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モロッコの不思議      [モロッコ人 2]<br /><br /> <br /><br />カサブランカ行きのバスは庶民の乗物らしく、観光客などは私たちだけ。<br />私の隣に座ったのが、カサブランカ出身の警官ハッサンさん。 タンジェ<br />で仕事をしている が今日はお里帰り。<br />モロッコはかつてフランスの植民地だったため、ほとんどの人がフラン<br />ス語を話す。 ハッサンも私にフランス語で話しかけてくるが、習った<br />覚えはあるが(成績はやっと可だった) ちっっともわからないし、向こ<br />うは 英語がまったくダメなので、《地球の歩き方》に載っ ていたモロ<br />ッコの言葉を駆使して会話をした。<br />ハッサンは自分が警官だという証明にI.Dカードを見せてくれたり、元の<br />奥さんの写真も 出してきて、指でバツをつけ、今は離婚をして独り者だ<br />ということを何度も強調する。<br />旅は道連れというが、現地の人と話し始めると、そばにいたおばさんか<br />らザクロなども 回ってくる。 (そのザクロは種が小さくジューシーで<br />おいしい)<br />夕方カサブランカに 近づくと、今夜はみんなで家に泊まりに来ないかと、<br />ハッサンは 親切に申し出てくれたが、疑っては悪いが、法外な宿泊料を<br />請求されるとも限らないの で、せっかくだが辞退した。<br />そこで、カサブランカにあてのない私たちのために、ホテル探しをお願<br />いした。   バス停からほど近いそのホテルのフロントで、ハッサンにお<br />礼を言ってお別れをし、 部屋に入って荷をほどき、夕食を食べるために<br />階下に降りて行くと、フロントにまだハ ッサンがいて、話こんでいた。<br />私たちに気が付くと、一緒に外に出て、これから食事に 行くのなら、家<br />に来ないかと言う。

モロッコの不思議2(カサブランカ編)

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1986/10/11 - 1986/10/12

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1

4

night-train298

night-train298さん

モロッコの不思議      [モロッコ人 2]

 

カサブランカ行きのバスは庶民の乗物らしく、観光客などは私たちだけ。
私の隣に座ったのが、カサブランカ出身の警官ハッサンさん。 タンジェ
で仕事をしている が今日はお里帰り。
モロッコはかつてフランスの植民地だったため、ほとんどの人がフラン
ス語を話す。 ハッサンも私にフランス語で話しかけてくるが、習った
覚えはあるが(成績はやっと可だった) ちっっともわからないし、向こ
うは 英語がまったくダメなので、《地球の歩き方》に載っ ていたモロ
ッコの言葉を駆使して会話をした。
ハッサンは自分が警官だという証明にI.Dカードを見せてくれたり、元の
奥さんの写真も 出してきて、指でバツをつけ、今は離婚をして独り者だ
ということを何度も強調する。
旅は道連れというが、現地の人と話し始めると、そばにいたおばさんか
らザクロなども 回ってくる。 (そのザクロは種が小さくジューシーで
おいしい)
夕方カサブランカに 近づくと、今夜はみんなで家に泊まりに来ないかと、
ハッサンは 親切に申し出てくれたが、疑っては悪いが、法外な宿泊料を
請求されるとも限らないの で、せっかくだが辞退した。
そこで、カサブランカにあてのない私たちのために、ホテル探しをお願
いした。   バス停からほど近いそのホテルのフロントで、ハッサンにお
礼を言ってお別れをし、 部屋に入って荷をほどき、夕食を食べるために
階下に降りて行くと、フロントにまだハ ッサンがいて、話こんでいた。
私たちに気が付くと、一緒に外に出て、これから食事に 行くのなら、家
に来ないかと言う。

