1970/08 - 1970/08
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片瀬貴文さん
ヨーロッパを広く見歩き、この社会を大きく掴むことは、私の留学の何よりの目的であった。
だから私は国めぐり、町めぐりを最重点に、行動計画を立てた。
一年間に、西欧社会をすべて理解したい。
フランス技術をしっかり掴もうとしながらのこの計画は、欲張り過ぎであることにはすぐ気づいたが、滞欧期間のほぼ4分の1、三ヶ月を、各国訪問に当てることが出来た。
スイス・オーストリー、スカンジナヴィア、スペイン、ドイツ、イギリス、イタリア、ベネルクスなど、西欧の主要国を歴訪。
フランス国内も、約三ヶ月で、ほとんどの地方を訪問した。
移動手段は、全て徒歩と鉄道。
もっとも私自身が鉄道技師であることから、いろいろな鉄道を見ることは、大変な経験の蓄積である。
訪問先では、名所、旧跡、美術館など、お決まりのコースだけでなく、時間と精力の許す限り、貧しい町並みなど、普通外国人旅行者の立ち入らない箇所も歩こうとする。
市電やバスを利用し、町を東西南北に縦横断しながら、その町の文化や個性を掴む。
そして欧州にも、国ごと町ごとに、文化の差異があり、同時に共通点もあることを発見する。
このとき家族に宛てた手紙は、現在
http://www.alcblog.jp/d/2001114/
「片瀬貴文の記録」で、「1961年のパリだより」として公開中。
しかしフランス政府留学生制度はフランスを学ばせようとするもので、国外旅行は原則的に禁止されている。
この問題でアステフ(フランス政府機関)の担当官と、早々に対立を招いてしまった。
「国外に出る間は研修期間と見なさない。給費を停止されることをあなたは知っているのか」
もちろん私も、それくらいの建前は知っている。
だからアステフには黙って出かけようとしたのに、フランス国鉄のバカンス期間中の不慣れな代役が、アステフに注進してしまったのだ。
「フランスを知るには、外から見ることも必要ではないでしょうか」
私は逃げずに、こじつけ覚悟で反論する。
「フランスともあろう国が、そんなみみっちい建前を振りかざすとは思えない」
あやうくそこまで口に出かかったが、そこは理性で抑えた。
結果は約二週間のスカンジナビア旅行中、給費停止となった。
しかしこの事件がきっかけで、彼女の私に対する信頼感が芽生えたから、世の中は面白い。
それからは私の立場に立って、何でも本音の話を聞いてくれる良き相談相手になった。
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