2004/09/18 - 2004/09/30
244位(同エリア277件中)
ユウさん
全8回・コルカタ以外の情報もあります、旅行記はこちらでも連載しています
http://www.junkstage.com/world/yuu/?cat=7
コルカタでは、一般家庭にホームステイをさせていただいた。
10歳の男の子(なぜかヒトラーを信奉している)のいる3人家族。
人々の渦巻く通りをぬって歩き、路地裏の2階。
ちなみに「3食カレー」と言われていた食生活は、やっぱり3食カレーだった。
というか、日本人がなんにでも醤油をかけるように、インド人はなんにでもカレー味をつけるのだろう。
料理は「カレーライス」ではなく、卵や野菜や魚がすべてカレー味になっているのである。
初日は、日本人を受け入れることが多いからなのだろうか、ベッドに設置されていたマザー・テレサの日本語版伝記を読んですごす。
そのあと、ステイ先のお母さんに、一通りの交通手段のレクチャーをしてもらった。
もちろん、実戦形式で。
車線のない広い道路を蛇行し追い越す無数の車は24時間渋滞で、常にクラクションを鳴らしながら走る。
おもしろかったのは、おもちゃみたいな丸い形の「リクシャ」というオートバイ。
後部座席には2人ほど乗れるスペースがあり、渋滞の中風を切って進む。
が、ドアも無ければつかまるところも無い上、せっかちな客が定員2人のところ次々乗ってくるので、相当がんばらないと振り落とされる。
バスを降りる場所も教わったが、日本のようにバス停があるわけではないので何百メートルか前で、小銭と切符を入れたバッグをかけているドア係に「降りる」というと、
ドア係が銀の板(といっても車体の一部)をガンガンガンガン叩いて、運転手に降りる人がいることを知らせてくれる。
バスはそれでも止まらず、失速しながら人を振り落とす。
後続の車がすかさずクラクションを鳴らしてくる。まさに戦争だ。
私はコルカタ滞在中、午前中は8時〜12時の間ダヤダンという障害孤児の施設で、
午後はシャンティダンという女性薄弱者(バングラデシュ難民や、人身売買・強制売春から逃れてきた人達)の施設で手伝いを始めた。
活動の前にマザーハウスという本部に皆集合し、毎日6時からミサ→7時から朝食という超規則正しい生活。
私はクリスチャンではないのでミサには出ず、7時にマザーハウスへ行っていた。
チャイ、バナナ、食パンの粗食で世界各国のボランティアたちと話が弾む。
マザーハウスに隣接する孤児院「シシュババン」の中庭ではこの時間、毎日貧困家庭に約7000〜8000人分の給食をしていて、その列をぬってゆく。
マザーが「死を待つ人の家」の次に作ったのが、この「シシュババン」だった。
飢えで泣くこともできなくなった子供を拾ってきたのが始まりだったという。
シシュババンの子供たちは、義務教育のないインドでも学校に通わせてもらえ、技能を身につけて一流とされる会社に就職する子も少なくない。
また、イタリアやアメリカ、スイスの資産家などとの養子縁組にも積極的だ。
昔、タイピングの技能を身につけてインドの会社の就職試験を受けようとした女の子が、エントリーシートの両親の名を書く欄を見て悲しそうな顔をしたらしい。
そのとき、当時存命だったマザーは母親の欄に「マザーテレサ」と書いたのだという。
シシュババンでは孤児院のほかに毎朝、飢える人々のために給食(炊き出し)をしており、その数はコルカタだけで2000世帯、8000人分にも及ぶのだという。
これを担うため、寄付金の他に、機内食の余りや、欠航になった便の機内食を回してもらっているのだそうだ。
だから、インドの空港では、欠航便が出ると、
「今日もマザーのとこの子供たちがお祈りしてるから飛行機が飛ばなかったよ」
なんてジョークが飛び交うらしい。なんとも微笑ましいエピソードである。
シシュバハンには、養子縁組で子供を引き取った家族からの手紙が貼ってあった。
「When I adopted her, I thought I would gave her a home.
But it was she that gave me a home. 」
「 ‘ Where was I from? ‘ The child said to Mother.
She answered, ‘ You were hidden in my heart! ‘」
こんな場所で、あんな時代に。
マザーテレサは活動を始めたのだ。
つづき
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