2005/02/07 - 2005/02/10
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ぱんぱーすさん
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きっかけは、トマス・キニーリーの「シンドラーズ・リスト」でした。後にスティーブン・スピルバーグ監督によって映画化された「シンドラーのリスト」の原作です。第2次世界大戦終盤を中心に描かれたユダヤ人の悲哀と、それに敢然と立ち向かうドイツ人の実話……小説は同じものを2冊、それぞれ擦り切れてボロボロになるまで読みふけりました。死ぬまでに必ず行かなければ、行ってこの眼で見、全身で感じなければ、と思っていましたが、その機会は早くも20代半ばにして訪れました……。
決して明るい旅行記ではないですが、どうぞ。
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真夜中の国境越え。宿代を浮かす為にも、削れるところは削ります。暗い中で、橙色の街灯が寂しく光っているのが、また郷愁を誘います。俺は、一体これから何処へ運ばれていくのだろう……そんなセンチメンタルな気分になりました。
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朝6時。朝もやけむる中、クラクフ駅に到着。
しかし寒い!ドイツのフュッセンあたりで寒さには慣れたかと思っていたが、こっちはそんなものではなく、まさに底冷え限界突破、といった感じでした。
バックパックを背負いながら、白い息を吐きつつ路面電車を探します。 -
駅周辺の様子。見ての通り雪で覆われています。路面電車の乗り場を探しているのですが、とにかく停留所の数が多く、しかもエリアが広い!寒さでどんどん体力を吸い取られながら、停留所を探します。
結局、駅から1番遠い停留所で、目的地行きの路面電車を発見。ここで無理がたたり、後々風邪を引くことに……。 -
はるか遠くに見えるのは、街のシンボル(?)バベル城。
これは一体どこから撮ったものだったか……まるでハウルの動く城のようにも見えてしまいます。 -
バベル城の聖堂前。9時オープンの予定だったのですが、早く来すぎてまだ開館前。ちなみに、バベル城の庭だけならば、もっと早くから入ることも出来ます。
ここにはちゃんとシスターがいるんですね。穏やかな空気とにこやかな挨拶を運んできてくれたシスターに、凍えた心が癒される気がしました。 -
バベル城中庭。この頃には体調がかなりきつくなってきていました。開館まで待とうかと思ったのですが、自分の限界がそう遠くないことを悟り、外観だけ見て撤退。この城の散策を犠牲にしてでも、倒れる前に見ておきたいところがあったので……。
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バベル城外。石垣が高々とそびえ立っています。バビル2世が出てきたりはしません。
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クラクフ中心部の西側を流れるヴィスワ川。そういえば、ヴィスワ・クラクフというポーランドの強豪サッカーチームがあったはずですが、どこで練習してるのやら……。
川は悠久の時を経ながら、ポーランドの哀しい歴史を静かに見続けてきたのでしょうね……。 -
カジミェルシュ地区。カジミェジといった方が、シンドラーズ・リストの愛読者にはわかりやすいでしょうか。ナチス時代のゲットーのあった所です。
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カジミェジ地区。さすがにもうゲットーの面影はありません。が、60年前には、確実にここで悲劇があった訳で……胸が痛みます。
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スタラ・シナゴーグ。シナゴーグとは、簡単に言うとユダヤ教の教会のようなところで、今ではユダヤ文化を紹介するミニ展示館だったり、第2次大戦中に起こった悲劇を伝えるミニ博物館になっていたりします(実際にまだ使われているシナゴーグもあります)。
ここは文化を紹介するシナゴーグ。基本的に内部は撮っていません。宗教上よろしくない部分もあるでしょうし、撮影NGみたいですし。 -
オスカー・シンドラーのエマリア。数千人のユダヤ人の命を救った舞台となったオスカーの工場は、今でもまだ残っています(しかも多数の会社の事務所として使われています)。
……ところで、シンドラーってのはポーランド語ですと「シンデレラ」っぽいのですが、もしかしてあのお話はこのあたりが起源なんですかねぇ? -
色々な旅行書を調べましたが、ここについての詳細な記述は無く(観光スポットじゃないから当たり前か?)、カジミェジ地区南の郵便局で地図を見せてもらおうと思っていたら、地元の親切なおじさんが車で連れて行ってくれました。感謝!!
