2007/03/27 - 2007/03/30
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空飛ぶドクターさん
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(1)から続く
【世界的な温泉地、バーデンバーデン】
もちろん、私が大人しくこのまま日本に帰る訳がありません。せっかくですから、以前から興味のあった有名なドイツの温泉、バーデンバーデンへ視察に行きました。ブリュッセルを朝出て、ドイツのケルンで列車を乗り換え、南のシュバルツバルト(黒い森)近郊のバーデンバーデンへ昼過ぎに着きました。26年ぶりのドイツです。今考えると、夏の黒い森へはハイキングした記憶があり、反対側の大学町のフライブルグにいるドイツ人の先生に会いに行ったのでした。
ホテルに着くと、早速目的の温泉施設、カラカラ・テルメ(浴場)へ行きました。ここは、イタリアの温浴施設に近い感じで、外からは水着を着て屋外で楽しんでいる人々の姿が見えます。イタリアのようには、水泳帽はかぶらなくてもいいようです。日光の降り注ぐ巨大な室内の多数のプールとつながった屋外のプールとが楽しめます。もちろん、泡風呂もあります。流水プールもあります。温度は温いはずですが、私が徐々に慣れてきたのか、あまり肌寒くは感じませんでした。確かに立派な温泉ですが、昨年イタリアの温泉を数ヶ所視察した私には、あまり感激はありませんでした。これが、ヨーロッパでも一番有名な温泉の一つかという程度です。
ところが、らせん階段を登ったサウナ・コーナーに行ってビックリしました。入り口に英語で nudist と書いてあり、水着を脱ぐのです。混浴です。しかも、巨大なサウナ施設です。4、5ヶ所のサウナと2ヶ所のミストサウナ、それに室外に岩場の2ヶ所のサウナがあります。しかも、この広い空間にいる人々はすべてスッポン・ポンです!隠そうとする人なぞ、一人もいません。偶然か、私以外は全員白人(たぶん、ほとんどドイツ人)でした。
大きいバスタオルは隠すためのものではなくて、サウナで出る汗を吸い取るためのものらしく、タオルをしいてその上に腰をかけ、足元にも垂らし、その上に足をのせるのです。私は見るともなく、いやジックリと観察していました。解剖学的観察です。白人の男性の「なに」は、確かに大きいけど柔らかそうで垂れているなぁとか、若い女性も多いけど(若いカップルが意外と多いのです)オッパイは大きいけど同じく垂れているのが多いなぁとか。結局、男も女もみんな仲良く垂れているなぁとか。退屈はしません。女性の「なに」に関しても観察の結果、面白い感想をもったのですが、さすがの私もここには書けません!
夜は、家庭料理風のレストランを見つけました。ドイツですから、ハムとジャガイモ料理ですが、私の好きなザワークラウト(酢キャベツ)も付き、結構おいしかったです。デザートのケーキもドイツはおいしいです。一般的には、ドイツ料理は余り評価されずイギリス料理と同じくまずいと言われるようですが、私の好みでは、ドイツ料理はまぁまぁだと思います。バリエーションには乏しく、毎日食べると飽きるかもしれませんが、それなりにおいしいと思います。毎日どころか、一回食べたら嫌になるイギリス料理と比べるのは失礼だと個人的には思います。別府の知人の「千石やき」の大将曰く、「イギリス料理に比べたら、うちの犬の方がまだうまいもんを食っちょる!」
それから、今夜もカジノへ。嬉しいことに、ここにもカジノがあるのです。ここは1〜2週間単位で「湯治」に来る人が多いらしく、小さい町にしてはコンサートなどの行事が多彩なそうです。ここでは、前もって調べてあるので、学会場でもしなかったネクタイを着用。もちろん、身分証明書も。ヨーロッパのカジノはしゃ〜しいです。で、いつものブラックジャックを。今日も調子よく、100ユーロちょっと勝ったところで退散です。
翌日は、もう一つの温泉、フリードリッヒ浴場へ。世界的に有名なバーデンバーデンですが、温浴施設はカラカラ浴場とここだけです。ここは、基本的に混浴らしく(曜日によっては別々です)、ドイツらしく几帳面に順番に時間が決められていると聞いていました。入り口は男女別で、確かに1番から16番まで順番のようです。1番で5分間、体を石鹸で洗い、2番では54Cの暖かい程度のサウナに15分間、という要領です。でも、実際は書いてある時間はただの目安のようで、いくら几帳面なドイツ人でも、そこまで時間通りに入浴しているわけではありません。5番では別料金を払った人のみのマッサージがあります。石鹸とブラシのマッサージで少し韓国のあかすりに似た感じです。そして、9番から真ん中辺りの広い浴槽のいくつかで男女混浴になります。前日のカラカラ浴場と同じくみんなスッポン・ポンです。割と日本の銭湯に近い感じでの混浴です。きっと、日本の江戸時代の混浴とはこんな感じだったんだろうなぁとか考えながら入っていました。最後に、入り口のほうに戻って行き、毛布に包まれて30分ほど仮眠するのがここのスタイルのようです。ほどよく、湯疲れの後の仮眠(休憩)で気持ちいいです。
