1999/01 - 1999/01
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buchijoyceさん
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「列車の時刻があてにならなかったから、たぶん飛行機もあてにならないね」と言っていると案の定飛行機は遅れた。アスワンまで飛び、乗り換えてアブシンベルへ行き、折り返しアスワンまでが今日の日程。
アスワンエアポートに着くとムハンマドさんが待っていてくれ、スーツケースやコート、カメラバッグを預かってくれた。あいかわらず金属探知器の下をピーピー言いながら出入りする。
警備員がペットボトルの飲み物を見せ、日本のものかときく。伊東園のジャスミン茶だ。メイド イン ジャパンだがチャイニーズ ティだというが通じない。「シャイ(茶)」なのかと言うだけ。「シャイだ」と答える。
ムハンマドさんが、飛行機の座席はフリーだから、左手に乗るように。アブシンベル神殿が見える。着いたらまず、帰りのチェックインを済ませること、という。出発時間はあてにならないから、ムハンマドさんに帰って良いですよ、と言って帰って貰う。
トイレ前に管理のお姉さんが立っている。1ポンド渡すとにっこり。トイレットペーパーを切ってくれる。翌日またトイレを利用したらお姉さん覚えていて、にこにこして「カム イン」。
空から見るエジプトはまさに砂漠の国だ。ナイル河畔だけに緑があり、あとは荒涼たる砂漠。砂漠と言っても山あり谷あり、それが果てしなく続いている。リビア砂漠、サハラ砂漠へとつづいているのだろう。砂漠の中を一本の線のように道路が走っている。
ずっと昔に見た、映画「目には目を」や「マノン・レスコー」を思い出している。上から見ると、凍てついたシベリヤの大地に似ているが、あちらには生物の営みがある。しかしこちらには生物の存在を拒否しているような感じがする。すごい世界だ。たぶんあの砂漠にも、奇想天外のようなそれに適した生物がいるのだろうが、空からは見えない。
アスワンハイダムに続くナセル湖は飛行機で40分飛んでも終わらない。とにかく広い。ただ不思議に思ったのは、湖の岸辺に何にも植物が生えていないことだった。岸辺はまるで海の砂浜のようだ。古代ナイルの氾濫は下流に豊かさをもたらした。上流からの肥沃な土はどうなってしまうのだろう。この砂というより土塵のような砂がダムに堆積してしまわないのだろうか。素人のくせに余計なことを考えている。
到着ぎりぎりにアブシンベル神殿が見えた。光が悪い。言われた通り帰りのチェックインを済ませ、バスに乗る。神殿入り口でチケットを買う。チケット売場に一番先に列んだのが韓国人ツアーのお兄さん。続いてスコットランド人(本人がそう言った)、続いて夫。スコットランド人だというおじさんが韓国の人に日本人かと訊いている。横から口を挟んで日本人は私。彼らは韓国人というと、そのオジサン「韓国人は悪い、日本人は良い」と言い出した。「夫がそんなことはない。韓国人も日本人も同じだ」と大きな声で言っている。韓国悪いはどこから来ているのだろう。ちょっと気になった。
写真でみるラムセス?世の座像が目の前にある。大きい。像にも岩山にも切ったあと。水没する遺跡を保護するためにカットして運んだのがよくわかる。めずらしく灌木があり、ノビタキやエゾセンニュウに似た小鳥がもぐっている。岩山の裂け目には鳩が巣を作っている。ここの鳩は赤みを帯びていて、形はちがうがコジュケイのような色合いだ。
中の列柱室。ラムセス?世のレリーフがある。このレリーフを見ただけで、はるばる来た甲斐があったというもの。線はシャープで生き生きとしている。実に見事だ。現代を遙かに超えている。しかも何千年も前の作品なのに。当時、レリーフはきちんとパターン化され綿密な計算の元に作られていたと聞いていたが、この生命感はどこからくるのだろう。なるほど、碌山がエジプト彫刻を見て感激した意味がわかる。
細い階段を上がるとまたびっくり。岩窟神殿の上はドームになっていたのだ。過去と現代技術との同居。ユネスコは10以上もの遺跡を移築し、水没から守っている。
アスワンに戻る。飛行場から町までは距離がある。ダムの横を走ると、これはオールドダムだと夫がいう。船がいっぱい出ている。漁船ではなさそうだ。なんなのだろう。
町をぐるぐる回ってナイル河畔についた。船が待っている。もしかしてあれに乗るの?と聞くとそうだという。夕日を受けて川面が頬を染め、なんとも美しい。川の中州、河畔にも遺跡とおぼしきものがたくさんある。ファルーカ(帆掛け船)が何艘も風のまにまに漂っている。「ナイルクルーズしなくてもこれで十分だね」と喜んでいる。
10分ほどで、イシス アイランド ホテルにつく。この船はホテルの専用船。ここも大きなホテルだ。二階からポトスがロビーまで垂れ下がっている。
明日8時にさっきの船着き場で、と言ってムハンマドさんが帰る。部屋に着き、いそいで外に出てみるがもう夕日は落ちてしまっていた。
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