アウシュビッツ旅行記(ブログ) 一覧に戻る
オフィシエンチム、通称アウシュヴィッツ。東欧旅行の目的のメインはここ。<br /><br />仕事を始めて守るものができたら直視できなくなるかもしれないから、若いうちに行っておくべきだと思っていました。人間ってどういうものなのか、ちゃんと見ておかないと。<br /><br />私はポーランドの言葉はほとんど話せませんが、ドイツ語は結構いけます。ポーランド国内では年配の方を中心にドイツ語が通じるので助かりましたが(若い世代には英語のほうが通じる)、「ドイツ語が通じること」の意味も考えないわけにはいられなかった。東南アジアの国々で日本語が通じることの意味を考えずにはいられないように。

オフィシエンチム。考える旅

3いいね!

2004/03/02 - 2004/03/15

340位(同エリア399件中)

0

16

ZAKi-rinascimento

ZAKi-rinascimentoさん

オフィシエンチム、通称アウシュヴィッツ。東欧旅行の目的のメインはここ。

仕事を始めて守るものができたら直視できなくなるかもしれないから、若いうちに行っておくべきだと思っていました。人間ってどういうものなのか、ちゃんと見ておかないと。

私はポーランドの言葉はほとんど話せませんが、ドイツ語は結構いけます。ポーランド国内では年配の方を中心にドイツ語が通じるので助かりましたが(若い世代には英語のほうが通じる)、「ドイツ語が通じること」の意味も考えないわけにはいられなかった。東南アジアの国々で日本語が通じることの意味を考えずにはいられないように。

  • クラクフから出発。ローカル線に揺られて2時間ほどで、オフィシエンチムの駅に着きます。

    クラクフから出発。ローカル線に揺られて2時間ほどで、オフィシエンチムの駅に着きます。

  • オフィシエンチムの駅。収容所跡があることを除けば、ふつうの田舎町なので、すごい殺風景。

    オフィシエンチムの駅。収容所跡があることを除けば、ふつうの田舎町なので、すごい殺風景。

  • アウシュヴィッツ収容所周辺。

    アウシュヴィッツ収容所周辺。

  • アウシュヴィッツ収容所入り口。

    アウシュヴィッツ収容所入り口。

  • 冬に行ったので、中はこんな有様。猛烈に寒い。<br />「立ち入り禁止」の看板は、当然ながらドイツ語。

    冬に行ったので、中はこんな有様。猛烈に寒い。
    「立ち入り禁止」の看板は、当然ながらドイツ語。

  • 寒い。何て寒いんだ・・・!

    寒い。何て寒いんだ・・・!

  • 荒涼とした風景。冬に行ったのは間違ってなかったと思うけど、それにしたって陰鬱な景色ですな・・・

    荒涼とした風景。冬に行ったのは間違ってなかったと思うけど、それにしたって陰鬱な景色ですな・・・

  • 銃殺が行われた場所。通称「死の壁」。お供えの花がたくさん。

    銃殺が行われた場所。通称「死の壁」。お供えの花がたくさん。

  • 載せようかどうか迷いました。気分悪くなる人もいそうなので。でも、載せます。<br /><br />毒ガスチクロンBの空き缶です。<br /><br />これを保存し展示することをドイツは受け入れた。やっぱりヨーロッパの人は強い、のかもしれない。

    載せようかどうか迷いました。気分悪くなる人もいそうなので。でも、載せます。

    毒ガスチクロンBの空き缶です。

    これを保存し展示することをドイツは受け入れた。やっぱりヨーロッパの人は強い、のかもしれない。

  • ガス室入り口。中に入れます。内部は真っ暗で蝋燭の明かりと聖書、ユダヤ教の経典が置いてある。<br /><br />中に入って、人間の罪についてゆっくり考えた。<br /><br />私だって、いつでも加害者側になりうるのだ。大勢のドイツ人が自分たちは加害者だということを自覚せずにいたように。知ろうとしないことは罪だ。<br />自分をイノセントだと思い込むことほど、重い罪はないんじゃないかと私は思う。

    ガス室入り口。中に入れます。内部は真っ暗で蝋燭の明かりと聖書、ユダヤ教の経典が置いてある。

    中に入って、人間の罪についてゆっくり考えた。

    私だって、いつでも加害者側になりうるのだ。大勢のドイツ人が自分たちは加害者だということを自覚せずにいたように。知ろうとしないことは罪だ。
    自分をイノセントだと思い込むことほど、重い罪はないんじゃないかと私は思う。