事務所入り口の階段。「シンドラーのリスト」では工場入り口左脇にまっすぐ上り口がありましたが、実際は少し奥に入り、左に曲がると上り口があります。 -
おじさんは、俺が「シンドラーについて見に来た」というとアツく語り始めました。
「君はシンドラーに興味があるのか」「あの映画はよくできている」「是非見てくるといい」
やはり現地の人には当時の出来事が口伝えられ、痛ましい記憶として残っているのでしょう。
そういやこのおっさん、英語そこそこ出来たな。
事務所2階から工場を見た図。ここが稼動していた頃、ダビデの星をつけたユダヤ人が、恐怖に耐える拠り所としながら、ここで働いていたのでしょう……。 -
工場には守衛がいます。さすがに勝手に入ることは出来ません。今でも業務で使われていることもあり、まさか中には入れないかと思っていたら、案外すんなり入れてくれました。ありがとうございます。
工場の一角。塗り直した部分以外は本当に当時のまま残されています。イザーク・シュテルンもこんな中を歩き回っていたのでしょうか。 -
写真を撮っている姿はやはり変なヤツだったのだろうか、それとも東洋系の顔が珍しいのか、従業員と思われる連中が時々しげしげと俺を見てくる。が、もはや俺にそんなのを気にしている余裕は無い。
工場内部。今はもう機会や旋盤などは置かれていない。 -
工場の正門は今はもう閉ざされています。出勤者は別の出入口から車を乗り入れているようです。
しかし「シンドラーの工場」でなければ、こんな写真を撮る気にもならなかっただろうし、現にこれを見てる他のトラベラーは面白くないかも知れませんが……ごめんなさい。
工場内部。中には入れるところもあります。全体的に薄暗く、夜になると結構怖そうです。まるで戦時中の闇がまだ残っているかのような想像にかられました。 -
事務所には封鎖されている部屋もあります。ただ単に入る会社が無いだけなのかもしれませんが。こういった部屋で、シンドラーとアーモン・ゲートによる、ユダヤ人の命運をかけた飲み比べ等が行われていたのかもしれません。
工場内部。何かの機械が据付けられていた跡のようです。果たしてそれがエナメル容器の為のものだったのか、「誰も殺したくない」という信念から1度も検査をパスするものを造らなかった兵器の為のものなのか……。 -
1993年作、アカデミー賞等の映画賞を総ナメにした「シンドラーのリスト」。かのスピルバーグがここを訪れた写真や、撮影(題材収集?)の際の写真が残っていました。その写真が白黒だったのがまた……。
見ての通り、駐車場です。古い建物と新しい車。頭が戦時中にトリップしていた自分には、ミスマッチというか少し妙に感じます。アードラーとかベンツとかあれば、まだサマになっていたのでしょうか。 -
リポヴァ通りの入り口から見た工場。奥に見えるのがシンドラーの工場跡で、手前の白い建物がシンドラーの友人ユーリウス・マドリッチの工場跡です。彼もまた、多くのユダヤ人を救った1人です。こちらには入りませんでしたが、こちらはどうなっていたのでしょうか……。
今でもイスラエルの人々はオスカー・シンドラーを忘れていないそうです。何で彼だけがこれ程神格化されるに至ったのか、それを知りたい気もします。 -
カジミェジ地区に戻って、イザーク・シナゴーグ。ここでは、第2次大戦時のユダヤ人に起こった悲劇や、そこで死んだ人々のポートレート、また地下に潜って抵抗を続けたシオニストについて書かれていました。また、戦時中に撮られたと思われるフィルムも放映しており、そこで1時間近く第2次世界大戦とナチスについて考えていました。
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中心部まで戻って中央市場へ。この頃には体調がかなり厳しくなっており、また買い物は自分の旅の目的には無いため、早々に退散。まだ昼過ぎでしたが、次の日のアウシュビッツ行きの為に体力を温存。
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聖マリア教会。昔モンゴル軍が攻め入ってきた時に、兵士がここからラッパを吹いて危険を知らせたのが由来で、今でも毎時間1回、ラッパが吹かれています。しかも途中で演奏をやめてしまうあたりが、ラッパを吹き終わらないまま喉を打ち抜かれて殺されてしまった兵士を悼んでいるように思えます。
写真はまさに吹いている最中の写真なのですが、こんな遠くじゃ見えませんよねぇ……。ちなみに、吹き終わると吹き手は下に向かい手を振り、中に消えていきました。悼んでるんだよね?観光客向けのパフォーマンスじゃないよね?
