになりそうな気配があり、将来が楽しみです。<br /><br />「眠れる森の美女」<br />ユリアナ・チェレシケヴィッチとセルゲイ・ウマニェツと、2人とも9年生(現在はマリインスキー劇場で働いています)です。セルゲイ・ウマニェツは、個人的にとても期待しているダンサーです。膝を含め関節がやや堅めとか、そのためか跳躍の時キレイに180度開脚されない…など問題点はいくつかあるのですが、ソリストらしい風格があるところが貴重です。<br /><br />「偶然の出会い」<br />ポルトガルの振付家による回転系の動きを多用した現代作品です。ロシアにありがちな「なんちゃってモダン」のうさん臭さはありませんが、今ひとつ洗練に欠ける…などという作品談義はさておき、踊ったのはオリガ・グロモワとワシリー・トカチェンコです。グロモワの方は、今まであまりワガノワ・バレエ学校の公演で観たことがなかったので、まじまじと観るのは初めてでしたが。素直そうな踊りで好印象でした。<br /><br />「マルキタンカ」<br />別名、「ラ・ヴィヴァンディエール」(酒屋の娘の意)です。6人で踊られる作品ですが、中心になるのはユリア・チッカとオレグ・デムチェンコ。チッカは現在ミハイロフスキー劇場(レニングラード国立バレエ)で、デムチェンコはマリインスキー劇場で働いています。個人的には、大変失礼ながらあまり容色は優れないものの上手な女の子が1人いたのが気になるのですが、名前はわからずでした。<br /><br /><br />【第二部】<br /><br />「海賊」という人気のある古典バレエより、第3幕“花園の場”です。本来はヒロインであるメドーラが、さらわれてきた後宮で友達のギュルナーラに再会したところで、いつのまにか舞台はバレリーナ達がさざめき戯れる、後宮の主の夢の世界へ、という場面なのですが、今回はバレエ・アカデミー仕様になっています。具体的には、そんな男子禁制の場面では不公平?ということで、2幕のグラン・パを織り込んで男性陣の出番を作っています。<br /><br />とはいえ、それでも増えたのはコンラッド(海賊の首領)とアリ(コンラッドの腹心)の二役だけという狭き門です。この日は、中家正博さん(アリ)とワジム・ベリャーエフ(コンラッド)がそれぞれ役を射止めました。よく言えばとてもお上品、悪く言えば若干物足りないワガノワ・バレエ・アカデミー男子生徒の中で中家正博さんのパワフルな踊りは人目を引きます。<br /><br />一方のベリャーエフはアリ役ほど目立つパートはなく、海賊と言うには優美すぎる気もするので別の作品で観たかった気もしますが、10頭身?と言いたくなるほどプロポーション抜群で、今はマリインスキーで働いています。<br /><br /> そしてメドーラ役はアナスタシア・ニキーチナ。コンクールで入賞したりと、以前から注目されていた生徒でしたが、半年見ない間に「憎まれっ子世にはばかる」的な華が出ていてびっくりしました。当然のようにマリインスキーに採用され、すでにソロも踊っている彼女なので、個人的にはこのまま突き進んでいってくれれば面白いと思います。<br /><br />また、アカデミー用の演出、ということでメドーラのソロパートを分け合ったのがリリヤ・リシュク、またギュリナーラ役はナデジタ・バトエワが踊りましたが、まだ8年生ということで、ニキーチナに押され気味の感は否めませんでした。<br /><br /> また、群舞の中に前々から気になっていた6年生のクリスチーナ・シャプランがいたので嬉しかったです。もう一人6年生のオリガ・スミルノワも探してみたのですが見つからず、後で聞いたところ、怪我のためツアー不参加とのことでした。

ワガノワ・バレエ・アカデミー来日REPORT(1)

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2008/07 - 2008/08

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

 すでに半年以上前の話となってしまいましたが、2008年7月〜8月に、ワガノワ・バレエ・アカデミーが日本ツアーを行いました。もちろん、元サンクト・ペテルブルク在住のバレエファンとしては見逃せない、ということで公演にはもちろん足を運んだのですが、それ以外にもワガノワ・バレエ・アカデミーで副校長を務めているタチヤナ・ゴロヴィナさんの協力のもと、講演会を拝聴させていただいたり、レッスンを見学させていただいたりすることができました。折角の機会ですので、その報告をさせていただきます。まず今回は公演鑑賞とレッスン・リハーサル見学編です。

○公演鑑賞(8月2日 オーチャードホール)

【第一部】

「クラシック・シンフォニー」
初級・中級学年による演目なので難しい技はありません。「あらまあ、可愛らしいわね〜」というだけの作品なのですが、それでもついつい見入ってしまう可愛らしさです。

