2001/02/28 - 2001/03/02
286位(同エリア317件中)
KAUBEさん
- KAUBEさんTOP
- 旅行記34冊
- クチコミ0件
- Q&A回答0件
- 54,778アクセス
- フォロワー5人
紋別にて2001.3
2月28日
紋別空港に下りる直前、
ぼくは飛行機の丸い窓から青黒い海を見た。
ん、海が青い?
それは流氷が来てない、ということではないか。
氷なら白いはずだ。
宿に着くと、
「流氷? 来てたんだけどネ、昨日から風強かったっしょォ。みんな沖に流されちまっただよネ」
そして
「さあねえ、こればっかはその日にならネとわかんネべさ」
なんて冷たく言い放つ。
しかも、明日の天気予報は吹雪で、この風は明日も続くんだと。
そりゃないベ。
ぼくの予定は二泊三日。あさっての昼には帰りの飛行機に乗ることになる。
明日がだめなら絶望的。
ともかく、その日は少し風が弱まって青空ものぞいていたので、夕方の紋別の町を歩いた。
商店と住宅が並ぶゆるい上り坂をゆっくりと30分あまり歩いて、街外れのスキー場のあたりまで行って振り返ると、町並みの向こうに海が見えた。
オホーツクはやっぱり青黒い色をしている。
誰も乗っていないのにカラカラと回っているスキーリフトの下で、ぼくは思わずため息をついた。
それから宿に戻るまでに、ぼくは凍てついた雪道に足をとられて二度、すっころんだ。
3月1日
予報通り朝から吹雪。
流氷見物の砕氷船「ガリンコ号」も強風のため欠航。
船で少し沖に出れば流氷に会えるのではないか、という甘い期待も打ち砕かれた。
まあしゃーないわな。で、目もあけられないような吹雪を突いて、ぼくは歩き出した。外はマイナス17度。
どういうわけか、ぼくは寒さに強いのである。
バスターミナルから、海に突き出たオホーツクタワーとかいうところに行くバスに乗った。
バスターミナルまで10分ほど歩く間に、ぼくはまた雪道に足を取られて思いっきり横転した。左手首擦傷。
バスは10分ほどで港に着く。
そこは「ガリンコ号」の発着所でもあり、お土産店とか、レストランなんかがあってにぎわっている。
ところが、オホーツクタワーというのは、そこから堤防のようなところをかなりの距離歩かねばならない。
でもせっかく来たのだし、ここでラーメンなんか食ってお土産でも買って終わり、ではちょっとさえない。
で、えいっ、と、また吹雪の中に踊り出た。
えいっ、と思い切らないと外には出られない低温と強風の中、波しぶきのかかる道を小走りにタワーに向かって歩いた。
でもこの天気では、たどり着いたタワーからも何も見えず、
係の人たちがあくびしている館内で、流氷関係のちょっとした展示なんかぶらぶら眺めて、また吹雪を突いて港に戻った。
港から町のほうに向かって歩いて10分ちょっと、というところに「流氷センター」というのがある。
さっきのバスはここからそっちに立ち寄ってまた町に戻るのだが、あいにく次のバスが出た後だった。
次のバスは二時間後だという。
売店の人に確認したら「そうね、あと二時間」と言ってから、
「あたしが送ったげるよ」と車を出してくれた。
ぼくはその女店員(近隣のお母さんのパート、と見た)が通勤用に使っていると思われる車で、流氷センターまで送ってもらった。
たいした距離ではないから夏なら当然歩くところだ。
というより、冬だってこんな天気でなければ歩く。
が、なにしろこの天気、この気温、しかもここは海辺だから風はひときわ強く、立っているのも楽ではない。
だから、ほんと、ありがたかった。売店のおばさん、ありがとね。
流氷センターではオホーツクの四季を映した大パノラマが上映され、実際の景色が何にも見えなかったうっぷんを、少しは晴らすことが出来た。
宿に戻って、まだ少し明るいので港に行ってみた。
さっき行った観光船の港ではなく、宿から5分のところにある漁港。
一隻の漁船で男たちが働いていた。
もう定年、という年の人から青年、というか少年という年の人まで、
いっしょになって船の甲板と陸に分かれ、
吹雪の中で大声を掛け合いながら物を運んでいた。
それはすさまじい光景だった。
この寒さではああして働いていても体が温まるということはないような気がした。
ぼくは寒くなったら宿に戻ればいい。でもこの人たちは…、そんなことを思ってふと胸が熱くなった。
3月2日
帰りの飛行機は12時40分(一日にそれ一便しかない)。
もう行くところもないし、早めに空港行くか、なんて思いながら窓のカーテンを開けたら、真っ白い海が見えた。
え、海が、白い!
流氷だ! 吹雪もやんでいる。
まず電話を入れた。
「はい、今日は来てますよ。ガリンコ号も動いてます」。
朝一番のガリンコ号に予約を入れた。船が小さいので一応予約制になっている。
朝飯もそこそこに港に駆けつけた。
流氷はこんなふうに突然現れるんだ…、
ということはまた、突然去ってしまう、ということだろうか。
ガリンコ号が港の堤防を出ると、そこはもう白一色の氷の世界だった。
氷は場所によっては大きな板状になり、場所によっては比較的小さな氷塊になって海面を覆っている。
大きな氷の板に船がぶつかると、にぶい音がしてその巨大な氷の板が割れ、青黒い海水がのぞく。そんな氷の海に海鳥がたくさん舞っていて、悲しい、寒々とした声で鳴いた。
全身の知覚神経が麻痺しそうなそんな寒さの中で、それでもぼくは小一時間の航海中、じっと甲板に立っていた。
ぎりぎりのタイミングで姿を現したオホーツクの流氷を見たあとは空港に直行。
帰りの飛行機から見るオホーツクは、今度は白一色、赤錆色のガリンコ号がその中をのろのろと行くのが見えた。
今回はちょっとよい旅が出来たな、と、暖かい飛行機の座席でぼくは思った。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
-
- kyokosa-nさん 2006/06/22 00:22:38
- お気に入りに入れていただき光栄です。
- このたびはお気に入りに似ご承諾を戴き有難うございます。
KAUBさんの
一枚の写真が物語を構成。素晴らしいです。
惹きつけられる様にいつも拝見させていただいております。
これからも伺わせて戴き勉強をさせていただこうと思います。
写真のコメントの一言がむずかしい。 宜しくお願い致します。
流氷を私も見ました。一期一会 出会いは嬉しいものがありました。
K M
- KAUBEさん からの返信 2006/06/22 10:37:08
- RE: 読んでくださってありがとございました。
- 自分のための記録、というつもりで作ったホームページから旅の記録だけを4トラに公開してみましたが、こうして読んでいただいたりするととてもうれしいものです。
kyokosa-nさんのヒマラヤ、今ほんとにざっとですが拝見しました。現地の姉弟の(逆? 兄妹…)の写真、じっと見入ってしまいました。こういう出会いが旅なのかな、なんて思いながら。
写真の説明文といえば、出版社で雑誌の編集をやっていたころ、写真の説明をよく書きました。あれはふつう編集の仕事です。でも編集者必ずしも文章うまい人、というわけじゃなくて、結構苦労してる人もいました。今だから言えるネタバレです。あのわずかな字数で写真が言いたいことを代弁するのはそりゃ大変ですからね。
ではまたkyokosa-nのヒマラヤや国内の山の記録もゆっくり拝見します。
私のは古い記録ばかりですが、これからもよろしく…
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
紋別(北海道) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
2
0