  • 私たちは少し考えたが、五人で束になれば危険はないだろと判断し、つい<br />ていくことに した。 <br />ハッサンはタクシーを二台止め、市外を通り抜けて静かな住宅街で車を止めた。<br />そこは旧市街のような所で、カサブランカの名の通り、古くて白い家が立<br />ち並ぶ、 神秘的な所だった。 家の前に弟のモハメッドが来ていて、頬をつ<br />けて挨拶をしている。 <br />小さな入り口を入って行くと奥の居間に通され、お父さんとお母さんに挨拶<br />した後、 外に出て、ぐるりと近所の親戚に挨拶に行くのを私たちもついて<br />回った。<br />ハッサンの兄妹や親戚の女性はびっくりするほど奇麗な人ばかり。子供も出<br />てきて 一緒に写真を写す。 家に戻ると、近所に住む妹のサミエルも加わり、<br />フランス語で熱 心に話しかけてくる。 お母さんはミントティーを作ってくれ<br />た。タンジェで飲んだも のよりずっと新鮮でおいしい。<br />お母さんは腕や顔じゅう入墨をしていてちょっと恐いが、どっしりした、や<br />さしい人 だった。 <br />夕食は、肉団子と卵の炒め物で、丸いパンを手でちぎっては、具をはさんで<br />食べる。 終始楽しい雰囲気に包まれ、なごやかなひとときだった。<br />遅くなったので、辞去しようとすると、再び泊まっていくよう申し出てくれ<br />たが、 ホテルも取ってあるので、遠慮した。

    私たちは少し考えたが、五人で束になれば危険はないだろと判断し、つい
    ていくことに した。
    ハッサンはタクシーを二台止め、市外を通り抜けて静かな住宅街で車を止めた。
    そこは旧市街のような所で、カサブランカの名の通り、古くて白い家が立
    ち並ぶ、 神秘的な所だった。 家の前に弟のモハメッドが来ていて、頬をつ
    けて挨拶をしている。
    小さな入り口を入って行くと奥の居間に通され、お父さんとお母さんに挨拶
    した後、 外に出て、ぐるりと近所の親戚に挨拶に行くのを私たちもついて
    回った。
    ハッサンの兄妹や親戚の女性はびっくりするほど奇麗な人ばかり。子供も出
    てきて 一緒に写真を写す。 家に戻ると、近所に住む妹のサミエルも加わり、
    フランス語で熱 心に話しかけてくる。 お母さんはミントティーを作ってくれ
    た。タンジェで飲んだも のよりずっと新鮮でおいしい。
    お母さんは腕や顔じゅう入墨をしていてちょっと恐いが、どっしりした、や
    さしい人 だった。
    夕食は、肉団子と卵の炒め物で、丸いパンを手でちぎっては、具をはさんで
    食べる。 終始楽しい雰囲気に包まれ、なごやかなひとときだった。
    遅くなったので、辞去しようとすると、再び泊まっていくよう申し出てくれ
    たが、 ホテルも取ってあるので、遠慮した。

  • 帰りもタクシーを二台呼んでくれ、ハッサンとモハメッドがホテルまで送っ<br />てくれた。<br />寂しいことに、私たちは心のどこかで『こんな親切な人がいるわけない。<br />きっとまた 最後にどんでん返しがあるのではないか!?』・・・と怖れて<br />いたが、そんな事はあ ろうはずもなく、二人はホテルの前で私たちを降ろ<br />すと、あっさり手を振ってさわや かに、今乗ってきたタクシーで帰ってし<br />まった。<br />お礼の言葉さえ言えずに消えてしまった。<br /><br />人を騙そうとしている人達と、素朴で親切な人達。 これを見分けるのは、<br />とても 難しい。 <br /><br /> <br /><br /> <br /><br /> <br />

    帰りもタクシーを二台呼んでくれ、ハッサンとモハメッドがホテルまで送っ
    てくれた。
    寂しいことに、私たちは心のどこかで『こんな親切な人がいるわけない。
    きっとまた 最後にどんでん返しがあるのではないか!?』・・・と怖れて
    いたが、そんな事はあ ろうはずもなく、二人はホテルの前で私たちを降ろ
    すと、あっさり手を振ってさわや かに、今乗ってきたタクシーで帰ってし
    まった。
    お礼の言葉さえ言えずに消えてしまった。

