2007/06/21 - 2007/06/26
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空飛ぶドクターさん
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【まずはインターラーケンへ】
平成19年6月21日から6日間の駆け足で、スイス・アルプスのユングフラウへ行って来ました。以前から漠然と聞いていた高山病の患者が多そうだと言う噂の真偽を確認したかったからです。そして、できれば患者の治療をしてみようと思ったのです。もちろん、自分自身の観光を兼ねているので、失敗してもともとです。それと、実際に行ってみないと詳しい地理や状況がわかりません。私は経験主義で実際に自分の目で見ることを大事にします。好奇心が強く、自分の目で見ないと納得できないのです。
今回の格安航空券は、結局いつもの日本航空が中心で、ヨーロッパの移動のみが、スイス航空でした。行きは、日航で福岡、成田、パリ、そしてスイス航空でチューリッヒです。乗り継ぎが多いのはいつものことですが、仕方がありません。地方都市、福岡の宿命です。それで嫌な予感がしていたのですが、やはり予感が当たってしまいました。乗り継ぎが多いほどリスクが増えるのですが、福岡空港で預けた荷物がチューリッヒの空港で出て来ないのです。三男の荷物が出て来なかった二年前以来です。係りに聞くと、パリに積み残されたようです。今晩中にインターラーケンまで列車で行きたいので、ホテルの住所を書いて手荷物のみで行かざるをえません。少し予定より遅れたものの、何とか真夜中前にホテルに着きました。
翌朝、目が覚めると山に囲まれたスイスらしい光景が見えます。名前はわかりませんが、頂上に雪の残った高い山も見えます。でも、力が入りません。本来なら、早速登山列車で一番高いユングフラウに一日中いて、高山病の患者を捜す予定なのに、肝心の荷物が手元にありません。薬(ダイアモックス)やダウンジャケットや看板がありません。仕方がないので、あまり寒くない麓で観光することにします。まずはケーブルカーでハルダー・クルムへ登ります。インター・ラーケン(湖間)の名前の由来の二つの湖に囲まれたインターラーケンの町が、見下ろせます。二つの湖は少し白濁しているもののコバルトグリーン色でとってもきれいです。山と湖、これだけで絵になります。次に、日本人には有名なグリンデルワルトの町へ行きました。インターラーケンの町と同じく日本人観光客がかなりいそうです。期待は膨らみます。私の今回の高山病の治療のターゲットは日本人だからです。日本語の看板を準備しています。いかにも、スイスらしい斜面に建つ家々が見えるレストランで食事をしました。イタリアとは比べ物になりませんが、まぁまぁの食事です。
それでも時間が余るので、可愛い登山列車で登って行くシーニゲ・プラッテへも登りました。ここは、2千メートルくらいで、まだ涼しい程度です。このくらいの高さでは高山病は余り心配ありませんが、翌日のユングフラウに備えて今日から予防薬としてのダイアモックスを自分自身内服しています。肝心の自分がまた高山病にかかったら、他人の診察どころではありません。シャレにもなりません。あいにくの小雨でしたが、それでもアルプスの山々を堪能することはできました。
夜は少し元気が出ました。最近のヨーロッパはどこに行ってもカジノがあるからです。ベニス、ブリュッセル、バーデンバーデン、今回のインターラーケン、規模は小さいものの私の好きなブラックジャックがかろうじて2テーブルあります。ここインターラーケン周辺はスイスでもドイツ語圏で、前回のバーデンバーデンに引き続いて、ドイツ語が役に立ちます。ブラックジャックに必要な21までの数字くらいは楽勝で聞き取れます。但し、大抵はディーラーの方が英語で数えてくれますが。日本人がドイツ語ができるとは思わないからです。いつものように入場にパスポートが要ります。もう最近は慣れっこになったので、準備万端です。国境を越えるのにほとんどパスポートも見ないヨーロッパでは、パスポートはカジノに入場するためにあります(?)。幸い、ここはネクタイ等の正装は要求されません。不安でたまらなかったのですが、夜遅くホテルに戻るとようやく飛行機に預けた荷物が無事に部屋に届いていました。よかった!
