1986/10/12 - 1986/10/13
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night-train298さん
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モロッコの不思議 [モロッコ人4]
お昼前にマラケシュの駅に着く。
残念なことに、旅の先を急いでいる私たちは、その日の夜、7時40分発のタンジェ行き
の夜行列車に 乗るため、日帰り旅行みたいなものだ。
それでもジャム・エル・フナ広場に行ければ満足な私だ。
広場に行くには街のバスに乗らなくてはな らない。 バス停らしきもののそばにいると、
一人の青年が話しかけてきた。
久しぶりの英語なので、つい返事をしたくなるが、無視して黙っていると、
「私は学生で、あなた達とお話がしたい。」
もう、自称ガイドにこりごりの私たちはいくらカサブランカで親切な人に出会ったとは
いえ、決して 油断はしない。
私たちは英語が全くわからない人になった。(それはかなり、キチガイっぽかったけど)
彼が何と話し掛けてこようと、断固として英語を話さず、日本語で通した。 それでも彼
はしぶとく、
「私は学生で、ただ勉強のために英語の会話をしたいだけです。」
などと言っても、私たちは、
「ワタシタチ アナタノ イッテイルコト イミ ワカリマセーン。」
と、答え、再び彼が何か言うと、
「ダカラ ワタシタチハ エイゴ ハナセマセーン。」
・・・と、きっぱりと日本語で答えていた。
日本語の中には外来語がたくさんあって例えば、カメラのことも写真機と言い換えてい
たほど、気を遣っていた。
しまいには彼もあきれたのか、 「クレイジー!」 なんて言っていたけれど、そこで怒り
だしたら今までの苦労も水の泡。ぐっとこらえて微笑んでいた。
-
まもなくバスが来て、乗り込んだはいいが、目的のジャム・エル・フナ広場はどの停
留所で降りたらよいのか、わからない。誰かに聞こうと思うが、例のあの男も一緒に乗
り込んできている。 比較的混雑した車内をあの男のいない前方に向って人をかき分け前
に進む。そこに居たのは、感じのいい美しい女の人だった。彼女は英語を話し、親切に
教えてくれた。 ふと、あの男の方に目をやると、不思議そうな顔をしてこちらを見てい
る。
停留所に着くとその女性も一緒に降り、お礼を述べていると、あの男も降りてきてこ
ちらに近づいて来た。驚いたことに女性は彼に向かって挨拶をしている。
なんと、聞けばこの女性と、男は同じ大学の同級生であった。
彼女は私たちが彼を無視していたことを知ると、不思議そうな顔をして、
「どうして信用しないの?彼は私の同級生だからだいじょうぶよ。」
と、言い残してさわやかに去って行った。 -
残された私たちは大笑い。せっかく用心して、英語を話さなかった事も無駄になり、こ
のお兄さんと、いきなり打ち解け、なぜ自分を信用しなかったのか聞くので、タンジェ
の一件を話したら、
「あそこは悪いやつがたくさんいるから。」
と、笑っていた。
これより私たちの態度は180度変わってこのお兄さんを信じることにした。
ここで連れていかれたレストランは、地元の人が普通に利用する店で、屋外で、しかも
広場を眺めながらの食事はとても美味しかった。
広場では、大道芸人を中心に、小さな輪、大きな輪がいくつもできていた。
広場の裏は種類別に、例えば、革製品のスーク、銀製品のスーク、陶器のスーク・・・
と、素材ごとに店がかたまって、迷路のように細くて複雑な道に店が立ち並ぶ。
一度この中に入ったら、二度と出てこられない恐怖感があるから、時間に余裕がなくて、
できるだけたくさん見てあるきたい私たちには、彼がついていたので助かった。
彼の、お店の案内も良心的で、まず最初に一通りの物が売っている、デパートのような
所へまず連れて行ってくれたが、ここでは欲しいものをチェックするだけ。あわててこ
こでは買わない。 この後、各スークに行き、専門店で買い求めるのだ。
そういった店でも彼は決して無理に商品をすすめたりはしないし、必要とあれば、いつ
でも値段交渉の手伝いをしてくれる。 -
買い物も一段落して、ハガキを出すために郵便局に行こうと、再び広場に戻ると、す
でに陽も傾いて、大道芸人を取り囲む人の輪は厚みを増し、盛り上がってきた。
そんな喧騒の中をすりぬけている最中だった。
彼が何かを言い出した。
「・・・今日一日、銀行・・・に行ったし・・・レストラン・・にも案内した、市場で
・・・買い物もつきあったので・・・ガイド料・・・を.貰いたいのだけど・・・・。」
・・・・・なんと、またしても、・・信じていたのに・・・
