ブリュッセル旅行記(ブログ) 一覧に戻る
4月4日(月)<br />アントワープは素敵な駅である。この駅も、母に見せたいものだった。(そうそう、アムステルダムの駅舎はまたすごいですよね)<br />今日の予定は、ここからブリュッセルに早めに行って、午後にはLille Europeという駅(フランス)から、夜行に乗って翌朝にはスペインに入りたいのだ。<br />ブリュッセルまではicで40分ほど。10時ころには着く。コインロッカーに荷物を預け、トラムで街の中心、グラン・プラスまで行く。<br />広場はヨーロッパ一美しいと言っていいと思う。ここに何度も来ていた頃は、当たり前の風景になっていたけれど、10年以上ぶりに来ると、その美しさにあらためて気が付く。そして何と言っても目を引くのは、広場全体を覆い隠さんばかりに並ぶ、人間の実寸大の数百の像である。それらはよく見ると、空き缶などのリサイクル製なのであるが、まるで中国の兵馬俑のごとく並んでいるのだ。<br />これは、アートなのだろう。暗い感じではなく、華やかでさえある。<br />何を意図しているのかはわからないが、壮観である。<br /><br />広場を出ると、あらかじめ決めてあったコースを歩く。<br />アーケードを通り、レストラン街のイロ・サクレ地区、ショッピング街にも行ってみる。ノイ・ハウスでチョコレートのばら売りを買う。<br />その頃、にわかにお腹がすいてきた。母はもう一度ムール貝が食べたいが、昨日の今日なので、他のものが食べたいと言う。でも、ベルギーじゃなきゃ、あれは食べられないよと無理すすめる。<br />しかし時間がないのだ。南駅までのトラム、荷物を取りに行くなど、余裕を見ると、2時過ぎにはグラン・プラスを出なくてはならない。<br />しかもまだワッフルを食べてないじゃないか!そんなこんなで、今日の食計画は、ワッフルを食べるスペースを残すため、軽くサラダとムール貝(大量だが)を二人で分け合って食べることにする。<br />今日は、私はラズベリーのビール、母はチェリーのビール。ただし、チェリーのビールは、定番の方だったので、昨日の方がずっとおいしかった。<br />ちなみに母はこのチェリービールが気に入ったとかで、スペインに入ってもチェリービールを注文したがって困った。<br />お昼だし、昨日よりはカジュアルなレストランを選んだので、これでもOKそうだ。しかもここでワッフルも食べられる。<br />ムール貝は、昨日ほどおいしい味付けではなかったけれど、身はふっくらとしておいしかった。これにセットでお約束のポテトフライが付いてくる。普通は、これを一人で食べちゃうのだから驚きだ。となりのおじさんは、さんざん料理を注文したあげく、ワッフルを二つも食べている。<br />二つというのは、ワッフルにはリエージュタイプとブリュッセルタイプがある。前者の方が、かつて日本でも流行した、甘さや味がしっかりしている方だ。<br />一方後者は、日本でも専門店で食べたことがあるが、さくさくしていて、軽く、よって上にクリームなどをかけて食べるとまたおいしい。<br />おじさんは、この二種類を食べていたのだ。<br />私たちは、やはりここでもブリュッセルタイプを生クリーム乗せで、半分づつ食べることにした。見た目が大きく、すごいボリュームに見えるからだ。しかし実際食べると、さくさく軽くてぺろっといける。<br />もう一ついけそうだったが、まだ買い物もしたかったので、店を出る。<br />気に入ったスカーフがあったので、それを買って、リエージュワッフルの方は、街角のお店で買って駅に向かう。<br />

3.ブリュッセルからスペインへ

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2005/04/04 - 2005/04/04

2584位(同エリア2965件中)

6

13

night-train298

night-train298さん

4月4日(月)
アントワープは素敵な駅である。この駅も、母に見せたいものだった。(そうそう、アムステルダムの駅舎はまたすごいですよね)
今日の予定は、ここからブリュッセルに早めに行って、午後にはLille Europeという駅(フランス)から、夜行に乗って翌朝にはスペインに入りたいのだ。
ブリュッセルまではicで40分ほど。10時ころには着く。コインロッカーに荷物を預け、トラムで街の中心、グラン・プラスまで行く。
広場はヨーロッパ一美しいと言っていいと思う。ここに何度も来ていた頃は、当たり前の風景になっていたけれど、10年以上ぶりに来ると、その美しさにあらためて気が付く。そして何と言っても目を引くのは、広場全体を覆い隠さんばかりに並ぶ、人間の実寸大の数百の像である。それらはよく見ると、空き缶などのリサイクル製なのであるが、まるで中国の兵馬俑のごとく並んでいるのだ。
これは、アートなのだろう。暗い感じではなく、華やかでさえある。
何を意図しているのかはわからないが、壮観である。

広場を出ると、あらかじめ決めてあったコースを歩く。
アーケードを通り、レストラン街のイロ・サクレ地区、ショッピング街にも行ってみる。ノイ・ハウスでチョコレートのばら売りを買う。
その頃、にわかにお腹がすいてきた。母はもう一度ムール貝が食べたいが、昨日の今日なので、他のものが食べたいと言う。でも、ベルギーじゃなきゃ、あれは食べられないよと無理すすめる。
しかし時間がないのだ。南駅までのトラム、荷物を取りに行くなど、余裕を見ると、2時過ぎにはグラン・プラスを出なくてはならない。
しかもまだワッフルを食べてないじゃないか!そんなこんなで、今日の食計画は、ワッフルを食べるスペースを残すため、軽くサラダとムール貝(大量だが)を二人で分け合って食べることにする。
今日は、私はラズベリーのビール、母はチェリーのビール。ただし、チェリーのビールは、定番の方だったので、昨日の方がずっとおいしかった。
ちなみに母はこのチェリービールが気に入ったとかで、スペインに入ってもチェリービールを注文したがって困った。
お昼だし、昨日よりはカジュアルなレストランを選んだので、これでもOKそうだ。しかもここでワッフルも食べられる。
ムール貝は、昨日ほどおいしい味付けではなかったけれど、身はふっくらとしておいしかった。これにセットでお約束のポテトフライが付いてくる。普通は、これを一人で食べちゃうのだから驚きだ。となりのおじさんは、さんざん料理を注文したあげく、ワッフルを二つも食べている。
二つというのは、ワッフルにはリエージュタイプとブリュッセルタイプがある。前者の方が、かつて日本でも流行した、甘さや味がしっかりしている方だ。
一方後者は、日本でも専門店で食べたことがあるが、さくさくしていて、軽く、よって上にクリームなどをかけて食べるとまたおいしい。
おじさんは、この二種類を食べていたのだ。
私たちは、やはりここでもブリュッセルタイプを生クリーム乗せで、半分づつ食べることにした。見た目が大きく、すごいボリュームに見えるからだ。しかし実際食べると、さくさく軽くてぺろっといける。
もう一ついけそうだったが、まだ買い物もしたかったので、店を出る。
気に入ったスカーフがあったので、それを買って、リエージュワッフルの方は、街角のお店で買って駅に向かう。

  • グランプラスのアート?!

    グランプラスのアート?!

  • ギャルリー・サンチュベール

    ギャルリー・サンチュベール

  • イロ・サクレ地区

    イロ・サクレ地区

  • またしてもムール貝

    またしてもムール貝

  • さくさく、軽くおいしいベルギーワッフル

    さくさく、軽くおいしいベルギーワッフル

  • けっこうギリギリの時間だったので、あわてたが、予定通り15時17分発でフランス方向に出発。<br />この列車、乗って気付いたのだが、TGVのため、座席が指定されているのだ。<br />時間がなくて飛び乗ったため、自分の席がよくわからない。連結通路に行くと駅でもらった時刻表を見ながら、私は少々慌てていた。なぜならば、目指すLille Europe駅も、その下に小さな字で何か書いてあるのだ。つまり、その駅が二つあるのだが、どちらで乗り換えればスペイン行きに便利なのか。<br />そこでトーマスクックを調べてみると、愕然とした!問題はそんなことではなく、トーマスクックによると、スペイン行きの列車はLille EuropeではなくLille Flandresからと書いてあるのだ。一行間違えてみていたのだった。<br />チケットは、Lille Europe で買うつもりで、まだ買っていない。<br />私は心底慌てていた。これでは全ての予定が狂う。この一日が大きいのだ。<br />するとそこで冷静に見ていた黒人男性がいた。男性は、折り畳みの椅子に腰掛け、<br />私たちにも、落ち着いて座るように勧めてくれた。心中それどころではなかったが、「どうしたのですか?」と聞いてきたので、訳を話すと、「それならだいじょうぶ、Lille EuropeとLille Flandresは、地下鉄で繋がっていて、歩いても300メートルですよ。」<br />「え〜〜〜っ!?まじぃ!????」<br />聞けばこの人はその駅の近くに住んでいると言う。<br />私はこの、聞いたこともない町がどんなところかも見当がつかなかった。<br />なんという救いの神様。<br />Lille Flandresは、旧市街で、Lille Europeは、イギリスやベルギーなどの外国とつなげるために作った新しい駅なのだと言う。<br /><br />せっかくの指定の席があるのだが、このおじさんにつきあって、簡易椅子に腰掛け、おじさんとおしゃべりをする。<br />おじさんといっても、全く歳がわからない。若く見えるのだが、話を聞くと、40代ののかもしれない。<br />ナイジェリア出身でフランスに来て17年だという。今日は、アメリカでの会議に出た帰りだそうで、そんな時、空港はパリからにするか、ブリュッセルにするか、安い方にするのだという。確かにどちらからも同じような距離だ。なんて国際的なのだ。<br />仕事はパリで週にニ回。大学で語学を教えている。ナイジェリア語の他、ポルトガル語、フランス語、英語が話せる。とても知的な話ぶりだ。奥さんはLilleで仕事があるし、子供を育てる環境もこちらの方がいいので、こちらに住んでいるそうだ。<br /><br />Lilleで時間があるなら街を見るといいと、すすめてくれた。そして、Lille Flandresまでのだいたいの行き方を教えてもらい、駅で別れた。<br /><br />外に出ると、すぐにLille Flandres行きの標識が消えた。同じような外国人旅行者に聞くと、自分達もそこを目指しているという。見当で歩きはじめると、その人たち、イギリス人風大学生風二人は、女性に道を聞き、私たちにもついてくるよう言ってくれた。その女性も、時には誰かに電話して聞きながら一緒についてきてくれる。私たちも便乗してどこまでもくっついていくと、ショッピングモールを通り、地下道を通り、お目当ての駅につくことができた。そこでお別れをし、まずはチケット売り場へ。<br />今日から使う、フレンチ・レイルパスのヴァリデーションをしてもらうことと、夜行の寝台を取るのが仕事だ。ついでに帰りのトゥールーズ→パリ間のクシェットも予約しておこう。<br /><br />決めておいた夜行の時刻表を見せると、それはないという。そしてパリまで行って乗り換えろという。なぁ〜んだ、せっかくここから行けるルートを楽しみにしていたのに・・・。<br />ヴァリデーションは、二枚つづりになっていて、印を押してもらうところが二か所ある。その係の女性は慣れない様子で、私が二枚目にも印を押さなくていいの?と聞くと、わからないからやめておくわと言う。<br />チケットの方は、パリの北駅に着いて、パリのAusteritz駅まで乗り継ぎに52分しかない。まあ、チケットはもうあるし、プロがそれでいいと言っているので、了承したが、けっこうギリギリである。<br />トゥールーズからのクシェットも、無事手に入れたし、ほっとしながら後でよくパスを見ると、スタンプは二枚目も押すことと、パスポート番号を記入してもらうことが決められているではないか。<br />チケットのキューに並ぶ気がしなかったので、別の列車のインフォメーションに行き、わけをたっぷり説明すると、「私はフランス語しかわからん!」という。<br />一瞬慌てたが、スタンプを押すことと、パスポート番号の記入はやってくれたので、もう一つあった質問はやめて、逃げ出すことにした。<br />もう一つの質問とは、チケットの日にちの入れかたなのだ。