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アテネのラリッサ駅近くのバスターミナルから11月3日20時発、アルバニアのチラナ行きの夜行バスに乗った。乗客の多くはアルバニアからギリシャに出稼ぎに来ているアルバニア人のようでみやげ物らしい荷物をたくさん積み込んでいる。座席は満席。運転手は交代要員がいて2人だが、荷物をバスに積み込むな、靴はちゃんと履け、など高圧的に指示してくる。英語ができる乗客が一人いたので、通訳してもらって「何をがみがみ言っているのか」聞いたのだが、ルールが厳しいバスだ。命令口調の運転手と乗客はあちこちで口論しており雰囲気の悪いバスだった。東洋人は私一人で、アルバニア人には珍しいのかじろじろ見られた。バスに乗って、アルバニア人は自己主張の強い国民性なのかなあ、と思った。アルバニアについては「毛沢東思想を受け入れ、他国と鎖国をしてきた一匹狼的な国」で「ヨーロッパの北朝鮮的な国」というイメージを持っていたので、国民も閉鎖的かも知れないと思っていた。今回の旅でアルバニアの情報が最も少なく、不安を抱えての訪問だったが、排他的な雰囲気のバスに乗ってますます不安になった。<br /><br />アルバニアは古代名イリュリアといい 紀元前1000年頃から3000年の歴史を持つ。他のバルカン諸国と同様に古代ギリシア、ローマ帝国、東ローマ帝国、オスマン帝国らの支配を受け1912年にドイツ人のヴィルヘルム・ヴィートを国王に迎えアルバニア王国として独立。だが第一次世界大戦で国王が国外に逃亡し混乱期の後アフメド・ゾグーにより1928年に再度王政となる。1939年にはイタリアに併合され1944年、ソ連軍が全土解放し、共産主義への道に進む。1946年には王政を廃止しアルバニア人民共和国を設立し1948年にはユーゴスラビアと断交。1968年にはソ連を仮想敵国とした軍事政策をとる一方、中華人民共和国に接近したが1976年に文化大革命が収束し、改革開放路線に転換すると中国とも決別、全くの鎖国状態になり、1980年代からはヨーロッパの最貧国と呼ばれている。1992年、非共産政権の誕生から開放路線に転じて国際社会に復帰したが、経済的な問題は現在も抱えている。<br />11月4日午前4時過ぎにアルバニア国境のイミグレーションでは建物の外側にある外国人窓口に並んだが、凍えるように寒い。アルバニアはヨーロッパの中でも南部なのに寒かった。10ユーロ・1500円を払って国境を通過し10時過ぎにチラナに着いた。タクシー(5ユーロ・750円)で運転手が知っているという10ユーロの安ホテルに行くが、ホテルの担当者は一番安い部屋が1泊40ユーロだと言う。運転手の情報もいいかげんだ。ネット情報で見たHOTEL YLLIの場所を運転手は知らなかったがそのホテルで聞くと教えてくれた。そのホテルから近く、12ユーロ・1800円の2人部屋にチェックインした。2人部屋といっても他に客は無く、ずっと一人で使えた。YLLIの主人は元大学の経済学教授。70歳の現在は年金暮らしだが生活が厳しく、夫婦でゲストハウスをしている。親切な人で紅茶、クッキーをごちそうになった。客が少ないので日本の人達にYLLIを紹介してほしいと頼まれた。冷たく、ギスギスしたアルバニア人を見て来たのでアルバニアにもいい人がいるのだ、とほっとした。<br />チラナの中心、スカンデルベク広場から米国大使館近くのマケドニア国境近くのシャフサン方面に行くバスステーションを探し、出発時間を確認。街を歩いていると自転車に乗った中学生が数人ついてきて、冷やかしの声をかける。しつこくついて来るので交通整理の警察官に話すと、すぐに逃げて行った。貧しい国なので治安は良くない。<br />11月4日の夜は冷え込んだ。予備の毛布をクローゼットから取り出し、寝袋に入り、部屋にあった主人のカーディガンを着込んで寝たがそれでも寒い。翌朝、カーディガンを主人から1000レク・1200円で売ってもらった。後で奥さんから、「あのセーターは2400レク・2900円もしたのに安く売ってしまって」と主人が叱られたそうだ。このカーディガンは暖かくて、帰国した後も役に立っている。<br />11月5日、8時にチェックアウトし、タクシー300レク・360円でシャフサン行きバスステーションに行く。10人乗りミニバスは8時過ぎには満員になって出発した。客は短い区間を100レク・120円で乗り降りする。空席ができるとすぐに別の客が乗ってくる。11:30シャフサンに着いたがマケドニア国境まで2キロあるというので国境まで行ってもらった。料金はシャフサンまで500レク、国境まで300レク、計800レク・960円。アルバニア側イミグレーションでパスポートチェックして200m歩きマケドニア側イミグレーションを通過した。<br />(アルバニアの費用)<br />宿泊費;12ユーロ・1800円<br />移動費;チラナバスステーション−ホテルまでのタクシー5ユーロ・750円、ホテル−シャフサン行きバス停行きタクシー300レク・360円、マケドニア国境行きミニバス800レク・960円、マケドニア国境−ストルガ行きタクシー800レク・960円、ストルガ−オフリド行きバス30デナル・80円 計3110円<br />食費;550円<br />雑費;2420円<br />合計;7880円<br />(写真はチラナのスカンデルベク広場)<br /><br />

