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《ロマンチック街道の旅(2)スイス編の続きです》<br /><br />6月7日(木)天候:曇り一時雨<br />もう旅も終盤である。今日午前中の市内観光のあとはフリータイムだ。今朝は7時半のモーニングコールである。早速朝食に行く。ルグランは五つ星なので、朝食のテーブルに付くにもちゃんと案内がいる。そしてCoffee or Tea?と聞いて行く。コーヒーを注文してルームナンバーを言い、それからビュッフェ形式の朝食を取りに行く。さすがにここではいろんな種類のものが置かれている。ジュースはフレッシュオレンジ、パイン、アップル、肉も生ハム、ベーコン、ソーセージ何でもある。パンもフランスパンの固いのからクロワッサンまで種類が豊富。ジャムは種類も豊富だが、それが小さな壜に入っていて、全てにルグランのラベルが貼ってある。美味しい朝食を時間を掛けてゆっくりと食べることの優雅さを久しぶりに味わった。<br />市内観光のバスは9時10分にホテルに来る。僕たちだけのためにルグランに寄って貰うのは悪いみたいだ。今朝は向こうのホテル出発が先で僕たちは最後に乗る。市内観光も工藤さんとは別のガイドさんが行う。ルグランの近くから行けば、オペラ座、コンコルド広場、ルーブルなどとなるが、内部を観光したのはノートルダム寺院。ここは相変わらず見学者が群れをなしていた。ここはナポレオンが戴冠式を行った寺院である。内部も混んでいてゆっくり見て回る時間はなかったが、ステンドグラスが綺麗だった。<br />コンコルド広場は、あのマリーアントアネットが断頭台の露と消えた広場であることはあまり知られていない。フランスは神聖ローマ帝国とは別に古くから王朝を継続してきた国でブルボン王朝とかヴァロア王朝が有名だが、常に神聖ローマ帝国と敵対してきた。こういう歴史を見れば、第二次世界大戦のドイツ対フランスという構図も歴史の繰り返し、というに過ぎない。このような王朝の歴史の中で、神聖ローマ帝国の王であるハプスブルグ家の王女、マリーアントアネットはフランス王ルイ16世と結婚した。うまくいけば両国の友好のシンボルとなる筈だったが、時代がそれを許さなかった。即ちフランス革命によりフランス王朝はなくなりルイ16世も処刑され、彼女も夫に殉じたのである。こうしたフランスの歴史を知ればルーブルも、ベルサイユも故なくしてできた王宮ではなく、しかもそれが神聖ローマ帝国の末裔たるドイツと深く結び付いていることが理解できよう。しかし、急激な市民革命によって秩序が乱れたフランスに新たな王が誕生した。それがナポレオン1世である。シャンゼリゼに大きな凱旋門を作ったのもナポレオンで、その門をくぐって凱旋することを夢みたまま完成を待たずに死んだのである。この凱旋門というのは3つあり、一つはカルーセル凱旋門という小さな凱旋門がルーブルの外れにある。それからシャンゼリゼを真っ直ぐ行ったところにあるのが有名な大きな凱旋門。そしてもう一つは新都心にラ・デファンスの凱旋門がある。<br />今回の市内観光ではノートルダム寺院のほかにはエッフェル塔に立ち寄っただけ。ここで全員の記念写真を撮って、お昼過ぎに三越前で解散となった。解散前に今日のガイドさんに明日の夕食を予約してもらう。ホテルから歩いて行けるLe Grand Caf&amp;eacute;。この話をそばで聞いていた林さんが私たちも一緒に行く、と言うので4人で予約した。これで明日も食いっぱぐれる心配はない。となると、取り敢えず今日のお昼を食べなければならない。三越は賑やかなところにあるので近くにはいろんなお店がある。ラーメンのお店で金太郎というのがあったので、そこに行く。このお店は日本人が経営しているらしく、日本人店員もいるしフランス人店員も多少は日本語が分かる。ここでビールを飲みながら林さんに聞いた話によると、パリのホテルはひどいらしい。治安も良くない場所にあるし、買い物にしてもタクシーを使わないと街に出られない。部屋も狭いし、最もヒドイのは食事で今朝は本当のコンチネンタルだったとのこと。実際には多少のビュッフェがあったらしいのだが、韓国人が皆持って行ってしまったとか。私もルグランに代りたいわ、と林さんの奥さんがしみじみと言っていた。パリで食べたラーメンは量は多くなかったが美味しかった。外に出ると雨が降っている。ホテルが近いので傘を持って来なかったが、結構降っている。林さんが三越まで行くので1本貸してくれる。<br />林さんはこれからベルサイユに行くので、三越で別れることになった。<br />三越を一回りしたあと何も買わずに一旦ホテルへ戻って一休み。もう一度、近くの専門店を覗きに行く。最初はオペラ座前のランセル。ここで文子が気に入ったバックを見付けたのでそれを買う。僕のネクタイとベルトも買う。それでも文子の方が高い。三越の並びの通りをマドレーヌ寺院の方に歩くとバリーの店がある。バリーはスイスが本場だがスイスで見ている時間がなかったので仕方がない。ここには日本語を話す中国人女性がいて、文子の靴を買わされてしまった。ところが僕の方が気に入った靴があって、それを買っているうちに文子が違う靴が良いと言う。あやうく文子の靴を2足買わされそうになったが何とか最初の方をキャンセルして1足だけにしてもらった。ここでは二人とも1400フランだった。ホテルが街の真ん中にあるのは実に便利。これだけ買って大きな荷物になったが、直ぐにホテルに戻れる。戻るついでに三越で化粧品だけ買う。ホテルに戻って正装に着替える。今夜はリドのディナーショーに行くのだ。ディナーショーはマイバス社という会社主催のオプショナル。このマイバス社にも歩いて行ける。オペラ座前からルーブルの方に向かって歩くと途中にピラミッドという地下鉄の駅がある。そこを右折すると白い小さな看板でマイバスと書いてあった。ここで林さんと再会。林さんはこのあとセーヌ川ナイトクルーズに行くのだ。