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南ドンが初めて中国旅行したのは1990年の北京でした。<br /><br />当時、南ドンは大学四年生。卒業旅行として中国北京を訪れることにしたのです。でも、行く前、周囲からは反対されました。何故なら、1989年6月4日「天安門事件」が発生し、当時の北京は戒厳令下におかれていたからです。でも、銀行に就職が内定していた南ドンは「就職後は旅行なんて行けなくなる」と思い、両親の反対も振り切り、たった一人で北京へ飛んだのでした。<br /><br />日本の旅行会社からは「せめて空港への迎えのタクシーと一泊目のホテルだけは予約をしていってくれ」と言われていました。無理もありません。当時、南ドンは中国語は一切話せなかったのですから…。<br /><br />北京空港には男性の中国人ガイドがハイヤーに乗って迎えに来てくれていました。彼とのタクシーの中でのやり取りは今でもハッキリ覚えています。<br /><br />ガイド:お一人ですか?<br />南ドン:そうですよ。<br />ガイド:何のために北京へ来られたんですか?今、北京には日本人は一人もいませんよ。皆、帰ってしまったのですよ。<br />南ドン:旅行で来ました!<br />ガイド:中国語は出来ますか?<br />南ドン:はい、少しなら。<br />ガイド:少し聞かせてもらえますか?<br />南ドン:ニーハオ、ザイジェン、シェシェ…え〜それから。<br />ガイド:…わかりました、もう結構です。<br /><br />一泊目のホテル「前門飯店」に到着するとガイドさんは「これは私の電話番号です。何かあったら遠慮なく連絡してください!」と一枚のメモを渡してくれました。この時、南ドンは笑顔でメモを受け取りましたが、数日して彼がこんなにも心配した理由を知りました。当時の南ドンには北京を一人歩き出来る力など全くなかったのです…。<br /><br />翌朝、南ドンは大きな爆発音で目が覚めました!<br /><br />バン、バン、バン…<br /><br />南ドン:ああ…助けてくれぇ!オレはスパイでも新聞記者でもない!ただ旅行に来ただけだぁ〜。<br /><br />しばらく毛布にくるまっていた南ドンは、爆発音が静まると、ホテルのフロントへ向かいました。<br /><br />南ドン:説明してくれ!さっきの爆発音はいったい何だ?君達はボクを守ってくれるよね?<br />服務員:?<br />南ドン:大きな爆発音だよ!聞こえなかったのかい?<br />服務員;???<br />南ドン:バン、バン、バンって音だよ!<br />服務員:…!?ハハハハハハ。<br />南ドン:何が可笑しいのさ。<br />服務員:お客さん、あれは“爆竹”ですよ。中国の春節の名物です。<br />南ドン:爆竹?春節???<br /><br />当時、南ドンは中国では旧歴で正月が祝われることも、爆竹が使われることも知らなかったのです。南ドンが北京へ着いたのは2月でした。ちょうど春節間近だったのです。<br /><br />安全を確かめた後は北京の街へ出てみました。前門→天安門広場→故宮→景山公園→天壇と見物してみました。全て“徒歩”です。<br /><br />「百聞は一見に如かず」そう思いました。昨日まで日本のテレビ・ニュースで毎日にように見せられていた天安門広場の地獄絵図からは想像できないほどの平和な光景が目の前にありました。テレビで流されていた映像は事実なのでしょうが、毎日その場面だけを見させられると、見たほうは知らぬ間に洗脳されてしまい、事実を拡大解釈してしまいます。この経験以来、南ドンは全てのマスコミ報道を「所詮、人が見て伝えたもの」として半分信じて、半分は疑う姿勢を持つようにしました。<br /><br />それにしても前門→天安門広場→故宮→景山公園→天壇と全て“徒歩”でまわったのは無謀でした。すっかり疲れ切った南ドンはホテルに到着すると“あの”メモを広げガイドさんに「助けてくれ!一人じゃ無理だ」と電話をしていたのでした(笑)。<br />

天安門事件後の北京

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1990/02 - 1990/03

3526位(同エリア5322件中)

2

3

南京ドンブリ

南京ドンブリさん

南ドンが初めて中国旅行したのは1990年の北京でした。

当時、南ドンは大学四年生。卒業旅行として中国北京を訪れることにしたのです。でも、行く前、周囲からは反対されました。何故なら、1989年6月4日「天安門事件」が発生し、当時の北京は戒厳令下におかれていたからです。でも、銀行に就職が内定していた南ドンは「就職後は旅行なんて行けなくなる」と思い、両親の反対も振り切り、たった一人で北京へ飛んだのでした。

日本の旅行会社からは「せめて空港への迎えのタクシーと一泊目のホテルだけは予約をしていってくれ」と言われていました。無理もありません。当時、南ドンは中国語は一切話せなかったのですから…。