「ラ・シルフィード」
イリヤ・ペトロフとヴィクトリア・クラスノクーツカヤ、9年生同士のペアです。クラスノクーツカヤは無邪気なかわいらしさがあって良かったです。一方、マリインスキーに採用されたイリヤ・ペトロフは、役柄によって印象が変わるのですが、ジェイムズ(「ラ・シルフィード」の主役)は残念ながらイマイチでした。

「シェヘラザード」
フィギュアスケート選手の安藤美姫選手やキム・ヨナ選手もプログラムに使用している、とても音楽が美しい作品です。そんな作品に挑戦したのは、9年生のダリア・エルマコワとデニス・サプロン。キーワードが「官能」というこの作品、二人とも色々練ったんだろうなあ、というのは伝わるのですが、まだまだそれが馴染んでいませんでした。馴染んでいたらそれはそれで末恐ろしいので、馴染んでいなくても構わないんですが・・・(笑)。

「くるみ割り人形」
8年生のタチアナ・チリグーゾワと、9年生のドミトリー・チモフェーエフ。よくコンサートで踊られる2幕のパ・ド・ドゥ(デュエット)ではなく、1幕最後のアダージョです。イマイチ見せ場がない演目なのが残念ですが、チリグーゾワは華やかなダンサーになりそうな気配があり、将来が楽しみです。

「眠れる森の美女」
ユリアナ・チェレシケヴィッチとセルゲイ・ウマニェツと、2人とも9年生(現在はマリインスキー劇場で働いています)です。セルゲイ・ウマニェツは、個人的にとても期待しているダンサーです。膝を含め関節がやや堅めとか、そのためか跳躍の時キレイに180度開脚されない…など問題点はいくつかあるのですが、ソリストらしい風格があるところが貴重です。

「偶然の出会い」
ポルトガルの振付家による回転系の動きを多用した現代作品です。ロシアにありがちな「なんちゃってモダン」のうさん臭さはありませんが、今ひとつ洗練に欠ける…などという作品談義はさておき、踊ったのはオリガ・グロモワとワシリー・トカチェンコです。グロモワの方は、今まであまりワガノワ・バレエ学校の公演で観たことがなかったので、まじまじと観るのは初めてでしたが。素直そうな踊りで好印象でした。

「マルキタンカ」
別名、「ラ・ヴィヴァンディエール」(酒屋の娘の意)です。6人で踊られる作品ですが、中心になるのはユリア・チッカとオレグ・デムチェンコ。チッカは現在ミハイロフスキー劇場(レニングラード国立バレエ)で、デムチェンコはマリインスキー劇場で働いています。個人的には、大変失礼ながらあまり容色は優れないものの上手な女の子が1人いたのが気になるのですが、名前はわからずでした。


【第二部】

「海賊」という人気のある古典バレエより、第3幕“花園の場”です。本来はヒロインであるメドーラが、さらわれてきた後宮で友達のギュルナーラに再会したところで、いつのまにか舞台はバレリーナ達がさざめき戯れる、後宮の主の夢の世界へ、という場面なのですが、今回はバレエ・アカデミー仕様になっています。具体的には、そんな男子禁制の場面では不公平?ということで、2幕のグラン・パを織り込んで男性陣の出番を作っています。

とはいえ、それでも増えたのはコンラッド(海賊の首領)とアリ(コンラッドの腹心)の二役だけという狭き門です。この日は、中家正博さん(アリ)とワジム・ベリャーエフ(コンラッド)がそれぞれ役を射止めました。よく言えばとてもお上品、悪く言えば若干物足りないワガノワ・バレエ・アカデミー男子生徒の中で中家正博さんのパワフルな踊りは人目を引きます。

一方のベリャーエフはアリ役ほど目立つパートはなく、海賊と言うには優美すぎる気もするので別の作品で観たかった気もしますが、10頭身?と言いたくなるほどプロポーション抜群で、今はマリインスキーで働いています。

 そしてメドーラ役はアナスタシア・ニキーチナ。コンクールで入賞したりと、以前から注目されていた生徒でしたが、半年見ない間に「憎まれっ子世にはばかる」的な華が出ていてびっくりしました。当然のようにマリインスキーに採用され、すでにソロも踊っている彼女なので、個人的にはこのまま突き進んでいってくれれば面白いと思います。

また、アカデミー用の演出、ということでメドーラのソロパートを分け合ったのがリリヤ・リシュク、またギュリナーラ役はナデジタ・バトエワが踊りましたが、まだ8年生ということで、ニキーチナに押され気味の感は否めませんでした。

 また、群舞の中に前々から気になっていた6年生のクリスチーナ・シャプランがいたので嬉しかったです。もう一人6年生のオリガ・スミルノワも探してみたのですが見つからず、後で聞いたところ、怪我のためツアー不参加とのことでした。

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