2004/06/23 - 2004/06/24
2606位(同エリア2851件中)
さらさん
スペインに到着して2日目、オランダがチェコに負けた。これで1位通過の望みは絶たれた。1位通過していればスタジアムで観れたのに、それが一番の目的だったのに。
その夜、私は夢を見た。傷心のあまりポルトガルに行かないまま日本に帰った。友達から「折角向こうまで行ったのにポルトガルに行かなかったの!?バカじゃない!?」と言われた。
徐々に、確かに苦労して色々手配したのに何も観ないで帰ってきたのは愚かだったかもしれない、と思い始めた。もう一度行って来ようかしら―なんて思っているところで目覚めた。
そして6月24日、ポルトガルとイングランドの決勝トーナメント第一戦。あの夢のように帰ってしまわなくてよかったと心から思うのだ。
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前回の旅ではサン・ジョルジェ城には登っていなかったので、今回行ってみることに。
入ってすぐ広場になっていて、城壁の向こうに川を含むリスボンの街が一望できた。天候もさわやかでとても気持ちいい。この景色をバックに二人で写真に収まろうということになった。
ところでこの日私は、オランダ代表の試合があるので、観には行けないけど『I LOVE HOLLAND』Tシャツを着ていた。そして祖母が「写真を撮ってくれ」と引っ張って来た青年は4〜5人のグループで来ていたドイツ人だった。
「ひえ〜、なんちゅう人選なんや!!!」と内心思いつつも笑顔でカメラを渡すと快く引き受けてくれた。
その後、もう少し先の城壁のそばに立っていると再び彼らに会った。今度は「撮りましょうか?」と声をかけてくれた。祖母はここにいる人たちの中であの子が一番可愛いなどと言っていた。 -
サン・ジョルゼ城を出てサンタ・ルシア展望台へ。
ここでしばらく眼下に広がる景色を眺めた後、細い階段を下っていくことにした。鄙びた風情を思い描いていたのだが、今はお祭りの真っ最中、ここも派手に飾り付けられていた。写真を沢山撮るつもりでいたのに予想外の展開。 -
しばらく歩いてサン・ヴィセンテ・デ・フォーラ教会に行くことにした。地図を見るとちょっと距離があるように見えた。一人だったらもちろん徒歩圏内なのだが、祖母が一緒でそれまで散々歩いたので市電で行くことにした。
市電のレールがあったので、ここを辿れば停留所に着く筈だと、途中通り過ぎる市電の写真を撮ったりしながら歩いていく。しかし、なかなか停留所が現れない。
そうして歩いているうちに、立ち話をしている4〜5人のおばさんたちを見つけた。何も標識はないけれどこの辺が停留所なのかしらと思い聞いてみた。返答がよく分からないので、サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ教会に行きたいんだと地図を見せた。 -
「そこの角を曲がって上ったところ・・・」と言った気がしたので、角から覗くと停留所があった。御礼を言って行こうとしたら「カメラはカバンに仕舞っときなさい」と言われた。デジャブかと思った。前回のポルトガル旅行の時、ケルースで注意されたのと同じことを言われてしまった。
このレール、市電28番は別名「泥棒電車」と呼ばれているらしいので、きっとカメラを手に持っていたら危ないというのだなと思ったのだがそれは勘違いだった。
角を曲がり坂を上っていると先ほどカメラを注意したおばさんが後ろから追い越し際に「ほらそこよ」と言った。左手に見える停留所より手前の右手、もう、すぐ目の前にサン・ヴィセンテ・デ・フォーラ教会はあった。停留所を探して歩いているうちに目的地に着いていたのだった。 -
サン・ヴィセンテ・デ・フォーラ教会をちょっと覗いて併設された修道院へ。入場料がやたらと高かったのはアズレージョ(青色で彩色されたタイル)の展示をしていたからだ。実物のアズレージョがズラリと並び各作品ごとにその絵の説明が大きなパネルで紹介されていた。
展示は2階であったが上に続く階段があるので上ってみた。屋上のようなところに出た。風が強いが眺めはいい。それより更に上に向かう階段があるので祖母を置いて一人で上った。360度のパノラマだ!誰もいない屋上で一人ぐるりと回ってみた。街の喧騒が幻かと思われるくらいの静寂と空に包まれていた。 -
昼食の後、ベレンに行った。ジェロニモス修道院をちょろっと覗いて、パステル・デ・ナッタの美味しいお店へ。
3年前に来た時より随分空いていて、すぐに席に着くことができた。パステル・デ・ナッタの味は、以前より甘くて油っぽい気がした。ちょっとガッカリしてしまった。お持ち帰りをしようと思っていたけどやめた。