夜行の場合、次の日の日付けを記入するのだが、この買ったチケットで、パリまでの交通費は含まれているのか聞きたかったのだ。クシェット代にしては高いのだが、パリまでのTGVの値段が含まれているには安い。TGVの予約券のみという推測が、一番近いように思われるのだが、そこのところをはっきり聞きたかったのであったが、問題があればその時解決することにした。<br /><br />さて、時間はたっぷりある。<br />この街の人口はすごい。ここの駅に移動中、通勤通学する人々の群れを見たのだ。<br />まずは旧市街の方に出て、とりあえず教会を見る。しかしガイドブックを持たないと、どこへ行っていいのかわからない。インフォメーションもなさそうである。<br />とにかく町は賑やかなので、お店を見て回る。その間、銀行でお金をおろそうと思うのだが、なぜかカードを受け付けてもらえない。<br />金額を入れる場面まできているのにだ。後で聞いたら、磁気が落ちているせいだということだった。(日本の機械とはしくみが違うらしい)<br />そのうち、急に夕立ちのような雨が降ってきた。軒先でみな雨宿りをしている。10分ほどで上がったのを機に、駅に戻って暖かい紅茶を飲みながら、時間まで、日記の整理をしていた。<br /><br />今度のTGVは、しっかり座席をチェックして指定の席に座った。<br />時刻表はこうである。<br />Lille Flandres     20:00<br />Paris Nord         21:04<br />Paris  Austeriz    21:56<br />Port Bou            8:22<br />車内では、パリでの地下鉄でスムーズに北駅から Austeriz駅に行けるように準備をしておく。<br />行き方はいろいろあるが、5番に乗れば、乗り換えなしで9個目だ。30分もあれば充分着くだろう。<br />北駅に着くと、まずはカルネ(回数券、最後にも使用するため買っておく)を購入する。試しに母にやってもらう。ちゃんと買えた。<br />そしてすぐそばにあった5番の乗り場へ行こうとすると、なんと、入り口がクローズされていたのだ。そんなばかな!<br />入り口だけではなく、5番線が全面的に運行中止になっていたのだ。<br />実はこのアクシデントが、今回の旅の一番の危機であった。<br />急遽RER線に乗り、乗り換えることにした。RERは、高速線のため早いのだが、なかなか列車が来ない。すでに21:30を回っている。ドキドキしながら待つのだが、本当に危機なのだ。どう考えたって、この方法が一番早い。<br />そしてやってきたRERに乗って乗り換え、もう一息なのだが、今度も5分近く待ちいよいよParis  Austeriz駅に着いたのは21:50。あと2分しかない。私の方針は最後まであきらめないということ。ホームを出ると、とにかく勘で改札口に走る。ここから国鉄のホームまでたどりつかねばならない。ここで間違えると大変なのだ。スーツケースを引きずり、小走りになりながら、そばにいたフランス人女性に国鉄はこの方向で良いのか聞くと、心強く、そうだと言ってくれる。そしてただならぬ気配を感じ取ったらしく、一緒に走ってエレベーターに乗せてくれた。もう心の中は一切余裕はない。彼女は日本語で、「日本人ですか?」と聞いてきた。ほんの数秒ほどのエレベーターの中、場がなごんだ。ドアがあくやいなや、走り出す私に、「そこを左に曲がれば駅よ!」という彼女の声の通り迷いなく進む。母もついてくる。走りながら、大きな駅のこと、モニターで21番線ということを確認する。幸いにも出たところからすぐが21番線だった。まだ列車がいるではないか。車掌さんらしき人にチケットを見せると、とにかく乗れと合図される。<br />列車に乗り込んだ瞬間の私の達成感は相当なものであった。何よりもあの、フランス人女性との一瞬の巡り会いのお陰だ。ろくに挨拶も出来ないまま別れてしまった女性だが、女神として私の心に残った。(ほんとうにうれしかったなぁ。)<br /><br />しかしそれからも大変だった。こういう夜行列車はとてもたくさんの車両が連結されている。クシェットのある車両は46番。ここまでに行き着くまでに、どれだけ歩いたことか。車内を荷物を持って歩くのはかなり難儀なことだ。<br />何度もドアを開けて、次から次へと車両を渡り歩く。少なくとも10両は歩いただろう。普通車両もあれば寝台車もある。ドアに鍵が閉まっていて進めないところもある。私たちと同じようにぎりぎり到着した数人と一緒に歩いていく。車掌さんがきて鍵を開けてもらう。そしてとうとう46号車へ。<br />予約のコンパートメントには鍵がかかってる。通りがかった車掌さんに開けてもらうと、すでに上段に一組のご夫婦が休んでいた。もう出発してから30分近く経っていたに違いない。中には買いそびれたミネラルウォーターのボトルも用意されていた。急いで歯だけ磨きにいってすぐに横になる。先客のおじさんから、鍵は内側から二重に閉めるように仰せつかった。慎重派のようだ。これだと合鍵があっても開けられない。そこまでやる意味があるかとは思うが、確かに安心しきって眠ることができるのだろう。<br />いつもなら、クシェットで寝ることは慣れているし、むしろこの揺れが気持ち良く、寝付きが早いのだが、今日はあまりに興奮状態が冷めずに、なかなか眠ることができなかった。<br />

    けっこうギリギリの時間だったので、あわてたが、予定通り15時17分発でフランス方向に出発。
    この列車、乗って気付いたのだが、TGVのため、座席が指定されているのだ。
    時間がなくて飛び乗ったため、自分の席がよくわからない。連結通路に行くと駅でもらった時刻表を見ながら、私は少々慌てていた。なぜならば、目指すLille Europe駅も、その下に小さな字で何か書いてあるのだ。つまり、その駅が二つあるのだが、どちらで乗り換えればスペイン行きに便利なのか。
    そこでトーマスクックを調べてみると、愕然とした!問題はそんなことではなく、トーマスクックによると、スペイン行きの列車はLille EuropeではなくLille Flandresからと書いてあるのだ。一行間違えてみていたのだった。
    チケットは、Lille Europe で買うつもりで、まだ買っていない。
    私は心底慌てていた。これでは全ての予定が狂う。この一日が大きいのだ。
    するとそこで冷静に見ていた黒人男性がいた。男性は、折り畳みの椅子に腰掛け、
    私たちにも、落ち着いて座るように勧めてくれた。心中それどころではなかったが、「どうしたのですか?」と聞いてきたので、訳を話すと、「それならだいじょうぶ、Lille EuropeとLille Flandresは、地下鉄で繋がっていて、歩いても300メートルですよ。」
    「え〜〜〜っ!?まじぃ!????」
    聞けばこの人はその駅の近くに住んでいると言う。
    私はこの、聞いたこともない町がどんなところかも見当がつかなかった。
    なんという救いの神様。
    Lille Flandresは、旧市街で、Lille Europeは、イギリスやベルギーなどの外国とつなげるために作った新しい駅なのだと言う。

    せっかくの指定の席があるのだが、このおじさんにつきあって、簡易椅子に腰掛け、おじさんとおしゃべりをする。
    おじさんといっても、全く歳がわからない。若く見えるのだが、話を聞くと、40代ののかもしれない。
    ナイジェリア出身でフランスに来て17年だという。今日は、アメリカでの会議に出た帰りだそうで、そんな時、空港はパリからにするか、ブリュッセルにするか、安い方にするのだという。確かにどちらからも同じような距離だ。なんて国際的なのだ。
    仕事はパリで週にニ回。大学で語学を教えている。ナイジェリア語の他、ポルトガル語、フランス語、英語が話せる。とても知的な話ぶりだ。奥さんはLilleで仕事があるし、子供を育てる環境もこちらの方がいいので、こちらに住んでいるそうだ。

    Lilleで時間があるなら街を見るといいと、すすめてくれた。そして、Lille Flandresまでのだいたいの行き方を教えてもらい、駅で別れた。

    外に出ると、すぐにLille Flandres行きの標識が消えた。同じような外国人旅行者に聞くと、自分達もそこを目指しているという。見当で歩きはじめると、その人たち、イギリス人風大学生風二人は、女性に道を聞き、私たちにもついてくるよう言ってくれた。その女性も、時には誰かに電話して聞きながら一緒についてきてくれる。私たちも便乗してどこまでもくっついていくと、ショッピングモールを通り、地下道を通り、お目当ての駅につくことができた。そこでお別れをし、まずはチケット売り場へ。
    今日から使う、フレンチ・レイルパスのヴァリデーションをしてもらうことと、夜行の寝台を取るのが仕事だ。ついでに帰りのトゥールーズ→パリ間のクシェットも予約しておこう。

    決めておいた夜行の時刻表を見せると、それはないという。そしてパリまで行って乗り換えろという。なぁ〜んだ、せっかくここから行けるルートを楽しみにしていたのに・・・。
    ヴァリデーションは、二枚つづりになっていて、印を押してもらうところが二か所ある。その係の女性は慣れない様子で、私が二枚目にも印を押さなくていいの?と聞くと、わからないからやめておくわと言う。
    チケットの方は、パリの北駅に着いて、パリのAusteritz駅まで乗り継ぎに52分しかない。まあ、チケットはもうあるし、プロがそれでいいと言っているので、了承したが、けっこうギリギリである。
    トゥールーズからのクシェットも、無事手に入れたし、ほっとしながら後でよくパスを見ると、スタンプは二枚目も押すことと、パスポート番号を記入してもらうことが決められているではないか。
    チケットのキューに並ぶ気がしなかったので、別の列車のインフォメーションに行き、わけをたっぷり説明すると、「私はフランス語しかわからん!」という。
    一瞬慌てたが、スタンプを押すことと、パスポート番号の記入はやってくれたので、もう一つあった質問はやめて、逃げ出すことにした。
    もう一つの質問とは、チケットの日にちの入れかたなのだ。夜行の場合、次の日の日付けを記入するのだが、この買ったチケットで、パリまでの交通費は含まれているのか聞きたかったのだ。クシェット代にしては高いのだが、パリまでのTGVの値段が含まれているには安い。TGVの予約券のみという推測が、一番近いように思われるのだが、そこのところをはっきり聞きたかったのであったが、問題があればその時解決することにした。

    さて、時間はたっぷりある。
    この街の人口はすごい。ここの駅に移動中、通勤通学する人々の群れを見たのだ。
    まずは旧市街の方に出て、とりあえず教会を見る。しかしガイドブックを持たないと、どこへ行っていいのかわからない。インフォメーションもなさそうである。
    とにかく町は賑やかなので、お店を見て回る。その間、銀行でお金をおろそうと思うのだが、なぜかカードを受け付けてもらえない。
    金額を入れる場面まできているのにだ。後で聞いたら、磁気が落ちているせいだということだった。(日本の機械とはしくみが違うらしい)
    そのうち、急に夕立ちのような雨が降ってきた。軒先でみな雨宿りをしている。10分ほどで上がったのを機に、駅に戻って暖かい紅茶を飲みながら、時間まで、日記の整理をしていた。

