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泉北高速線の光明池駅で降りる。いかにもニュータウンという感じの駅である。高層マンションやショッピングセンター、公園の緑も見えるし、幅の広い道路が縦横に走っている。<br />ここから河内長野行きのバスに乗る。一時間に一本しかない。やってきたバスは、そこらでよく見るようなノンステップバスである。バスは、すぐにニュータウン地帯を抜けて、郊外らしい小さな戸建て住宅と田畑や山林が交錯する風景の中を走る。このあたり、丘陵地帯でアップダウンが激しい。やがて車窓に山林の占める割合が高くなり、道も狭くなり、急カーブや急勾配の続く旧街道のような趣を呈してくる。<br />30〜40分ほど走ったところで、天野山のバス停に到着する。山間のちょっとしたくぼ地のようなところに、目指す金剛寺がある。<br />金剛寺の存在をはじめて知ったのは、白洲正子氏の「かくれ里」を読んでからだったが、その後、名古屋で金剛寺所蔵の日月山水屏風を見てからは、はっきりと行かなければならない場所になっていた。その門前に、私は立っている。<br />陽射しは強かったが、乾いた風が吹き抜けて涼しく感じる。杉の巨木が何本も屹立していて、特別な場所という感じが強い。<br />周囲に人はいない。静かな山門をくぐり、境内に入る。<br />中は、こんな山中とは思えないような大伽藍だった。巨大な本堂や珍しい円塔が見えるが、右側に向けて谷筋に建物が広がっている。ここは南北朝時代に一時南朝の本拠になったところで、さらに北朝の天皇上皇が捕虜になって滞在したこともあるという。有料ゾーンでは庭園と北朝の御座所、宝物館が見られる。南朝の御座所は日曜祝日しか公開してないとのことで、土曜の今日は外からちらりと拝見しただけである。ちなみに境内の高低差を生かして(?)、南朝の御座所の方が高い位置にある。<br />庭は、そこそこ広さもあるし、樹齢600年とかいう五葉松があったりして部分部分で見所があるのだろうが、北朝の御座所の建物の廊から眺める庭は、総体として心が落ち着く眺めだった。モミジが多いので秋になればまたひときわ素晴らしいのだろうが、爽やかな風が山から吹き降りてくる中で、座り込んでいるだけでも十分に気持ちがいい。私のほかに来る人もない。鳥の鳴き声が聞こえてくるだけである。小一時間ほど庭を前にしていた。<br />続いて寄ってみた宝物殿は、なんというか、古風な博物館といった感じで、鎌倉時代の仏像やらなんとか天皇の御物の楽器とかいろいろあるのだが、ざっと見ただけで終わってしまった。なお、日月山水屏風は、限られた時期のみ公開されるものだそうである。<br />また庭に戻ってのんびりしたいところだったが、バスの時間があるので、残念ながら座を立つ。道は、山門のあたりで急カーブになっている。やがてカーブから河内長野行きのバスが姿を現した。<br />

河内長野 金剛寺

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2007/06/15 - 2007/06/17

245位(同エリア246件中)

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jsbach

jsbachさん

泉北高速線の光明池駅で降りる。いかにもニュータウンという感じの駅である。高層マンションやショッピングセンター、公園の緑も見えるし、幅の広い道路が縦横に走っている。
ここから河内長野行きのバスに乗る。一時間に一本しかない。やってきたバスは、そこらでよく見るようなノンステップバスである。バスは、すぐにニュータウン地帯を抜けて、郊外らしい小さな戸建て住宅と田畑や山林が交錯する風景の中を走る。このあたり、丘陵地帯でアップダウンが激しい。やがて車窓に山林の占める割合が高くなり、道も狭くなり、急カーブや急勾配の続く旧街道のような趣を呈してくる。
30〜40分ほど走ったところで、天野山のバス停に到着する。山間のちょっとしたくぼ地のようなところに、目指す金剛寺がある。
金剛寺の存在をはじめて知ったのは、白洲正子氏の「かくれ里」を読んでからだったが、その後、名古屋で金剛寺所蔵の日月山水屏風を見てからは、はっきりと行かなければならない場所になっていた。その門前に、私は立っている。
陽射しは強かったが、乾いた風が吹き抜けて涼しく感じる。杉の巨木が何本も屹立していて、特別な場所という感じが強い。
周囲に人はいない。静かな山門をくぐり、境内に入る。
中は、こんな山中とは思えないような大伽藍だった。巨大な本堂や珍しい円塔が見えるが、右側に向けて谷筋に建物が広がっている。ここは南北朝時代に一時南朝の本拠になったところで、さらに北朝の天皇上皇が捕虜になって滞在したこともあるという。有料ゾーンでは庭園と北朝の御座所、宝物館が見られる。南朝の御座所は日曜祝日しか公開してないとのことで、土曜の今日は外からちらりと拝見しただけである。ちなみに境内の高低差を生かして(?)、南朝の御座所の方が高い位置にある。
庭は、そこそこ広さもあるし、樹齢600年とかいう五葉松があったりして部分部分で見所があるのだろうが、北朝の御座所の建物の廊から眺める庭は、総体として心が落ち着く眺めだった。モミジが多いので秋になればまたひときわ素晴らしいのだろうが、爽やかな風が山から吹き降りてくる中で、座り込んでいるだけでも十分に気持ちがいい。私のほかに来る人もない。鳥の鳴き声が聞こえてくるだけである。小一時間ほど庭を前にしていた。
続いて寄ってみた宝物殿は、なんというか、古風な博物館といった感じで、鎌倉時代の仏像やらなんとか天皇の御物の楽器とかいろいろあるのだが、ざっと見ただけで終わってしまった。なお、日月山水屏風は、限られた時期のみ公開されるものだそうである。
また庭に戻ってのんびりしたいところだったが、バスの時間があるので、残念ながら座を立つ。道は、山門のあたりで急カーブになっている。やがてカーブから河内長野行きのバスが姿を現した。

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  • 天野山バス停

    天野山バス停

  • 北朝の御座所

    北朝の御座所

  • とても静かなお庭でした。

    とても静かなお庭でした。

  • 石灯籠に小鳥が遊びに来ました。

    石灯籠に小鳥が遊びに来ました。

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