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ブダペストからクロアチアのザグレブまで列車で向かうため、南駅で切符を買った。(5125Ft。)<br /><br />この日でハンガリーは最後なので、小銭を処分するために売店でコーラを買おうとした。その売店のお姉さんは、ぶっきらぼうに見えるのだが実は親切で、<br />「手、広げてみ。」<br />とゼスチャーで訊いてきた。有り金全部のコインを手に広げて見せると、<br />「このパンも買えるよ」<br />と、パンを付けてくれた。<br />気分良く食料を手にし、2等車に乗り込む。<br /><br />コンパートメントは3人が向かい合って6人座るタイプだ。コンパートメントによっては、一人で向かい側の席に足を乗せているような人もいたのだが、こんなものなのかもしれない。<br /><br />5人で座っているコンパートメントで、勇気を出して「そこ、空いてる?」と聞き、なんとか座れた。<br /><br />コンパートメントのメンツは、若いグループ(男3人、女1人)と、年配のおじさん1人。若い人たちは、明るく、何かと声をかけてくれたので、楽しく過ごせた。若い人たちは、「ドイツ語は分かるけど英語はダメ」ということだったので、言語による会話は少なかったのだが、ゼスチャーでなんとかなるものである。困った時は、地球の歩き方の後ろの方に載っている単語だけをしゃべったり指差したりした。青年たちのゼスチャーだけで僕が意味を理解できたのは・・・<br />・「ドイツ語とマジャール語しかわからない」<br />・「ショーア(ビール)飲むか?」<br />・「タバコは向かいの顔にかからないように、上に吐かないとダメだよ。」<br />などなど。青年たちもなかなか身振り手振りが大きかったので分かりやすかった。<br /><br />彼ら若者は、ブダペストに近い駅で降り、その後はそれまで比較的無口だったおじさんと二人きりになった。ちょっと気まずくなりそうな気もしたのだが、後から考えると、このおじさんとのゼスチャーのみの会話が、一番深いコミュニケーションとなった。このおじさんは英語も話さないのに!<br /><br />最初は、指差しだけで、列車の前後方向を指して、<br />「これからどこへ行くんだ?」<br />と聞いてきた。僕がザグレブと答えると、彼は「イゲン、イゲン」と何度もうなずいた。ちょっと場の空気が和らいだので、ほっとした。さらに、胸にバッジがあるような仕草と拳銃を腰に差す仕草で、<br />「わたしは警察官なんだよ」<br />と言った。さらに指差して<br />「オランダに出張にいってて、その帰りなんだ」<br />とも。<br /><br />ここで、僕も何かしゃべろうと思ったのだが、マジャール語は「こんにちは」と「ありがとう」くらいしか知らなかった。そこで、地球の歩き方を広げ、「日曜日」を指差した。すると、彼も理解したようで、銃で狙う真似と、つり竿を持つ真似をして、<br />「休みの日はシカを撃ちにいったり、釣りをしてるね」<br />と教えてくれた。無口なのだけど、なかなかゼスチャーが巧い!<br /><br />しばらくの間、いろいろと単発の単語で会話をしている間に、彼の降車するナギカジジャが近づいてきた。すると彼は、紙に「1999 2000 2001」と書いて、<br />「お前はこの年はハンガリーに来るか?」<br />「この年はどうだ?」<br />「じゃあ、この年は?」<br />と順番に聞いてきた。貧乏学生がヨーロッパにすぐに来れる訳がなく、<br />「残念だけど、すぐには来ない」<br />と答えた。すると、紙に名前と住所を書いて<br />「これがわたしの住所だから、日本に帰ったら手紙を書いてくれ」<br />といって渡してくれた。<br /><br />僕は帰国後、彼に手紙を書いた。マジャール語は分からないので、英語で。<br />すると、しばらくして、彼の娘さんが英語で代筆して返事を送ってくれた。その中で、「なぜ英語のわからない父が、あなたと会話出来たのかがわからない」と驚きつつも、僕からの手紙を非常に喜んでいる、ということだった。手紙には、彼の家や家族の写真が同封されていた。今も手紙や写真は大切にとってあり、思い出とともに僕の宝物となっている。<br /><br />彼がコンパートメントを出る前に、ふと思い出したように振り返り、<br />「俺はこの駅で降りるけど、スリには気をつけろよ。」<br />とゼスチャーで忠告してくれた。刑事コロンボの「あ、そういえばね・・」みたいで可笑しくて、今でも鮮明に覚えている。<br /><br />ハンガリーでは、最後の最後で人の優しさに触れ、良い思い出ができた。<br /><br />・・右も左もわからない日本人の若者に優しくしてくれた、Jozsef、ありがとう。<br />あの後、スリには遭わなかったよ。

ハンガリー~クロアチア 車中での思い出

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1998/09/05 - 1998/09/05

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Finch

Finchさん

ブダペストからクロアチアのザグレブまで列車で向かうため、南駅で切符を買った。(5125Ft。)

