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<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />8月8日(火)Cadavo Baleira  22.9km<br /><br /><br />ガリシアに入って安心して歩いていたら、一カ所だけ難しい所があった。<br />一つの道標が見にくくて、見落として先まで歩いてしまい、山の頂上で、とうとう道が消えた。<br />見晴らしが良いところだから、恐怖心はなかったが、途方にくれた。<br />こんな時に頼りになるのはやはりロベルトだった。<br />しかし電話が通じない。電波が悪いのだ。仕方なくメールを書いた。<br />『dificil』(難しい)<br />とだけ書いて。暗号みたいなメールだったけど。<br /><br />こうなったら元の道へ戻るしかない。<br />戻ってみると、頂上に上がる直前に、左に折れる細い道をみつけた。<br />頂上に気をとられて見逃してしまったのだ。<br />獣道を通って下に降りて行った。<br />そこにはやはり迷子から抜け出したばかりのオラヤとユリアがいた。<br /><br />再び山道に入る前に携帯を見ると、ロベルトからメールが入っていた。<br />「あなたなら出来る!僕たちにガイドは何もない。もうすぐマリアに会うだろう。」<br />なんか予言みたいな文章のメールだなぁ。<br />マリアに会うって?<br />何のことだろう。朝に別れてすぐから彼女には会っていなかった。<br />とりあえず、<br />『グラシャス!』<br />とだけ書いて送っておいた。<br /><br />山道に入るとすぐに、見覚えのある背中が見えてきた。<br />マリアだった。<br />???<br />何故彼女がここに?<br />ロベルトの予言通りだった。<br />追いつくと、その近くにはアギーもいた。<br />二人はどこかで会って、二人揃って道に迷ったということだった。<br />今日はみんなそれぞれに迷いながら彷徨っているようだった。<br /><br />今日のアルベルゲは新しく大きかったが、それでも徐々に増えていった巡礼者の数には追いつけず、三人で二つのベッドになってしまった。<br />今日の食事には私たちの他に、テーブルに、ミンケ、アギー、ラウロ、フェルナンドが加わった。<br />ミックスサラダから始まり、鱒のフライとポテト。デザートはガリシアに入ったことを感じさせるタルタ・デ・サンティアゴだった。<br /><br />この町には公営のプールがある。<br />食事が終わるとビンゲンとウシを残して、みんなでプールへ向かった。<br />プール際に集まりゴロゴロする。<br />久々にイタリアにいるイワンに電話をしてみよう。(去年の『銀の道』で友達になった)<br />イワンはこの時間になってもまだ歩いていると言う。<br />電話をロベルトに渡した。<br />二人は話し込んでいる。<br />電話が終わるとロベルトは、<br />「イワンたちは三日も矢印を見ていないんだって。巡礼宿もなく、ただ歩き続けているらしいよ。」<br />なるほど、私たちの今日の道よりもよっぽど厳しい『道』を歩いているようだった。<br />それに比べ、我々はプールサイドでお昼寝なんて申し訳ない気がした。<br />パキにも電話をしてみた。<br />パキは一昨年の『道』で出会った天使で、今は親友と言える仲になっていた。<br />この「北の道」も、一緒に歩くはずだったが、どうしても日程が合わずに一週間遅れで同じ道を歩いていた。<br />今回のパキの思いは深刻だったようで、どうしても一定の長い距離を歩きたかったのだ。<br />かと言って、私も仲間を捨てて、パキのいる地点まで戻る気にはなれず、巡礼後の予定もあることなので、二人で何度も話し合った結果、こうなったのであった。<br />パキもこの道は苦労が多く、迷子になって列車に乗ってしまったと打ち明けた。<br />イワンにしてもパキにしても、場所は少々違うけれども、同じように苦楽を味わっている最中であった。<br /><br />やっとここで、後生大事に持ってきた浮き輪を使える!(本当は、北の海でプカプカするためだったけれど。)<br />空気をふくらませてプールへどぼん!<br />プールに浮き袋は必要ないが、水の上で浮きながら寝るのに都合がいい。<br />今度は、浮き輪を置いてひたすら泳いでいると、となりにすごい美人が出現した。水に濡れ、スタイル抜群の女性は、ハンガリーのアギーだった。<br />いつもは眼鏡をかけているが、今日は別人のよう。まるでヴォーグの表紙のモデルみたい。<br />アギーが話しかけてきた。<br />「泳ぐのが好きなのね。」<br />見かけはクールな美人なのに、とてもフレンドリーな子だった。きらきら輝く二十歳のアギーだった。<br /><br />アルベルゲに戻り、仲間たちと、星を見ようと中庭へ寝袋を持って出て行った。<br />しかし寒さに耐えかねて部屋に戻ると、ホールでケイマダスのパフォーマンスが始まった。<br />リキュールにコーヒー豆を入れ、オレンジの皮を入れて香り付け。そしてアルコール分を燃やす。<br />これを飲むと喉も体も暖かくなる。<br />二年前のサンティアゴで飲んだことがあった。<br />およそ30名以上の巡礼者がその儀式を見守った。<br />最後にはおまじないの言葉をみんなで読む。<br />その言葉はガリシアの言葉だった。<br />電気を消した暗がりの中で炎が揺れる。<br />もうサンティアゴまで遠くはなかった。<br />

