2008/10/20 - 2008/10/20
79位(同エリア173件中)
極楽人さん
クロアチア共和国の隣国、モンテネグロ共和国の南端に美しい古都があります。それがコトル(KOTOR)です。入り組んだコトル湾の奥深く、前をアドリア海、後ろを絶壁に守られた難攻不落の砦の町です。ドブロブニク滞在中に、コトルへの日帰り旅行を試みました。二つの都市の距離はわずか80km程です。
実は、日本で調べていた時は、これがなかなか難題でした。ドブロブニク発の直行バスは午前中には一本だけ。10時半発でコトルにはお昼過ぎに到着します。帰りの便は、コトル発15:00が最終のようで、これだと観光に十分な時間が取れません。そのうえ、往路のバスはしばしば何時間も遅れることがあるようです。ネットで探すうちに、コトル発17:00というバスの時刻表を見つけましたが、ドブロブニク・ターミナルの到着時刻表には該当する記載がありません。「教えてトラベラー」にも質問しましたが回答がいただけませんでした。
そこで目をつけたのは、国境の町「HERCEG-NOVI」。ここはモンテネグロの幹線道路の終点になっている様で、コトルへは30分に一台くらいの割でバスが運行されています。幸い、朝9:30発のバスがドブロブニクから出ています。往路は何とかなりそうです。帰路が問題ですが、HERCEG-NOVIまで戻れば、タクシーでも何でも捕まえられるだろう、と開き直っていました。
そんな時、ドブロブニクのSOBE(Nennyさん)から救いのメールが届きました。「知り合いのTAXIに頼んであげよう」というもの。朝食後ゆっくりスタートし、コトル〜ブトバ〜スベティ・ステファン島などぐるっと廻って夕方帰る、散歩や食事の間は待機しているという条件で、お二人様150€也。躊躇しましが結局この案に乗って、ドブロブニク滞在の二日目、妻と二人「白タク」でコトルへ向かいました。
運転手はIVANさん。Nennyおばさんは何も言いませんが、彼はNennyおばさんの娘婿なのでした。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- タクシー
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これがIVANさんの「白タク」。ドブロブニク・ピレ門の外で待ち合わせて、朝 9:30出発です。引き合わせのためにピレ門までついて来てくれたNennyおばさんのご主人が、IVANさんに手製のお弁当を渡していました。
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KOTORに向かう途中、こちらの強い希望でスルジ山に登っていただきました。再びKOTORに向かう道、後ろの窓からドブロブニクが望めました。
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しばらく走ると低い森が続くのどかな風景。スルジ山から続く裸の山並みは途切れることがありません。道は山裾を縫うように隣国へと繋がっています。
91年の内戦時、ユーゴ軍もこの道を通ってドブロブニクを砲撃に行ったのでしょう。 -
30分ほどで国境に到着。これはクロアチア側の検問所です。1キロ程の緩衝地帯を挟んで、モンテネグロ側の検問所があります。
緩衝地帯には「TAX FREE」の看板を出した店が数件ありましたが、この時期はどこも閉まっていました。 -
検問所は、何も無ければ瞬間で通過できます。特に日本人の場合はほぼノーチェックです。平和憲法のおかげでしょうか。このときは、前の車が後部トランクに異常な量の荷物を積んでいたので引っかかり、我々の車も20分ほど影響を受けました。
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モンテネグロに入って、山並みが険しくなってきました。道路が少し悪くなったのかな、とも感じましたがIVAN白タクは快調に飛ばします。
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アドリア海の畔に出ました。このあたりは入り江が入り組んでいて、その最も奥に目指すKOTORはあります。
途中、大きな街のはずれ(らしきところ)を通りましたが、あれが日本でさんざん検索したHERCEG-NOVIの街ではなかったかと思います。 -
景色のいいところでしばし休憩。止まりたい所で止まってくれるのは、白タク利用者の特権です。
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山並の険しさと簡素な建物が、ドブロブニクとは違った魅力を見せています。街や教会にもカトリックとはまた違う、東方特有の宗教的影響を感じました。
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うねうねと湾曲した海岸線を走ること1時間あまり、険しい山の上に砦が見えてきました。コトルでしょう。
我々は海岸線をそのままぐるっと辿ってきましたが、途中にはフェリーの船着場もありました。もっと効率の良い来方があったかもしれませんが、海岸沿いの景色も捨てがたいものでした。 -
海洋都市KOTORの旧市街を囲む城壁。入り組んだ海岸線に守られた良港がかつての繁栄と栄光を支えました。地震と内戦で大きな打撃を受けたそうですが、こうしてみる限り、今は見事に復旧しているようでした。
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城壁内への入り口です。この日は月曜日でしたが、大勢の観光客が訪れています。ドブロブニク同様、観光客の7割くらいはドイツ系の人々でした。ハプスブルグ家以来の繋がりが、彼らに親近感を与えているのでしょうか。因みに、この国の通貨はユーロ。その前はドイツマルクを使っていたそうです。一説では、マルクは本国ドイツで無くなった今でも流通しているようです。
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門をくぐって、旧市街内部に入ります。
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コトルの象徴、時計塔は、門をくぐってすぐ、真正面にありました。何度も写真で見た姿です。
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通りのすぐ上に、コトル背後の険しい山が迫っています。この山にどうしても登りたいと思っていました。
運転手のIVANさんからは「あとの行程を考えると2時間の滞在」と助言を受けましたが、我々はすっかりこの街が気に入り、3時間を要望しました。そのため計画にあったブトバなどにはいけませんでしたが、それはそれで満足でした。 -
