2007/05/10 - 2007/05/10
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フーテンの若さんさん
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メルズーカ・ハッシュドビルにある「WILDERNESS・LODGE」のすぐ裏にはサハラ砂漠の砂丘が見える。
すぐ裏といっても実際、頂上まで歩くとなると1時間ぐらいかかかるらしい。夕日を見に僕は、一人でそこへ駆け登ることにした。
砂漠頂上へ向かう道中は、地元の子供たちでいっぱいだった。自転車で駆け上がって走り回るもの。中腹から町の風景を楽しむもの。砂のソリで滑って遊ぶもの。彼らにとって、ここは絶好の遊び場となっているようだ(サハラ砂漠が近所の公園なんて、なんちゅースケールが大きいこと!)。
砂漠は思った以上に歩きにくい。砂が柔らかいところは、脛辺りまで足がメリ込んでしまうからだ。普通に歩くだけで相当の体力を消耗してしまう。地元の子供たちを見ると、みんな靴を脱いで軽やかに駆け上がっていく。僕もそれを見習って、裸足で歩くことにした。素足の砂漠は、何だかビーチを歩いているような感触で、ひんやりしてとても気持ちがいい。
途中でアンモナイト売りの少年を一人携えて、ぜぇぜぇはぁはぁ言いながらも、何とか頂上まで到着した。
頂上には先客が7人ほどいた。若い女性ばかりのグループ。僕が到着するなり、一人の女性が大きな声のスペイン語で話しかけてきた。
「セニョール!水をくれ、水を!!」
水がないと死ぬ〜といった感じなオーバーアクション。僕が答えを出す間もなく、手からペットボトルを奪って、グビグビと水を飲んでいく。
イスラム圏では若い女性が、男性に積極的に話しかけることはまずない。だから僕は、そんな彼女の行動に呆気に取られていた。
彼女だけではない。他の女性たちも僕に対して質問攻めだった。「何処から来たの?」「何歳なの?」「何をしているの?」
イスラム圏の若い女性たちも、こうやって普通に会話するのだ。ただ街中だと人目があるので、決して素顔を見せないし、話も出来ないのだが、この砂漠の頂上であれば、誰にもわからずして、旅行者と気兼ねなく話ができるのだ。
その中でも一番僕に興味を持ってくれたのが水を勝手に飲んだ女性。彼女の名はファティマという。彼女はひょうきんな性格で、とにかく笑わさせてくれる。
「サングラスを貸してくれ」、「ジャケットちょうだい」、「カメラ見せて」と何にでも興味を持つし、そのジェスチャーがオーバーで面白い。彼女は一通り興味を示した後、何の脈略もなく大胆発言をした。
「ワタシと結婚してくれ」と。
はい??もう一度確認すると、今度は英語で「だから結婚してくれないか」と繰り返した。
周りの女性たちはヒューヒュー囃し立て、「ファティマかわいいでしょ。」「彼女気に入った?」と後押しする。
そういえば、宿のオーナーである典子さんからこんな話を聞いていた。このメルズーカ周辺の地元男性は、旅行者との国際結婚が多く、そのため若い独身女性が残ってしまっているのだと。とすると、適当な若い地元男性が見つからないため、国際結婚を狙って観光客である僕にプロポーズをしたという訳だろうか?
しかし会って10分で結婚と言われても。結婚というのはもっとほらお互いを知らないとダメだし、相手の家族のことも考えなくては。さらには国際結婚となると文化や生活習慣の違いもあるわけだし。そもそも僕は君の事をまだあまりわかってないよ。
なんて、真剣に考えて、ウジウジ答えを保留していたら、彼女は「もう、はっきりしない人!」と怒ったジェスチャーをして、さっさと下っていってしまった。
あれ、プロポーズされて、3分で振られたの?
周りの女性たちは大笑いしてファティマの後について去っていく。隣でニヤニヤしている少年に彼女の歳を聞くと、たぶん18歳か19歳だという。
若い!!!モロッコで国際結婚して、砂漠の町で15歳年下の女房をもらって、のんびり生活するのも悪くはないなぁ。そこで僕は小さなネット屋でも開き、奥さんはパンでも焼いて、子供3人とラクダ2頭、ロバ1頭と一緒に暮らすか。。。
なんて、ニヤニヤ妄想していたら、雨雲のような大きな黒い雲が、砂漠に被さるよう目前に迫っていた。隣の少年は、いつしか頂上を勝手に下り始めていて、僕一人がぽかんと取り残されていた。もはや妄想やら夕日を見るどころではない。早く戻らないと雨にヤラレル!大慌てで僕も皆の後を追っていった。
宿に戻って、典子さんにこの話を伝えると、「地元の女性はたとえ砂漠の頂上であっても絶対にそんなことはしないはず。」と信じてくれない。挙句の果てには、砂漠で夢を見たのではないかと言われる始末。
砂塵とともに消えたプロポーズ。蜃気楼のように不思議で、おかしな砂漠での一時だった。
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ある旅行者から、モロッコのメルズーカというサハラ砂漠の町に、密かに宿を経営する日本人女性カメラマンがいるという情報を聞いた。その宿の居心地はすこぶるイイという評判だ。そんな僻地の村に住んでいる日本人とはいったいどんな人物なんだろう。会ってみたいし、話してみたい。
そこでメールでコンタクトを取り、ワルザザードからその宿目指して早朝からバスに飛び乗った。ここからメルズーカへの直通バスはなく、バスとタクシーを何度も乗り継がねばならないという。
以前にも書いたが、モロッコは客引きが多い国。観光の目玉であるサハラ砂漠に近づくにつれ、その度合いも激しくなっていくという。図らずもそれを身を持って実感できた一日であった。
まず、ワルザザードからのバスの車中から早速、営業攻撃が始まった。「俺の住む町でGOODなツアーが手配できるからどうだ?」と。バスの道中ずっと一緒だったので断るのに一苦労。休憩した町からも、ツアー売り込み兄ちゃんが乗車してきて、声を掛けてくる。「ワタシ、少し日本語ワカリマス。」「とにかくもう予約しちゃったんだ。ごめんね。」こう言って、彼らの言葉巧みな営業からうまく逃れるしかない。
終点エルフードのバス停では、大勢の客引きがすでに待ち構えていた。大きな旅行カバンに、アジア人顔。いかにも旅行者のそれと分かる格好だから逃れようがない。答えるのが面倒くさいほど、対応に明け暮れる。
いい加減疲れた!そこでカフェに逃げ込むことに。すると、お客だと思っていた隣の席の兄ちゃんから営業を掛けられる始末。
ゆっくり休む暇もない。うっとうしいので、すぐに席を離れ、次の乗り継ぎ地リッサニ行きのグランドタクシー(7人の相乗りセダン)をすぐ様捜しだすことにした。その乗り場がよくわからず、ウロウロしていると親切そうなオジサンが案内してくれた。「この車に乗れ」と。しかし、乗り込むと突然、砂漠ツアーへ行くと言い出した。はい?これはリッサニ行きじゃないの。しまった、まんまと騙された!!