バーデンバーデンのホームページでは、Bill Clinton の "Baden-Baden is so nice, that you have to name it twice."(バーデンバーデンは余りに素晴らしいので、バーデン・バーデンと2回言わないといけない。) という面白い言葉が載っています。昔、Mark Twain がたいそう気に入って "After 10 minutes you forget time, after 20 minutes the world."(入浴して10分後には時間を忘れ、20分後には世界を忘れる。) と言ったと書いて自慢しています。私自身はそこまでは感動しませんでしたが。
カラカラ浴場にはトレーニングジムは併設されていましたが、このドイツの両施設とも、イタリアとは違って医療施設は全く併設されていませんでした。その代わりと言うか、カラカラ浴場のすぐ横にいかにも立派なリウマチセンター(病院)がありました。もちろん、リハビリ等に温泉水を利用しているはずです。暇なので、見学に行こうと気楽に寄ってみました。最低限のドイツ語で、受付のおじさんに、自分が日本の医者でちょっと興味があるので、覗いて見たと言うと、院内の医者に電話をしてくれ、手の空いた女医さんが1階の受付まで降りて来てくれました。ある程度英語のできる女医さんで、余り忙しくなかったのでしょう、1時間くらい付き合ってくれて院内を案内してくれました。金持ち相手の病院なのか、個室なんかは中級ホテル並みでした。私が泊まるランクのホテルの部屋よりははるかに豪華でした。病院食ももちろん豪華で選べるそうです。結構、この分野では有名な病院らしく、ヨーロッパのあちこちから患者が来るそうで、金持ちの患者は市内の高級ホテルに滞在して、通院したがるそうです。特に、ロシア人にとんでもない金持ちが多いそうで、意外でした。石油成金でしょう。
この夜も、性懲りもなくカジノへ行きました。今夜は不調で危うく、最初の100ユーロがあっという間にゼロになりそうでした。そこで、今回は、流れを変えるためにパスを多用しました。座っていても、かけ金(チップ)を自分の前におかなければいいのです。ところが、ここの田舎者ディーラーは間違えて、かけ金のない私の前にカードをくばったりします。しかも、一度は大事な計算まで間違えて、自分が負けているのに客のかけ金を危うく回収しそうになったりします。しかも、見張っているはずの責任者も大して強く咎めもしません。最近、世界中あちこちにカジノができたのは私には非常に嬉しいのですが、ディーラーのレベルが低過ぎます。特に、ここバーデンバーデンはひど過ぎます。ラスベガスだったらすぐ首になるはずです。しかも、ラスベガスのような無料の美女のドリンクサービスもありません。
しかも、客もマナーが悪く、仲間であるはずの私に向かって文句を言います。幸いドイツ語なので、ほとんど意味がわからず簡単に聞き流せます。他の客がもう1枚カードを引くか引かないかは、客の勝手で確かに流れには影響ありますが、そんなこと文句をつけるような筋合いのものではありません。実際、ラスベガスをはじめ世界中のカジノへ行った私ですが、客同士で文句を言われたのは初めてです。ドイツの「田舎もん」め!!しかし、このような悪条件にも関わらずこの夜はパスをうまく使って流れを変え、何とか2倍以上にして昨晩に続いて2連勝です。
【フランス経由で帰国】
帰国の日は、まず列車でフランスのストラスブルグまでですが、国境なのでわずか30分程度でした。ここで、空港に行くのですが駅の工事中で電車の乗り場がわかりにくかったです。いつものように、片言のフランス語で道を尋ねると、こいつはたいしてフランス語ができないとわかってくれて、非常に親切に英語で教えてくれます。私はこれがコツだと信じています。舌足らずのフランス語で喋ろうとしている、こいつはかわいい奴だと思わせるのです。プライドの高いフランス人に最初から流暢な英語で聞いたらわからない振りをされる可能性があると思います。そして、今回感心したのが、完璧なバリアフリーです。私は障害者の旅行にも興味があるので、気をつけて見ていると、完璧に車椅子に対応した電車乗り場と低床の広い乗降口を持つ車両です。
ストラスブルグ空港からパリ空港経由で帰国の途へつきました。今回は、ベルギーとドイツが目的地でしたが、飛行機はフランス経由でした。通貨がユーロに統一された恩恵をしっかり感じました。以前だったら、通過のためだけのフランスのフランへの両替とか小銭で困ったでしょう。しかも、以前以上に国境がほとんどなくなり、列車でフランスからベルギーの移動の時も、ドイツからフランスへ移動の時もパスポートのチェックにも来ません。しかも、何故かフランス入国の時は、刻印もしませんでした。帰りのフランス出国の時に唯一刻印してくれました。つまり、今回のヨーロッパ滞在中ほとんどパスポートは不要でした。むしろ、カジノではパスポートが必須でした。そうだ!ヨーロッパへはパスポートは入国のためではなく、カジノへ入るために持っていくのだ!?
(終わり)
旅行記でわかるように、私は日本旅行医学会認定医で、添乗医師を目指しています。興味のある人は私のウェブを参照して下さい。
http://www.kanoya-travelmedica.com
旅行好きを仕事にするため、「空飛ぶドクター」を目指しています。そんな私が「海外旅行時の健康管理」に関する本を4月21日から出しました。悠飛社(03-5327-6052)坂本泰樹。「機内にお医者さんはいませんか?」空飛ぶドクターの海外旅行と健康管理。
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