<br />リドのショーに行くのは僕たちも入れて10人。でも他のツアーの人たちも一緒のオプショナルなので全部で20数人になった。バスの中で専門のガイドさんが帰りのホテルをチェックしているが、ルグランがなかったので申し出る。リドはシャンゼリゼの凱旋門寄りにある。8時からのディナーショーと、その後のドリンクショーの2回公演である。既に大勢並んで開場を待っているが、団体の予約客はその横を通って入場する。中では4人掛けのテーブルなので、僕たちの10人グループは2人余る。どなたか、とガイドさんが言うので僕たちは別テーブルにした。すると、その向かい側に僕たちと同世代のご夫婦が座る。奥様は雅子さま似の綺麗な方だった。ショーの前に食事が出るので食事しながら話したところによると、関西方面のお医者さまで島さんという。学会でギリシャのロードス島に来て、帰りにパリに立ち寄ったのだと言う。ツアーではなく個人で手配しているので飛行機がオーバーブッキングしたりして大変だったそうだ。<br />ショーはヌードの女性たちの踊りから始まる。出て来る女性たちは皆綺麗だし身体も綺麗。ヌードというのが、自分たちの踊りの美しさの表現手段として使われているのだ。仕掛けも大掛かりで、天井から竜に乗って現れたりする。女性たちのショーの合間にはマジックやコントも行われる。マジックは生きた鳥を、それも鳩からもっと大きな鳥に至るまで空中から取り出して客席の上を飛ばせる。男二人による力ワザも見せ場が多くて楽しかった。見ていて飽きることなく2時間がたちまちのうちに過ぎてしまった。ところが食事の時に飲んだワインが効いたらしく、文子は眠くなっている。ショーが終わりバスに戻る時にも、2回目の公演を待つ人が列をなしていた。帰りのバスは一番遠い僕たちのツアーの人たちのホテルから送り始めルグランが最後だった。その時初めてホテルを見たが、外観はビジネスホテルのようだが環状線の外側でリドから10分以上も掛かった。ルグラン到着は0時を過ぎてしまった。<br />リドがあるシャンゼリゼのような都心ではこんな時間でも賑わっている。パリではサマータイムとは言っても夜9時過ぎまで明るい。そんなところに住む人たちのナイトライフはまだまだ続くのかもしれない。<br /><br />6月8日(金)天候:晴<br />今日は一日フリータイムの日。この日は一日中、パリを歩くことに決めてある。久しぶりにゆっくり起きて、優雅な朝食を食べにダイニングに下りる。エレベーターで米国人のご夫婦に会ったのでレディファーストにする。我々だけでルグランに居て、ようやく英語の世界や外国の習慣に慣れてきた気がする。今日も豪華なアメリカンブレックファースト。今日の方が昨日よりも空いているようだ。今日もコーヒーをオーダーし、フルーツたっぷりの朝食。コーヒーは2杯もお代わりしてしまった。<br />9時過ぎ、徒歩でホテルを出てマドレーヌ寺院の方へ歩く。マドレーヌ寺院の前を左に曲がるとコンコルド広場に出る。途中にマキシムのお店があったのでチョコレートを買う。コンコルド広場にはジェット戦闘機が展示してあった。コンコルド広場を右折するとシャンゼリゼ大通りに出る。このコンコルド広場から途中の賑やかな交差点までは両側に公園が広がり、綺麗な花がたくさん植わっている。大通りの歩道も自動車が楽にすれ違えるくらい広く、屋台やカフェのテラスが椅子を並べている。途中の交差点には噴水もある。そんな交差点の一つロン・ポワン・デ・シャンゼリゼという大きな交差点を左に曲がると、有名店が連続する買い物ストリートであるモンテニュー通りに出る。セリーヌ、クリスチャンディオール、ジバンシー、ブルガリ、ダンヒル、ニナリッチと僕でさえ名前を知っている高級店が連続している。僕はフェラガモのネクタイで好きな物を何本か持っている(皆、以前の海外旅行の時に買ったもの)が、少し古くなったので新しいのが欲しかった。この通りでフェラガモの店を見つけて入ってみたが、ここは男物は置いてないそうだ。<br />そんなことで、結局買ったのはニナリッチのネクタイとバレンチノのネクタイ1本。何軒かの店は中に入ったが、何軒かの店はウィンドゥショッピングだけにしてしまった。文子に買う気持ちがないと、なかなか買えない。手元に10万円あったと仮定した時、10万円の宝石1個を買う人と、1万円の洋服10着買う人がいたら、ウチは絶対洋服の方。普段から銀座や青山などで高級なものを買い慣れていないと、なかなか思い切った買い物はできない。そこへ行くと、林さんの奥さんは宝石1個の方。今回も5000フランもするオメガの時計を買ったそうだ。こういう高級店では頑丈な男がドアのところに立っていて、ドアを開け閉めしてくれる。かなり図太い神経がないと、ちょっと見るだけでは気後れしてしまう。何度もパリに来れば慣れるのだろうが。<br />ニナリッチのお店を出て真っ直ぐ行くとシャンゼリゼに戻る。凱旋門の方に歩いて行くとフーケがある。ここは高級なカフェだ。お昼どきなのでお昼を食べたいが、入口に貼ってあるメニューがフランス語だけで写真も何もないのでさっぱり分からない。せめて写真くらい付けておいてくれれば良いのに。更に歩くとルイヴィトンのお店があって人が並んでいる。ここは人気のお店なのでノートに記帳しておき、その順番で入場して買い物をするのだ。更にその先に両替店を見つけたので1万円だけ両替する。お昼だというのに現金なしではどこにも入れない。道路の反対側にマクドナルドを見付ける。パリではマクドナルドも派手な赤いトレードマークは使っていない。茶色のお店で街に溶け込んでいるようだ。でも人気があるらしくすごい人の列。ここならメニューに迷わないのでここでマックを買う。ちょうどテラス席が空いたのでそこに座る。シャンゼリゼを歩く人たちを見ながら食べるのはいかにも外国、という感じがする。すぐ隣の席にフランス人のお母さんがいて小さな子供に離乳食を食べさせていた。その子はおとなしい子で、何もくれないと乳母車のヒモをしゃぶっていた。お昼時ということもあって、シャンゼリゼには結構人が出ている。