1968年ウィーン国際鉄道会議。<br /><br />開幕式の基調講演を終え、肩の荷を降ろした私は、それから一週間続く会議をエンジョイする。<br />コーヒーブレイクでは、たくさんの友達が出来た。<br /><br />スコットランドの鉄道管理局長は、私のスコットランド礼賛を聞いて、一度遊びに来いという。<br />しかしゴルフのハンディは、さすが本場だけあって12だそうで、これでは100もたたく私とは格が違いすぎる。<br /><br />オフィシャル･ディナーでは、タキシードを着る。<br />服装で、夜会服（トゥニュー・ドゥ・ソアレー）を指定するのは、オーストリアとベルギーという。<br /><br />タキシードがないので、貸衣装屋に探したが、種類の多さに驚いた。<br />この店は、オペラの衣装を管理するかたがた、貸衣装もやっているらしい。<br /><br />市長に招待を受けたオペラも、素晴らしかった。<br />ただし、緊張後の疲労のためか、襲い来る睡魔との闘いだった。<br /><br />ポスト･コンファレンス・ツァーでは、隣国ハンガリーのブダペストを訪ねる。<br />1896年、ヨーロッパで始めての地下鉄が開通した都市である。<br /><br />この町はローマ時代から開け、オーストリー･ハンガリー帝国時代は、ウィーンと並んで繁栄した。<br />ドナウ河をはさむ建築群、美しい橋の数々など、世界に誇る都市美を感じる。<br /><br />しかし共産政権下のハンガリーは、想像を絶する暗いムードだった。<br />往復のバスにもその暗さが伝わり、私は暗さを追い払おうと、皆さんに滝廉太郎の「花」を歌って聞かせる。<br />

世界漫歩 165　国際会議の楽しみ

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1970/08 - 1970/08

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#その他

片瀬貴文さん

1968年ウィーン国際鉄道会議。

開幕式の基調講演を終え、肩の荷を降ろした私は、それから一週間続く会議をエンジョイする。
コーヒーブレイクでは、たくさんの友達が出来た。

スコットランドの鉄道管理局長は、私のスコットランド礼賛を聞いて、一度遊びに来いという。
しかしゴルフのハンディは、さすが本場だけあって12だそうで、これでは100もたたく私とは格が違いすぎる。

オフィシャル･ディナーでは、タキシードを着る。
服装で、夜会服（トゥニュー・ドゥ・ソアレー）を指定するのは、オーストリアとベルギーという。

タキシードがないので、貸衣装屋に探したが、種類の多さに驚いた。
この店は、オペラの衣装を管理するかたがた、貸衣装もやっているらしい。

市長に招待を受けたオペラも、素晴らしかった。
ただし、緊張後の疲労のためか、襲い来る睡魔との闘いだった。

ポスト･コンファレンス・ツァーでは、隣国ハンガリーのブダペストを訪ねる。
1896年、ヨーロッパで始めての地下鉄が開通した都市である。

この町はローマ時代から開け、オーストリー･ハンガリー帝国時代は、ウィーンと並んで繁栄した。
ドナウ河をはさむ建築群、美しい橋の数々など、世界に誇る都市美を感じる。

しかし共産政権下のハンガリーは、想像を絶する暗いムードだった。
往復のバスにもその暗さが伝わり、私は暗さを追い払おうと、皆さんに滝廉太郎の「花」を歌って聞かせる。