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別名「パタゴニアの白い妖精」と呼ばれる「フイッツ・ロイ山」。<br />風の国パタゴニアでアウトドアを志す者ならば、この山は登るべき山らしかった。<br /><br />山登りというのは不思議なもので、一度登ればそこら辺の山全てを踏破したくなってくる。<br />(ヤマダ電気のポイント制度と似ているかもしれない)<br /><br />とにかく、パイネ山もグレイ氷河もペリト・モレノ氷河も制覇した現在、残るはこの白い妖精だけだった。<br /><br />何が白い妖精かはわからぬまま、黒い東洋人はまたバックパックを背負った。

PATAGONIA/Mt.FITZ ROY(パタゴニア・フイッツ・ロイ山)の白い妖精を探しに

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1998/01/11 - 1998/01/11

82位(同エリア95件中)

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北風

北風さん

別名「パタゴニアの白い妖精」と呼ばれる「フイッツ・ロイ山」。
風の国パタゴニアでアウトドアを志す者ならば、この山は登るべき山らしかった。

山登りというのは不思議なもので、一度登ればそこら辺の山全てを踏破したくなってくる。
(ヤマダ電気のポイント制度と似ているかもしれない)

とにかく、パイネ山もグレイ氷河もペリト・モレノ氷河も制覇した現在、残るはこの白い妖精だけだった。

何が白い妖精かはわからぬまま、黒い東洋人はまたバックパックを背負った。

同行者
一人旅
交通手段
高速・路線バス
  • 旅日記<br />『チャルテン村にて』<br /><br />カラファテからツアーバスで2時間、やっとチャルテン村が見えてきた。<br />(それにしても、バス代がUS$25とはどういう事だ!)<br /><br />バスは小さな村の妙にでかいユースホステルの前で急ブレーキをかけた。<br />ここが終点なのか?<br />いかにも金持ち白人ツーリストらしき方々が、真新しい登山靴をドカドカ鳴らしながら、そのままユースのドアに吸い込まれている。<br />レセプションで話しかける言葉はそれぞれなのだが、気になるのは誰も彼も「予約していた・・」と言う修飾語で会話が始まっている事だ。<br /><br />・・・これは、もしかして?<br />案の定、レスプションのお姉ちゃんが「予約がなきゃ今日はだめよ!」と、のたまった。<br />しまった!<br />夏の短いパタゴニアでは、この時期ツーリスト・ラッシュだった!<br /><br />さて、歩いて30分で周れるこの村を、2時間近く探し回ってやっと見つけた最安値のホテルは、なんと1泊US$50!<br />「テントを持参してくれば・・」と悔やんだが、後の祭り。<br />背に腹はかえられない。<br />野宿にはパタゴニアの夜は寒すぎる。<br /><br />ここまで来たら、何が何でも明日、フィッツ・ロイに登ってやる!

    旅日記
    『チャルテン村にて』

    カラファテからツアーバスで2時間、やっとチャルテン村が見えてきた。
    (それにしても、バス代がUS$25とはどういう事だ!)

    バスは小さな村の妙にでかいユースホステルの前で急ブレーキをかけた。
    ここが終点なのか?
    いかにも金持ち白人ツーリストらしき方々が、真新しい登山靴をドカドカ鳴らしながら、そのままユースのドアに吸い込まれている。
    レセプションで話しかける言葉はそれぞれなのだが、気になるのは誰も彼も「予約していた・・」と言う修飾語で会話が始まっている事だ。

    ・・・これは、もしかして?
    案の定、レスプションのお姉ちゃんが「予約がなきゃ今日はだめよ!」と、のたまった。
    しまった!
    夏の短いパタゴニアでは、この時期ツーリスト・ラッシュだった!

    さて、歩いて30分で周れるこの村を、2時間近く探し回ってやっと見つけた最安値のホテルは、なんと1泊US$50!
    「テントを持参してくれば・・」と悔やんだが、後の祭り。
    背に腹はかえられない。
    野宿にはパタゴニアの夜は寒すぎる。

    ここまで来たら、何が何でも明日、フィッツ・ロイに登ってやる!