この日でハンガリーは最後なので、小銭を処分するために売店でコーラを買おうとした。その売店のお姉さんは、ぶっきらぼうに見えるのだが実は親切で、
「手、広げてみ。」
とゼスチャーで訊いてきた。有り金全部のコインを手に広げて見せると、
「このパンも買えるよ」
と、パンを付けてくれた。
気分良く食料を手にし、2等車に乗り込む。

コンパートメントは3人が向かい合って6人座るタイプだ。コンパートメントによっては、一人で向かい側の席に足を乗せているような人もいたのだが、こんなものなのかもしれない。

5人で座っているコンパートメントで、勇気を出して「そこ、空いてる?」と聞き、なんとか座れた。

コンパートメントのメンツは、若いグループ(男3人、女1人)と、年配のおじさん1人。若い人たちは、明るく、何かと声をかけてくれたので、楽しく過ごせた。若い人たちは、「ドイツ語は分かるけど英語はダメ」ということだったので、言語による会話は少なかったのだが、ゼスチャーでなんとかなるものである。困った時は、地球の歩き方の後ろの方に載っている単語だけをしゃべったり指差したりした。青年たちのゼスチャーだけで僕が意味を理解できたのは・・・
・「ドイツ語とマジャール語しかわからない」
・「ショーア(ビール)飲むか?」
・「タバコは向かいの顔にかからないように、上に吐かないとダメだよ。」
などなど。青年たちもなかなか身振り手振りが大きかったので分かりやすかった。

彼ら若者は、ブダペストに近い駅で降り、その後はそれまで比較的無口だったおじさんと二人きりになった。ちょっと気まずくなりそうな気もしたのだが、後から考えると、このおじさんとのゼスチャーのみの会話が、一番深いコミュニケーションとなった。このおじさんは英語も話さないのに!

最初は、指差しだけで、列車の前後方向を指して、
「これからどこへ行くんだ?」
と聞いてきた。僕がザグレブと答えると、彼は「イゲン、イゲン」と何度もうなずいた。ちょっと場の空気が和らいだので、ほっとした。さらに、胸にバッジがあるような仕草と拳銃を腰に差す仕草で、
「わたしは警察官なんだよ」
と言った。さらに指差して
「オランダに出張にいってて、その帰りなんだ」
とも。

ここで、僕も何かしゃべろうと思ったのだが、マジャール語は「こんにちは」と「ありがとう」くらいしか知らなかった。そこで、地球の歩き方を広げ、「日曜日」を指差した。すると、彼も理解したようで、銃で狙う真似と、つり竿を持つ真似をして、
「休みの日はシカを撃ちにいったり、釣りをしてるね」
と教えてくれた。無口なのだけど、なかなかゼスチャーが巧い!

しばらくの間、いろいろと単発の単語で会話をしている間に、彼の降車するナギカジジャが近づいてきた。すると彼は、紙に「1999 2000 2001」と書いて、
「お前はこの年はハンガリーに来るか?」
「この年はどうだ?」
「じゃあ、この年は?」
と順番に聞いてきた。貧乏学生がヨーロッパにすぐに来れる訳がなく、
「残念だけど、すぐには来ない」
と答えた。すると、紙に名前と住所を書いて
「これがわたしの住所だから、日本に帰ったら手紙を書いてくれ」
といって渡してくれた。

僕は帰国後、彼に手紙を書いた。マジャール語は分からないので、英語で。
すると、しばらくして、彼の娘さんが英語で代筆して返事を送ってくれた。その中で、「なぜ英語のわからない父が、あなたと会話出来たのかがわからない」と驚きつつも、僕からの手紙を非常に喜んでいる、ということだった。手紙には、彼の家や家族の写真が同封されていた。今も手紙や写真は大切にとってあり、思い出とともに僕の宝物となっている。

彼がコンパートメントを出る前に、ふと思い出したように振り返り、
「俺はこの駅で降りるけど、スリには気をつけろよ。」
とゼスチャーで忠告してくれた。刑事コロンボの「あ、そういえばね・・」みたいで可笑しくて、今でも鮮明に覚えている。

ハンガリーでは、最後の最後で人の優しさに触れ、良い思い出ができた。

・・右も左もわからない日本人の若者に優しくしてくれた、Jozsef、ありがとう。
あの後、スリには遭わなかったよ。

同行者
一人旅
交通手段
鉄道
  • ホームは低くて、線路がすぐそこにあります。<br />プラットフォームから線路に降りて駅舎へ、という駅もありました。<br /><br />(これは違う日に取った写真です。ザグレブへ行く途中では写真を撮れなかったので・・)

    ホームは低くて、線路がすぐそこにあります。
    プラットフォームから線路に降りて駅舎へ、という駅もありました。

    (これは違う日に取った写真です。ザグレブへ行く途中では写真を撮れなかったので・・)

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