欧州・バックパッカーの旅【57】 アルバニアのチラナ

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2006/11/04 - 2006/11/04

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さすらいおじさん

さすらいおじさんさん

アテネのラリッサ駅近くのバスターミナルから11月3日20時発、アルバニアのチラナ行きの夜行バスに乗った。乗客の多くはアルバニアからギリシャに出稼ぎに来ているアルバニア人のようでみやげ物らしい荷物をたくさん積み込んでいる。座席は満席。運転手は交代要員がいて2人だが、荷物をバスに積み込むな、靴はちゃんと履け、など高圧的に指示してくる。英語ができる乗客が一人いたので、通訳してもらって「何をがみがみ言っているのか」聞いたのだが、ルールが厳しいバスだ。命令口調の運転手と乗客はあちこちで口論しており雰囲気の悪いバスだった。東洋人は私一人で、アルバニア人には珍しいのかじろじろ見られた。バスに乗って、アルバニア人は自己主張の強い国民性なのかなあ、と思った。アルバニアについては「毛沢東思想を受け入れ、他国と鎖国をしてきた一匹狼的な国」で「ヨーロッパの北朝鮮的な国」というイメージを持っていたので、国民も閉鎖的かも知れないと思っていた。今回の旅でアルバニアの情報が最も少なく、不安を抱えての訪問だったが、排他的な雰囲気のバスに乗ってますます不安になった。

アルバニアは古代名イリュリアといい 紀元前1000年頃から3000年の歴史を持つ。他のバルカン諸国と同様に古代ギリシア、ローマ帝国、東ローマ帝国、オスマン帝国らの支配を受け1912年にドイツ人のヴィルヘルム・ヴィートを国王に迎えアルバニア王国として独立。だが第一次世界大戦で国王が国外に逃亡し混乱期の後アフメド・ゾグーにより1928年に再度王政となる。1939年にはイタリアに併合され1944年、ソ連軍が全土解放し、共産主義への道に進む。1946年には王政を廃止しアルバニア人民共和国を設立し1948年にはユーゴスラビアと断交。1968年にはソ連を仮想敵国とした軍事政策をとる一方、中華人民共和国に接近したが1976年に文化大革命が収束し、改革開放路線に転換すると中国とも決別、全くの鎖国状態になり、1980年代からはヨーロッパの最貧国と呼ばれている。1992年、非共産政権の誕生から開放路線に転じて国際社会に復帰したが、経済的な問題は現在も抱えている。
11月4日午前4時過ぎにアルバニア国境のイミグレーションでは建物の外側にある外国人窓口に並んだが、凍えるように寒い。アルバニアはヨーロッパの中でも南部なのに寒かった。10ユーロ・1500円を払って国境を通過し10時過ぎにチラナに着いた。タクシー(5ユーロ・750円)で運転手が知っているという10ユーロの安ホテルに行くが、ホテルの担当者は一番安い部屋が1泊40ユーロだと言う。運転手の情報もいいかげんだ。ネット情報で見たHOTEL YLLIの場所を運転手は知らなかったがそのホテルで聞くと教えてくれた。そのホテルから近く、12ユーロ・1800円の2人部屋にチェックインした。2人部屋といっても他に客は無く、ずっと一人で使えた。YLLIの主人は元大学の経済学教授。70歳の現在は年金暮らしだが生活が厳しく、夫婦でゲストハウスをしている。親切な人で紅茶、クッキーをごちそうになった。客が少ないので日本の人達にYLLIを紹介してほしいと頼まれた。冷たく、ギスギスしたアルバニア人を見て来たのでアルバニアにもいい人がいるのだ、とほっとした。
チラナの中心、スカンデルベク広場から米国大使館近くのマケドニア国境近くのシャフサン方面に行くバスステーションを探し、出発時間を確認。街を歩いていると自転車に乗った中学生が数人ついてきて、冷やかしの声をかける。しつこくついて来るので交通整理の警察官に話すと、すぐに逃げて行った。貧しい国なので治安は良くない。
11月4日の夜は冷え込んだ。予備の毛布をクローゼットから取り出し、寝袋に入り、部屋にあった主人のカーディガンを着込んで寝たがそれでも寒い。翌朝、カーディガンを主人から1000レク・1200円で売ってもらった。後で奥さんから、「あのセーターは2400レク・2900円もしたのに安く売ってしまって」と主人が叱られたそうだ。このカーディガンは暖かくて、帰国した後も役に立っている。
11月5日、8時にチェックアウトし、タクシー300レク・360円でシャフサン行きバスステーションに行く。10人乗りミニバスは8時過ぎには満員になって出発した。客は短い区間を100レク・120円で乗り降りする。空席ができるとすぐに別の客が乗ってくる。11:30シャフサンに着いたがマケドニア国境まで2キロあるというので国境まで行ってもらった。料金はシャフサンまで500レク、国境まで300レク、計800レク・960円。アルバニア側イミグレーションでパスポートチェックして200m歩きマケドニア側イミグレーションを通過した。
(アルバニアの費用)
宿泊費;12ユーロ・1800円
移動費;チラナバスステーション−ホテルまでのタクシー5ユーロ・750円、ホテル−シャフサン行きバス停行きタクシー300レク・360円、マケドニア国境行きミニバス800レク・960円、マケドニア国境−ストルガ行きタクシー800レク・960円、ストルガ−オフリド行きバス30デナル・80円 計3110円
食費;550円
雑費;2420円
合計;7880円
(写真はチラナのスカンデルベク広場)

