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「思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ。」(『故郷』より)<br /><br />私は、作家魯迅と、彼が生きた1930年代の上海に出会いたくて、この都市を訪れた。はじめに宿泊したのは、「上海大厦」。バンドと対岸の浦東地区を一望できる好立地。租界時代当時は、ブロードウェイ・マンションという名で営業していたクラシックホテルだ。ホテルの予約は、どんな部屋でもいいから、と出発前日に急遽頼んだものであったが、あてがわれたのはなんとスイートルームだった。孤独な貧乏旅行人にはとても似つかわしくない豪華な内装。くわえて、深夜便の飛行機を利用したので、チェックインしたのは午前1時すぎ。贅沢さを堪能するには、あまりに限られた時間であった。翌日に寝床を変えることを決心して、ベッドに入った。<br /><br />翌朝。ホテルで朝食をとり、バンドをぶらぶら散歩しあと、宿を変える。「金門大酒店」。ここも1926年創業のクラシックホテル。簡素で小さな部屋を選んだのだが、妙に落ちつく感じがし、人民広場の前という交通至便さもあって、結果として、残り3泊のお世話を受けることとなる。<br /><br />さて、魯迅記念館を訪れた日の話であるが、館内を見学し、帰ろうとしたところ、おみやげを買わないかと、館長らしき人物が声をかけてきた。いろいろ話を聞いていたのだが、どうも自分の気に入る物はない。それを伝えると、彼が一喝。「俺は昼食の時間を割いて、お前に話をしてやった。俺の昼食代を返せ!」。訳のわからない言いがかりを吹っかけられ、それをつっぱねて出てきたのだが、とても気分を害した。<br /><br />その帰り道でのこと。私は魯迅故居へも足を運ぼうとしたのだが、道に迷ってしまった。すると、高校生くらいのグループが声をかけてきて、親切に道案内をしてくれた。最後に礼をいうと、彼らは笑顔で手をふった。<br /><br />この2つの出来事を通じて思った。もし魯迅がいう「希望」を、日中交流という大儀なキーワードに置きかえるのなら、館長の不遜な態度では叶えられない。それは、次世代の優しい心にこそ託したい。もちろん、私たち日本人の側にもいえることである。そうしてはじめて、未来への「道」も築かれるのだと思う☆

魯迅の思いを訪ねて

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2004/02/18 - 2004/02/22

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ナーザ

ナーザさん

「思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ。」(『故郷』より)

私は、作家魯迅と、彼が生きた1930年代の上海に出会いたくて、この都市を訪れた。はじめに宿泊したのは、「上海大厦」。バンドと対岸の浦東地区を一望できる好立地。租界時代当時は、ブロードウェイ・マンションという名で営業していたクラシックホテルだ。ホテルの予約は、どんな部屋でもいいから、と出発前日に急遽頼んだものであったが、あてがわれたのはなんとスイートルームだった。孤独な貧乏旅行人にはとても似つかわしくない豪華な内装。くわえて、深夜便の飛行機を利用したので、チェックインしたのは午前1時すぎ。贅沢さを堪能するには、あまりに限られた時間であった。翌日に寝床を変えることを決心して、ベッドに入った。

翌朝。ホテルで朝食をとり、バンドをぶらぶら散歩しあと、宿を変える。「金門大酒店」。ここも1926年創業のクラシックホテル。簡素で小さな部屋を選んだのだが、妙に落ちつく感じがし、人民広場の前という交通至便さもあって、結果として、残り3泊のお世話を受けることとなる。

さて、魯迅記念館を訪れた日の話であるが、館内を見学し、帰ろうとしたところ、おみやげを買わないかと、館長らしき人物が声をかけてきた。いろいろ話を聞いていたのだが、どうも自分の気に入る物はない。それを伝えると、彼が一喝。「俺は昼食の時間を割いて、お前に話をしてやった。俺の昼食代を返せ!」。訳のわからない言いがかりを吹っかけられ、それをつっぱねて出てきたのだが、とても気分を害した。

その帰り道でのこと。私は魯迅故居へも足を運ぼうとしたのだが、道に迷ってしまった。すると、高校生くらいのグループが声をかけてきて、親切に道案内をしてくれた。最後に礼をいうと、彼らは笑顔で手をふった。

この2つの出来事を通じて思った。もし魯迅がいう「希望」を、日中交流という大儀なキーワードに置きかえるのなら、館長の不遜な態度では叶えられない。それは、次世代の優しい心にこそ託したい。もちろん、私たち日本人の側にもいえることである。そうしてはじめて、未来への「道」も築かれるのだと思う☆

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この旅行記へのコメント (2)

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  • スーポンドイツさん 2008/09/26 23:26:32
    吶喊
    まさか4トラ旅行記で「吶喊」に会うとは思ってもみませんでした。
    今は春秋戦国時代や清時代に興味があり小説を読んでいますが、これだけは別格、しまっておきたい思い出です。
    中国でのふたつの体験・・うーん、そういう国なんですね。
    すーぽん

    ナーザ

    ナーザさん からの返信 2008/09/27 02:01:43
    中国の作品
    魯迅の「故郷」は学生時代、国語の教科書に出てきて衝撃を受けた作品です。
    彼の作品はどれも重いので、とっつきづらいですよね。

    春秋戦国や清時代の小説ですか。時代的に面白そうですね。
    私は三国時代の曹植の詩が好きです。

    そしてトラベラー名のナーザは、
    上海アニメーションの主人公の名前からとったものなんですよ。(・∀・)

ナーザさんのトラベラーページ

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