本当の贅沢というのは、ここのこと。

ここに投稿しようと思ったのは、

星のやに関してダメ出しの口コミが多く見られたこと、

また、実際自分が行ってみて、そのダメ出しを検証してみようと思った次第であります。

つい先日、星のやに２泊で初訪してきました。

足を踏み入れた瞬間から、この空間のテーマはすぐに伝わってきました。

「森と共生する」。そんな言葉がぴったりの雰囲気。

自然の地形を壊さずに、そっと寄り添うように建物が造られているので、

自ずとバリアフリーではありません。ですが、

それが楽しいではありませんか。何の段差も起伏もない森に滞在して、楽しいでしょうか。

食事が美味しくない、という感想もよく見られますが、

予想通り、料理に関しても自然のものをより自然な形で頂く、というメッセージを感じます。

つまり、調味料まみれの大味なフランス料理なんかを予想していた方にはガックリきたことでしょう。

本来の日本料理の神髄は素材の味そのものを活かすことだと思ってます。

星のやの「嘉助」の料理に関してはまさにそれで、

醤油味や濃い塩分に慣れた方には物足りないかもしれませんが、

非常に奥深く出汁の利いた、素材そのものが引き立つ贅沢な料理でした。

本当の贅沢とは、このような料理を食べることができる幸せです。

初めて食べた食材もたくさんあり、貴重な体験としても脳裏に焼き付いています。

転じて、施設全体やお部屋が暗くて危ない、という感想もありましたが、

これは言わずもがな、「星のや」というネーミングからも連想されますように

星をきれいに見られるようにするためでしょう。

もし部屋も通路も明るく照らされていたら、星を楽しむことなど全くできません。

これは雰囲気作りというよりも、「自然の中に住まわせていただく」という心がけではないでしょうか。

部屋にはテレビすらありませんので、静かな雰囲気の中に水のせせらぐ音や鳥の鳴き声、魚の跳ねる音など

ちょっとしたことに感性が刺激されるようになって、

普段の喧噪の中で忘れていた感覚が戻ってくるような感じがしました。

お風呂も、体験したことのない非常に興味深い作りになっていて、わくわくしてしまいます。

そして、-8℃の中でもポカポカとしていられるほど体の芯から温まりました。

サービスが悪い、という意見がありましたが、

スタッフさんは必要以上に介入してこないスタンスだと思います。

必要な時はいつでも出動してもらえますが、

基本的には黒子のように目だたずにゲストをフォローしている印象で、

まったくサービスが悪いとは思わないどころか、

絶妙なサービスをしてくれたな、と満足しています。


まとめますと、

星のやという宿は、主役が「自然」。ゲストは「滞在させてもらう」側。

自然の中に溶け込むことで、得がたい体験をでき、自分の中の感性を呼び覚ますことができます。

これはそれこそ、プライスレス。

値段がどうのこうの、半額だったらまだしもとか、料理が美味くないとかサービスが駄目だと仰る方は、

つまり主役は自分だと思ってしまった節があるのでは？

金を払っているから当然だと思うかもしれません。

ただし、お金を払ってこの経験ができることがすばらしい、そのことに気づいたら、

星のやが何故評判が宜しいのかが理解できるのだと思います。

僕なら、何度でもいきたいですね。

クチコミ投稿日：2012/02/11