2006/04/29 - 2006/04/29
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crambon1948さん
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不思議な体験をした。
春山如笑
先週末、滋賀県の信楽へ行ってきた。以前から行きたかった「陶芸の森」と、連なる山並みのなかに「桃源郷」を思い描いて造られたというミュージアムを訪ねるためだ。駐車場からエントランスまでは、小高い山をくぐり、小さな谷を渡らなければならない。歩を変え空を仰ぎながら歩いても、20分ほどである。歩くのが大変な方は送迎サービスを利用すればいい。周囲の環境に配慮したという小型の電気自動車が走っている。
美術館の入り口はガラスが多用してあって、その屋根にはお寺に良く見られる入母屋がのっかっている。奥深い山の中なのに、奇妙な感じがした。それならば線香の匂いでも漂ってこないものかと小鼻をひろげていると「イー、アァル…」と聞きなれない音がするではないか。これはとんでもない所に迷い込んだものだと思い、急いで音源を探すと、そこには写真を撮り合っている中国人たちがいた。
ロビーからは、大きなガラス越しに一本の松の木が見える。横に長く張り出した枝は竜のようにも見え、無機質な一幅の屏風絵を見ているようだ。その向こうの山間には、古いタイプの原子炉を彷彿させるような建物が見える。そういえば、ここへくるトンネルの支保は、チタンのようなパネルで覆われていた。何だか怪しい。
周囲はガラスと鉄とコンクリートばかりだ。連なる山端の一角には、得体の知れない建物もある。背後には声高に話し合っている中国人が居ると、まるで「007シリーズ」のセットの中にいるようではないか。こうなれば、企画展のバーク・コレクションどころではない。あの建物の屋根から煙が上がらないか心配になってきたところで、思い出した。この美術館を設計したのは中国系アメリカ人だった。
展示物にはいまひとつ興味を持てなかったのだが、常設の縄文から弥生にかけての土器や、古代エジプトに関するものを間近に見ることができたのは良かった。とくに西アジアの、精緻な線刻が施されている仏像などは、ところどころ触られてもいて、黒く光っている。もちろんぼくもその感触を楽しんだのは言うまでもない。
下山するプロムナードには糸桜が咲き誇っている。芽吹いたばかりの淡い景色に、椿の鮮やかさも眼に沁みるほどだ。ところどころに咲きかけたツツジが風にゆれ、光をまぜ返しているのをみていると、あたかも山が笑っているようでもある。「春山に登れば 山鮮やかにして雲復た軽し」だったか。
かえりの道すがら、娘が友だちや祖母への土産を買い求めていた。大小とり混ぜた、十個ほどのタヌキをみていると、果たしてあの「桃源郷」は在ったのだろうかと、心もとない気持ちになった。
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