二度も自称ガイドに引っかかった悔しさ。 私はあまりにも腹が立ったので、まわりの喧
騒に負けないように、大きな声でこう言った。
「モロッコ人は大嘘つき!モロッコ人なんてダイキライ!」
すると彼はちょっと困った顔をして何もいわずにひとごみの中へ消えて行った。
もちろん私は本当にモロッコ人がキライになった訳ではなかったし、お礼ぐらいするつ
もりだったのに...。
この時は腹が立ったが、彼らにとって、人を騙すとか、裏切るなんてつもりはなく、う
まくしたら儲けてみよう程度に考えているのだろう。 出来心で
『ただ、言ってみた・だけ』
に、過ぎないのだろう。
その後更に広場は盛り上がっていった。 屋台がいつのまにか増え、店を持たない物売
り達は、私たちをめがけて突進してくる。
すっぽり闇と魔力に包まれて、ここにもっと長く居たい!という願望に押しつぶされそ
うだったが、無情にも出発の時がきて、後ろ髪を引かれる思いでそこを引き上げた。
たった三日間の夢のような出来事だった。 少ない時間でこれだけ効率良くまわり、
楽しむことができたのは、やはりここで出会った、親切な人達や、自称ガイドさん達の
お陰である。
-
アトラス山脈の村で。
-
←ワルザザート。
続編 モロッコの旅
自称ガイドの上手な活用のしかた
先の旅ですっかりモロッコが気に入った私とるみこさんは、数年後、再びこの地に
戻ってきた。
二度目の旅はもう少し時間をとって、更に奥地(サハラ砂漠の近く)まで足をのばし
たり、フェズといった古都も付け加え、前回訪れたタンジェ、カサブランカ、マラケ
シュにも行った。
カサブランカではハッサンの家を訪ね、妹のサミエルに会って家に泊めてもらったり
と、お世話になった。 今回私が学んだ事は、自称ガイドの有効なつきあいかたであ
る。ずいぶんと、意地の悪い言い方だが、そのぐらいの余裕がなければここでは生き
ていけない。
ガイド達は私たちが街に 着くやいなや、どこからともなく姿をあらわす。
その街に着いたらまず、その日の宿を確保しなければならない。ここでは、ガイドブ
ックなどは役に立たない。地元の自称ガイドが一番良く知っている。 ただし、法外な
ガイド料を請求されたら困るので、なにげなく、 『ホテルはどこかな〜?』 なんて
、一人呟くように日本語で言ってみる。すると、耳のいい彼らは『HOTEL』という言
葉を聞き取って〈あっちだ、こっちだ!〉と、その方向に指を指してくれるので、な
にげなく(あくまでもなにげなく) その方向に行くと、その場所から一番近くて安い
宿がそこにある。
迷路のような街を歩くとき、やはり何人ものガイドがしつこくやって来る。
前回は、迷子になったらどうしよういう恐怖感があって、ガイドを見失わないように
一生懸命ガイドの後をくっついて行ったが、モロッコ人は正直で親切。特に女の人は
信頼できるので、いつでも人は助けてくれる。だから心配の必要はない。
ただし、ガイドはつける。そうしないと断っても断っても、とぎれずやって来る。
一人、頼むと不思議なことに、ピタッとガイドのお誘いはなくなる。ガイド達の情報
網は驚くほど行き届いている。仕事の横取りなんてない。 迷路を歩いていても、迷子
の心配はない私たちなので、ガイドと離れ離れになっても困らないから、好き勝手に
急に面白そうな店に入るのだが、必ずガイドは私たちをみつけてしまう。まるで背中
に目があるみたいだ。迷子はいいけど、るみこさんとはぐれると、面倒である。彼女
はいったい何処に行ってしまったのだろうか?と探していると、ガイドは、あそこに
いるよ!と教えてくれる。ガイドとしては捕まえた客を逃がしたくないだけなのだろ
うが・・・親切である。 -
←ワルザザート。
今回のモロッコの旅で感心したことは、この国の人達のしたたかさである。決して
悪い意味ではない。
ガイドにしてもかゆいところに手が行き届くサービスにはほとほと感心してしまう。
前回と比べて目をみはるほど、生活が向上して、持ち物や身なりが現代的になってい
た。 できれば、伝統的な服装や、謎めいた独特の雰囲気を失って欲しくないが、私の
好みなど、おかまいなしにこの国は確実に変化をしつつある。
そしてこの国の人は語学が上手だ。前に来たときは、英語を話す人と言えば、一部の
ガイドのみだったが、今回は通りがかりの人も、英語が通じた。 英語ばかりではない。
片言の日本語も覚えてしまった。まあこれは、日本人観光客が増えたためで、観光地な
ら何処でもそうだが、タンジェで街を歩いていると、コンニチハとかサヨウナラなんて、
店先に座っているお兄さんが呼び掛けてくる。最初はこれに反応したら、店の品物を
売り付けられたり、ガイドするなんて言ってきたら面倒なので無視していたら、あまり