  • 見張りの建物の周りには今でも有刺鉄線が。

    見張りの建物の周りには今でも有刺鉄線が。

  • こちらはビルケナウ収容所。よく、アウシュヴィッツ収容所として映画やドラマなどに使われていますが(『白い巨塔』にも出てきましたね)、ほんとはこの引込み線はビルケナウのほうなのです。<br /><br />線路は途中でぷつりと途切れ、その先はない。<br />戦争中は、この線路の果てで運ばれてきたユダヤ人は列車から降ろされ、強制労働に従事させられました。<br /><br />今、この線路の果てには石碑があります。

    こちらはビルケナウ収容所。よく、アウシュヴィッツ収容所として映画やドラマなどに使われていますが(『白い巨塔』にも出てきましたね)、ほんとはこの引込み線はビルケナウのほうなのです。

    線路は途中でぷつりと途切れ、その先はない。
    戦争中は、この線路の果てで運ばれてきたユダヤ人は列車から降ろされ、強制労働に従事させられました。

    今、この線路の果てには石碑があります。

  • ビルケナウ収容所内の石碑。連行されてきたユダヤ人がもともと住んでいた、すべての国の言葉で書かれています。これはドイツ語版。20個以上ある石碑の内容は全部同じ。翻訳を見つけたので、載せておきます。<br />「ナチ党員が、150万人の老若男女、主に様々な欧州の国出身のユダヤ人らを虐殺したこの場所が、未来永劫、人類にとっての絶望の叫び、戒告となるように。<br />アウシュヴィッツービルケナウ1940-1945」

    ビルケナウ収容所内の石碑。連行されてきたユダヤ人がもともと住んでいた、すべての国の言葉で書かれています。これはドイツ語版。20個以上ある石碑の内容は全部同じ。翻訳を見つけたので、載せておきます。
    「ナチ党員が、150万人の老若男女、主に様々な欧州の国出身のユダヤ人らを虐殺したこの場所が、未来永劫、人類にとっての絶望の叫び、戒告となるように。
    アウシュヴィッツービルケナウ1940-1945」

  • ビルケナウ収容所の風景。見張り塔に登れるので、全部見渡すことができます。<br />アウシュヴィッツ収容所がいっぱいになってしまったため、とにかく人数を収容したいということで建設されたビルケナウ収容所。このとおり、巨大。

    ビルケナウ収容所の風景。見張り塔に登れるので、全部見渡すことができます。
    アウシュヴィッツ収容所がいっぱいになってしまったため、とにかく人数を収容したいということで建設されたビルケナウ収容所。このとおり、巨大。

  • 夕方になり、大概寒いので撤退。<br /><br />しかし、タクシーでアウシュヴィッツまで戻ったはいいけど、バスが1時間以上来なくてますます陰惨な気分に。<br />陰惨な気分は覚悟していたので、仕方なかったんですが。<br /><br />こういう、いわゆる「負の遺産」を残し、それを見るということの意味は、被害者に同情したり、自分が無関係でいられることに感謝したりするためではない、と私は思っています。<br /><br />むしろ決して無関係ではない。彼岸の出来事ではない。<br />私はいつでも加害者側に回りうる、「人間」という危険極まりない生物なのだ。<br /><br />そのことを自覚すること。<br />「君の存在が受容できるなら、ゲッペルスの存在も受容せねばならない。そこからしか、新しい時代は生まれない。」<br />ジョルジオ・アガンベンの著書からですが、だいぶ前に英語で読んだので、訳、間違っているかも。<br />でも、大量の死の痕跡の中で、私はそんなことを考えていたのでした。

    夕方になり、大概寒いので撤退。

    しかし、タクシーでアウシュヴィッツまで戻ったはいいけど、バスが1時間以上来なくてますます陰惨な気分に。
    陰惨な気分は覚悟していたので、仕方なかったんですが。

    こういう、いわゆる「負の遺産」を残し、それを見るということの意味は、被害者に同情したり、自分が無関係でいられることに感謝したりするためではない、と私は思っています。

    むしろ決して無関係ではない。彼岸の出来事ではない。
    私はいつでも加害者側に回りうる、「人間」という危険極まりない生物なのだ。

    そのことを自覚すること。
    「君の存在が受容できるなら、ゲッペルスの存在も受容せねばならない。そこからしか、新しい時代は生まれない。」
    ジョルジオ・アガンベンの著書からですが、だいぶ前に英語で読んだので、訳、間違っているかも。
    でも、大量の死の痕跡の中で、私はそんなことを考えていたのでした。

  • なんとかクラクフまで帰ってきました。<br />クラクフはとても綺麗な古都。ここの街の美しさで、収容所見学で負った傷(いや、自分から傷を負うために行ったのだが)が癒された気がします。

    なんとかクラクフまで帰ってきました。
    クラクフはとても綺麗な古都。ここの街の美しさで、収容所見学で負った傷(いや、自分から傷を負うために行ったのだが)が癒された気がします。

この旅行記のタグ

3いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

ポーランドで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
ポーランド最安 478円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

ポーランドの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP