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機体トラブルで、ロイヤルネパール航空の飛行機は全て欠航していた。<br /><br /> <br /><br />カトマンズ市内にある航空会社のメインオフィスに詰め寄るも、クレームで押し寄せる人たちでグッチャングッチャンに溢れ、なかなか職員にまで辿り着くことができなかった。1時間以上も待った末に、出会えたデップリ汗かきの中年男性職員は、自分こそ被害者であるような悲しい顔をして、「私たちにもわからないんだ」という答えをただ繰り返すばかり。この雰囲気では、とても明日や明後日に飛べるような感じではなさそうだ。即座の代替機手配どころか、次のフライトにいつ乗れるかすらも怪しい。何の成果も得られずにがっくり肩を落として、僕はオフィスをあとにした。<br /><br /> <br /><br />これまでの僕であれば、このまま諦めてカトマンズにしばらく滞在して、のんびりと次のフライトを待っていたことであろう。しかし、僕はもう日本へ帰ることを決意したのだ。それは、ふいに心の底から湧き上がるように起こって、今や理性では抑えきれないほど強い気持ちなのであった。<br /><br /> <br /><br /> 何故だろう。一度、日本へ帰ると決めてからは、無性に帰りたくなった。ペナントレース終盤で、盛り上がっているであろう我が中日ドラゴンズを応援しながら、焦げ目の付いた秋刀魚の塩焼きを、醤油たっぷりの大根おろしと共にほうばりつつ、地元名古屋の赤味噌汁と冷たいアサヒスーパードライで乾杯する。<br /><br /> <br /><br /> そんな映像が目に浮かぶと、いてもたってもいられなくなった。日本に帰りたかった。だから、今までのように、何もせずだらーんとカトマンズで漂流することなど、もはやできやしない。<br /><br /> <br /><br />そこで、埒のあかないロイヤルネパール航空を諦めて、別の航空会社を探すことにした。ここで助けてもらったのが、前回カトマンズでお世話になったサービス満点男、旅行会社のリラさんである。<br /><br /> <br /><br /> 彼は僕の事情を察すると、すぐに別の航空会社のフライトにキャンセル待ちを入れてくれた。ロイヤルネパール航空の欠航のせいで、他の航空会社は全て満席状態。取れるか、取れないかは明日のフライト当日になってみないとわからないという。あれだけの人数がオフィスに詰め寄っていたからには、他の航空会社のチケットも並大抵なことでは取れないだろう。しかし、彼は、「ワタシは航空会社にコネあるから、何とかします」と自信有り気にそう言った。<br /><br /> <br /><br /> その言葉を半分は信じつつ、半分は諦めかけていた次の日の朝、泊まっていたホテルに一件の連絡が入った。それは、チケットが手配できたから今からすぐに空港へ向おうという、リラさんからの嬉しい知らせであった。運命は、僕の意志に応えるように動いた。やはり僕はもう日本へ帰るべきなのだ。<br /><br /> <br /><br /> こうしてその日の深夜に、バンコク行きのタイ航空の飛行機に搭乗することができたのだった。到着したバンコクのスワンナプーム空港では、暗闇の中でも確認することができるほどの大雨が降っていた。<br /><br /><br /><br />『全ての旅は帰郷への回り道に過ぎない』<br /><br /> <br /><br />着陸寸前に、ふとこんな言葉を思い出した。この言葉は、北欧で出会った旅行者が教えてくれたもので、ノルウェーのある有名な冒険家の著書にあるらしい。<br /><br /> <br /><br />僕も、様々な回り道を経て、ようやく帰郷への道へと辿り着いた。思い返せば、長い長い回り道だったように思う。でも決して、無駄ではない回り道であった。<br /><br /> <br /><br />いよいよ明日、僕はバンコク発名古屋行きのフライトで帰国する。<br /><br />

全ての旅は帰郷への回り道に過ぎない@バンコク

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2007/08/31 - 2007/08/31

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フーテンの若さん

フーテンの若さんさん

機体トラブルで、ロイヤルネパール航空の飛行機は全て欠航していた。



カトマンズ市内にある航空会社のメインオフィスに詰め寄るも、クレームで押し寄せる人たちでグッチャングッチャンに溢れ、なかなか職員にまで辿り着くことができなかった。1時間以上も待った末に、出会えたデップリ汗かきの中年男性職員は、自分こそ被害者であるような悲しい顔をして、「私たちにもわからないんだ」という答えをただ繰り返すばかり。この雰囲気では、とても明日や明後日に飛べるような感じではなさそうだ。即座の代替機手配どころか、次のフライトにいつ乗れるかすらも怪しい。何の成果も得られずにがっくり肩を落として、僕はオフィスをあとにした。



これまでの僕であれば、このまま諦めてカトマンズにしばらく滞在して、のんびりと次のフライトを待っていたことであろう。しかし、僕はもう日本へ帰ることを決意したのだ。それは、ふいに心の底から湧き上がるように起こって、今や理性では抑えきれないほど強い気持ちなのであった。



 何故だろう。一度、日本へ帰ると決めてからは、無性に帰りたくなった。ペナントレース終盤で、盛り上がっているであろう我が中日ドラゴンズを応援しながら、焦げ目の付いた秋刀魚の塩焼きを、醤油たっぷりの大根おろしと共にほうばりつつ、地元名古屋の赤味噌汁と冷たいアサヒスーパードライで乾杯する。