【いよいよユングフラウへ】
3日目の朝、いよいよユングフラウへ登ります。しかし、実は今日は夕方までに温泉のロイカーバートに行くために午前中しかユングフラウには滞在できません。しかも、思ったよりインターラーケンから登山列車で終点のユングフラウまで時間がかかるのです。二通りのルートで二回乗り換えて行けるのですが、最後のクライネシャイデックからは同じ列車で、いずれにせよ3時間近くかかります。昨日行ったばかりのグリンデルワルト経由でない、ラウターブルンネン経由で登りました。途中で、聞いた事のある知名のヴェンゲンの町を通過します。いかにもアルプスの町です。町自体が絵になります。山に囲まれ、緑の高原の斜面にオレンジ色の屋根のかわいい家々が並んでいます。クライネシャイデックに着いても、まだ2千メートル程度で大丈夫ですが、有名なアイガー北壁、メンク、ユングフラウが左から順に並んで目の前です。アイガー北壁は遭難者が多いので有名ですが、さすがに雪も積もらない絶壁で、どす黒く見えます。よくこんな所を登るものです。あきれてしまいます。持参したパルス・オキシメーターで自分の末梢血酸素飽和度を計るとまだ92%程度はあります。参考までに書くと、平地の正常値は95%以上で、90%を切ると、平地では確実に酸素吸入が必要です。
クライネシャイデックからはほとんど、アイガーの中を貫通するのでトンネルの中で何も見えません。どんどん標高だけ上がり、終点のユングフラウヨッホ駅では3500メートル近くになります。自分の酸素飽和度を計るといよいよ85から88%程度にまで下がっています。持参した標高計・気圧計で測ると気圧は平地の2/3まで低下しています。もちろん酸素も相当薄いです。でも、薬を飲んでいるせいもあり頭痛等の高山病の症状はありません。でも、軽い副作用と思われる顔と手先の少しピリピリした感じはあります。駅を出ると室内のままで、待合室風の場所があり、喫茶コーナーとお土産屋があり、そこがツアー客の集合場所になっている中心の場所のようでした。窓から見ると外は雪山です。ここで、私の想像が間違っていたことに気がつきました。ユングフラウの山のほぼ頂上のユングフラウヨッホは夏でも雪山でほぼ摂氏0度近くで、とても外で座って患者を待つような環境ではありません。
とにかく、まずは全体の状況を理解するためにも、自分自身が観光しました。まずは、エレベーターを登り、氷の宮殿を見ました。通路の途中からは外への出口がありプラトーと呼ばれる展望台まで行って雪の感触を確かめられます。次に、元の場所に戻りトンネルのような道を50メートル程歩き、スフィンクス・テラスへエレベーターで上ると標高3573メートルの展望台です。幸い天気もよく屋外に出られます。目の前に白く大きな山塊のユングフラウがあります。周りから、日本語で多くの感嘆の言葉が聞こえてきます。聞いていた通り、日本人観光客は多そうです。
【ロイカーバート温泉へ】
そうこうしている内に、時間が余り無くなり1時間くらいしかなくなったので、今日は看板を立てて患者を待つのを諦めました。下山して、インターラーケンに戻り、シュピーツ、ブリーク、ロイケと列車を乗り継ぎ、最後はバスでロイカーバートへ着きました。ビックリしたのはこんな所でも中年日本人女性のグループを見かけたことです。彼女等はロイカーバートからゲンミ峠越えをするようです。私の目的地のロイカーバートはアルプスのゲンミ峠のすぐそばにある小さな町です。
まず、自分のホテルの温泉に入るはずでしたが、肝心の水着を持ってくるのを忘れ、しかも土曜日の5時過ぎで店もちょうど閉まっていて水着が買えません。しかもこのホテルの温泉は水着のレンタルがないので、どんな温泉施設か見学だけしました。そして、調べてあった一番大きそうな公共の温泉まで歩いて行きました。そこでは、水着とバスタオルをレンタルして入浴しました。入浴料がすごく高いなぁと思ったら、レンタルの保証金(預かり金)が入っているからでした。スイスの温泉は初めてですが、ハンガリー、イタリア、ドイツの温泉とほとんど同じです。水着を着て男女混浴なので、隠す必要がなく、眼前のゲンミ峠の絶壁を見ながらの豪快な景色を楽しみながらの入浴です。もちろん、歩行浴、ジェット浴、泡風呂、打たせ湯等あります。ただ、サウナは別料金のようでした。ヨーロッパの温泉は所々サウナが別料金の場合があります。とにかく、眺めの良さは最高で、リラックスできます。いかにもスイス・アルプスの温泉という感じです。夏時間のせいもあり、スイスの夏も日が長く、温浴施設が閉まる夜9時になってもまだ空は明るいです。
夕飯は珍しく一人分で注文できるチーズフォンデューの店を見つけました。おいしかったのですが、たぶんワインが相当入っているらしく、下戸の私には睡魔が襲ってきました。
【再びユングフラウへ】
翌朝は、昨日と同じルートを反対方向へ急いでインターラーケンへ戻りました。そして、そのまま今度はグリンデルワルト経由でユングフラウヨッホまで登りました。お陰で1時過ぎには到着し、まずは標高3500メートルのレストランでゆっくり食事をしました。ここユングフラウヨッホにあるいくつかのレストランの中でも一番本格的なレストランのようで、味も雰囲気も中々でした。
そして、いよいよ昨日決めていた待合室風の場所で、カメラの三脚にくくりつける形で用意していた看板を立てました。でも、自分で見ても今一です。何せ屋外のイメージで遠くからでも見えることだけを考えていたので、「頭痛」、「吐き気」、「高山病」、「特効薬」とだけ大きな字で書いています。途中で、近くにいた日本人から笑われました。どうも怪しい!怪しげな薬売りにしか見えなさそうです。でも、今更書き換えることもできません。とにかく、本を読みながらずっと看板のそばで待機していました。何の反応もありません。ただ、気になるのは、回りを見回しても意外とみんな元気そうです。頭痛や吐き気のありそうな人もいません。むしろ、60代、70代の人が元気に歩き回っています。失敗か?