同行者
一人旅
一人あたり費用
100万円以上
交通手段
高速・路線バス タクシー

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  • アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

    アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

  • アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

    アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

  • アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

    アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

  • アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

    アルバニアのチラナからマケドニア国境までに向かう、ミニバスからのアルバニアの光景。

  • アルバニアで見た朝日。<br />

    アルバニアで見た朝日。

  • アルバニアの鉄道。<br />

    アルバニアの鉄道。

  • チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。<br />

    チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。

  • チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。<br />

    チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。

  • チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。<br />

    チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。

  • チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。<br />

    チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。

  • チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。<br />

    チラナのスカンデルベク広場周辺の光景。

  • スカンデルベク騎馬像。スカンデルベク(1405−1468)は、中世アルバニアの民族的英雄。1443年にオスマン帝国に反旗を翻し独立を勝ち取り1480年にオスマン帝国に再併合されるまで37年間の独立国としての地位を築いた。スカンデルベクは、同時代のハンガリーのフニャディ・ヤーノシュ、ワラキアのヴラド・ツェペシュと並んで、オスマン帝国のヨーロッパへの拡大を食い止めた英雄と見なされているそうだ。<br />

    スカンデルベク騎馬像。スカンデルベク(1405−1468)は、中世アルバニアの民族的英雄。1443年にオスマン帝国に反旗を翻し独立を勝ち取り1480年にオスマン帝国に再併合されるまで37年間の独立国としての地位を築いた。スカンデルベクは、同時代のハンガリーのフニャディ・ヤーノシュ、ワラキアのヴラド・ツェペシュと並んで、オスマン帝国のヨーロッパへの拡大を食い止めた英雄と見なされているそうだ。

  • スカンデルベク広場から見るイスラム寺院。<br />

    スカンデルベク広場から見るイスラム寺院。

  • チラナでは銅像、胸像を良く見かけた。アルバニア人として著名なマザー・テレサ像は見つけられなかった。<br />

    チラナでは銅像、胸像を良く見かけた。アルバニア人として著名なマザー・テレサ像は見つけられなかった。

  • チラナの光景。<br />

    チラナの光景。

  • チラナの光景。<br />

    チラナの光景。

  • チラナの光景。<br />

    チラナの光景。

  • チラナの光景。<br />

    チラナの光景。

  • ホテルYLLIの居間での主人。<br />

    ホテルYLLIの居間での主人。

  • アルバニアとマケドニアの国境。<br />

    アルバニアとマケドニアの国境。

  • アルバニアとマケドニアの国境。<br />

    アルバニアとマケドニアの国境。

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    アルバニアとマケドニアの国境。

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