凱旋門まで行って帰ることにする。その途中、スワッチの看板を見付けたので入ってみる。結構沢山展示してあって、文子の気に入ったものがあったのでそれを買う。先にレジを済ませてから奥の方に持って行くとベルトの長さを調整してくれる。帰りもシャンゼリゼを歩いてコンコルド広場付近のベンチで一休み。マキシムの先の交差点を右に曲がるとサントレノ通りに入る。ここも有名店が連続していてランバン、グッチ、ベルサーチ、クレージュ、エルメスなどがある。どの店をのぞいても良いものは高いし、手ごろな値段で良いものはなかなかない。ヴァンドーム広場を通って結局三越に戻ってしまった。ヴァンドーム広場のところに宝石店があって、飾ってあった宝石は万が付く位の値札が付いていた。<br />僕はネクタイの他に欲しかったものがある。それはセリーヌのベルトだ。これも以前の海外旅行の時に買ったものばかりだが、セリーヌの馬車のマークが好きでそれを探していた。でも、「C」のマークのものはあるが馬車のマークが無かったので迷っていたところ、三越にフェラガモのネクタイがあったので買うことにする。ところが、このネクタイと昨日の化粧品を合わせても免税額に少し届かない。でもセリーヌのベルトは気に入ったものがなかったのでカフスボタンを買うことにした。<br />最後に三越で買うならシャンゼリゼをあれだけ歩いたのは何だったのか、と思うが、やっぱり文子と二人で歩く本物のパリ、という雰囲気を味わってみたかったし、文子に高級な店と高級な品物の買い方、楽しみ方を見て貰っただけでも価値があったと思う。<br />ホテルに戻って、休んでいると電話が鳴る。出てみると林さんだった。夕食を一緒にするので6時にロビーで待ち合わせていたが早めに着いたらしい。二人で降りて行くとご主人はネクタイをしている。僕はラフな格好だったので、着替えることにする。夕食のルグランカフェまでは歩いても10分くらい。この店は赤で統一されていて洒落た感じのお店。その上、隣に生カキを売っているお店がある。海産物が得意らしい。窓際の席に案内されてメニューを見ると、ロブスターがドンと載っている。林さんも文子も無条件にそれにした。飲み物はハイネケンとトロピカルジュース(林さんのご主人)。僕はステーキが食べたくてそれを頼んだが、やはり狂牛病の影響で冷肉になるという。で、舌平目のムニエルに代える。それに海産物のサラダ。こんなに複雑なことをフランス語で頼める訳がない。日本語メニューを頼んだのだ。<br />林さんの今日の行動はモンパルナスへ行ったそうだ。タワーがあって展望が良かったとのこと。それから地下鉄で郊外へ行って仕事の関係でもある建築物をいろいろ見てきたとのこと。でも、その間にいつの間にかオメガの時計を買っているのだから、やっぱり奥さんの力は強い。<br />ロブスターと見えたのはオマール海老だったが、大きくて食べでがある。ムニエルも身が厚くて美味しかった。食事の後は楽しいデザート。<br />最後にコーヒーが出るが大きなお皿に小さなデミタスカップが二つ乗ってくる。随分小さなコーヒーと思っているとそれが一人分で、大きなお皿がまた運ばれてくる。1個はモカで1個はオリジナルらしい。全部食べて1300フラン。僕はもうフランスフランの現金がないのでカードで支払うことにする。すると林さんがフランで現金を呉れた。<br />食事が終わって外に出ても、まだ明るい。僕たちの行ったレストランもこれからが混んでくるのだろう。歩いてホテルに向かう途中でも、オペラ座の交差点あたりは銀座なみの混雑。林さんはタクシーでホテルに帰るのでルグランで待機しているタクシーに乗る。見送ったあと僕たちは、お腹こなしにその辺を少し歩く。オペラ座周辺は、前回のパリと昨日、今日でだいたい方向感覚は分かったが、まだまだ知らないところが多い。たった少し歩いただけで、結構良い品物が置いてあるお店を発見した。有名店でなくても良い物があるし、安いものや気に入ったものはそういうお店の方が良いかもしれない。<br />明日が最終日になるため、ホテルに戻って荷支度をする。お土産品が増えてトランクには入りきらない。このことを予測して大きなバックを持ってきたのだ。このバックは前回のパリの時、やはり荷物が増え過ぎてどうにもならず、三越で買ったものだ。ビニールではないのだがたたむととても小さくなりトランクの中に入れても嵩張らない。でも容量が大きく、かなり沢山入るのだ。今回もバリーの靴、文子のバック、化粧品、皆入ってしまった。トランクの方も洗濯物が溜まってしまっている。こちらも着る物を小さく押し潰す真空パックを持ってきた。写真のフィルムを20本持ってきて、インターラーケンでは足りないかナ、と思うくらい沢山撮ったがまだ3本残っている。<br />今回の旅も明日で最終日。フリーな時間は午前中だけだが、有意義に使いたいものだ。ルグランの窓は観音開きで小さなテラスがあるので、暮れ行くパリの街を眺めていた。<br /><br />6月9日(土)天候:晴<br />楽しいことの過ぎ去る時間の早いこと。もう日本を出てから9日間も経ってしまった。高級ホテルで食べる優雅な朝食もしばらくの間お休み。今日はゆっくり味わって食べよう。今日の朝食もいろんなものがあって豪華だが、特にたっぷりと卵もフルーツも持ってきた。コーヒーも勿論2杯。部屋に戻って出掛ける準備。この部屋は12時まで使えることになっているので、昨日と同じ街を歩く小さなバックだけ持って出掛ける。<br />文子が折角パリへ来たのだからルーブルくらい見たいと言うのでルーブルへ行くことにする。ルーブルもここから近い。地下鉄で1駅である。この前、リドへ行った時歩いたピラミッドの駅から正面にルーブルが見えている。ルーブルはもともと宮殿として建てられたもので、建物も大きいし中庭も綺麗だ。門をくぐって中庭から地下に降りるエスカレーターがある。予約の団体で混んでいるかと思ったがチケット売り場も解説の機械を貸し出すところも空いている。入場券は46フラン。