    今度のTGVは、しっかり座席をチェックして指定の席に座った。
    時刻表はこうである。
    Lille Flandres 20:00
    Paris Nord 21:04
    Paris Austeriz 21:56
    Port Bou 8:22
    車内では、パリでの地下鉄でスムーズに北駅から Austeriz駅に行けるように準備をしておく。
    行き方はいろいろあるが、5番に乗れば、乗り換えなしで9個目だ。30分もあれば充分着くだろう。
    北駅に着くと、まずはカルネ(回数券、最後にも使用するため買っておく)を購入する。試しに母にやってもらう。ちゃんと買えた。
    そしてすぐそばにあった5番の乗り場へ行こうとすると、なんと、入り口がクローズされていたのだ。そんなばかな!
    入り口だけではなく、5番線が全面的に運行中止になっていたのだ。
    実はこのアクシデントが、今回の旅の一番の危機であった。
    急遽RER線に乗り、乗り換えることにした。RERは、高速線のため早いのだが、なかなか列車が来ない。すでに21:30を回っている。ドキドキしながら待つのだが、本当に危機なのだ。どう考えたって、この方法が一番早い。
    そしてやってきたRERに乗って乗り換え、もう一息なのだが、今度も5分近く待ちいよいよParis Austeriz駅に着いたのは21:50。あと2分しかない。私の方針は最後まであきらめないということ。ホームを出ると、とにかく勘で改札口に走る。ここから国鉄のホームまでたどりつかねばならない。ここで間違えると大変なのだ。スーツケースを引きずり、小走りになりながら、そばにいたフランス人女性に国鉄はこの方向で良いのか聞くと、心強く、そうだと言ってくれる。そしてただならぬ気配を感じ取ったらしく、一緒に走ってエレベーターに乗せてくれた。もう心の中は一切余裕はない。彼女は日本語で、「日本人ですか?」と聞いてきた。ほんの数秒ほどのエレベーターの中、場がなごんだ。ドアがあくやいなや、走り出す私に、「そこを左に曲がれば駅よ!」という彼女の声の通り迷いなく進む。母もついてくる。走りながら、大きな駅のこと、モニターで21番線ということを確認する。幸いにも出たところからすぐが21番線だった。まだ列車がいるではないか。車掌さんらしき人にチケットを見せると、とにかく乗れと合図される。
    列車に乗り込んだ瞬間の私の達成感は相当なものであった。何よりもあの、フランス人女性との一瞬の巡り会いのお陰だ。ろくに挨拶も出来ないまま別れてしまった女性だが、女神として私の心に残った。(ほんとうにうれしかったなぁ。)

    しかしそれからも大変だった。こういう夜行列車はとてもたくさんの車両が連結されている。クシェットのある車両は46番。ここまでに行き着くまでに、どれだけ歩いたことか。車内を荷物を持って歩くのはかなり難儀なことだ。
    何度もドアを開けて、次から次へと車両を渡り歩く。少なくとも10両は歩いただろう。普通車両もあれば寝台車もある。ドアに鍵が閉まっていて進めないところもある。私たちと同じようにぎりぎり到着した数人と一緒に歩いていく。車掌さんがきて鍵を開けてもらう。そしてとうとう46号車へ。
    予約のコンパートメントには鍵がかかってる。通りがかった車掌さんに開けてもらうと、すでに上段に一組のご夫婦が休んでいた。もう出発してから30分近く経っていたに違いない。中には買いそびれたミネラルウォーターのボトルも用意されていた。急いで歯だけ磨きにいってすぐに横になる。先客のおじさんから、鍵は内側から二重に閉めるように仰せつかった。慎重派のようだ。これだと合鍵があっても開けられない。そこまでやる意味があるかとは思うが、確かに安心しきって眠ることができるのだろう。
    いつもなら、クシェットで寝ることは慣れているし、むしろこの揺れが気持ち良く、寝付きが早いのだが、今日はあまりに興奮状態が冷めずに、なかなか眠ることができなかった。