スペイン巡礼「北の道26」8月8日(火)Cadavo Baleira 22.9km

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2006/08/08 - 2006/08/08

129位(同エリア138件中)

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44

night-train298

night-train298さん














8月8日(火)Cadavo Baleira 22.9km


ガリシアに入って安心して歩いていたら、一カ所だけ難しい所があった。
一つの道標が見にくくて、見落として先まで歩いてしまい、山の頂上で、とうとう道が消えた。
見晴らしが良いところだから、恐怖心はなかったが、途方にくれた。
こんな時に頼りになるのはやはりロベルトだった。
しかし電話が通じない。電波が悪いのだ。仕方なくメールを書いた。
『dificil』(難しい)
とだけ書いて。暗号みたいなメールだったけど。

こうなったら元の道へ戻るしかない。
戻ってみると、頂上に上がる直前に、左に折れる細い道をみつけた。
頂上に気をとられて見逃してしまったのだ。
獣道を通って下に降りて行った。
そこにはやはり迷子から抜け出したばかりのオラヤとユリアがいた。

再び山道に入る前に携帯を見ると、ロベルトからメールが入っていた。
「あなたなら出来る!僕たちにガイドは何もない。もうすぐマリアに会うだろう。」
なんか予言みたいな文章のメールだなぁ。
マリアに会うって?
何のことだろう。朝に別れてすぐから彼女には会っていなかった。
とりあえず、
『グラシャス!』
とだけ書いて送っておいた。

山道に入るとすぐに、見覚えのある背中が見えてきた。
マリアだった。
???
何故彼女がここに?
ロベルトの予言通りだった。
追いつくと、その近くにはアギーもいた。
二人はどこかで会って、二人揃って道に迷ったということだった。
今日はみんなそれぞれに迷いながら彷徨っているようだった。

今日のアルベルゲは新しく大きかったが、それでも徐々に増えていった巡礼者の数には追いつけず、三人で二つのベッドになってしまった。
今日の食事には私たちの他に、テーブルに、ミンケ、アギー、ラウロ、フェルナンドが加わった。
ミックスサラダから始まり、鱒のフライとポテト。デザートはガリシアに入ったことを感じさせるタルタ・デ・サンティアゴだった。

この町には公営のプールがある。
食事が終わるとビンゲンとウシを残して、みんなでプールへ向かった。
プール際に集まりゴロゴロする。
久々にイタリアにいるイワンに電話をしてみよう。(去年の『銀の道』で友達になった)
イワンはこの時間になってもまだ歩いていると言う。
電話をロベルトに渡した。
二人は話し込んでいる。
電話が終わるとロベルトは、
「イワンたちは三日も矢印を見ていないんだって。巡礼宿もなく、ただ歩き続けているらしいよ。」
なるほど、私たちの今日の道よりもよっぽど厳しい『道』を歩いているようだった。
それに比べ、我々はプールサイドでお昼寝なんて申し訳ない気がした。
パキにも電話をしてみた。
パキは一昨年の『道』で出会った天使で、今は親友と言える仲になっていた。
この「北の道」も、一緒に歩くはずだったが、どうしても日程が合わずに一週間遅れで同じ道を歩いていた。
今回のパキの思いは深刻だったようで、どうしても一定の長い距離を歩きたかったのだ。
かと言って、私も仲間を捨てて、パキのいる地点まで戻る気にはなれず、巡礼後の予定もあることなので、二人で何度も話し合った結果、こうなったのであった。
パキもこの道は苦労が多く、迷子になって列車に乗ってしまったと打ち明けた。
イワンにしてもパキにしても、場所は少々違うけれども、同じように苦楽を味わっている最中であった。

やっとここで、後生大事に持ってきた浮き輪を使える!(本当は、北の海でプカプカするためだったけれど。)
空気をふくらませてプールへどぼん!
プールに浮き袋は必要ないが、水の上で浮きながら寝るのに都合がいい。
今度は、浮き輪を置いてひたすら泳いでいると、となりにすごい美人が出現した。水に濡れ、スタイル抜群の女性は、ハンガリーのアギーだった。
いつもは眼鏡をかけているが、今日は別人のよう。まるでヴォーグの表紙のモデルみたい。
アギーが話しかけてきた。
「泳ぐのが好きなのね。」
見かけはクールな美人なのに、とてもフレンドリーな子だった。きらきら輝く二十歳のアギーだった。

アルベルゲに戻り、仲間たちと、星を見ようと中庭へ寝袋を持って出て行った。
しかし寒さに耐えかねて部屋に戻ると、ホールでケイマダスのパフォーマンスが始まった。
リキュールにコーヒー豆を入れ、オレンジの皮を入れて香り付け。そしてアルコール分を燃やす。
これを飲むと喉も体も暖かくなる。
二年前のサンティアゴで飲んだことがあった。
およそ30名以上の巡礼者がその儀式を見守った。
最後にはおまじないの言葉をみんなで読む。
その言葉はガリシアの言葉だった。
電気を消した暗がりの中で炎が揺れる。
もうサンティアゴまで遠くはなかった。

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