北京空港には男性の中国人ガイドがハイヤーに乗って迎えに来てくれていました。彼とのタクシーの中でのやり取りは今でもハッキリ覚えています。

ガイド:お一人ですか?
南ドン:そうですよ。
ガイド:何のために北京へ来られたんですか?今、北京には日本人は一人もいませんよ。皆、帰ってしまったのですよ。
南ドン:旅行で来ました!
ガイド:中国語は出来ますか?
南ドン:はい、少しなら。
ガイド:少し聞かせてもらえますか?
南ドン:ニーハオ、ザイジェン、シェシェ…え〜それから。
ガイド:…わかりました、もう結構です。

一泊目のホテル「前門飯店」に到着するとガイドさんは「これは私の電話番号です。何かあったら遠慮なく連絡してください!」と一枚のメモを渡してくれました。この時、南ドンは笑顔でメモを受け取りましたが、数日して彼がこんなにも心配した理由を知りました。当時の南ドンには北京を一人歩き出来る力など全くなかったのです…。

翌朝、南ドンは大きな爆発音で目が覚めました!

バン、バン、バン…

南ドン:ああ…助けてくれぇ!オレはスパイでも新聞記者でもない!ただ旅行に来ただけだぁ〜。

しばらく毛布にくるまっていた南ドンは、爆発音が静まると、ホテルのフロントへ向かいました。

南ドン:説明してくれ!さっきの爆発音はいったい何だ?君達はボクを守ってくれるよね?
服務員:?
南ドン:大きな爆発音だよ!聞こえなかったのかい?
服務員;???
南ドン:バン、バン、バンって音だよ!
服務員:…!?ハハハハハハ。
南ドン:何が可笑しいのさ。
服務員:お客さん、あれは“爆竹”ですよ。中国の春節の名物です。
南ドン:爆竹?春節???

当時、南ドンは中国では旧歴で正月が祝われることも、爆竹が使われることも知らなかったのです。南ドンが北京へ着いたのは2月でした。ちょうど春節間近だったのです。

安全を確かめた後は北京の街へ出てみました。前門→天安門広場→故宮→景山公園→天壇と見物してみました。全て“徒歩”です。

「百聞は一見に如かず」そう思いました。昨日まで日本のテレビ・ニュースで毎日にように見せられていた天安門広場の地獄絵図からは想像できないほどの平和な光景が目の前にありました。テレビで流されていた映像は事実なのでしょうが、毎日その場面だけを見させられると、見たほうは知らぬ間に洗脳されてしまい、事実を拡大解釈してしまいます。この経験以来、南ドンは全てのマスコミ報道を「所詮、人が見て伝えたもの」として半分信じて、半分は疑う姿勢を持つようにしました。

それにしても前門→天安門広場→故宮→景山公園→天壇と全て“徒歩”でまわったのは無謀でした。すっかり疲れ切った南ドンはホテルに到着すると“あの”メモを広げガイドさんに「助けてくれ!一人じゃ無理だ」と電話をしていたのでした(笑)。

  • 天安門広場の広さが感じられるでしょうか。写真は旅行記の時期(90年2月)のものではなく、2002年6月に撮影したものです。

    天安門広場の広さが感じられるでしょうか。写真は旅行記の時期(90年2月)のものではなく、2002年6月に撮影したものです。

  • 天安門広場と人民英雄紀念碑です。ずっとむこうには歴史革命博物館が見えます。

    天安門広場と人民英雄紀念碑です。ずっとむこうには歴史革命博物館が見えます。

  • 国旗を守る公安の「交替式」です。運良く、この時間に遭遇しました。はっきりと何時だったか覚えていません(^^;。この「式」の前になると人が沢山国旗の前に群がるので、「式」があるかないかは、すぐわかるとは思うのですが…。

    国旗を守る公安の「交替式」です。運良く、この時間に遭遇しました。はっきりと何時だったか覚えていません(^^;。この「式」の前になると人が沢山国旗の前に群がるので、「式」があるかないかは、すぐわかるとは思うのですが…。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • enyasuさん 2005/06/28 12:13:42
    南ドンさん
    初めての北京楽しく読ませてもらいました。

    爆竹の音あれはすごいですよね。延辺で昨年私も勘違いした事があります。

    深夜なにやら外が騒がしかったので(激しい爆撃音が15分以上、車の警報機もピーピー)、寝ぼけながらいろいろと考えてしまいました。

    北朝鮮、中国、まちがえて爆撃  もしかしたらロシアかも知れない いったいどうやって非難したらいいのだろうか、 子供は歩けるのだろうか、 明日のソウル便のチケット確保できるだろうか・・・ (笑)

    これから少しずつ旅行記拝見させてもらいます。

    南京ドンブリ

    南京ドンブリさん からの返信 2005/06/29 05:49:50
    RE: 南ドンさん
    2003年から延辺にお住まいなんですね!
    南ドンが1995年に旅行で北朝鮮国境を見に行った時には「エライ田舎だな…」という印象でしたが、今は大分変化しているんでしょうね。

    ご家族で中国生活、お子さんは日本語、朝鮮語、中国語の三カ国の言語を話せる…素晴らしいですね!
    南ドンはいつになったら日本語、上海語、中国語を話せるような子供をもてるようになるでしょうか…(TT)。

    がんばります(^^;。

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