あちこちでうるさいので、一度返事をしてみたら、ただ、言葉が通じたというだけで喜
んでもらえたので、私たちは挨拶しまくって街を闊歩した。
この国に対して、先入観や誤解が多くて、私たちは構えてしまうが、こちらが恐れて
いるような人達ではないし、やっぱり同じ人間なんだなぁと思う。
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フェズ。
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フェズ。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- チビケイさん 2005/05/25 21:56:35
- 読み終えても高揚感が。。。モロッコ3篇。。。。♪(⌒ー⌒)o∠★:゚*'
- モロッコの旅3篇読み終えて今コーヒータイムしています。
night-train298さんのモロッコに色んな事を感じさせて貰えました。
そして次にモロッコを旅する人の為に書き残して下さった事
とても優しさを感じました(*^_^*)
物売り、変なインスタントガイド、バリ島にも沢山いて
最初の頃は「なんで、こんなにしつこいの〜」( ̄ヘ ̄;)
もうウンザリなどと思った事もありましたが
ここ数年は彼らのしたたかさ、あけっらかんとした図々しさも
一つの魅力になっています(笑)
主人とも良く「考えたら僕達は高い旅費を持っているお金持ちに見えるんだし彼らは今来た観光客に自分達の作ったものを売るのが生活だしねぇ。。」
上手に逃げる事も少しだけ覚えました(*^m^*)
night-train298さんの、この3篇で以前以上にモロッコへの
興味が高まります!主人やkioさんのモロッコ!は男性の
目から見て男性としての旅が面白く感じていますが
女性のnight-train298さんが教えて下さったモロッコは
より一層の魅力と温かみをもらえました。
タンジェ。。。カサブランカ、マラケシュ。。。。等など
読みながら、まるで自分も一緒に旅できたような気分になり
読み終えても高揚感が。。。。
両親も前にモロッコに行ったのですが、やたら革製品や、カーペットを
抱えて帰ってきました(笑)
きっと言われるがままに買ったのではないかなぁ(^^ゞ
(父曰く「信じられない程安くしてくれた」と言ってましたが。。やや怪しい(>_<))
父達はモロッコのホテルでお腹を壊し寝込んだようです(ーー;)
night-train298さんの旅行記はハマります(*^m^*) ムフッ
今出されているのを全部読みたい!
毎回私が掲示板を独占すると叱られそうですので
大人しく拝見してそーーーーっと帰りますo(〃^▽^〃)o♪
でも感動するとついつい書き込みしたくなります。
その時は許して下さいねm(__)m
PS:今日もお買い物の帰りに図書館に寄って前に借りた本を
返してきましたが今回は何も借りずに帰ってきました〜〜♪
出来れば旅行に持ってゆきたいnight-train298さんの旅行記です!
- night-train298さん からの返信 2005/05/26 22:43:05
- RE: 読み終えても高揚感が。。。モロッコ3篇。。。。♪(⌒ー⌒)o∠★:゚*\'
- チビケイさん、モロッコ三編も読んでくださって、ありがとうございます!
バリにもいるんですね。その手の人たちが。
なんかね、ところどころに出てくるチビケイさんのダンナさまの影、その影から
察すると、とても知的で心が広くて優しそう!
ご両親もモロッコに行かれたんですね〜。
たくさんお買い物されたのね。
どんな品々があるのか、興味津々!きっと欲しいものが買えて良かったのではないでしょうか。
私やkioさん(ごめん!)みたいに、なんの気なしに言ってみた言葉から、気が付いたら買い物をしていたりするので、
意外にも(?!)お父様は、本当に欲しいものを、ちゃんと買っていらっしゃる気がしますよ〜。
私の場合は、欲しいものは買えなかったから。
う〜ん、ぜひいつか、チビケイさんとダンナさまのお二人で、モロッコに行って欲しいなぁ。
そうそう、ダンナさまも夜中にタンジェにアルヘシラスから着かれたのでしたよね?
このスーパーコンビなら、きっとエキサイティングな旅行になると思うなぁ!
>毎回私が掲示板を独占すると叱られそうですので
大人しく拝見してそーーーーっと帰りますo(〃^▽^〃)o♪
そんなことおっしゃらずに、どうぞ何でも書き込んでくださ〜い!
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