日本語で解説してくれる機械は30フランだった。でもこの機械を借りるには身分証明書が要る。僕はパスポートを出してしまったが、カードか免許証でも良かったようだ。この美術館は広いので、短時間ではとても見ていられない。そこでモナリザとミロのヴィーナスに絞って回ることにした。始めにモナリザを目指す。要所には日本語の方向案内がある。モナリザはデゥノン翼という建物の2階の一番奥にある。そこへ辿り着くまでにも由緒ありそうな絵画が沢山展示してある。借りてきた機械で解説を聞くには、展示番号を押してプレイを押せば良いのだ。でも、全作品の解説がある訳ではなく、展示番号に白い線が引かれているものだけである。ようやくモナリザの前に辿り着く。10年前に来た時は剥き出しの絵で、フラッシュを使っての写真撮影は禁止だったが今はガラスケースに収められ、フラッシュ撮影しても怒られない。それでは、と僕もフラッシュで撮影。それもモナリザだけの写真と文子を脇に立たせたのと2枚も撮ってしまった。今度はミロのヴィーナスである。こちらはシュリー翼という建物の1階にあるので来た方向に戻らなければならない。途中の展示室は混んではいるが、動き回るのに支障があるほどではない。ヴィーナスがある建物は彫刻ばかり集めたもの。社会科の教科書で見たような記憶がある像もあった。ヴィーナス像は意外にもそれほど混んでいない。これもフラッシュ撮影禁止だった筈だが皆フラッシュで写真を撮っている。僕もフラッシュで撮影させてもらった。(大体、それほど明るいところにある訳ではないので、フラッシュを使わないと上手く撮れない)。ヴィーナスを見たあと、ようやく心に余裕ができ、戻る途中の展示物の解説を聞きながら帰ることにした。10年前、僕が一番感動したのはタペストリーが沢山展示してある部屋だったが、それは天井から壁全面に展示されていて、ヨーロッパ文明全体が一挙に押し寄せてきたような感じだった。今回は展示方法も変わりタペストリーの部屋にも行かなかったので、そんな印象はなかったが、それでもルーブルの天井に描かれた天井画には目を奪われた。<br />外に出ると中庭から正面に凱旋門がある。と言ってもこれは小さなカルーセル凱旋門だ。この凱旋門からシャンゼリゼの彼方に大きな凱旋門が小さく見える。<br />ホテルに戻る途中のお店をのぞきながらホテルに戻る。スカーフを沢山飾っているお店があったのでそこを覗く。シックな感じのものを1枚買った。ネクタイでセリーヌっぽいデザインが展示してあったのでそこを覗く。やっぱり一目見て気に入ったものを買ったがシルクの製品なのに150フランで済んだ。ニナリッチだったら最低でも3倍はする。<br />ホテルに戻ってチェックアアウトの用意をする。ここで忘れ物をしたら大変。12時過ぎ、荷物を持ってロビーへ。そこにJTBの沼尾さんが待っていてくれた。フロントで精算してバスを待つ。その間に林さんが到着する。林さんはこっちで買い物をして、ルグランからバスに乗るのだ。バスはルグランから出発する。ツアーの人たちがいるホテルで残りの人たちを乗せ全員が揃う。でも帰りの人数は26人。パリにもう1日残る人が1組。あと2泊する人が1組あるのだ。でも、聞いているとおり程度の良くないホテルなら僕は残る気にはならない。ルグランなら延長しても良いけど・・。それに、延泊するのならインターラーケンの方が良い。あそこならトレッキングもできるし、近くの湖も綺麗だし、いくらでも遊ぶことができる。<br />帰りはドゴール空港からロンドンに飛び、ヒースロー乗り継ぎで成田に向かう。空港で免税品の手続き。僕はあんまり買わなかったつもりだけど、バリーとランセル、それに三越と3通も提出することになってしまった。出国手続きをして中に入れば免税の売店が沢山ある。重いから最後の最後まで買わなかったお酒も、ここで買わなければならない。会社の人と文子のお父さんに1本づつ。そのお店の近くに軽食屋さんがあるので先に食べることにする。もう、手持ちのフランも少ないし、飛行機の食事が出るのはもっと遅い時間だからだ。サンドイッチ2種類とパイ、それにコークを注文して、面倒だから小銭を全部出して店の人に取って貰う。小銭だけでは足りなくて20フラン札も使うことになった。林さんたちも一緒になったので4人用のテーブルを確保。お昼に食べるにはこの程度の軽食で丁度良い。財布を調べると、まだ400フラン残っている。文子が欲しい化粧品があるというので買いに行く。お金がぴったり残らないように使いたいので2品買う。これで手持ちのフランは全部無くなってしまった。<br />ロンドンまでは1時間の旅。ドーバー海峡トンネルもできているくらいだからイギリスとフランスは近いのだ。でもヒースロー空港はとても広い。降りたところからバスに乗り、全日空にトランスファーするだけで時間を食ってしまった。帰りの全日空は窓側の席。ここから再び12時間の空の旅。コースは行きと同じでロシア上空を飛ぶのだ。飛行機の中で急病人が出て、どなたかお医者様はいらっしゃいませんか、というアナウンスが流れたが、引き返すこともなく成田に向かった。帰りの飛行機でも寝ることは寝たが、短い時間で起きてしまった。成田到着は13時30分。成田の入国検査のところまで工藤さんと一緒の団体行動。ここで全員で工藤さんにお礼を言って散会になった。実際、工藤さんがいなければこれほど楽しい旅行はできなかったかもしれない。工藤さんが案内するツアーにはまた参加したいと文子も言っていた。林さんとも成田でお別れ。でも林さんも横浜都民だし、横浜あたりで会えたら楽しいね。<br />成田で大きな荷物は宅急便を手配し、成田エキスプレスと小田急ロマンスカーを乗り継いで帰る。日曜日の午後とあって新宿駅が異常に混んでいたが、まだ明るいうちに帰ることができた。<br />ようやく文子と二人で行くことのできたスイス、パリ。いつかまた行くことができるだろうか。それとも違う国を訪ねることになるだろうか。もし、また行くことができたら、楽しかった今回の旅のことを思い出すだろう。<br />

