<br />1976年6月<br /><br /><br />週末の練習は、ンポイの提案で土・日の二回に増やした。<br /><br />土曜日の午後と、日曜日の午前である。<br /><br />提案の理由は、ザイール人たちの関心を、練習に留めておきたいからだった。<br /><br />でないと、誰も来なくなってしまう危険がある。<br /><br /><br />バス代とコカコーラ代は、相変わらずかさむばかりだ。<br /><br />バス代は往復で１０マクタ（６０円）、コカコーラ１０マクタ（６０円）で、合計一人当たり１２０円になる。<br /><br />毎回１００人やって来れば、１週末二日間で２万円を超える出費になる。<br /><br />しかしまだ来てくれるのはマシの方で、中にはバス代を先払いさせておいてズル休みする者もいる。<br /><br /><br />相変わらず、練習はラリーが続かず、見ていても一向に面白そうにない。<br /><br />彼らが上達するか、興味を失ってしまうかの競り合いなのだ。<br /><br />だがそれ以上に気になるのは、手伝ってくれている日本人の意欲だった。<br /><br /><br />ソフトテニスの種をアフリカの地で芽生えさせようとする試みの主眼の一つに、在留日本人の虚脱感をなくすることがある。<br /><br />日本人が「せっかくの休みなのに馬鹿らしい」と感じ始めたら、日本人の活性化という大目的の一つが潰えることになる。<br /><br /><br />ここに永く住み着いている外国人は、われわれ日本人の動きを冷たい目で見ていた。<br /><br />ザイール人にテニスを教えようなんて、無理に決まっている。<br /><br />まだこの社会を十分に知っていない日本人は、彼らの性質を知らなさすぎる。<br /><br />日本人の友達である外国人からの、ヒソヒソ話が聞こえてくる。<br /><br /><br />しかしその一方では、日本人が意欲的に現地人と交わろうとしている態度に、感嘆の眼差しもきっとあるだろうと、私は信じたいと思っていた。<br />

キンシャサ日記【634】プレヤーを引き留めるべく練習日を毎週２回に増やす

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1976/06 - 1976/06

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#その他

ソフィさん

1976年6月

週末の練習は、ンポイの提案で土・日の二回に増やした。

土曜日の午後と、日曜日の午前である。

提案の理由は、ザイール人たちの関心を、練習に留めておきたいからだった。

でないと、誰も来なくなってしまう危険がある。

バス代とコカコーラ代は、相変わらずかさむばかりだ。

バス代は往復で１０マクタ（６０円）、コカコーラ１０マクタ（６０円）で、合計一人当たり１２０円になる。

毎回１００人やって来れば、１週末二日間で２万円を超える出費になる。

しかしまだ来てくれるのはマシの方で、中にはバス代を先払いさせておいてズル休みする者もいる。

相変わらず、練習はラリーが続かず、見ていても一向に面白そうにない。

彼らが上達するか、興味を失ってしまうかの競り合いなのだ。

だがそれ以上に気になるのは、手伝ってくれている日本人の意欲だった。

ソフトテニスの種をアフリカの地で芽生えさせようとする試みの主眼の一つに、在留日本人の虚脱感をなくすることがある。

日本人が「せっかくの休みなのに馬鹿らしい」と感じ始めたら、日本人の活性化という大目的の一つが潰えることになる。

ここに永く住み着いている外国人は、われわれ日本人の動きを冷たい目で見ていた。

ザイール人にテニスを教えようなんて、無理に決まっている。

まだこの社会を十分に知っていない日本人は、彼らの性質を知らなさすぎる。

日本人の友達である外国人からの、ヒソヒソ話が聞こえてくる。

しかしその一方では、日本人が意欲的に現地人と交わろうとしている態度に、感嘆の眼差しもきっとあるだろうと、私は信じたいと思っていた。