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山裾の冬,ひとり来て<br /><br />こう書き出すと,最近よく耳にする『吾亦紅』の一小節と,何とはなしに被っていたりして・・・<br />私は今,秋ならぬ冬の山裾,京都は嵯峨野に来ています。<br />歌の中では亡き母に逢いに来たようですが,私の場合は,亡き妻に逢いに来たというわけで,かなり被っちゃってます。<br />余りにも被り過ぎて洒落にならないので,カラオケで歌うのは,止めておいたほうがよさそうですね。<br /><br />冬の嵯峨野といえば,雪のよく似合う,寒さの厳しいところというイメージがあったのですが,最近はめったに雪も降らないようで,なんとなく,晩秋といった感のある一日でした。<br /><br />若い女性を中心に,観光地としては人気の高い場所なのに,案外,どこも見ていなかったことに気付いた私は,嵯峨野巡りをしようと思い立ち,お世話になっている『村雲別院』を基点にして,祇王寺〜小倉山二尊院〜常寂光寺〜落柿舎へと,嵯峨野の見所を一巡したのですが,<br />やはりというべきでしょうか?<br />流石というべきでしょうか?<br />数こそ少なけれ,冬とはいえど,散策する人々は結構いらっしゃるのですね〜。<br /><br /><br />さて,嵯峨野の次は,どこに参りましょう?<br /><br />京都観光で外せない場所といえば,そう,祇園ですよね。<br />その祇園界隈は,2・3日の両日,八坂神社で節分(祇園さんの節分祭と呼ぶそうです。)の豆まきが行われるとかで,たいそうな人出です。<br />でも私の目的は,なんと,葛きりなのでありました。<br />京の老舗のこだわりは,名所旧跡に勝るとも劣らない,もう一つの京の魅力です。<br /><br />『鍵善良房』<br /><br />ここを外すわけには参りません。<br />というわけで,今回も頂きました,黒蜜に合わせる本物の吉野葛。<br /><br /><br />今回は,名所旧跡も訪れたし,名店・嵯峨野『森嘉』(京都の料亭御用達の豆腐屋さんです。)の絹ごしを熱々でいただく湯豆腐の昼食も賞味したし,定番のこだわりデザートも外さなかったし,何と充実した京都巡りでありましたことか・・・<br />(普通は,この辺りで終わると思うでしょ?)<br /><br /><br />というわけで,今日は,一日中たくさん歩いて,お腹もすいてきたことだし,夕飯はどういたしましょう?<br />(まだ食べるつもりですよ〜。)<br /><br />最近,美味しいうどんに目のない私としては,銀閣寺隣の<br />『おめん』<br />に顔を出さずに帰ったとなれば,後悔することは必定です。<br />桜の季節には人々でごった返すのですが,さすがに彩の消えたこの時期には,行き交う人とてない哲学の道を目指します。<br /><br />『おめん』については語るまでもありません。<br />写真をご参照ください。<br />芸術的ともいえる薬味の盛り付け(目の前で,職人さんが,一皿一皿ていねいに盛り付けていきます。),老舗のこだわりのなせる業であります。<br /><br /><br />本当に本当に,満ち足りた一日となりました。<br />(もう,そろそろ帰ると思いますよね?!)<br /><br />月並みとはいえ,観光地めぐりはしたし,おいしいものも頂いたし・・・, 締め括りには,京の奥座敷,鞍馬温泉で一風呂浴びてから帰るとしましょうか!<br />(えっ, まだ寄るの??  という声が聞こえてきそうです。)<br /><br />わずかとはいえ,いまだ残雪の消えぬ鞍馬山を目指して北上すること,わずか30分余りで鞍馬温泉に到着です。<br />立ち寄り入浴のつもりで受付を訪れると,その脇には,『本日 空室あります。』の看板が・・・,思わず,「泊まれますか?」と聞いてしまったのでありました。<br /><br />天気予報によると,近畿から関東にかけて,明日は『雪』となっていることでもありますし,ここは一つ,雪の京都を愛でるのも一興かと思う私でした。<br /><br /><br /><br /><br />一夜が明けて<br /><br />早朝6時,カーテンを開けて表を見渡すと,なんとなんと,一面が銀世界になっているではありませんか。<br />あまりにも出来過ぎで,うれしいやら,こわいやら・・・<br />だって,鞍馬寺では,『節分の雪』と称されるほどなのですから。<br /><br />朝食もそこそこにして,鞍馬寺に向かったのは,言うまでもありません。<br />白銀に包まれた,歴史に名高いこの山は,凛とした風情を湛えておりました。<br />本堂から,さらに800mの急な山道を辿って,奥の院を目指したのはよいのですが,下山してみると,ふくらはぎの筋肉が悲鳴を上げておりまして,日ごろの運動不足を痛感した次第です。<br /><br /><br /><br />もう,そろそろ家に帰りましょうかね。<br /><br />鞍馬山から京都市内に下ってまいりまして,京を離れる前にお茶でも一服いただきましょうと,再び祇園へ足を運んだのでありましたが・・・<br /><br />お茶だけのつもりが,人の波に流されて,たどり着いたところは,なんと,昨日はパスした八坂神社ではありませんか。<br /><br />時は今ちょうど12時。<br />午後1時から,舞妓さんも参加しての豆まきが行われるとかで,舞台の周りには,福を貰おうとする人々が集まり始めておりました。<br /><br />まだ1時間もあるのになんと酔狂な,と思いつつも,気がつくと,私自身,舞台の最前列に張り付いているのです。<br />それからの1時間をどのようにして過ごしたのやらは定かでありません・・・<br /><br /><br />やがて時が来て,<br /><br />祇園甲部の舞妓さん3人による奉納舞がおこなわれた後,年男・年女に舞妓さん・芸妓さんも加わっての豆まきが行われました。<br />その時私はといいますと,福豆をキャッチするゆとりもなく,ただ只管,シャッターを押し続けているのでありました。<br /><br /><br />福豆は手にすることができませんでしたが,十分に幸せな気分に浸ることができました。<br /><br />顧みれば,気まぐれに誘われるがまま京に来て,今までで最も充実した旅を味わえるとは・・・・<br /><br /><br /><br /><br />最後に,一句啓上<br /><br />   落柿舎(らくししゃ)や<br /><br />     落ちぬ冬柿<br /><br />       めじろ恋ひ <br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />

山裾の冬,ひとり来た。

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2008/02/02 - 2008/02/03

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barolo

baroloさん

山裾の冬,ひとり来て

こう書き出すと,最近よく耳にする『吾亦紅』の一小節と,何とはなしに被っていたりして・・・
私は今,秋ならぬ冬の山裾,京都は嵯峨野に来ています。
歌の中では亡き母に逢いに来たようですが,私の場合は,亡き妻に逢いに来たというわけで,かなり被っちゃってます。
余りにも被り過ぎて洒落にならないので,カラオケで歌うのは,止めておいたほうがよさそうですね。

冬の嵯峨野といえば,雪のよく似合う,寒さの厳しいところというイメージがあったのですが,最近はめったに雪も降らないようで,なんとなく,晩秋といった感のある一日でした。

若い女性を中心に,観光地としては人気の高い場所なのに,案外,どこも見ていなかったことに気付いた私は,嵯峨野巡りをしようと思い立ち,お世話になっている『村雲別院』を基点にして,祇王寺〜小倉山二尊院〜常寂光寺〜落柿舎へと,嵯峨野の見所を一巡したのですが,
やはりというべきでしょうか?
流石というべきでしょうか?
数こそ少なけれ,冬とはいえど,散策する人々は結構いらっしゃるのですね〜。


さて,嵯峨野の次は,どこに参りましょう?

京都観光で外せない場所といえば,そう,祇園ですよね。
その祇園界隈は,2・3日の両日,八坂神社で節分(祇園さんの節分祭と呼ぶそうです。)の豆まきが行われるとかで,たいそうな人出です。
でも私の目的は,なんと,葛きりなのでありました。
京の老舗のこだわりは,名所旧跡に勝るとも劣らない,もう一つの京の魅力です。

『鍵善良房』

ここを外すわけには参りません。
というわけで,今回も頂きました,黒蜜に合わせる本物の吉野葛。


今回は,名所旧跡も訪れたし,名店・嵯峨野『森嘉』(京都の料亭御用達の豆腐屋さんです。)の絹ごしを熱々でいただく湯豆腐の昼食も賞味したし,定番のこだわりデザートも外さなかったし,何と充実した京都巡りでありましたことか・・・
(普通は,この辺りで終わると思うでしょ?)