ロマンチック街道の旅(3)パリ編

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2001/06/07 - 2001/06/09

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秘湯マニア

秘湯マニアさん

《ロマンチック街道の旅(2)スイス編の続きです》

6月7日(木)天候:曇り一時雨
もう旅も終盤である。今日午前中の市内観光のあとはフリータイムだ。今朝は7時半のモーニングコールである。早速朝食に行く。ルグランは五つ星なので、朝食のテーブルに付くにもちゃんと案内がいる。そしてCoffee or Tea?と聞いて行く。コーヒーを注文してルームナンバーを言い、それからビュッフェ形式の朝食を取りに行く。さすがにここではいろんな種類のものが置かれている。ジュースはフレッシュオレンジ、パイン、アップル、肉も生ハム、ベーコン、ソーセージ何でもある。パンもフランスパンの固いのからクロワッサンまで種類が豊富。ジャムは種類も豊富だが、それが小さな壜に入っていて、全てにルグランのラベルが貼ってある。美味しい朝食を時間を掛けてゆっくりと食べることの優雅さを久しぶりに味わった。
市内観光のバスは9時10分にホテルに来る。僕たちだけのためにルグランに寄って貰うのは悪いみたいだ。今朝は向こうのホテル出発が先で僕たちは最後に乗る。市内観光も工藤さんとは別のガイドさんが行う。ルグランの近くから行けば、オペラ座、コンコルド広場、ルーブルなどとなるが、内部を観光したのはノートルダム寺院。ここは相変わらず見学者が群れをなしていた。ここはナポレオンが戴冠式を行った寺院である。内部も混んでいてゆっくり見て回る時間はなかったが、ステンドグラスが綺麗だった。
コンコルド広場は、あのマリーアントアネットが断頭台の露と消えた広場であることはあまり知られていない。フランスは神聖ローマ帝国とは別に古くから王朝を継続してきた国でブルボン王朝とかヴァロア王朝が有名だが、常に神聖ローマ帝国と敵対してきた。こういう歴史を見れば、第二次世界大戦のドイツ対フランスという構図も歴史の繰り返し、というに過ぎない。このような王朝の歴史の中で、神聖ローマ帝国の王であるハプスブルグ家の王女、マリーアントアネットはフランス王ルイ16世と結婚した。うまくいけば両国の友好のシンボルとなる筈だったが、時代がそれを許さなかった。即ちフランス革命によりフランス王朝はなくなりルイ16世も処刑され、彼女も夫に殉じたのである。こうしたフランスの歴史を知ればルーブルも、ベルサイユも故なくしてできた王宮ではなく、しかもそれが神聖ローマ帝国の末裔たるドイツと深く結び付いていることが理解できよう。しかし、急激な市民革命によって秩序が乱れたフランスに新たな王が誕生した。それがナポレオン1世である。シャンゼリゼに大きな凱旋門を作ったのもナポレオンで、その門をくぐって凱旋することを夢みたまま完成を待たずに死んだのである。この凱旋門というのは3つあり、一つはカルーセル凱旋門という小さな凱旋門がルーブルの外れにある。それからシャンゼリゼを真っ直ぐ行ったところにあるのが有名な大きな凱旋門。そしてもう一つは新都心にラ・デファンスの凱旋門がある。
今回の市内観光ではノートルダム寺院のほかにはエッフェル塔に立ち寄っただけ。ここで全員の記念写真を撮って、お昼過ぎに三越前で解散となった。解散前に今日のガイドさんに明日の夕食を予約してもらう。ホテルから歩いて行けるLe Grand Caf&eacute;。この話をそばで聞いていた林さんが私たちも一緒に行く、と言うので4人で予約した。これで明日も食いっぱぐれる心配はない。となると、取り敢えず今日のお昼を食べなければならない。三越は賑やかなところにあるので近くにはいろんなお店がある。ラーメンのお店で金太郎というのがあったので、そこに行く。このお店は日本人が経営しているらしく、日本人店員もいるしフランス人店員も多少は日本語が分かる。ここでビールを飲みながら林さんに聞いた話によると、パリのホテルはひどいらしい。治安も良くない場所にあるし、買い物にしてもタクシーを使わないと街に出られない。部屋も狭いし、最もヒドイのは食事で今朝は本当のコンチネンタルだったとのこと。実際には多少のビュッフェがあったらしいのだが、韓国人が皆持って行ってしまったとか。私もルグランに代りたいわ、と林さんの奥さんがしみじみと言っていた。パリで食べたラーメンは量は多くなかったが美味しかった。外に出ると雨が降っている。ホテルが近いので傘を持って来なかったが、結構降っている。林さんが三越まで行くので1本貸してくれる。
林さんはこれからベルサイユに行くので、三越で別れることになった。
三越を一回りしたあと何も買わずに一旦ホテルへ戻って一休み。もう一度、近くの専門店を覗きに行く。最初はオペラ座前のランセル。ここで文子が気に入ったバックを見付けたのでそれを買う。僕のネクタイとベルトも買う。それでも文子の方が高い。三越の並びの通りをマドレーヌ寺院の方に歩くとバリーの店がある。バリーはスイスが本場だがスイスで見ている時間がなかったので仕方がない。ここには日本語を話す中国人女性がいて、文子の靴を買わされてしまった。ところが僕の方が気に入った靴があって、それを買っているうちに文子が違う靴が良いと言う。あやうく文子の靴を2足買わされそうになったが何とか最初の方をキャンセルして1足だけにしてもらった。ここでは二人とも1400フランだった。ホテルが街の真ん中にあるのは実に便利。これだけ買って大きな荷物になったが、直ぐにホテルに戻れる。戻るついでに三越で化粧品だけ買う。ホテルに戻って正装に着替える。今夜はリドのディナーショーに行くのだ。ディナーショーはマイバス社という会社主催のオプショナル。このマイバス社にも歩いて行ける。オペラ座前からルーブルの方に向かって歩くと途中にピラミッドという地下鉄の駅がある。そこを右折すると白い小さな看板でマイバスと書いてあった。ここで林さんと再会。林さんはこのあとセーヌ川ナイトクルーズに行くのだ。
リドのショーに行くのは僕たちも入れて10人。でも他のツアーの人たちも一緒のオプショナルなので全部で20数人になった。バスの中で専門のガイドさんが帰りのホテルをチェックしているが、ルグランがなかったので申し出る。リドはシャンゼリゼの凱旋門寄りにある。8時からのディナーショーと、その後のドリンクショーの2回公演である。既に大勢並んで開場を待っているが、団体の予約客はその横を通って入場する。中では4人掛けのテーブルなので、僕たちの10人グループは2人余る。どなたか、とガイドさんが言うので僕たちは別テーブルにした。すると、その向かい側に僕たちと同世代のご夫婦が座る。奥様は雅子さま似の綺麗な方だった。ショーの前に食事が出るので食事しながら話したところによると、関西方面のお医者さまで島さんという。学会でギリシャのロードス島に来て、帰りにパリに立ち寄ったのだと言う。ツアーではなく個人で手配しているので飛行機がオーバーブッキングしたりして大変だったそうだ。
ショーはヌードの女性たちの踊りから始まる。出て来る女性たちは皆綺麗だし身体も綺麗。ヌードというのが、自分たちの踊りの美しさの表現手段として使われているのだ。仕掛けも大掛かりで、天井から竜に乗って現れたりする。女性たちのショーの合間にはマジックやコントも行われる。マジックは生きた鳥を、それも鳩からもっと大きな鳥に至るまで空中から取り出して客席の上を飛ばせる。男二人による力ワザも見せ場が多くて楽しかった。見ていて飽きることなく2時間がたちまちのうちに過ぎてしまった。ところが食事の時に飲んだワインが効いたらしく、文子は眠くなっている。ショーが終わりバスに戻る時にも、2回目の公演を待つ人が列をなしていた。帰りのバスは一番遠い僕たちのツアーの人たちのホテルから送り始めルグランが最後だった。その時初めてホテルを見たが、外観はビジネスホテルのようだが環状線の外側でリドから10分以上も掛かった。ルグラン到着は0時を過ぎてしまった。
リドがあるシャンゼリゼのような都心ではこんな時間でも賑わっている。パリではサマータイムとは言っても夜9時過ぎまで明るい。そんなところに住む人たちのナイトライフはまだまだ続くのかもしれない。

