1996/05 - 1996/05
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buchijoyceさん
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たしかリスボンからエボラへ行くのに、船で向こう岸に渡って、そこから列車に乗った覚えがある。車窓からの景色はどこまでも続くコルク樫の林、私がこの路線に乗りたかったのはこのコルク樹園を見たかったからだ。野原には花々が咲き乱れきれいだった。コウノトリの姿も見えた。
車掌さんが検察に来てどこへ行くのか聞いたので、エヴォラだというと、一等はあちらだから移るように言ったが、ここでいいと座っていると、しばらくして、又車輌を移るように言いに来た。ここだと途中で切られて他の駅に行ってしまうことがやっと分かった。あわてて車輌を移る。
エヴォラで入口のホテルを聞くとフルとのことなので、まずはディアナ神殿まで上って行く。「遺跡に上がってはいけません」と看板が立っているにもかかわらず、登っている人がいる。ドイツ人の団体だ。お節介オバサンは、看板を指差して、上ってはいけない、と注意している。
雨が降ってきた。近くにあったボーサダに駆け込み、部屋はないかと聞くとOKだった。ポーサダは予約していないとダメだと聞いていたが、ラッキーだった。ここはポーサダ・ドス・ロイオス、元修道院。雨のせいもあって薄暗く、かび臭い感じがした。
僧室が客室。だから部屋はそんなに広くない。でも、戸棚、ベッド、調和している。木製のベッドにかけられたベッドカバーはちょっと素敵だった。窓は高く、のぞくと歴史を感じさせる屋根の甍が見えた。
この修道院は中世には宗教裁判の舞台になり、かつて何千だか、何万だかの人々が異端のかどで処刑されたとか。レストランも雰囲気のあるインテリア。食事をしながらそんな話をした。
翌朝起きると、夫が
「真夜中、鎖を引きずるような音と、女の人のすすり泣く声を聞いた」といった。
「起こせばいいのに」
「怖がらせては悪いから」
「ふーん」
ちょっとした怪談話。
エボラは城塞都市、城壁兵の中に町がある。ローマ時代には自由都市で栄えたそうだ。その城砦からのぞく景色はなんともムードがある。人一人が通れるだけの歩道、石畳がでこぼこしていてキャスターがうまく滑らない。
カテドラル、ここには日本の天正少年使節団が訪れている。伊東マンショと千々石ミゲルがここでパイプオルガンを見事に演奏したそうだ。天正少年使節団は歴史でも習うが、そういったことが会っただけで終わっている。ポルトガル、スペイン、ローマ、ローマ法王の前でラテン語で挨拶したことなど、彼らの足跡は残っている。日本に帰ってからの彼らのことは教えられない。失意のうちに亡くなったことも。もう少し教えられてもいい。
美術館を見て、人骨堂へ。人骨堂はその名の通り、天井も壁も人骨が埋め込まれている。柱は大腿骨を貼り付け、柱の角には頭蓋骨といった具合。フランシスコ派の僧が雑念を払い、精神を集中させるために作ったというが、なんともグロテスク。そういえば、フランシスコ教会にはどくろがつきものだな、いずれは人間の行きつく姿というわけか。
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