というわけで,今日は,一日中たくさん歩いて,お腹もすいてきたことだし,夕飯はどういたしましょう?
(まだ食べるつもりですよ〜。)

最近,美味しいうどんに目のない私としては,銀閣寺隣の
『おめん』
に顔を出さずに帰ったとなれば,後悔することは必定です。
桜の季節には人々でごった返すのですが,さすがに彩の消えたこの時期には,行き交う人とてない哲学の道を目指します。

『おめん』については語るまでもありません。
写真をご参照ください。
芸術的ともいえる薬味の盛り付け(目の前で,職人さんが,一皿一皿ていねいに盛り付けていきます。),老舗のこだわりのなせる業であります。


本当に本当に,満ち足りた一日となりました。
(もう,そろそろ帰ると思いますよね?!)

月並みとはいえ,観光地めぐりはしたし,おいしいものも頂いたし・・・, 締め括りには,京の奥座敷,鞍馬温泉で一風呂浴びてから帰るとしましょうか!
(えっ, まだ寄るの??  という声が聞こえてきそうです。)

わずかとはいえ,いまだ残雪の消えぬ鞍馬山を目指して北上すること,わずか30分余りで鞍馬温泉に到着です。
立ち寄り入浴のつもりで受付を訪れると,その脇には,『本日 空室あります。』の看板が・・・,思わず,「泊まれますか?」と聞いてしまったのでありました。

天気予報によると,近畿から関東にかけて,明日は『雪』となっていることでもありますし,ここは一つ,雪の京都を愛でるのも一興かと思う私でした。




一夜が明けて

早朝6時,カーテンを開けて表を見渡すと,なんとなんと,一面が銀世界になっているではありませんか。
あまりにも出来過ぎで,うれしいやら,こわいやら・・・
だって,鞍馬寺では,『節分の雪』と称されるほどなのですから。

朝食もそこそこにして,鞍馬寺に向かったのは,言うまでもありません。
白銀に包まれた,歴史に名高いこの山は,凛とした風情を湛えておりました。
本堂から,さらに800mの急な山道を辿って,奥の院を目指したのはよいのですが,下山してみると,ふくらはぎの筋肉が悲鳴を上げておりまして,日ごろの運動不足を痛感した次第です。



もう,そろそろ家に帰りましょうかね。

鞍馬山から京都市内に下ってまいりまして,京を離れる前にお茶でも一服いただきましょうと,再び祇園へ足を運んだのでありましたが・・・

お茶だけのつもりが,人の波に流されて,たどり着いたところは,なんと,昨日はパスした八坂神社ではありませんか。

時は今ちょうど12時。
午後1時から,舞妓さんも参加しての豆まきが行われるとかで,舞台の周りには,福を貰おうとする人々が集まり始めておりました。

まだ1時間もあるのになんと酔狂な,と思いつつも,気がつくと,私自身,舞台の最前列に張り付いているのです。
それからの1時間をどのようにして過ごしたのやらは定かでありません・・・


やがて時が来て,

祇園甲部の舞妓さん3人による奉納舞がおこなわれた後,年男・年女に舞妓さん・芸妓さんも加わっての豆まきが行われました。
その時私はといいますと,福豆をキャッチするゆとりもなく,ただ只管,シャッターを押し続けているのでありました。


福豆は手にすることができませんでしたが,十分に幸せな気分に浸ることができました。

顧みれば,気まぐれに誘われるがまま京に来て,今までで最も充実した旅を味わえるとは・・・・




最後に,一句啓上

   落柿舎(らくししゃ)や

     落ちぬ冬柿

       めじろ恋ひ 






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  • 祇王寺にて<br />かの清盛が愛した白拍子『祇王』が,清盛の寵愛を失った後,清盛の仕打ちへの無言の抗議の意をこめて,母,妹とともに落飾し,隠棲した小さな庵です。<br />派手さ・賑やかさはありませんが,苔むす庭園とかわいらしい庵が,心を癒してくれます。

