彫刻の森

2007/02 - 2007/02

「彫刻の森」と言ったら、わかりやすいだろうか。バーゼルから電車とバスを乗り継いで１時間強、ジュラの山中にあるシェーンタール（Schönthal）には野外彫刻美術館がある。

エリア その他の観光地(スイス)

修道院の教会だった建物の外側を保存しながら内側をギャラリーに改装し、「美しい谷」と名付けられたその周辺を彫刻の展示場所とした。美しいファサードをもつこの元教会は、スイスのロマネスク建築として貴重なものなのだそうだ。

ギャラリーでは、バーゼル出身の芸術家ティンガリーの作品が展示してあった。ティンガリー得意の動く芸術。歴史的な建物の中に現代芸術の作品。静謐さを湛える入れ物と軋みながら動く展示品。対照的な二つがなぜか心地よく収まっている。

一見場違いに見えるが、現代彫刻があるスイスの風景も意外に悪くない。数は３０に満たないが、ジュラの自然に溶け込むような配置された現代彫刻。日常と非日常が交錯する。

スイスは、昔からの伝統を守る保守的な国と見られることも多いが、実は現代建築や現代美術を始めとする時代の先端をいく文化に寛容なところがある。ロマネスク教会と現代芸術、牧草地に野外彫刻。このシェーンタールもそんなスイスの一面を鮮やかに写し出している美しい谷なのだ。