6月8日(金)天候:晴
今日は一日フリータイムの日。この日は一日中、パリを歩くことに決めてある。久しぶりにゆっくり起きて、優雅な朝食を食べにダイニングに下りる。エレベーターで米国人のご夫婦に会ったのでレディファーストにする。我々だけでルグランに居て、ようやく英語の世界や外国の習慣に慣れてきた気がする。今日も豪華なアメリカンブレックファースト。今日の方が昨日よりも空いているようだ。今日もコーヒーをオーダーし、フルーツたっぷりの朝食。コーヒーは2杯もお代わりしてしまった。
9時過ぎ、徒歩でホテルを出てマドレーヌ寺院の方へ歩く。マドレーヌ寺院の前を左に曲がるとコンコルド広場に出る。途中にマキシムのお店があったのでチョコレートを買う。コンコルド広場にはジェット戦闘機が展示してあった。コンコルド広場を右折するとシャンゼリゼ大通りに出る。このコンコルド広場から途中の賑やかな交差点までは両側に公園が広がり、綺麗な花がたくさん植わっている。大通りの歩道も自動車が楽にすれ違えるくらい広く、屋台やカフェのテラスが椅子を並べている。途中の交差点には噴水もある。そんな交差点の一つロン・ポワン・デ・シャンゼリゼという大きな交差点を左に曲がると、有名店が連続する買い物ストリートであるモンテニュー通りに出る。セリーヌ、クリスチャンディオール、ジバンシー、ブルガリ、ダンヒル、ニナリッチと僕でさえ名前を知っている高級店が連続している。僕はフェラガモのネクタイで好きな物を何本か持っている(皆、以前の海外旅行の時に買ったもの)が、少し古くなったので新しいのが欲しかった。この通りでフェラガモの店を見つけて入ってみたが、ここは男物は置いてないそうだ。
そんなことで、結局買ったのはニナリッチのネクタイとバレンチノのネクタイ1本。何軒かの店は中に入ったが、何軒かの店はウィンドゥショッピングだけにしてしまった。文子に買う気持ちがないと、なかなか買えない。手元に10万円あったと仮定した時、10万円の宝石1個を買う人と、1万円の洋服10着買う人がいたら、ウチは絶対洋服の方。普段から銀座や青山などで高級なものを買い慣れていないと、なかなか思い切った買い物はできない。そこへ行くと、林さんの奥さんは宝石1個の方。今回も5000フランもするオメガの時計を買ったそうだ。こういう高級店では頑丈な男がドアのところに立っていて、ドアを開け閉めしてくれる。かなり図太い神経がないと、ちょっと見るだけでは気後れしてしまう。何度もパリに来れば慣れるのだろうが。
ニナリッチのお店を出て真っ直ぐ行くとシャンゼリゼに戻る。凱旋門の方に歩いて行くとフーケがある。ここは高級なカフェだ。お昼どきなのでお昼を食べたいが、入口に貼ってあるメニューがフランス語だけで写真も何もないのでさっぱり分からない。せめて写真くらい付けておいてくれれば良いのに。更に歩くとルイヴィトンのお店があって人が並んでいる。ここは人気のお店なのでノートに記帳しておき、その順番で入場して買い物をするのだ。更にその先に両替店を見つけたので1万円だけ両替する。お昼だというのに現金なしではどこにも入れない。道路の反対側にマクドナルドを見付ける。パリではマクドナルドも派手な赤いトレードマークは使っていない。茶色のお店で街に溶け込んでいるようだ。でも人気があるらしくすごい人の列。ここならメニューに迷わないのでここでマックを買う。ちょうどテラス席が空いたのでそこに座る。シャンゼリゼを歩く人たちを見ながら食べるのはいかにも外国、という感じがする。すぐ隣の席にフランス人のお母さんがいて小さな子供に離乳食を食べさせていた。その子はおとなしい子で、何もくれないと乳母車のヒモをしゃぶっていた。お昼時ということもあって、シャンゼリゼには結構人が出ている。凱旋門まで行って帰ることにする。その途中、スワッチの看板を見付けたので入ってみる。結構沢山展示してあって、文子の気に入ったものがあったのでそれを買う。先にレジを済ませてから奥の方に持って行くとベルトの長さを調整してくれる。帰りもシャンゼリゼを歩いてコンコルド広場付近のベンチで一休み。マキシムの先の交差点を右に曲がるとサントレノ通りに入る。ここも有名店が連続していてランバン、グッチ、ベルサーチ、クレージュ、エルメスなどがある。どの店をのぞいても良いものは高いし、手ごろな値段で良いものはなかなかない。ヴァンドーム広場を通って結局三越に戻ってしまった。ヴァンドーム広場のところに宝石店があって、飾ってあった宝石は万が付く位の値札が付いていた。