正規のタクシーに乗り換え、リッサニに着いてからも、営業攻勢は終わらない。あの手この手で僕の行く手を遮ろうとする。「君が行くところより値段を安くするよ。」「他にも行く人がいるからディスカウントするよ。」「そこのホテルはよくないよ。」「もう無くなったよ。」「一緒に提携しているホテルなんだ、だから行こう。」
・・・君たちの努力はよ〜くわかった。でも今回は別に決めているんだ、もういい加減あきらめてくれよ〜。
リッサニからは逃げるようにベルベルバスと呼ばれるオンボロ巡回バスに乗って、やっとお目当ての宿へ到着。名前を「WILDERNESS・LODGE」という。宿のオーナー典子さんに聞くとここまで辿り着く前に、客引きに負けて、他の宿へ連れてかれてしまう日本人旅行者も多いという。
だって、ここまでたどり着くのにめちゃめちゃWILDなんだもん。 -
サハラ砂漠に近いメルズーカ・ハッシュドベルにある日本人宿「WILDERNESS・LODGE」。ここはオーナーのノリコさんが拘りを持って作った隠れ家的な宿だ。
ノリコさんはパリに10年ほど住んでいたこともあってか、宿には洗練された雰囲気が漂う。庭には赤、白、黄とたくさんの花が咲き、中央には小さな噴水。ベルベル母家風のお城のような可愛い外観に、落ち着きあるテラス、日本風の竹で覆われたリビング。僕のようなオッサン一人だと、少し気恥ずかしくなってしまうぐらい小洒落た趣きがある。しかし、いつの間にか自分の家のようにのんびり寛いでしまうのは、友人のように気を使わないでいい、ノリコさんの人柄のせいだからだろうか。
各部屋にはノリコさんが撮ったモロッコの写真が飾られている。全て白黒で、光と影のコントラストが絶妙にうまい写真だ。そう彼女は年に1度はパリで個展を開くカメラマンでもあるのだ。
小柄な風貌からは想像できないほど、彼女はパワフルな経歴の持ち主。かつて日本の旅行会社で働き、友人と格安航空券の会社を立ち上げる。会社を軌道に乗せた後は、友人に譲り、単身パリへ旅立った。そしてフランス語学校へ2年通い、絵画から写真学校へと行き着く。ある日、友人とモロッコ旅行に来た時に、この砂漠の町の素晴らしさに魅了されたという。それからは写真のため、モロッコとパリを行き来する日々。そして、一番気に入った町ハッシュドベルで、隣の人から土地を借り、500万円程の資金で宿を建てる。モロッコ政府の正式認可に時間がかかったりしながらも、2005年10月に宿は無事にオープンする。
ちなみにこの宿の由来は、ここを訪れたドイツ人旅行者が、タイとラオスの国境にあるホテルに似ていて、とても落ち着ける所だと語ってくれたからだという。サハラ砂漠が目の前にそびえるシチュエーションは、正にWILDERNESS(荒野)という表現がぴったり当てはまる。
しかし、実はモロッコと日本との見えない国境を結ぶ、という深いメッセージがこのホテルの名前には隠されている。
なんてことをノリコさんに言うと、「ぜんぜんそんなことないわよ」と笑って一蹴されてしまった。でもそういって笑ったノリコさんの表情は満更でもなさそうだった。
彼女は高知県出身なんだけど、パリもよりもここメルズーガの方がすごく合うのだという。一日中、本を読んでぼっーとする。この時間がたまらくなく好きだという。町はとても静かで、人も穏やかでやさしい。
「やっぱり田舎育ちだから、この町が合うのかしら。」
僕も名古屋の外れの田舎育ち。だから、この何も無い町が好きだ。そしてノリコさんみたいに自分に合う町でいつか自分の宿を世界の何処かで開いてみたいと思った。 -
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メルズーカの外れのギアナ音楽。おすすめですよ!
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