1980/04/12 - 1980/04/13
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miyabi-doさん
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【珍味】 岐阜県羽島郡・編
莫久来と書いて、「ばくらい」と読む。
無論当て字だが、
「あゝ、あの珍味か」
と、すぐに頭に思い浮かぶ人は、どのくらいいるだろうか・。
百科辞典をはじめ、あらゆる辞書を繙いても、「ばくらい」の欄には「爆雷」としか出ていない。
しかし、莫久来のいわれを聞くと、そこにヒントが隠されていた。
莫久来の主な原料は、ホヤである。別名“海のパイナップル”と呼ばれる、三陸地方特産のホヤは、形が機雷に似ている。
機雷とは、海面近くに浮遊して敵艦隊に被害を与える爆弾である。
これから爆弾+機雷÷2で=「爆雷」になり、転じて「莫久来」と名付けて製品化したのが、珍味会社の<ヤマ食>である。
莫久来の存在を初めて知ったのは、新宿・歌舞伎町の路地にある居酒屋の名店「M月」である。
メニューに見慣れぬ文字を見つけて注文したところ、冷凍庫から出した瓶にスプーンを突き立て、こそげ取ったシャーベット状の物が、小鉢に盛られて出てきた。
その時、原料がホヤだと知ったが、かなり癖のあるあの味は、どちらかと言うと苦手な食材のひとつだった。
なので恐る恐る口に含んだところ、シャリシャリ感が口の中でフワァーッと溶け、適度な塩味と大海原の潮の香りが広がった。
「あれっ、いい味だしてるし、酒の肴としてもイケるじゃないか」
舌で感じた味覚が、記憶を裏切るというか、未知なる美味との出合いに、感動が駆け抜けた。
もしも古今東西の珍味を集め、番付表をつけたとしても、十両幕内は間違いないのではないだろうか・・。
個人的には、三役以上に推薦したい、珍味界の傑作と呼びたい代物である。
思えば、ホヤの本場・宮城県石巻市の小料理屋で、初めて食べたのはふた昔も前だった。
その時は「この味、勘弁して」というくらい苦手だったのに、舌が大人の味を覚えて成長したのだろうか。
なんの抵抗もなく箸が進み、お代りしてしまった。
ちょうど空になった瓶を譲り受け、製造元を調べると住所は岐阜県とある。新幹線で岐阜羽島まで行く覚悟で電話したところ、
「来られても、小売りはしない」と、断わられてしまった。
「そこをなんとか」とねばって、東京・築地で諸国の名産珍味をあつかう卸し問屋を紹介してもらい、手に入れたのが写真の『莫久来』(2700円)である。
正直言って、想像以上に高価な値段に驚いたが、その理由を店の中島久雄さんに聞いて、すぐに納得した。
「赤ホヤの他に隠し味として、海鼠腸(このわた=ナマコの腸)と、ナマコの子(海鼠の卵巣から獲った子供)が入っているからなんです。高級珍味のナマコの子は、卸値でも1枚数千円もしますからね」
冷蔵庫では1週間しかもたないので、通常は冷凍庫に保管するのが原則。
そのまま食べてもいいが、細切りしたヤリイカと合えれば、ちょっとした料亭の一品になる。
一度気に入ったら、病み付きになりそうな珍味・莫久来。日本酒の旨くなるこれからの季節に、特にお奨めです。
DATA:築地場外市場の珍味屋などで入手可能。
*PS:この旅行記の日時は、一昔以上前の話なので、価格が変わっているかも知れません。
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