  • リル・フランドレスの駅です。

    リル・フランドレスの駅です。

  • リル・フランドレスの教会

    リル・フランドレスの教会

  • リル・フランドレスの駅構内。ピンクの屋根が印象的。

    リル・フランドレスの駅構内。ピンクの屋根が印象的。

  • 夜行列車。この廊下を渡り歩きました。

    夜行列車。この廊下を渡り歩きました。

  • 夜行列車、クシェット。/お水や耳栓などが置いてあります。

    夜行列車、クシェット。/お水や耳栓などが置いてあります。

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この旅行記へのコメント (6)

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  • フルリーナさん 2005/04/23 21:40:02
    ないり〜ん!
    わあ!やっぱりナイリンだ!
    楽しみが増えちゃった!
    ベルギーのポテトの量は、私もビックリしました。
    お料理の付け合せのポテト4人分持ってきてくれたら、すッごい量!
    わたしは魚介が苦手なんで食べなかったけど、母たちはすごく気に入っていました。
    これからの展開が楽しみです。
    巡礼日記もぜひお引越ししてきてね。

    night-train298

    night-train298さん からの返信 2005/04/23 23:26:38
    ふるちゃ〜ん!
    ようこそいらっしゃいました!
    実は、こういう掲示板付きだったとは知らずに・・・!
    まだ慣れていないの。いろいろ教えてね。

    そうね、巡礼日記・ほかも、慣れてきたらお引っ越ししたいなぁ。
    ついでに宣伝しちゃうと、ギリシャの島々とか、南仏とか、ニューヨークとか、もっと昔の旅とか、引っ越さなきゃいけないページがたくさんあります。

    ではまた、あっち、こっち?でよろしくね!

    フルリーナ

    フルリーナさん からの返信 2005/04/23 23:32:48
    RE: ふるちゃ〜ん!
    掲示板に書き込む時に「返信」をクリックして書き込むと、その人に「かきこみがありました〜」ってお知らせがいったり、誰が遊びに来てくれたかがログインや足跡を見るとわかるようになってます。
    あと、個人的にお手紙を出したい時はメールボックスで出せる・・・。
    気に入ったら投票ができる、お気に入りにとうろくできる・・・そんなところかな。
    お友達がいっぱいできて楽しいよ。

    night-train298

    night-train298さん からの返信 2005/04/24 11:49:05
    RE: RE: ふるちゃ〜ん!
    ふるちゃん、いろいろと書き込みをありがとう!
    なんか、さくさく出来ちゃうから、すごく楽だし、とっても便利な機能が付いているから、当分、はまってしまいそうです。
    私のホームページは、写真が多くて、しかもなるべく画質を落としたくないから、ものすごく重いの。それで、もう3つのアドレスも、これからスマート化をしなければと思っていたところ。
    さあ、今日も更新していきましょう!

    フルリーナ

    フルリーナさん からの返信 2005/04/27 23:03:54
    ないり〜ん!
    PS
    お気に入りに登録ありがとう〜!

    night-train298

    night-train298さん からの返信 2005/04/27 23:38:48
    はいは〜い!
    ふるちゃん、すてきなコメント(星野道夫さんのお言葉)をありがとう!
    その言葉の深さ、立体的に理解できますね。(しみじみ)
    いつもいい出会いばかりとは限らないけど、全てをひっくるめてヨーロッパは、愛すべき故郷です。オ〜っと、言い過ぎだった!
    (自称スペイン人なので。)

night-train298さんのトラベラーページ

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