    人を騙そうとしている人達と、素朴で親切な人達。 これを見分けるのは、
    とても 難しい。

     

     

     

  •  モロッコの不思議    [モロッコ人 3]<br /><br /><br /> <br /> こころ暖まる思いを胸に、カサブランカを出発して列車に乗り、マラケシュに向う。<br />この車両は相当古くて車内はすべて木製、素朴で暖かい。 <br />ホテルから鉄道の駅にたどり着くまで時間がかかったので、私たちは朝食をまだとって<br />いなかった<br />そこにタイミング良く現れたのが、車内の物売りおじさんだった。<br />おじさんは、木製の車内にぴったりと、絵になる風貌で、ひとかかえほどもある大きな<br />籘製の篭の中に、ヨーグルトドリンク、サンドウィッチ、茹でたまごなど詰め込んでいた。<br />この絵になるおじさんと素敵な篭、そして木製の車内をバックにみんなで写真を撮ろう<br />としたその時、まさにその瞬間だった。ガラっと音を立ててドアをあけ、隣の車両から<br />体格のがっしりした、顔も迫力のある、一見暴力団風の男が入って来て、突然この気の<br />弱そうなおじさんに向って怒鳴りだした。私たちはさっきまでの浮き立つ気分とは逆に<br />、シーンと静まり返って、ただ、ことの成り行きを見守るしか、術はなかった。<br /> おじさ んは、ろくに口答えもせず、ヘラヘラしている。 <br />とうとう怒り狂ったこの男は、 おじさ んをドアの向こうにつまみ出し、外に向って開け<br />放したドアから、おじさんの命より大 切な商売道具の篭を投げ捨てた。<br /><br />なんてひどい事を・・・・・。これがなくて、これからおじさんはどうやって生きてい<br />くのだろう。<br />駅と駅の間はとても長く、家も人もいない砂漠のような所だから、拾いに行くなど不可<br />能に近い。<br />私たちはショックで皆、押し黙ったまま、ぼんやり焦点の合わない目でそとの景色を見<br />つめていた。 こんなに悲しいことは、この旅ではじめてのことだった。<br /><br /> 二人はいつの間にか消えていた。 おじさんから買ってあったヨーグルトを食べ終わ<br />っても、 まだ、あのおじさんの家族や将来について考えていた。 <br />たぶんあの恐い男は鉄道公安官のような人で、無許可で車内販売していたおじさんを、<br />取り締まっただけのことだったのだろう。それにしても、あの篭を投げ捨てるなんてひ<br />どすぎる!  <br /><br />   そろそろ次の駅に近づいたのだろうか?列車がスピードを落とし始めた頃、再び、<br />あのドアが、がらっと開いた。 <br />なんと、そこに立っていたのは、あの・・・あの物売りおじさんではないか。 <br />しかも・・・しかもである、こんどはブリキのバケツに、コカ・コーラを詰めて、懲り<br />もせず私たちの目の前に、元気な姿をあらわしてくれた。 悪びれた様子もなく、また売<br />り歩いていたのだ。 <br />びっくりしてあっけにとられていると、おじさんはニコニコして私たちの前を通り過ぎ、<br />止まった駅で降りて行った。私たちは我に返り、おじさんに向って、窓から手を振った。<br />おじさんもバケツをぶら下げながら、その姿が小さくなるまでいつまでも手を振ってく<br />れた。<br /><br /> ああ、私たちの胸を痛めたあのおじさんは、また今日も列車に乗り込み、わずかな食料<br />を売り、たくましく生きていることだろう。 <br />

    モロッコの不思議    [モロッコ人 3]