  • 朝5時半、眠い目をこすりながらチャルテン村を出発!<br />目指すは、フィッツ・ロイ!<br /><br />朝焼けが息を呑むほど美しい!<br />黄金色に輝く雲のカーテンが、次第に白銀色へと変わってゆく。<br />

    朝5時半、眠い目をこすりながらチャルテン村を出発!
    目指すは、フィッツ・ロイ!

    朝焼けが息を呑むほど美しい!
    黄金色に輝く雲のカーテンが、次第に白銀色へと変わってゆく。

  • 旅日記<br />『登山口』<br /><br />村を抜けると、そこは・・急斜面だった。<br /><br />村はずれのキャンプ場の奥は、登山スタイルできめたツーリストが集まっていた。<br />「早く行きゃぁいいものを!」とぼやきながら近寄ると、「登山口はこちら」との矢印が目にとまる。<br />矢印が左45度上方を指しているのは誰かのいたずらだろうか?<br /><br />いぶかる俺の頭上から、人の声がする。<br />振り仰ぐと、なんと人が登っていた。<br /><br />パタゴニアは現在春満開。<br />あたり一面に黄色い花のじゅうたんが敷かれる中、爽やかとは程遠い試練が始まった。

    旅日記
    『登山口』

    村を抜けると、そこは・・急斜面だった。

    村はずれのキャンプ場の奥は、登山スタイルできめたツーリストが集まっていた。
    「早く行きゃぁいいものを!」とぼやきながら近寄ると、「登山口はこちら」との矢印が目にとまる。
    矢印が左45度上方を指しているのは誰かのいたずらだろうか?

    いぶかる俺の頭上から、人の声がする。
    振り仰ぐと、なんと人が登っていた。

    パタゴニアは現在春満開。
    あたり一面に黄色い花のじゅうたんが敷かれる中、爽やかとは程遠い試練が始まった。

  • 最初の急斜面を登りきると、なかなか整備されている登山道が現れた。<br /><br />天気もいいし、空気も美味い!<br />足取りも軽く、あっと言う間にギザギザフィッツ・ロイが見えてきた。<br /><br />が、しかし、コース沿いに無数に転がる倒木が同方向に並んでいるのが気にかかる。<br />ここは「風のパタゴニア」、もしかしてこれは突風が作り出した風景なのか?

    最初の急斜面を登りきると、なかなか整備されている登山道が現れた。

    天気もいいし、空気も美味い!
    足取りも軽く、あっと言う間にギザギザフィッツ・ロイが見えてきた。

    が、しかし、コース沿いに無数に転がる倒木が同方向に並んでいるのが気にかかる。
    ここは「風のパタゴニア」、もしかしてこれは突風が作り出した風景なのか?

  • 魚は見えるほど釣れないと言う。<br />山は近くに見えるほど・・・

    魚は見えるほど釣れないと言う。
    山は近くに見えるほど・・・

  • 旅日記<br />『フィッツ・ロイに抱かれて』<br /><br />「ガア、ガア、ガア」と、野鴨らしき親子が隊列を組んで、目の前を歩いている。<br /><br />一回りでかい親鴨がジャンプ一番小川に飛び込むと、子鴨が後に続いてためらいながら飛び込んだ。<br />

    旅日記
    『フィッツ・ロイに抱かれて』

    「ガア、ガア、ガア」と、野鴨らしき親子が隊列を組んで、目の前を歩いている。

    一回りでかい親鴨がジャンプ一番小川に飛び込むと、子鴨が後に続いてためらいながら飛び込んだ。

  • 小川が続くその先には、かなり近くなったフィッツ・ロイのギザギザ頭が空に突き刺さっている。<br />厳しい自然が削り上げたその形は、ビックリするほど鋭い。<br /><br />

    小川が続くその先には、かなり近くなったフィッツ・ロイのギザギザ頭が空に突き刺さっている。
    厳しい自然が削り上げたその形は、ビックリするほど鋭い。

  • ん?俺は以前これと似たような風景を見た気がする。<br /><br />そう、この鋭いギザギザが3つなら、チリで登ったパイネ山だ。<br /><br />パイネの豪華版なのか?<br /><br />

    ん?俺は以前これと似たような風景を見た気がする。

    そう、この鋭いギザギザが3つなら、チリで登ったパイネ山だ。

    パイネの豪華版なのか?

