1976/06 - 1976/06
10位(同エリア82件中)
ソフィさん
1976年6月
キンシャサ市のあっせんで、ゾー(動物園)の立派なコートが使用できた始球式だったが、式の最中テレビの全国放映中なのに厚生大臣がテニス支度でやってきて、「コートを勝手に使うな」とクレームをつける出来事があった。
スポーツ部長が勧めてくれたコートでの思いがけない出来事にびっくりしたが、この場は大臣秘書とキンシャサ市スポーツ部長がなんとか話し合いを付けてくれて、始球式は無事終わった。
厚生大臣が、毎日曜ごとにこのコートを使う既得権を主張したのだった。
このコートの所有権や使用権について、はっきりしていないことが多いようだ。
始球式から数日後、キンシャサ市のスポーツ部長が、申し訳なさそうな顔で訪ねてくる。
「ゾー・コートはもう使えない。その代りにフナ・コートはどうでしょうか」
ゾー・コートは元来誰でも使えるパブリックコートなのだが、いつの間にか既得権が発生してしまい、話をつけようとするのだが簡単に行かないらしい。
一方フナ・コートは、植民地時代はメンバーズ・コートだったが、独立後ここまでやってくる外国人がいなくなって、よく空いている。
「8面あるコートの隅の方の2面はいつも使われていないので、ここに割り込んでゆこう。
クレームがついたらややこしいが、クラブメンバーに直接迷惑を掛けないようにすれば、当面黙認されそうだ。
という話なので、早速そのコートを見に行った。
フナのコートは、少し間道に入った、ひと気の少ない一隅にあった。
日本人会で「なるべく避けること」とされている、シテ(現地人居住区)に抱かれている。
クレー(土)のコートには、大雨が降った時の流水の跡が刻まれている。
日本ならば、到底テニスコートとは言われないほどの荒れ方だ。
ゾー・コートはアンツーカで、メンテナンスもほどほどに出来ていた。
それに比べればかなり悪い状態だが、「これから我々の手で良くして行けば良いではないか」と割り切って、次週からここを使おうと決める。
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