     
     こころ暖まる思いを胸に、カサブランカを出発して列車に乗り、マラケシュに向う。
    この車両は相当古くて車内はすべて木製、素朴で暖かい。
    ホテルから鉄道の駅にたどり着くまで時間がかかったので、私たちは朝食をまだとって
    いなかった
    そこにタイミング良く現れたのが、車内の物売りおじさんだった。
    おじさんは、木製の車内にぴったりと、絵になる風貌で、ひとかかえほどもある大きな
    籘製の篭の中に、ヨーグルトドリンク、サンドウィッチ、茹でたまごなど詰め込んでいた。
    この絵になるおじさんと素敵な篭、そして木製の車内をバックにみんなで写真を撮ろう
    としたその時、まさにその瞬間だった。ガラっと音を立ててドアをあけ、隣の車両から
    体格のがっしりした、顔も迫力のある、一見暴力団風の男が入って来て、突然この気の
    弱そうなおじさんに向って怒鳴りだした。私たちはさっきまでの浮き立つ気分とは逆に
    、シーンと静まり返って、ただ、ことの成り行きを見守るしか、術はなかった。
     おじさ んは、ろくに口答えもせず、ヘラヘラしている。
    とうとう怒り狂ったこの男は、 おじさ んをドアの向こうにつまみ出し、外に向って開け
    放したドアから、おじさんの命より大 切な商売道具の篭を投げ捨てた。

    なんてひどい事を・・・・・。これがなくて、これからおじさんはどうやって生きてい
    くのだろう。
    駅と駅の間はとても長く、家も人もいない砂漠のような所だから、拾いに行くなど不可
    能に近い。
    私たちはショックで皆、押し黙ったまま、ぼんやり焦点の合わない目でそとの景色を見
    つめていた。 こんなに悲しいことは、この旅ではじめてのことだった。

     二人はいつの間にか消えていた。 おじさんから買ってあったヨーグルトを食べ終わ
    っても、 まだ、あのおじさんの家族や将来について考えていた。
    たぶんあの恐い男は鉄道公安官のような人で、無許可で車内販売していたおじさんを、
    取り締まっただけのことだったのだろう。それにしても、あの篭を投げ捨てるなんてひ
    どすぎる!  

       そろそろ次の駅に近づいたのだろうか?列車がスピードを落とし始めた頃、再び、
    あのドアが、がらっと開いた。
    なんと、そこに立っていたのは、あの・・・あの物売りおじさんではないか。
    しかも・・・しかもである、こんどはブリキのバケツに、コカ・コーラを詰めて、懲り
    もせず私たちの目の前に、元気な姿をあらわしてくれた。 悪びれた様子もなく、また売
    り歩いていたのだ。
    びっくりしてあっけにとられていると、おじさんはニコニコして私たちの前を通り過ぎ、
    止まった駅で降りて行った。私たちは我に返り、おじさんに向って、窓から手を振った。
    おじさんもバケツをぶら下げながら、その姿が小さくなるまでいつまでも手を振ってく
    れた。

     ああ、私たちの胸を痛めたあのおじさんは、また今日も列車に乗り込み、わずかな食料
    を売り、たくましく生きていることだろう。

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この旅行記へのコメント (1)

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  • 続・魔女ランダさん 2005/05/25 04:53:28
    はじめまして。Night−trainさん。モロッコ編、感激しましたー(;ロ;)
    本当にいい人なのか、お金のために親切にしてくれているのかを見抜くのってとってもとっても難しい。それは私も大いに同感です。

    カサブランカでの心温まるハッサンさんのお宅でのお話、
    Night−trainさんの勇気にも脱帽ですが、あんまりにも良いお話過ぎて、感動で涙が・・・・・。(;ロ;)マジです。

    若いとき、こういう経験をするってその後の人生でどれだけの肥やしになるか知れないですよね。
    こちらがこんなに感激して、お礼も言えなかったことを後悔しているの、
    相手の方たちに伝わるといいのにって思いますよね。
    でも、また会えることは無い、訪ねていく時間とお金が例えあっても、情報が無くってたどり着けない。そんな思い、私もしたことがあります。

    Night−trainさんたち、皆さんとっても素敵な旅をなさいましたね。きっとその後の人生に大いに影響していることでしょう。
    もう20年も前のお話なのに、Night−trainさんの記憶に鮮やかに残っているのですもの。きっとそうに違いありませんよね。

    素敵な旅行記が沢山ですねー。
    これからひとつずつ読ませてくださいね。

    魔女ランダ(*'ー'*)ノ~~

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