  • この登山ルートの素晴らしい所は、常にフイッツ・ロイ山を正面に見据えながら歩ける所だろう。<br /><br />少しずつ、少しずつ、山が近づいてくる。

    この登山ルートの素晴らしい所は、常にフイッツ・ロイ山を正面に見据えながら歩ける所だろう。

    少しずつ、少しずつ、山が近づいてくる。

  • 歩き続けて4時間経過、最後の難関の急なガレ場を登りそして降りる。<br /><br />ふと記憶に蘇るものがある。<br />俺はつい最近、これと同じ様な事をした気がするのだが・・・<br /><br />そう、チリで登ったパイネ山でも、こんなシチェーションで1歩登れば3歩ずり落ちていたような・・・<br /><br />もしかして、パイネの裏側がフイッツ・ロイだったらシャレにならないのだが・・・

    歩き続けて4時間経過、最後の難関の急なガレ場を登りそして降りる。

    ふと記憶に蘇るものがある。
    俺はつい最近、これと同じ様な事をした気がするのだが・・・

    そう、チリで登ったパイネ山でも、こんなシチェーションで1歩登れば3歩ずり落ちていたような・・・

    もしかして、パイネの裏側がフイッツ・ロイだったらシャレにならないのだが・・・

  • ガレ場を登りきると、そこは・・<br />そこはパイネ山もとい、「フイッツ・ロイ」だった。<br /><br />うーん、何だこのゆるい感情は?<br />この壮大で美しい景色を目の前にして、何故ちょっと前の思い出がダブるんだ?

    ガレ場を登りきると、そこは・・
    そこはパイネ山もとい、「フイッツ・ロイ」だった。

    うーん、何だこのゆるい感情は?
    この壮大で美しい景色を目の前にして、何故ちょっと前の思い出がダブるんだ?

  • 万年雪が溶けてできた湖、<br />その背景にそびえるギザギザの山、<br />おかしい?<br />ここは本当にパイネじゃないのか?<br /><br />確かに地図上では、パイネはこのフィッツ・ロイと同じ山脈上にあるのだが・・

    万年雪が溶けてできた湖、
    その背景にそびえるギザギザの山、
    おかしい?
    ここは本当にパイネじゃないのか?

    確かに地図上では、パイネはこのフィッツ・ロイと同じ山脈上にあるのだが・・

  • 湖を抜ける風が、汗だくの身体に心地いい。<br />・・・5分前までは。<br /><br />寒い!<br />この登山の最終地点が湖なのは、なかなかいいシチュエーションなのだが、冷たい万年雪が溶けた天然のクーラーBOXの中にいる現実が肌身に染みてきた。<br /><br />とりあえず、失ったカロリーを補う為に昼飯を食べる事にした。<br />

    湖を抜ける風が、汗だくの身体に心地いい。
    ・・・5分前までは。

    寒い!
    この登山の最終地点が湖なのは、なかなかいいシチュエーションなのだが、冷たい万年雪が溶けた天然のクーラーBOXの中にいる現実が肌身に染みてきた。

    とりあえず、失ったカロリーを補う為に昼飯を食べる事にした。

  • 眼前にそびえる切り立った一枚岩。<br />標高3440mのフイッツ・ロイ山頂はまるで深い青の空に突き刺さっているみたいだった。<br /><br />白い妖精と言う女性的な優しい表現ではなく、もっと荒々しいイメージだ。<br /><br />じゃあ、黒い悪魔?

    眼前にそびえる切り立った一枚岩。
    標高3440mのフイッツ・ロイ山頂はまるで深い青の空に突き刺さっているみたいだった。

    白い妖精と言う女性的な優しい表現ではなく、もっと荒々しいイメージだ。

    じゃあ、黒い悪魔?

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