歩けば歩くほど、不思議な情景をかいま見る街だった。<br />　<br /><br /> ○ゴミだらけで埃っぽいデコボコの石畳道。<br />　<br />　○所々盗まれて見当たらない公衆電話。<br /><br />　○狭い路地を猛スピードで走る車とスクーター。<br /><br />　○屋台で堂々と売られている偽造ブランド品とＤＶＤ。<br /><br />　○街の至る所で目にする豪華な内装の教会とチープで派手な落書き。<br /><br />　○歴史的な古い建物が並ぶ間に洗濯物が干してある下町風情。<br /><br />　○落ち着きなく何度も海へ飛び込む子供たちと干物のように静かに日焼けを楽しむ老人たち。<br /><br />　ローマからたった２時間で異国に来たような錯覚を覚えるナポリ。そこにはあらゆるものが凝縮され、猥雑にひしめきあうカオスのような街だった。<br /><br />　ピッツァを食べ歩きながら街をブラブラしていると、後ろからやって来たスクーターに僕は体をぶつけられた。その衝撃で、買ったばかりのピッツァは宙を舞い、何回転もしながら、汚い路地にボテッと落ちた。<br /><br />　おい、おい、おい、おい。さっき買ったばかりやで！<br /><br />　僕がムカッとした表情を見せると、大げさに両手を広げ、「俺は悪くない」ととぼけたジェスチャーをして、スクーターの男は走り去っていった。<br /><br />　なんて適当な奴。一言ぐらい謝れよ。これがナポリ人気質というものなのか。<br /><br />　まあ、いいか。僕は落としたピッツァを拾い上げ、ゴミを払って、また口にほうばった。ここはナポリ。細かいことは気にしないことにしよう。<br /><br />　こういったいい加減で乱暴な街を僕は嫌いではない。<br /><br />

異国情緒＠ナポリ

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2006/07/11 - 2006/07/11

1384位(同エリア1445件中)

#世界一周

フーテンの若さんさん

歩けば歩くほど、不思議な情景をかいま見る街だった。
　

○ゴミだらけで埃っぽいデコボコの石畳道。
　
　○所々盗まれて見当たらない公衆電話。

　○狭い路地を猛スピードで走る車とスクーター。

　○屋台で堂々と売られている偽造ブランド品とＤＶＤ。

　○街の至る所で目にする豪華な内装の教会とチープで派手な落書き。

　○歴史的な古い建物が並ぶ間に洗濯物が干してある下町風情。

　○落ち着きなく何度も海へ飛び込む子供たちと干物のように静かに日焼けを楽しむ老人たち。

　ローマからたった２時間で異国に来たような錯覚を覚えるナポリ。そこにはあらゆるものが凝縮され、猥雑にひしめきあうカオスのような街だった。

　ピッツァを食べ歩きながら街をブラブラしていると、後ろからやって来たスクーターに僕は体をぶつけられた。その衝撃で、買ったばかりのピッツァは宙を舞い、何回転もしながら、汚い路地にボテッと落ちた。

　おい、おい、おい、おい。さっき買ったばかりやで！

　僕がムカッとした表情を見せると、大げさに両手を広げ、「俺は悪くない」ととぼけたジェスチャーをして、スクーターの男は走り去っていった。

　なんて適当な奴。一言ぐらい謝れよ。これがナポリ人気質というものなのか。

　まあ、いいか。僕は落としたピッツァを拾い上げ、ゴミを払って、また口にほうばった。ここはナポリ。細かいことは気にしないことにしよう。

　こういったいい加減で乱暴な街を僕は嫌いではない。