2007/03/23 - 2007/03/23
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フーテンの若さんさん
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「目の前に山があるから、山に登るのさ」
登山家とサーファーは言葉では言い表せない何か共通する魂のようなものを持っていると思う。もしサーファーがなぜ海に行くのと問われれば、同じ答えをするであろうからだ。同じ匂いのする登山家の快楽とはどんなものなのか?それを知るために、たまには山をトレッキングしてみるのも悪くない。そして折角するのであれば、記念に氷河の上を歩いてみようと思い、エル・チャルテンまで行ってみた。
偶然、起点となるエル・カラファテの町で良きパートナーを得た。アルゼンチンを2週間旅をしている20代後半男性のT君。元ボーイスカウト経験者で山のことを何も知らない僕にとって何とも心強い。本当はウプサラ氷河ツアーを考えていた彼を無理くり口説いて連れて来てしまっていた。
エル・チャルテンまではバスで4時間30分。町でテント、寝袋、マットと山の装備一式を借りる。僕の自前の運動靴ではアイゼンとやらが付けることができないのでダメだという。仕方ないのでさらにトレッキングブーツ、雪山用グローブも借りて準備を万端に整える。
問題は、僕のカバンが小さすぎて荷物が入らないことだった。僕のカバンは20リットルのデイパック。食料だけでパンパンで寝袋すらも入らない。T君は70リットルの本格バックパックだったので、テントもマットも持ってもらうことになった。僕から誘っておきながら本当にカタジケナイ。
明日の朝、氷河トレッキングのカイドと現地でおち合うことにして、僕らは本日中にキャンプ場へ向かうことにした。この時点で18時過ぎ。キャンプ場まで3時間。果たして明るいうちにテント設営は間に合うだろうか。
そう心配していた矢先にキャンプ場入り口の場所がわからず迷う。町をうろうろ彷徨い1時間近くロスしてしまった。入り口に着いたのは既に19時前。ここからは駆け足でキャンプ場へ向かう。
と思いきや、わずか10分で足に痛みが発生!足にジャストフィットするサイズがなかったので、ブカブカの大きめのシューズを借りたのが原因らしく靴擦れを起こしたらしい。結局、自分の靴に履き替え、再度出発するはめに。
順調と思ったのはたったの30分で、今度はろくに使っていない足と腰が悲鳴を上げた。サーファーは普段歩かないからダメなのだ。鍛えたパドル筋は登山ではまったく必要ないというか通用しない。更に完治していないお尻も疼き出した。山を登るのに息が続かない。もうしんどい。足が進まない。そんな僕を置いて、T君はどんどん先にいってしまう。基礎体力が違うのか、年齢が違うからなのか。
そして辺りは否応なしにどんどん暗くなって来た。四の五の言ってはいられない。とにかく先を急ぐしかないのだ。
21時を過ぎると完全に日は暮れ、真っ暗闇の世界。歩き始めて3時間。まだキャンプ場は見えない。懐中電灯がなければ足元すら何も見えない。そろそろキャンプ場に到着してもいいはずなのだが。途中で道も無くなっており、とても不安だ。標識を見ることももはやできない。途方に暮れてながらも、ただひたすら歩いていると、近くで話し声が聞こえる。急いで声を張り挙げ、助けを求める。何人だがわからないが欧米人だ。キャンプ場の場所を確認すると、とっくに超えているという。藁にもすがる思いで、案内してもらい、目的地にようやく到着。いやー、危なかった。肉体的にも精神的にもクタクタですわ。
えっ?これからキャンプ設営しないといけないの?もういいやん、寝袋だけで。そんな僕の面倒くささをよそにT君は黙々とテントを設営していく。ははーん、なるほど。これがそうなるんですね。と横で評論家のようにいらぬ解説ばかりで、何も出来ない僕。
99%T君のお陰でテントが完成するなり、僕は即効寝た。はっきりいってもう帰りたい。なんでお金払ってこんな苦労せなかんねん。毀れんばかりの星空に向かって明日は疲れない楽しい一日でありますようにと、遠足前の小学生レベルのお願いをしつつ就寝。
登山家の悦というやつは今のところ、さっぱりわからない。
翌朝どんより曇っている。今にも雨を降らせんと暗く厚い雨雲が目の前で待機していた。
テントと寝袋を仕舞うのもほとんどT君がやってくれた。僕は寝袋すらうまく折り畳めない。彼がいなかったらどうなっていたことか。彼を誘えた自分のスカウト力に感謝しつつ、今度は本当のボーイスカウト力とやらを磨こうと思ってみたりする。
集合場所のキャンプ場でイングランド人旅行者のエレナとガイドのルイスと合流し、氷河までの道のりをまたトレッキング。昨日の疲れも取れておらず、氷河まででもう充分疲れた。この日はやはり天候が悪く、時折冷たい雨が振る。そして荒れ狂わんばかりの突風が真横から吹き付けてきた。
いよいよアイゼンを着けて、氷河を歩く。準備の間に、風でサングラスが二回飛ぶ。生まれて初めての氷河トレッキングは風がなければそれほど怖くはない。しかし、急斜面やクレバスがあるところで風が吹くと、かなり危険度が高い感じ。マジで踏ん張らなくては、軽く身体ごと吹き飛ばされそうなのだ。コレ本当に危険だわ。雪山で遭難する人、風で飛ばされる人、クレバスで滑落する人の気持ち、ちょっとだけ体感できました。
そうこう考えている間に、T君が下り坂で足が縺れて思いっきりコケた。その瞬間、突風が吹き降ろしたため、T君の体がふわっと宙に浮かんだのだ。後ろにいた僕はその瞬間がスローモーションのように美しく見えたのをはっきり覚えている。氷河の上を横回転で飛んでいくT君は、一瞬一瞬がとても尊いものであるように感じたのだ。跳んでいる様はまるでアイススケーターの回転ジャンプのようでもあり、湖上を跳ねる特大のブラックバスのようでもあった。とにかく頭の中で鮮明な連射モードが描けるほど、とても印象的で強烈な出来事だった(幸いにもT君に怪我はなかった)。
何度も頭でリフレインしているうちに、気が付くと僕の雪山用グローブの左手側がなくなっていた。どこかで風に飛ばされてしまったようだ。恐るべし、氷河の突風。というかレンタルだから弁償せねばならない。風邪ならぬ風の保険は利くのだろうか(結局、50ペソ弁償させられる)。
2時間ほど氷河のトレッキングを楽しみ、町への帰路につく。帰りは雨が常時、降り続け、疲労もピークとなり、最悪だった。見るからにヘトヘトの僕のため、T君は僕の寝袋まで背負ってくれた。力持ちで頼りになり、氷河上のダンスまで見せて楽しませてくれたT君には大感謝。氷河で転んでもまったく弱音を吐かなかった彼こそ山男と呼ぶに相応しい。
危険が多すぎる山は、僕にはちょっと向いてないのかもしれない。目の前に山があったら登るより先に、まずは良きパートナーを見つけることが重要ですな。
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