僕はネクタイの他に欲しかったものがある。それはセリーヌのベルトだ。これも以前の海外旅行の時に買ったものばかりだが、セリーヌの馬車のマークが好きでそれを探していた。でも、「C」のマークのものはあるが馬車のマークが無かったので迷っていたところ、三越にフェラガモのネクタイがあったので買うことにする。ところが、このネクタイと昨日の化粧品を合わせても免税額に少し届かない。でもセリーヌのベルトは気に入ったものがなかったのでカフスボタンを買うことにした。
最後に三越で買うならシャンゼリゼをあれだけ歩いたのは何だったのか、と思うが、やっぱり文子と二人で歩く本物のパリ、という雰囲気を味わってみたかったし、文子に高級な店と高級な品物の買い方、楽しみ方を見て貰っただけでも価値があったと思う。
ホテルに戻って、休んでいると電話が鳴る。出てみると林さんだった。夕食を一緒にするので6時にロビーで待ち合わせていたが早めに着いたらしい。二人で降りて行くとご主人はネクタイをしている。僕はラフな格好だったので、着替えることにする。夕食のルグランカフェまでは歩いても10分くらい。この店は赤で統一されていて洒落た感じのお店。その上、隣に生カキを売っているお店がある。海産物が得意らしい。窓際の席に案内されてメニューを見ると、ロブスターがドンと載っている。林さんも文子も無条件にそれにした。飲み物はハイネケンとトロピカルジュース(林さんのご主人)。僕はステーキが食べたくてそれを頼んだが、やはり狂牛病の影響で冷肉になるという。で、舌平目のムニエルに代える。それに海産物のサラダ。こんなに複雑なことをフランス語で頼める訳がない。日本語メニューを頼んだのだ。
林さんの今日の行動はモンパルナスへ行ったそうだ。タワーがあって展望が良かったとのこと。それから地下鉄で郊外へ行って仕事の関係でもある建築物をいろいろ見てきたとのこと。でも、その間にいつの間にかオメガの時計を買っているのだから、やっぱり奥さんの力は強い。
ロブスターと見えたのはオマール海老だったが、大きくて食べでがある。ムニエルも身が厚くて美味しかった。食事の後は楽しいデザート。
最後にコーヒーが出るが大きなお皿に小さなデミタスカップが二つ乗ってくる。随分小さなコーヒーと思っているとそれが一人分で、大きなお皿がまた運ばれてくる。1個はモカで1個はオリジナルらしい。全部食べて1300フラン。僕はもうフランスフランの現金がないのでカードで支払うことにする。すると林さんがフランで現金を呉れた。
食事が終わって外に出ても、まだ明るい。僕たちの行ったレストランもこれからが混んでくるのだろう。歩いてホテルに向かう途中でも、オペラ座の交差点あたりは銀座なみの混雑。林さんはタクシーでホテルに帰るのでルグランで待機しているタクシーに乗る。見送ったあと僕たちは、お腹こなしにその辺を少し歩く。オペラ座周辺は、前回のパリと昨日、今日でだいたい方向感覚は分かったが、まだまだ知らないところが多い。たった少し歩いただけで、結構良い品物が置いてあるお店を発見した。有名店でなくても良い物があるし、安いものや気に入ったものはそういうお店の方が良いかもしれない。
明日が最終日になるため、ホテルに戻って荷支度をする。お土産品が増えてトランクには入りきらない。このことを予測して大きなバックを持ってきたのだ。このバックは前回のパリの時、やはり荷物が増え過ぎてどうにもならず、三越で買ったものだ。ビニールではないのだがたたむととても小さくなりトランクの中に入れても嵩張らない。でも容量が大きく、かなり沢山入るのだ。今回もバリーの靴、文子のバック、化粧品、皆入ってしまった。トランクの方も洗濯物が溜まってしまっている。こちらも着る物を小さく押し潰す真空パックを持ってきた。写真のフィルムを20本持ってきて、インターラーケンでは足りないかナ、と思うくらい沢山撮ったがまだ3本残っている。
今回の旅も明日で最終日。フリーな時間は午前中だけだが、有意義に使いたいものだ。ルグランの窓は観音開きで小さなテラスがあるので、暮れ行くパリの街を眺めていた。

