麻婆と私とあのオジチャン

4.0
旅行時期：2020/07（約5年前）

松戸クチコミ：4件

さて、今宵も懲りずに麻婆まつりである。某は麻婆が好きである。この世の最後の晩餐に選ぶなら、きっとカレーと麻婆の２択で狂おしく迷えるほどに好きである。迷った末、うんやっぱり麻婆にしよう。そしてそのあとやっぱりカレーと（順序はさておき）だって選べないもん両方とも大好きだからといって２皿ともぺろりと平らげるであろうほどに好きである。もちろん別腹で確保したコージーコーナーの苺のショートケーキとオレンジジュースもあきらめない。妥協はしない。

そんな某が大好きだったのは、今となっては「だった」と過去形であるが、北千住丸井のミルディスフードコートに今年のおそらく春頃まであった『王記厨房』の麻婆炒飯（590円）だった。王記厨房は各地にあるが、ここの北千住店にはかつて、それはそれはイカした麻婆豆腐を作る中国人のスキンヘッドなオジチャンがいた。写真にある黒いお皿のがどれもまさしくそのオジチャンの作った麻婆であるが、初めて食べた時は「ん？なんだこれは？」という感想であったのが、そのあとなぜか２度、３度と通い詰めるうちに、不思議とそのオジチャンの魔力にハマっていき、あれよあれよという間にその麻婆炒飯の虜となっている自分がいた。ふわっとぷるぷるなめらか豆腐に花椒しびれる黒々濃厚な餡がたっぷり絡まり絶妙でたまらない！何度舌ベロをやけどしたか分からないがそんなことはどうでもよくなるくらい旨い。厨房には他にも何人か料理人はいるが、他の人が作った日のはまったく味が違っていて美味しくない！このオジチャンの麻婆じゃなきゃだめなんだなー！そんなわけでいつもそのフードコートへ行くとき、このオジチャンの姿が王記の厨房に見えたら迷わず麻婆炒飯を、厨房にいるのが他の人の日は対面の『はなまるうどん』に決めていた。一体某はこの店の麻婆炒飯にどれだけオカネを落としてきたかと思えるほどに、足しげく通い続けた、愛してやまない麻婆だった。

そのオジチャンは、今年の２月頃まではたしかにまだそこにいた。しかし、コロナでフードコートは閉鎖され、６月になってやっとふたたびそこを訪れたとき、もうオジチャンの姿はそこにはなかった。それどころか、王記厨房自体がなくなっており、そこは全く同じ外観の中華の店であるが『東京餃子軒』と名前が変わっていた。メニューもほとんど王記厨房時代のを引き継いでいるので、同じ麻婆炒飯をオーダーしてみたが、やはり美味しくない。一緒に頼んだ餃子も羽根がやたら派手なだけで味はまったく美味しくないのでもう行くのをやめた。あんなに好きなお店だったが誠に遺憾である。ちなみに某は高い中華料理屋へは行かない。理由は高いから。千円以内で腹いっぱいになれる庶民な店が好きである。そして一人でも入りやすい雰囲気であることが重要だ。

今般、ふと王記厨房時代の味が恋しくなって、松戸店の王記に入って同じ麻婆炒飯をオーダーしてみた。うーん、だいぶ近い。近くはあるが、やっぱりオジチャンの作る味とは異なる。オジチャンの味が恋しいなぁ。あのオジチャンはいまいずこ・・まあいろいろ事情もお有りでしょうから、すぐにとは言いませんが、色んなことが落ち着いてからで良いので、このクチコミを見たならば、どうぞまたあの北千住店へ戻って来て頂戴！待っているから！おねしゃす！！！