    祇王寺にて
    かの清盛が愛した白拍子『祇王』が,清盛の寵愛を失った後,清盛の仕打ちへの無言の抗議の意をこめて,母,妹とともに落飾し,隠棲した小さな庵です。
    派手さ・賑やかさはありませんが,苔むす庭園とかわいらしい庵が,心を癒してくれます。

  • 最近の地球温暖化の影響を受けてか,京の寺社では,名園の風情を醸し出す名わき役の【苔】がダメージを受けていて,早晩,苔寺などは立ち行かなくなるのでは,と危惧されておりますが・・・<br /><br />ここ左京区の山裾は,西日の影響を受けることが少ないせいか,見事なまでに生き生きとした,庭園一面の苔が目を休ませ,楽しませてくれています。<br />

    最近の地球温暖化の影響を受けてか,京の寺社では,名園の風情を醸し出す名わき役の【苔】がダメージを受けていて,早晩,苔寺などは立ち行かなくなるのでは,と危惧されておりますが・・・

    ここ左京区の山裾は,西日の影響を受けることが少ないせいか,見事なまでに生き生きとした,庭園一面の苔が目を休ませ,楽しませてくれています。

  • 優しい心遣いが感じられます。

    優しい心遣いが感じられます。

  • 常寂光寺にて<br />ここは小倉山のふもとにて,小倉百人一首とは切っても切り離せない地として有名です。<br />作家,瀬戸内寂聴さんとも深い縁があります。

    常寂光寺にて
    ここは小倉山のふもとにて,小倉百人一首とは切っても切り離せない地として有名です。
    作家,瀬戸内寂聴さんとも深い縁があります。

  • 落柿舎にて<br />芭蕉の門人,向井去来の庵です。<br />手前の田んぼは,景観維持のため,市が所有権を取得し管理しているそうです。<br />嵯峨野の面影が,最も色濃く残る場所のひとつです。

    落柿舎にて
    芭蕉の門人,向井去来の庵です。
    手前の田んぼは,景観維持のため,市が所有権を取得し管理しているそうです。
    嵯峨野の面影が,最も色濃く残る場所のひとつです。

  • 落柿舎といえば,柿がなくては始まりません。<br />茅葺屋根に柿とくれば,一句浮かびませんか?<br /><br />かの松尾芭蕉も止宿しています。

    落柿舎といえば,柿がなくては始まりません。
    茅葺屋根に柿とくれば,一句浮かびませんか?

    かの松尾芭蕉も止宿しています。

  • 落柿舎や

    落柿舎や

  • 落ちぬ冬柿

    落ちぬ冬柿

  • めじろ恋ひ

    めじろ恋ひ

  • 名代の葛きり,お一ついかがどす?

    名代の葛きり,お一ついかがどす?

  • 祇園『鍵善良房』

    祇園『鍵善良房』

  • 銀閣寺『おめん』

    銀閣寺『おめん』

  • こだわりの薬味盛り合わせ

    こだわりの薬味盛り合わせ

  • 雪の鞍馬寺

    雪の鞍馬寺

  • 赤い欄干が,叡山を遠くに望む雪景色によく映えて。。。<br />

    赤い欄干が,叡山を遠くに望む雪景色によく映えて。。。

  • 凛として<br />

    凛として

  • 祇園さんの節分祭−奉納舞

    祇園さんの節分祭−奉納舞

  • 京舞の妙

    京舞の妙

  • この舞妓さんたち,昨春の『都をどり』以来の再会(?)です。

    この舞妓さんたち,昨春の『都をどり』以来の再会(?)です。

  • だ〜ら〜り〜の〜〜,帯よ〜〜〜。

    だ〜ら〜り〜の〜〜,帯よ〜〜〜。

  • 祇園さんの節分祭−福はうち<br /><br />私の後ろは,人・人・人

    祇園さんの節分祭−福はうち

    私の後ろは,人・人・人

  • こっち,頂戴〜

    こっち,頂戴〜

  • 残りの福に幸多かれ!<br /><br />最後まで,愛嬌一杯振りまいてくれました。

    残りの福に幸多かれ!

    最後まで,愛嬌一杯振りまいてくれました。

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