フェズ旧市街の入り口ルシフ門から徒歩10分程のところの路地裏に位置するモロッコ伝統的なリアド。
迷宮都市と呼ばれる街ながら、一回行けば解る程度の路地裏に位置するリアドとは言え、門は勝手口かと思うほど狭い路地裏にあり「迷宮都市だ」と言うワクワク感と反比例して「本当にこんな所に?」と言う期待値が下落。一切の飾り気がない裏路地では、ここが目的地だとは解らないほど、一切飾り気のない扉。しかしリアドのロビー兼中庭に入るとまるでアラビアンナイトの世界に入ったかのような錯覚に見舞われます。
モロッコでは外側を飾らず中庭を飾り、その価値を高めると聞いております。細かいタイルで装飾され、天井高い空間へ入ると外の喧騒から隔離された強烈な異文化の空間へと誘われます。
リアドの美しい中庭の説明はそれくらいにして、部屋はとても簡素です。とても清潔ではありますが、中庭ほどの装飾はなくそのギャップに戸惑います。しかし寝る空間であると考えると細かい所の装飾や中庭の眺めで十分なのではないでしょうか。最高級ホテルのベッドの寝心地とまでは行きませんが、静かな空間でゆっくりと睡眠をとるには十分すぎる設備。
多くのリアドホテル同様に風呂はシャワーのみの簡素なものですが、しっかり清掃されており、湯量も申し分なく砂漠帰りの埃を気持ちよく落としてくれました。が、シャワーの水が排水される行き先が全く不明。シャワーブース内に排水溝はあるものの、お湯の大部分はその外に流れ出て行き場を失っています。どうやってあの清潔さを保っているのか不思議です。
ホテルには24時間スタッフが駐在しているものの、夜の担当者の方は適当な時間に就寝します。どちらの方もあまり英語は達者でおられないものの、持ち前のホスピタリティーでなんとか対応をしてくれます。洗練された、とは言いませんが、とても心地よい接客をして頂けた事が印象的です。