いつもタイに行く時点で、たいていのことには寛容になろう、怒らないでいようと決めて出国するのですが、さすがにちょっとこのホテルはひどいですね。
「評判にアグラをかくとはこういうことか」というものを実感させられました。
あまり簡潔に書いて誤解を生じても申し訳ないので長文お許しください。
イサーンをまわるときは行き当たりばったりの旅を常としているので、今回もいつものごとく飛び込みで宿を決めたのですが、TATで聞いてもトゥクトゥクの兄ちゃんに聞いても「ここがベストワンだ」というので、たいへん期待してチェックインしました。
評判どおり、フロントはどなたもミス・タイランドと言っても言い過ぎではないくらいの美人が勢揃い。
でも、みんなツーンとした高飛車なオーラ満載で、少なくとも疲れた旅行者を暖かく迎える、というアットホームな雰囲気などは微塵も感じられず。
まあ、そういった雰囲気を高級感と勘違いして、このホテルの売りにしているのかもしれませんが。
私が「今日から5泊お願いしたい」と言い、他にも部屋の希望やらチェックアウト時のエアポート送迎やらをひととおり頼み終わった時にそれは起きました。
フロントのお姉さんのひとりが、少し離れて横にいたお姉さんに目配せをしながらこう言ったのです。
「あら、この日本人、ずいぶん頑張って一生懸命にタイ語をしゃべるじゃないの?」と。
言われたお姉さんも、意味ありげな含み笑い、というか冷たい薄笑いを返しながらキーの準備などをしていました。
私はあまりいい気持ちはしませんでしたが、これから5日間お世話になるスタッフたちです。
初日から憎まれ口を叩くのも嫌だったので、おとなしくポーターにバッグを預けて、番号は忘れましたが確か4桁で末尾がゼロの角部屋に案内してもらいました。
窓からの景色を見てひと休みした後、キーをフロントに預け、楽しみにしていた川岸の露天めぐりに出かけました。
外出から戻り、キーをもらうためにフロントに近づいて私がルームナンバーを言おうとしたときに、また先ほどのお姉さんが横のお姉さんに言いました。
「ねえ、xxxx番とって」。
客の顔を見ただけでルームナンバーが頭に入っている・・・、すばらしいことです。
普通ならばフロントの鏡です、キーを頼みながら言ったお姉さんの一言さえ無かったならば。
「例の日本人だよ」、「ああ、あの日本人ね、はい、キー」と言ってキーを渡しながら、なぜかフロント内は大笑い。
というか、含み笑いのようなクスクス笑いの渦。
まったくわけがわからず、もしかしてチェックインの時に言った自分のタイ語が、何か発音でも間違えていて、とんでもないことでも言ってしまったのかな、などと心配しましたが特に思い当たることも無し。
非常に不愉快な思いをして、結局、私は次の朝いちばんで荷物をまとめて部屋を出ました。
フロントに近づいていくと、バッグ類をフル装備してチェックアウトを申し出た私を見て「5泊で受けておりますが・・・」と驚いた様子。
相手の目をしっかり見据えて「私がなにか人からバカにされなければならないようなことをしましたか?、人から笑われるほどヘタなタイ語でもしゃべりましたか?、あなたがたの対応はあまりにも気分が悪いです、イサーンだけでも数十のホテルを利用してきましたが、ここのホテルはボーリカン・マイ・ディー・ティー・スットですから、ホテルを変えます、即刻チェックアウトの処理をしてください」と伝えました。
フロントにいた数人のミス・タイランドばりのお姉さんは、このときばかりは例の薄笑いも無く、真剣な表情で黙々と精算を始めました。
チェックアウトを察したポーターがバッグに手を差し伸べながら近づいてきましたが、もちろん一言「マイ・ラップ」。
たとえ20バーツでさえ、もうこんなホテルにお金を落としていくつもりはありませんから。
かれこれ訪タイ歴は15年、タイ国内で利用したホテルの数はもうすぐ3桁にも届きます。
ですが、これまでの経験からしても、ホテルのフロント同士の会話なんぞで、面と向かって陰口を言われたのは初めてです。
接客として、ありえないことです。
そしてなによりも、たどたどしいかも知れませんが曲がりなりにもタイ語をしゃべってる相手が目の前にいるわけです。
その相手が、自分たちのしゃべっているタイ語を理解できるということが、どうしてわからないんでしょうね。
チップもなくさっさとフロントをあとにして、この街で2番手と言われているホテルに向かいました。
徒歩で5分くらいしか離れていない場所で、建物の大きさだけで言えばこのホテルの半分にも満たないようなところです。
まだちょっとアーリーチェックイン気味の時間帯だったにもかかわらず、「予約していませんが4泊お願いしたいのですが」と言ったときに、フロントの女性が私に向けてくれた笑顔の暖かかったこと・・・・、涙が出そうでした。
やっぱりホテルは人だな、と思いました。
設備や外観、そして窓からの眺望などを気にする人は非常に多いです。
他の人が書いているレビューを見てもたいていはそればっかり。
でもホテルって接客業なんですよね。
そのことを、改めて気がつかせてくれたホテルでした。
TATの人だって、トゥクトゥクの兄ちゃんだって、実際に自分が泊まってみてベストワンだと言ってるわけではありません。
でかくて、きれいで、新しければ、いいホテルだよと言います。
見た目だけで判断してホテルの善し悪しを言ってるだけです。
とにかく、私はこのナコンパノムリバービューホテルを利用することは、もう生涯ないでしょう。
ただ、悲しいかな日本からWEBなどでホテル予約をしようと思うと、現状ではナコンパノムで唯一アクセスできるホテルはここしか無いんですよね。
だから、飛び込みではなくて出国時にホテルを確保しておきたいという人たちは、おのずとこのホテルしか選択肢が無いことになります。
つまり黙っていても客は寄ってくるわけですね。
そういうことにアグラをかいていると、こういう接客がまかりとおるホテルになってしまうのでしょうね。
きっと私が宿泊したときに、たまたまそういうフロントに当たったんだろう、という意見もあるでしょう。
私もそう思いたいです。
でも、その根底の部分で、評判にアグラをかいた経営や対応が見え隠れしてしまうと、それはそのホテルとしての体質であり、フロントとかコンシェルジュとかそういった個々の資質のせいでは無いと思っています。
オリエンタルとまではいかなくとも、スコータイやデュシタニなどを利用してみれば一発でわかりますよね。
本当の一流というものは名声や評判に気をよくして、おごることなどは間違ってもありません。
このホテルも、とりあえずはナコンパノムで一番という看板を背負っているからには、それにふさわしい品格を持ってほしいものです。
立地にも恵まれているし、外観や設備もハードウェアはすべて一流、でも従業員の接客に対する意識の高さは三流以下。
非常に残念です。
なので、レビューのまとめとしては以下の感想です。
暖かい笑顔で旅の疲れを癒してくれるアットホームでフレンドリーな雰囲気を求める方には、このホテルは絶対におすすめしません。
プールやレストラン、その他の設備や美観を重要視する方にはベストな選択でしょう。
あとは、ミス・タイランド並みの美人フロントに接客されたい、という方にはぜひおすすめします。
常時、目が覚めるほどの美人がフロントで対応してくれますので。
性格は知りません、ご自身でご確認を(笑)。
私には合わない宿でした。
あまりマイナス点を全面に押し出したレビューは不適当と思われる方もおられるかもしれませんね。
ですから、このレビューを参考にするかどうかは読んだ人の自由。
ただ、私は自分が実際に経験させられたことと、そしてそれに対する正直な感想を述べさせてもらいました。