 そんな映像が目に浮かぶと、いてもたってもいられなくなった。日本に帰りたかった。だから、今までのように、何もせずだらーんとカトマンズで漂流することなど、もはやできやしない。



そこで、埒のあかないロイヤルネパール航空を諦めて、別の航空会社を探すことにした。ここで助けてもらったのが、前回カトマンズでお世話になったサービス満点男、旅行会社のリラさんである。



 彼は僕の事情を察すると、すぐに別の航空会社のフライトにキャンセル待ちを入れてくれた。ロイヤルネパール航空の欠航のせいで、他の航空会社は全て満席状態。取れるか、取れないかは明日のフライト当日になってみないとわからないという。あれだけの人数がオフィスに詰め寄っていたからには、他の航空会社のチケットも並大抵なことでは取れないだろう。しかし、彼は、「ワタシは航空会社にコネあるから、何とかします」と自信有り気にそう言った。



 その言葉を半分は信じつつ、半分は諦めかけていた次の日の朝、泊まっていたホテルに一件の連絡が入った。それは、チケットが手配できたから今からすぐに空港へ向おうという、リラさんからの嬉しい知らせであった。運命は、僕の意志に応えるように動いた。やはり僕はもう日本へ帰るべきなのだ。



 こうしてその日の深夜に、バンコク行きのタイ航空の飛行機に搭乗することができたのだった。到着したバンコクのスワンナプーム空港では、暗闇の中でも確認することができるほどの大雨が降っていた。



『全ての旅は帰郷への回り道に過ぎない』



着陸寸前に、ふとこんな言葉を思い出した。この言葉は、北欧で出会った旅行者が教えてくれたもので、ノルウェーのある有名な冒険家の著書にあるらしい。



僕も、様々な回り道を経て、ようやく帰郷への道へと辿り着いた。思い返せば、長い長い回り道だったように思う。でも決して、無駄ではない回り道であった。



いよいよ明日、僕はバンコク発名古屋行きのフライトで帰国する。

  • プルゥルゥルゥ。着信音3回で電話に出た。懐かしい母の声である。<br /><br /> <br /><br />「あ、もしもし。僕だけど・・・。そう、僕だよ。うん、久しぶり。えっ、今どこかって?それが、何故か飛行機を乗り間違えてちゃって、アフガニスタンに来ちゃったんだよね」<br /><br /> <br /><br />母は僕の話を鵜呑みにして、信じきっているようだった。僕は調子に乗って言う。<br /><br /> <br /><br />「それでね、ここアフガンはものすごいところなんよ。はっきりいって危険。危険すぎる。僕は、もう日本へは二度と帰れないかもしれない・・・」<br /><br /> <br /><br />母からは返答がなく、絶句しているようだった。さすがにやり過ぎた。<br /><br /> <br /><br />「って、うそうそ。ごめん、全部冗談よ。今は名古屋のセントレア空港におんねん。僕はいま、帰ってきたのよ」<br /><br /> <br /><br />本当に帰れるかどうかわからなかったため、帰国のことを事前にちゃんと知らせていなかった。母はまだ信じられないらしく、「本当に、本当に名古屋にいるの?」と何度も尋ねた。<br /><br /> <br /><br />「うん、もう旅は終わりや。とりあえず帰ってきたよ」<br /><br /> <br /><br />そう僕はついに帰国した。思えば、旅に出てから初めてした家族への電話。そして、最後の電話でもあった。<br /><br /> <br /><br />母はまだ何か言い足りないようであったが、「とにかくあと数時間で帰るわ」と言って一方的に電話を切った。<br /><br /> <br /><br />帰る直前のトラブルでお土産は大して何もない。仕方がないので、この突然の帰国のサプライズをお土産として、許してもらおうと思っている。<br /><br /> <br /><br />

    プルゥルゥルゥ。着信音3回で電話に出た。懐かしい母の声である。



    「あ、もしもし。僕だけど・・・。そう、僕だよ。うん、久しぶり。えっ、今どこかって?それが、何故か飛行機を乗り間違えてちゃって、アフガニスタンに来ちゃったんだよね」



    母は僕の話を鵜呑みにして、信じきっているようだった。僕は調子に乗って言う。



    「それでね、ここアフガンはものすごいところなんよ。はっきりいって危険。危険すぎる。僕は、もう日本へは二度と帰れないかもしれない・・・」



    母からは返答がなく、絶句しているようだった。さすがにやり過ぎた。



    「って、うそうそ。ごめん、全部冗談よ。今は名古屋のセントレア空港におんねん。僕はいま、帰ってきたのよ」



    本当に帰れるかどうかわからなかったため、帰国のことを事前にちゃんと知らせていなかった。母はまだ信じられないらしく、「本当に、本当に名古屋にいるの?」と何度も尋ねた。



    「うん、もう旅は終わりや。とりあえず帰ってきたよ」



    そう僕はついに帰国した。思えば、旅に出てから初めてした家族への電話。そして、最後の電話でもあった。



    母はまだ何か言い足りないようであったが、「とにかくあと数時間で帰るわ」と言って一方的に電話を切った。



    帰る直前のトラブルでお土産は大して何もない。仕方がないので、この突然の帰国のサプライズをお土産として、許してもらおうと思っている。



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