バルト3国写真紀行　第３集　リトアニア　古都カウナスとトラカイ編

2006/05 - 2006/05

　シリーズとして続けているバルト３国写真紀行の最後の第3集　リトアニアで、まず古都カウナスとトラカイ編をアップロードします。写真撮影とコメントの視点は第1集と同様ですので重複を避け省略します。
　古都カウナスは旧市街を主体に回りました。狭い範囲内で観光施設がまとまっていて見やすいところです。この街も他の都市同様かって盛隆を極めた多くの宗教施設は体制が変わってから種々な博物館に衣替えしていましたし、目下修復工事中で閉鎖しているところも多々ありました。これから行かれる方々にはもう工事が終わって見られるかもしれません。新しい情報も期待しています。
　湖上のトラカイ城は、観光用ロケーションとしては抜群ですが、ま新しいレンガ積みで修復され外観は古さが消滅し、遠くから見るとディズーニーランド的既視感がふと胸中をよぎりました。島に渡り、中に入るとそれなりに中世時代のものが残っていて、重要拠点の戦争用の砦城であったことがよくわかりました。

　首都ヴィリニュスは、これを最終の1編として次回アップいたします。今しばらくお待ちください。

エリア カウナス(リトアニア)

カウナス旧市街の旧市庁舎

白い壁の清楚な姿は白鳥に称えられたバロック様式建築。市庁舎広場の西側に建ち6層の鐘楼を備えている。現在は結婚登記所になっている。雨上がりの広場では今日もこれから開く市場の準備が進んでいた。
　
次に市庁舎周辺のいくつかの立派な施設を回る

旧イエスズ教会
　市庁舎広場の周囲は古い宗教施設が多いが、市庁舎南側のこの大きな教会施設も別途市の施設に衣替えの最中。

旧市庁舎裏の逓信博物館

旧市庁舎裏左の文学博物館

ベルナンディン修道院
逓信博物館の裏に回ると塀の中に林に囲まれた修道院が静かに建っていた。

聖ゲオルギ教会
ベルナンデン修道院の対面に建つ。外観は新しく化粧直しされた様子。

聖ペトロ・パウロ大聖堂

赤レンガ積みの美しい大聖堂。15世紀のゴシック様式。

聖ペテロ・パウロ大聖堂内部身廊
内部は内陣付近の補修工事中

聖ペテロパウロ大聖堂の側廊アーチと説教壇

聖ペテロ・パウロ大聖堂のパイプオルガン

聖ペテロパウロ大聖堂前のヴィリニアウスス通りとお土産屋台

この通りは新市街から旧市街へ続くメイン通りであるがこのあたりは、古風でシックな赤レンガ街となる。雨が止んで、市庁舎広場に市場が開かれるころ、それに入れてもらえない屋台店が大聖堂前に集まって、観光客相手や土地の人たちの安物雑貨などを売っている。

ヴィリンス通りの赤レンガ商店街

ヴィリニアウス通りのお土産ショップ内部

バルト3国ではどの都市でも観光客相手の琥珀の店がある。材質も、値段もピンからキリまである。良心的なガイドは、適正価格の店を教えてくれるというが、当てにならぬ。首都のニリニュスの琥珀博物館あたりなら、安心である。がかなならずしも良いデザインがあるとは限らない。本物は樹脂化石で比重が軽くて水に浮くが、プラスチック製の偽物は沈んでしまう。乳白色のものもあるが、これらは気泡が多くてできた色で、当然軽い。手に持った感じでも見分けられる。

ヴィリニス通りの市庁舎広場側商店街

市庁舎広場東側の赤レンガ家並み

　旧市街は、教会も一般民家の壁も赤レンガ造が多い。同じ15世紀の建物だがタリンの町並みとの違いが明瞭にわかる。タリンのような石灰岩の建築材に恵まれない代わりに、北ドイツ〜ポーランドのレンガ積み技術が伝播して、しっかりした構造が見られる。首都ヴィルニスでも聖アンナ教会のごとくすばらしいレンガ造りの建築が見られ、当時としてはヨーロッパでもハイレベルにあったといえる。
　市庁舎広場はこの通りと、北側のヴィルニス通りのレンガ造の家並みで囲まれシックな市場の雰囲気が出るところだ。

リトアニア医療と製薬史博物館

旧市庁舎広場東通りのベルクーナスの家（現図書館）

ヴィタウタス大公教会

１５世紀はじめにリトアニアの最盛期を築いたヴィタウタス大公が、タタール征伐に遠征したときに戦場で奇跡的に難を逃れたことへの感謝をささげるために建立したといわれる教会で、ネムナス川を渡る端の袂に建っている。ここでもカウナス特有の赤レンガ造でゴシック様式の建築。入り口にカウナスを襲ったネムナス川洪水の最高水位が刻まれている。