ベレンのお店の向かいにはガイドブックの地図には名の無い広場がある。この広場に来ると気持ちが落ち着く。大好きな場所。
ポルトガル自体がゆっくりとした空気が流れている国なのだけど、この場所は特にのどかでホッとする。 -
サポーターが大挙してやって来るイングランド対地元の試合だけあって会場のサポーターの数は五分五分。私はバックスタンドの前から20列目くらいで通路から3番目の席だった。左隣の2つの席は始まってすぐポルトガルサポーターらしきカップルがやって来た。その前も少々ポルトガル人がいる。私はポルトガル応援なのでとりあえず赤いTシャツを着ていた。右側にも赤いTシャツの人たちがちらほらいた。しかしよく見ると小さな白いクロスがある。イングランドサポだ。見回すと、わたしの席から右側と後ろ殆どがイングランドサポだった。
イングランドの応援は相変わらずバラエティに富んでいる。対するポルトガルはとにかく「ポゥートゥーガゥッ(Portugal)!!」の繰り返しだ。
開始後間もなくルーニーの陰に隠れていた感のあるオーウェンの見事なシュートにやられた。しかしまだ時間は存分にある。そして前半半ばにルーニーが負傷退場。これはポルトガルにとって大変ラッキーだったと思う。彼は脅威だ。彼がゴールに向かってボールを持ったら「もうお仕舞いだ」って気がするもの。
しかしポルトガルも負けてはいなかった。内容自体もポルトガルのほうがよかったように思う。ロナウドはいま一つな感じだったので、交代は彼かと思いきやフィーゴだった。そして彼に替わって入った名前の知らない選手(後にポスティガという若手と判明)が同点ゴール!!
隣にはカップルの姿は消え、会場係りの女の子がその席に座って観戦していた。周りがイングランドサポばかりだと怖いけど、ポルトガル人もいたので心置きなく両こぶしを突き上げて飛び跳ねて喜んだ。
試合は延長戦へ。途中出場していたルイ・コスタが鮮やかなシュートでゴールネットを揺らした。これで勝った!とポルトガルサポは思った。皆、飛び跳ねて勝ちムード一色である。しかし、イングランドも諦めてはいなかった。ランパードのゴールが決まるとポルトガルサポは静まり返った。あとは追加点を取られないように、できれば1点挙げてカタをつけてほしいと祈るばかり。
そして迎えたPK戦。ラッキーなことに私の席の側のゴールですることになった。トランス状態に陥りそうな歓声とブーイングの渦。こんな中でボールを蹴る選手ってすごい精神力の持ち主だと思う。観ている方が胃が痛くなってきた。PK戦って、チームの要だとかキャプテンだとか重責背負っている人間が外しちゃったりするんだよな、と思っていたらその通りになった。ベッカムが外した。イングランドサポに見せ付けるかのように私たちは歓喜の声を上げた。しかしポルトガルも、人一倍決勝の舞台に立ちたいであろうルイが外し、ポルトガルの優位は失われた。
これまた5人で勝負はつかず、サドンデスに突入。イングランドの6人目が決めた。ポルトガルのキッカーは同点ゴールを決めた選手だ。彼がボールを蹴りゴールに入るまでがスローモーションのように感じられた。ユルユルのボールがポテッとバウンドしたからだ。「あぁ、もうオシマイだ、止められた」と思った。しかしGKは反対側に跳んでいた。
わたしは隣の女の子と顔を見合わせた。女の子はフゥッっと息を吐いて胸をなでおろした。わたしは緊張の余りケラケラと笑い出した。
そして運命の7人目。GKリカルドは素手で弾いた!次を決めればポルトガルの勝ちだ!!次は誰だ!?ボールを置いたのはGKリカルドだった。前の席の怒れるあんちゃんは「マジかよ〜」って感じで頭を抱えた。しかし彼はやってくれた。ポルトガルが勝利したのだ。わたしは隣の女の子に「おめでとう!!」と叫んだ。右側からおじさんが疾風のごとく駆け寄ってきて私たちの肩を組み抱き合って飛び跳ねたかと思うとまた風のように去って行った。女の子は「あのオヤジ、頭おかしいんじゃない!?」と言ってたけどその後もしばらく喜びをかみしめていた。
この試合を観れただけでもここに来た甲斐があったと思った。 -
宿に戻るとがっくりと肩を落とし無言でソファに沈み込んだイングランドサポの宿泊客がいた。レセプションにホテルマンがいなかったからだ。
宿はリベルダーデ大通りに面している。バルコニーから外の様子を伺うと大勢のポルトガル人たちが通りを練り歩き、車道はポルトガル国旗を振る車で溢れていた。イングランド人のおじさんたちもバルコニーに出てきて、その様子を恨めしげに眺めていた。
レセプションに人が戻ってきたのでルームキーを貰う時、小さくガッツポーズをすると彼もガッツポーズを返した。
今夜はポルトガルのお祭りだ。この大騒ぎは朝方の3〜4時頃まで続くのであった。
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