6月9日(土)天候:晴
楽しいことの過ぎ去る時間の早いこと。もう日本を出てから9日間も経ってしまった。高級ホテルで食べる優雅な朝食もしばらくの間お休み。今日はゆっくり味わって食べよう。今日の朝食もいろんなものがあって豪華だが、特にたっぷりと卵もフルーツも持ってきた。コーヒーも勿論2杯。部屋に戻って出掛ける準備。この部屋は12時まで使えることになっているので、昨日と同じ街を歩く小さなバックだけ持って出掛ける。
文子が折角パリへ来たのだからルーブルくらい見たいと言うのでルーブルへ行くことにする。ルーブルもここから近い。地下鉄で1駅である。この前、リドへ行った時歩いたピラミッドの駅から正面にルーブルが見えている。ルーブルはもともと宮殿として建てられたもので、建物も大きいし中庭も綺麗だ。門をくぐって中庭から地下に降りるエスカレーターがある。予約の団体で混んでいるかと思ったがチケット売り場も解説の機械を貸し出すところも空いている。入場券は46フラン。日本語で解説してくれる機械は30フランだった。でもこの機械を借りるには身分証明書が要る。僕はパスポートを出してしまったが、カードか免許証でも良かったようだ。この美術館は広いので、短時間ではとても見ていられない。そこでモナリザとミロのヴィーナスに絞って回ることにした。始めにモナリザを目指す。要所には日本語の方向案内がある。モナリザはデゥノン翼という建物の2階の一番奥にある。そこへ辿り着くまでにも由緒ありそうな絵画が沢山展示してある。借りてきた機械で解説を聞くには、展示番号を押してプレイを押せば良いのだ。でも、全作品の解説がある訳ではなく、展示番号に白い線が引かれているものだけである。ようやくモナリザの前に辿り着く。10年前に来た時は剥き出しの絵で、フラッシュを使っての写真撮影は禁止だったが今はガラスケースに収められ、フラッシュ撮影しても怒られない。それでは、と僕もフラッシュで撮影。それもモナリザだけの写真と文子を脇に立たせたのと2枚も撮ってしまった。今度はミロのヴィーナスである。こちらはシュリー翼という建物の1階にあるので来た方向に戻らなければならない。途中の展示室は混んではいるが、動き回るのに支障があるほどではない。ヴィーナスがある建物は彫刻ばかり集めたもの。社会科の教科書で見たような記憶がある像もあった。ヴィーナス像は意外にもそれほど混んでいない。これもフラッシュ撮影禁止だった筈だが皆フラッシュで写真を撮っている。僕もフラッシュで撮影させてもらった。(大体、それほど明るいところにある訳ではないので、フラッシュを使わないと上手く撮れない)。ヴィーナスを見たあと、ようやく心に余裕ができ、戻る途中の展示物の解説を聞きながら帰ることにした。10年前、僕が一番感動したのはタペストリーが沢山展示してある部屋だったが、それは天井から壁全面に展示されていて、ヨーロッパ文明全体が一挙に押し寄せてきたような感じだった。今回は展示方法も変わりタペストリーの部屋にも行かなかったので、そんな印象はなかったが、それでもルーブルの天井に描かれた天井画には目を奪われた。
外に出ると中庭から正面に凱旋門がある。と言ってもこれは小さなカルーセル凱旋門だ。この凱旋門からシャンゼリゼの彼方に大きな凱旋門が小さく見える。
ホテルに戻る途中のお店をのぞきながらホテルに戻る。スカーフを沢山飾っているお店があったのでそこを覗く。シックな感じのものを1枚買った。ネクタイでセリーヌっぽいデザインが展示してあったのでそこを覗く。やっぱり一目見て気に入ったものを買ったがシルクの製品なのに150フランで済んだ。ニナリッチだったら最低でも3倍はする。
ホテルに戻ってチェックアアウトの用意をする。ここで忘れ物をしたら大変。12時過ぎ、荷物を持ってロビーへ。そこにJTBの沼尾さんが待っていてくれた。フロントで精算してバスを待つ。その間に林さんが到着する。林さんはこっちで買い物をして、ルグランからバスに乗るのだ。バスはルグランから出発する。ツアーの人たちがいるホテルで残りの人たちを乗せ全員が揃う。でも帰りの人数は26人。パリにもう1日残る人が1組。あと2泊する人が1組あるのだ。でも、聞いているとおり程度の良くないホテルなら僕は残る気にはならない。ルグランなら延長しても良いけど・・。それに、延泊するのならインターラーケンの方が良い。あそこならトレッキングもできるし、近くの湖も綺麗だし、いくらでも遊ぶことができる。
帰りはドゴール空港からロンドンに飛び、ヒースロー乗り継ぎで成田に向かう。空港で免税品の手続き。僕はあんまり買わなかったつもりだけど、バリーとランセル、それに三越と3通も提出することになってしまった。出国手続きをして中に入れば免税の売店が沢山ある。重いから最後の最後まで買わなかったお酒も、ここで買わなければならない。会社の人と文子のお父さんに1本づつ。そのお店の近くに軽食屋さんがあるので先に食べることにする。もう、手持ちのフランも少ないし、飛行機の食事が出るのはもっと遅い時間だからだ。サンドイッチ2種類とパイ、それにコークを注文して、面倒だから小銭を全部出して店の人に取って貰う。小銭だけでは足りなくて20フラン札も使うことになった。林さんたちも一緒になったので4人用のテーブルを確保。お昼に食べるにはこの程度の軽食で丁度良い。財布を調べると、まだ400フラン残っている。文子が欲しい化粧品があるというので買いに行く。お金がぴったり残らないように使いたいので2品買う。これで手持ちのフランは全部無くなってしまった。
ロンドンまでは1時間の旅。ドーバー海峡トンネルもできているくらいだからイギリスとフランスは近いのだ。でもヒースロー空港はとても広い。降りたところからバスに乗り、全日空にトランスファーするだけで時間を食ってしまった。帰りの全日空は窓側の席。ここから再び12時間の空の旅。コースは行きと同じでロシア上空を飛ぶのだ。飛行機の中で急病人が出て、どなたかお医者様はいらっしゃいませんか、というアナウンスが流れたが、引き返すこともなく成田に向かった。帰りの飛行機でも寝ることは寝たが、短い時間で起きてしまった。成田到着は13時30分。成田の入国検査のところまで工藤さんと一緒の団体行動。ここで全員で工藤さんにお礼を言って散会になった。実際、工藤さんがいなければこれほど楽しい旅行はできなかったかもしれない。工藤さんが案内するツアーにはまた参加したいと文子も言っていた。林さんとも成田でお別れ。でも林さんも横浜都民だし、横浜あたりで会えたら楽しいね。
成田で大きな荷物は宅急便を手配し、成田エキスプレスと小田急ロマンスカーを乗り継いで帰る。日曜日の午後とあって新宿駅が異常に混んでいたが、まだ明るいうちに帰ることができた。
ようやく文子と二人で行くことのできたスイス、パリ。いつかまた行くことができるだろうか。それとも違う国を訪ねることになるだろうか。もし、また行くことができたら、楽しかった今回の旅のことを思い出すだろう。

同行者
カップル・夫婦
一人あたり費用
25万円 - 30万円
航空会社
ANA
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行あり)

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  • ノートルダム寺院。ステンドグラスが美しかった

    ノートルダム寺院。ステンドグラスが美しかった

  • シャンゼリゼ。

    シャンゼリゼ。

  • 凱旋門にて

    凱旋門にて

  • ミロのビーナス<br />ルーブル美術館にて

    ミロのビーナス
    ルーブル美術館にて

  • ルーブル美術館。もとは宮殿

    ルーブル美術館。もとは宮殿

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