2007/02/21 - 2007/02/21
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フーテンの若さんさん
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拝啓 ラ・パスの日本人会館で出会ったお父さん
昨日の日本人会館で行われた仮装ダンスパーティーはとても楽しい一時でした。移住者、日系人、ボリビア人たちと一緒にツイストしたり、ゴーゴーダンスできたのは日本では味わえない素晴しい経験でした。あれほど無邪気に笑えたのは何年振りでしょうか。
ただ踊り過ぎて未だに筋肉痛が直りません。なので今日は宿でゆっくり休むことにしました。
さて、ダンス会場の片隅でお父さんが僕にした質問を覚えていますか?僕は今でも一言一句忘れられません。
「なぜ、あんたは旅をするのか?」
お父さんは続けてこう言いましたね。
「あんた以外にも過去にたくさんの旅行者と会った。中には数年も放浪している夫婦、会社を辞めて世界一周している若者もいた。彼らは一様に長期の旅を楽しんでいるように見えるが、その先の夢を持っていないんだ。なーにもない。空っぽなんだよ。ガイドブックに書いてある有名どころをまわるだけなんだ。」
「そりゃ、気ままで羨ましいよ。でもさ、その反面虚しさを感じてしまうんだ。あんたたちはまだ若いのに、その先の夢を持っていないのか?」
あのとき、突然の質問だったことと音楽のボリュームが大きすぎたことで、きちんと答えることができませんでした。だからこの手紙でお答えさせて頂きます。
僕には夢があります。
それは『日本に戻って仕事に就いて、結婚をして、子供をつくること、家庭をつくり、長生きすること』。そんな当たり前の生活をすることです。
えっ、そんなの当たり前だって?でもその当たり前の大切さを今の日本にいると忘れてしまうのです。長期の旅を経て、僕はそのことにやっと気付きつつあります。
お父さんはボリビアに移住して40年と聞きました。今までの苦労からすると、働かず自由に放浪する僕らは特異な目でしか見れないでしょう。お父さんはこう言いましたね。
「ボリビア人なんて旅なんて考えられないぞ。月に200〜300ドルの給料で日々働くことで精一杯なんだ。」
そういう意味では日本は恵まれているのかもしれません。仕事も選ばなければあるし、すぐに長期の旅行に出る環境もあります。でも今の日本には昨日の仮装ダンスパーティーのような『無邪気』さが失われてしまっていると思います。『無邪気』とは家庭、親戚、仲間、友人といった身近な人を大切にし、そこから自然に生まれてくる純粋なものです。今の日本では大人が『無邪気』に楽しんだり笑ったりすることはほとんどありません。社交辞令で形式的で擬似的なものしか残っていないのです。
僕はボリビアに来て強く感じました。もっと身近な人を大切にして、たくさんの『無邪気』な笑みを自然につくっていきたいと。それは簡単なことのように思えて、すごく大事なことだと思っています。僕はまた旅からひとつ学んだのです。
こうして色々な国を旅していると新しく思うこと、感じることってたくさんあるんです。お父さんからすると「そんなこと、旅しなくてもわかることだ。」と反論するでしょう。
でも旅は、お父さんのボリビアでの移住経験と何だか近しいものだと僕は思うのです。旅という非日常の経験がなくては、今の日本ではなかなかそういうことに気が付かないものなのです。形こそ違え、異国は多くの当たり前を思い起こさせてくれる特別な場所なのです。(と言いつつも僕たちの旅は働かず遊んでばかりなので移住のような特別な苦労はわかりません。お父さんには一緒にするなと怒られそうですね)。
以上、ちょっと強引ですが今の僕なりの正直な意見です。もし時間があれば直接語り合いたいのですが、まずはひとまずこのメールを送ります。また旅の何処かで思うことがあれば連絡いたしますね。
追伸
奥さんのお体は大丈夫ですか?おそらく僕と同様、かなりお疲れだとお察しします。とても踊りが上手で、無邪気な笑顔を兼ね揃えた素敵な奥さんだと思います。たまにはお父さんも一緒に踊ってあげてくださいね。いつまでも仲睦まじい夫婦でいてくださいネ。
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