一人だけ若い女性が近づいてきました。予想通り、現地のツアーガイドさんでした。「特効薬とはダイアモックスのことですか?」と聞かれたので、そうですと答えました。彼女曰く、麓の2千メートルくらいの所でハイキングしてもみなさんどうもないし、ユングフラウヨッホは3500メートルあるけど、日本人観光客はせいぜい数時間しか滞在しないので意外と高山病になる人は少ないかもしれないとの意見でした。ガックリ!結局この日は最終下り電車の6時頃までの4時間粘りましたが、何の反応もなしの全くの空振りでした。
この日はさんざんでした。インターラーケンに戻り入ったレストランは大はずれでした。味がピンボケしていました。イギリスほどではないですが。名物のジャガイモ料理 (Roesti) も本来ハンガリー料理のグーラッシュもおいしくない。夫々、それなりに料理はしているのですが、どうも味付けのセンスが悪いのです。一昨日に続いて行ったカジノでも負け、一昨日の勝ちがチャラになりました。いよいよ明日は最終日です。
【ユングフラウ最終日】
早くも最終日で、夜のチューリッヒの便に乗るためには、朝早くユングフラウヨッホへ登っても2時間ちょっとしか時間がありません。ちょっと迷ったけど、やはり行くことにしました。登山列車でスイス人の老夫婦と一緒になり、少しだけドイツ語で会話をしました。我ながら20〜30年前に一生懸命勉強したのがいまだに役立ちます。最近勉強を始めたイタリア語よりも少しは喋れます。クライネシャイデックからの最後の登りの電車で日本人の家族連れで20代の息子さんが気分悪そうでした。声をかけようか迷いましたが、止めました。
前日と同じ場所で同じ看板を立てました。我ながら今一ですが、仕方がありません。韓国人の中年の女性が完全に高山病の様子で、頭痛でかなり苦しそうです。でも、英語もわからなさそうです。近くにいた孫娘がげぇげぇ吐きました。彼女も高山病と思われます。でも、診察には結びつきません。しばらくすると、日本人の60代の女性で頭痛を訴えている人が近くにいます。どうも、添乗員が普通の頭痛薬で様子を見るように言っているようです。高山病の頭痛は発症機序が違うので、一般の鎮痛薬では余り効かないはずですが。私が医者で高山病の薬を持っていると声をかけて見ましたが、どうも怪しがられて断わられました。やはり、看板が大失敗の原因のようです。この最終日は、少しは患者さんはいそうでしたが、診察には結びつかず時間がきたのであきらめて下山しました。結局、今回の旅は「高山病の治療」という意味では大失敗でした。敗因はやはり稚拙な看板でしょう。でも、もちろんこの旅を後悔していません。スイスには、バーゼル、チューリッヒ、ジュネーブの都市を訪れた記憶がありますが、アルプスの山は初めてです。それなりに楽しい旅でした。インターラーケンの駅では時間があったので、駅のスタンドの軽食店のソーセージとグーラッシュを頼みましたが、軽い昼食なのに前夜のレストランよりははるかにおいしかったです。
インターラーケンからチューリッヒ空港まで列車で直接行けるので便利です。チューリッヒ中央駅から空港駅までわずか10分程度です。帰りは、パリでなくフランクフルトからの成田行きです。金髪の美人スチュワーデスと話しをしていて、英語がアメリカ英語でないのでイギリス人かと聞いたら、ドイツ人と答えます。バカでした。フランクフルト便ですから、当然ドイツ人です。それで、少しドイツ語で話しをすると喜んでくれました。で、いつものように限界を感じて、疲れてきたところで英語に切り替えておしゃべりを楽しみました。これが私の特技です。お陰でドイツ語の練習にもなるし、難しい話は英語ですればいいのです。安いエコノミークラスでも、彼女らが暇な時間帯を見計らって控え室近辺へ行くと、結構話し相手をしてくれます。
成田では、計画的でなく全くの偶然なのですが、一年間のアメリカのシアトルのAFS高校留学から帰国する次男とほぼ同じ時刻に成田空港に到着するので、私の携帯電話に連絡させ空港で会いました。しばらく、食事をしながら色々なアメリカでの経験を聞けました。でも、息子は2日間程東京見物をしたいとのことで、私だけ夜の便で福岡まで先に帰って来ました。
(終わり)
こんな私の紀行文をもっと読みたい人は、是非以下のサイトをご覧下さい。
http://www.kanoya-travelmedica.com
旅行好きを仕事にするため、「空飛ぶドクター」を目指しています。そんな私が「海外旅行時の健康管理」に関する本を4月21日から出しました。悠飛社(03-5327-6052)坂本泰樹。「機内にお医者さんはいませんか?」空飛ぶドクターの海外旅行と健康管理。私の紀行文を中心に、「旅行医学」について詳しく解説した本です。高山病、ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)、旅行中の二大死因(心筋梗塞、脳卒中)、旅行者下痢症、時差ぼけ、頻尿・尿失禁などの内容で、機内でのドクターコールについても、医者の立場から提言しています。
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