山への上り口は2箇所、街の突き当たりの、山に向かって左側の門から入りました。「有料」と思っていたのですが誰もおらず、鉄の門扉も鍵は開いていました。一足登るごとに街が下のほうに下がって、次第にパノラマが広がってきます。
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15分経くらい経過の時点でしょうか。屋根が上から見渡せるようになりました。写真にはありませんが、ここの階段は未整理のままで、足場の悪いところも多くあります。ガイドブック等では「40分くらいで頂上」と書かれていましたが、それではとても足りません。思えばこの旅行は、コトルに限らず、いつも階段に悩まされ続けました。お蔭で、お腹が少し引っ込んだ気がしました。
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我々が40分で到達したのは山の中腹あたりの見晴台。少し遅れて、同じ頃登り始めた米国人夫妻と日本人のご夫婦が到着しました。皆で休憩したり、写真を撮りあったり。陽射しは暑いくらいでしたが、気持ちのいい涼風に救われました。この地方に多い「糸杉」が景観に独特のアクセントをつけています。
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すぐ下を覗くと、城壁に囲ませたコトル旧市街の全貌が見えました。見事に危機を脱した世界遺産の雄姿です。
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見晴台の後ろに古い教会が建っています。廃墟です。ガイドブックが無いので名前も分かりません。
教会を入れた構図でコトルのパノラマを一枚。逆光なので色の感じが伝わりませんが、是非見たかった景観を撮り満足しました。 -
教会の上にはまだまだ階段が続いていましたが、30分ほど休憩して街へ下りることにしました。登り始めてから、既に1時間以上経過しています。一緒になった米国のご夫婦もここで折り返したようです。
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下りは途中から、着た道とは反対側の出口に向かいました。階段は家々の間を抜けて、山に向かって右側の街角に続いています。発展の最中なのでしょう、住宅街は新築・改築のラッシュでした。新築でも「昔風」に作るのがいじらしい気がしました。
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コトルの露地。造りは古風でも、新しいファッションや最新のゲーム機を並べた若い人向きのお店が多いのに驚きました。
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これは小さな広場に面したいかめしいレストラン。メニューはクロアチアと大差なく、値段は物価高のドブロブニクよりは少し安いかもしれません。
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我々は時間とお金の節約のため、若者が多く入っていたピザ店へ。注文した「コトル風ピザ」は生ハムとトマトとオリーブ満載でボリュームたっぷり。ビール4本と合わせて総額8€ほど。地元の若者は1.5€の切り売りピザを頼んでいました。
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玩具屋さんの店先に飾ってあった人形。どことなく東洋風の雰囲気が漂っています。
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この国ではキリル文字が使われているようです。読めるどころか意味の見当も付きませんから、異文化圏からの旅行者は迷子になると大変ですね。
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城壁を出て、壁の外側に立ち並ぶ市場を見て廻りました。衣類、骨董、野菜や果物、お土産品など盛りだくさんです。
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ブドウをひと房買いました。大きな房でしたが、1€でたくさんお釣りが来ました。イチジク、りんご、珍しく日本風の柿、みかんも並んでいました。
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私は好きな煙草を一箱。「この国のをください」と頼んだのですが、パッケージには「AMERICAN BLEND」の記載もあり、よく分かりません。値段はたしか、1€。なかなか遜色のない味で、喫煙者にはささやかな楽しみです。
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たっぷり3時間半を費やして、「知人のレストランで待っていた」というIVAN運転手と再会。来た道を一路ドブロクニクの宿へと向かうことにしました。
最後にもう一度山を振り返ると、中腹に廃墟の教会が見えました。苦労してあそこまで登ったのです。 -
駐車場から見たコトルの断崖。木々が秋の色に染まり始めていました。
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帰路にちょっとしたアクシデント。崖崩れの修復なのか、山裾をトラクターが塞いでいて30分ほどの通行止めに逢いました。IVAN運転手に言わせると「年中行事」とのことで、居並ぶ車の人たちも慣れた様子でのんびり解除を待っていました。後方にいた日本人ツアーのガイドさんでしょうか、工事の監視人にしきりに抗議していましたが、勿論何ともなりません。
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それにしても景色のいいところで止まってくれました。対岸の家並み、味があります。
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モンテネグロの見納めです。海面すれすれまで山にしがみつくように広がる小さな町。すっかり見慣れた風景になりました。
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来た時とは逆に2つの検問所を抜けて、ドブロブニクに帰ったときにはすっかり日が暮れていました。
次は、「アドリア海の島めぐり」に続く予定です。
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