カウナス城（復旧）

現在はもとの城の塔と城壁の一部を復元し城郭の名残をとどめるのみ。赤レンガと周りの緑の芝生が美しい対照をなしている。

昼食に名物のツエッペリナイ

ジャガイモ肉饅頭風の食べ物、形がドイツの飛行船ツエッペリン号に似ているからその名がついたという。
　茹でジャガイモはリトアニアの料理にはかかせない主食食材で、スープや肉、魚料理とともに出てくるが、ツエッペリナイは、挽肉やコテージチーズを摩り下ろしたジャガイモの生地で包んで茹でたものだから、いわば合わせ技ものである。年配者には1個で十分のボリューム。私は半分でもお腹がいっぱいになった。その他ジャガイモを使った料理をガイドに聞いてみると、ジャガイモのパンケーキ、すりおろしたジャガイモを詰めたソーセイジ（ヴェラダイ）、ジャガイモパイ（クゲリス）などが人気の名物料理だそうだ。

杉原記念館
第2次大戦初期、ナチスの迫害を免れるため日本経由で海外に逃れようとして、当時のリトアニア首都であったカウナスの日本領事館ビザを求めてきたユダヤ人に、杉原千畝領事代理が、日本本国の指示に背いてまでビザを発行して、3000もの人を救ったという功績が映画や本で紹介されて、よく知られるところである。リトアニアでも高く評価され、当時の領事館が杉原記念館として保存されている。

杉原記念館内部　当時の執務室

記念スタンプもおいてある。

その他、この記念館では地元大学の協力で日本文化研究センターがおかれている。

杉原千畝領事代理のヴィデオ映像
記念館見学者に対して上映される当時の映画のビデオ画面。感動の場面では目頭を熱くすることだろう。

湖上のトラカイ城

ルコス湖とトトリシュキュウ湖の二つの湖にはさまれた半島のように伸びるトラカイの町を突き抜けると、その先にもうひとつの湖があり、その中にいくつか点在する小島のひとつに赤レンガでゴシック様式の古城が建っている。湖水に映す姿は童話に出てくる城のようでロマンチックである。

以下順次写真で詳細を伝えます。

湖水のレジャーボート、桟橋からトラカイ城を望む

トラカイ城へ向かう湖畔で弾くバイオリン

トラカイ城への渡湖橋

城壁と湖畔のヨット

島へ渡ると城壁周りの船溜まりにヨットが係留され、その１艘に緑の縦帆がひらめいていて、城壁のダークレッドに調和してるなとよく見ると富士フィルムの宣伝幕だった。

城内長屋棟

見るからに復旧した新しい城郭である、長い棟全体が博物館となっている。前面が広い広場を経て、正面に城本丸への道がつながる。奥にベネディクト会教会がある。

城内全景
この城は東ヨーロッパで唯一の水上城である。もとは14世紀から15世紀初頭にかけて建設されたもの。高い壁に囲まれた本丸ともいうべき建物は初代の大公（ヴィタウタス）の住居と深い堀によって城前広場から隔てられた城砦部の2つの建物で構成されていた。15世紀のドイツ騎士団の攻撃を撃退したころが最盛期で、17世紀にモスクワとの戦争で破壊され、20世紀初頭に遺跡が保存され、第2次大戦後に再建工事が始まり、現在見る外観がきれいに復旧された城になった。

トラカイ城本丸への階段

高い塀を乗り越えるには至難であったろうが、今は木製の広い階段道が塀を超え、さらに堀を越えて本丸城内へ導いてくれる。

本丸内堀

高い城壁で隔てられた堀は、前方に光る湖水を引きこんだであろう。水城としては良い立地であった。

本丸入場門と吊橋

堀を渡る橋は正面入り口のつり橋に通じ、入り口は2つの扉と落とし格子がついて、防備を固めている。

本丸中庭から
本丸は中庭を囲み吹き抜けのロの字型3層の石とレンガ積み城館で、さらに高楼の見張り塔を具備している。内部上階には木造ウールや銃眼を取り付けているから、敵を内部に引き入れて上から攻撃する戦法もあったようだ。

本丸城壁の乱積み構造

城内壁の修復状況

吹き抜け階層と木製渡りはしご

本丸上階のレンガ張り天井アーチ

歴代城主のメダリオン

ヴィタタウス大公肖像画

本丸内歴史博物館の展示1
遠く交易品としてもたらされたのであろうか、ヴェネツィアングラスなどが並んでいる。

本丸内歴史博物館の展示2
古くはドイツ騎士団や第二次大戦にいたる諸種の侵略と戦役抵抗の歴史の遺品が並べてある。

湖畔のお土産店偽ものにご用心

色鮮やかなお土産のネックレスが並ぶ。プラスチックの琥珀（水中で沈む）や、色付けクォーツが混じっているかもしれないから、こうゆうところでは冷やかす程度にしておいたほうが無難。

ルコス湖畔とボート

トラカイの丘のリンゴの花咲く農家