クラクフ旅行記その1はここでおしまいです。かなり体調が悪い中、興味のあるもの以外の写真はほとんど撮れませんでしたが……。
次の日、アウシュビッツへ向かいますが、それはまた次の旅日記で。
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この旅行記へのコメント (5)
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- Alice_in_tさん 2006/04/21 17:17:16
- クラクフ・ゲットーはヴィスワ川の南
- ぱんぱーすさん始めまして。
Alice_in_tといいます。
ポーランドは本当に興味のつきない国ですね。
特にユダヤ人にまつわる歴史は60年を過ぎた今でも私たちに大きな衝撃を与えます。
私も昨年11月にポーランドへ行きました。ぱんぱーすさんの旅行記を見せていただき、自分の旅行を思い出しました。
私もシンドラーの工場へ行き、熱く語るおじさんから例の長い階段とシンドラーの部屋と家具を見せてもらいましたが、ぱんぱーすさんは工場の中も見せてもらったんですね。
ほとんどドイツ語しかしゃべらないおじさんの話から推測して、工場がミュージアムになるらしいと知りました。その後インターネットで調べて、工場はアート・ミュージアムになるとわかりました。(オープンしたかは未確認です)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/4633583.stm
ところで、映画ではクラクフ・ゲットーはカジミエージュ地区にあったかのように描かれていましたが、実はヴィスワ川の南にあったのです。
また映画で描かれていた収容所の大部分はアウシュビッツではなく、クラクフ・ゲットーのさらに南にあったプワショフ収容所です。
それらの場所を下記で見ることができます。
http://www.ushmm.org/museum/exhibit/focus/schindler/schindler.php
上のサイトの左下のほうの地図をクリックすると4種類の地図を見る事が出来ます。
1)ポーランドの地図
2)ヴィスワ川南岸の地図
3)クラクフ・ゲットーの地図
4)プワショフ収容所の地図
実はポーランド旅行を計画するまでこのようなことも知りませんでしたが、旅行前後であれこれ調べてたくさんのことを知りました。
ひとつ知ればまた知りたいことがでてくる、それが旅行のすばらしいところだと思っています。
よければ私の旅行記もちょっとのぞいてみてください。
- ぱんぱーすさん からの返信 2006/04/23 02:00:25
- 初めまして!
- Alice_in_tさん、この度は拙宅に足を運んで頂きありがとうございます。
シンドラーの工場、ミュージアムになるんですか!それは嬉しいです。
会社の事務所にしておくなんて勿体無いと思ってましたので。
あの時工場の中を見せてもらえたのって、実はスゴイ事だったんですかね?
シンドラーのリストの舞台がプワショフなのは知ってましたが、ゲットーの
場所がヴィスワ川の南だったのは知りませんでした。いや、今思えば
街の看板で見たような気もしましたが、カジミェーシュの土地名を見て
躍り上がってましたから、記憶の外に飛んでっちゃってたんでしょう。
何でカジミェーシュが有名になっちゃったんでしょうね。シナゴーグが
いっぱいあるので、関連付けしやすかったんですかね?
これからもよろしくお願いします☆
- Alice_in_tさん からの返信 2006/04/23 12:55:05
- クラクフ・ゲットー
- ちょっとかじった歴史によると、カジミエージュ地区は中世のころにカジミエージュという王様がユダヤ人たちのために作った街だそうです。
シンドラーのリストでアーモン・ゲートの台詞にもあるように、ユダヤの人々は商売に長けていて、この街で豊かな暮らしをしていたようです。
ナチス政府になって、ユダヤ人は限られた荷物を持ちヴィスワ川にかかった橋を歩いて南岸のゲットーに移されてしまいました。空き家となったカジミエージュ地区のユダヤ人達の家はシンドラーを始めナチスの有力者たちが自分達の住まいにしてしまったのです。
シンドラーは人件費の安いユダヤ人をやとうために、ゲットーから近いリポワ通りに工場を構えました。
こうして位置関係などがわかってみるとまた映画「シンドラーのリスト」が面白くなります。
私がいった11月にも雪が降り、気温が0℃前後でしたが、ぱんぱーすさんが行かれたころは更に寒かったのではないでしょうか?
- ぱんぱーすさん からの返信 2006/04/24 08:05:25
- DEF
- 確かにリポワ通りはカジミェーシュ地区ではなく、ヴィスワ川の南に
ありましたね。旅行書に全然載ってない(降りる停留所しか書いてなかった)
ので、降りてから小一時間迷った記憶が(^^;
工場がミュージアムになったら、旅行書にちゃんと載るのかなぁ?
スピルバーグの写真とかある事だし、観光地にするにはいいと思います。
ついでに、隣のマドリッチの工場もオープンしてほしいですね。
もともとユダヤ人はカジミェーシュ地区に住んでて、追い出された後に
シンドラー等が住んでたんですか……ちょっと知らなかったですね。
今度暇見つけて小説読み直してみよう……ご指導ありがとうございます(^▽^)
あーあ、また旅行いきたいな。
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- ミネラルさん 2006/02/16 07:05:11
- シンドラーのリスト
- はじめまして。
私も数年前にポーランドに行き、悲惨な歴史のあとを見てきました。
私は帰国してからシンドラーのリストの映画を見たのですが、涙があふれて止まりませんでした。
クラクフに工場があったのですね。
写真を見せていただいてありがとうございます。
とても興味深く見せていただきました。
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