2016/04/06 - 2016/04/06
44位(同エリア165件中)
玄白さん
真夜中に起きて鹿沼の古墳の桜を組み合わせた星景写真を撮ったあと、朝食もそこそこに上京。目的は、現役時代の同期入社の連中との2年ぶりの同期会である。
せっかくの上京なので、ただ飲んで帰るだけではもったいない、すでに桜は散り始めているが、大都会東京の花見でもしようと、朝早く家を出た。
さて、どこに行こうか? 東京の花見の名所というと、どのサイトをみても人気スポット上位は千鳥ヶ淵、目黒川、上野公園と相場が決まっている。しかし人混みが苦手な玄白としては、どこか穴場的スポットはないかと電車の中でネット検索したところ、深川の運河沿いの桜がよさそうだ。手漕ぎの和船に乗って水上から岸辺に咲く桜が楽しめるという。深川界隈は全く土地勘はなく、下調べもろくにしないままのぶっつけ本番の花見である。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
PR
-
GoogleMapのナビに助けられて、地下鉄門前仲町駅から和船の乗り場、黒船橋桟橋へ。
10時に到着すると、すでに待ち行列が100mの長さになっている。係の人によれば、待ち時間は1時間くらいだという。え〜!空いていると思ったのに・・・
しかし、冷静に考えれば大都会東京の花見シーズンだ。穴場とはいえ、この程度の混雑は当たり前なのだろう。たぶん、千鳥ヶ淵でボートに乗ろうとしたら、もっと待たされるだろう。黒船橋 名所・史跡
-
深川エリアには徳川家康が江戸に幕府を開いてから掘削された運河が網の目のように張り巡らされている。中でも、仙台堀川、小名木川などの運河沿いには見事な桜並木がある。大横川も、そんな桜並木が続く運河である。大横川に架かる清澄通りの橋が黒船橋で、その上流にある越中島橋との間に和船の乗り場がある。(右の水色のペンキが塗られたところ)
以前には水上バス定期便の発着所だったらしいが、今では「お江戸深川さくらまつり」の時期だけ花見イベントの和船のためだけに使われている。 -
和船には6〜8名くらいしか乗れない。上流の巴橋の先まで行ってからUターンして戻る20分ほどの花見クルーズである。料金は¥500だった。
行列に並んでいるときに、運河を行き来する和船と桜の撮影。みんな列を離れて、運河の柵越しに桜と船の写真や記念撮影を楽しんでいる。 -
イチオシ
和船だけでなく、動力船を行き来している。
-
-
この日は暖かな日で、東京の桜はすでに散り始めている。今日が花見好適の最後の日になりそうだ。
川面には花筏をつくるほどではないが、散った桜が浮かんでいる。 -
ときどき、風が通り過ぎるとさっと花びらが散る。
-
運河沿いの桜はほとんどがソメイヨシノのようだ。
-
たまに、貸し切りのクルーズ船がやってくる。昼から船上で酒盛り。いいな〜。
-
イチオシ
木遣り歌が得意な船頭さんがいて、運が良いと木遣り歌を聴きながら花見ができるそうだ。
-
ようやく、順番が回ってきた。ライフジャケットを身に着けて和船に乗り込む。
-
この船頭さん、若いころはカヌーをやっていたそうだ。(ネットで公開することは了解済み)
親が新潟から出てきているので、まだ生粋の江戸っ子ではないと謙遜していた。 -
石島橋をくぐり、さらに先へ。
石島橋 名所・史跡
-
はるか彼方まで続く桜並木
-
次の橋、巴橋。ここを通りすぎてその先の橋の手前で折り返して黒船橋桟橋に戻るのである。
巴橋 名所・史跡
-
これもチャーターした船のようだ。釣り船風。
-
-
川面に垂れ下がるように咲く桜。今は干潮だが、満潮になると水位は1m以上あがるので、水面ぎりぎりまで桜の枝が接近するそうだ。
-
イチオシ
この辺りは花筏になっている。
-
-
-
カヌーに乗ったカップルとすれ違う。
若いころカヌーをやっていたという船頭さんがつぶやく・・「なんだ〜、あのアベックの乗り方は! あれじゃ、船は進まんだろう」
ごもっともで・・・だけれども、女性の方は漕ぐつもりはないようだ。公園の池のボートの感覚で、彼氏の顔を見てニコニコ笑って乗っているだけでいいらしい。それに、いまどき、アベックなんて言葉を使うと齢がばれまっせ、船頭さん! -
桟橋に戻ってきた。
-
桟橋から見た越中島橋
-
下船して、その越中島橋から和船乗り場を見下ろす。
-
イチオシ
大型動力船がきた。こちらは、定期便の日本橋・深川シャトル便らしい。
-
大横川沿いをぶらぶらして、桜並木に沿って散策してみよう。珍しく、ソメイヨシノではない桜を発見。白い花は大島桜かな。
-
濃いピンクの桜をアップで。
-
-
ピンクのトンネルがずっと続いている。
和船乗り場は混雑していたが、それ以外は人混みは無く、落ち着いた雰囲気がなかなかよろしい。たぶん、人気の目黒川もこんな風景だろうが、こちらは人は少なく、静かに、のんびり、ゆったりと桜を愛でることができる。かしましい中国語も聞こえてこない。ここを選んで正解だった! -
イチオシ
-
-
-
すでに若葉の芽を膨らんでいる。そろそろ花は散り際だ。
-
イチオシ
そろそろ、和船乗り場の方に引き返すことにしよう。
-
-
川沿いにある会社の社員たちかな? 昼休み前なのに、仕事を抜け出して花見しながらのランチ?? さすがに酒は飲んでいない。
-
-
-
-
和船乗り場でもらった「お江戸深川桜まつり」のパンフレッドの地図を見ながら、ほかの深川の桜の見どころをぶらぶら回ってみよう。
-
清澄通りをぶらぶら小名木川方面に向かって歩く。
おや、こんなところに伊能忠敬の家の跡を発見。
むろん当時の家が残っているわけではなく、石碑があるだけなのだが・・・ -
さらに行くと、真言宗の古刹、法乗院という寺があった。建物は改築されて新しいが、1629年創建の歴史のある寺院だそうだ。本堂の左のゑんま堂には大きな閻魔大王(全高3.5m、寄木造り)が鎮座している。
法乗院 深川えんま堂 寺・神社・教会
-
その閻魔大王坐像。撮影禁止の注意書きはなかったので、写真を撮らせてもらった。平成元年に作られたというから、比較的新しいものだ。
-
賽銭箱がユニークだ。家内安全、合格祈願、商売繁盛、恋愛成就など色々な願い事が書かれた穴が開いていて、自分が願掛けしたいことが書かれている穴に賽銭を入れるのである。すると、堂内に照明が灯りスポットライトがぐるぐる回り、さらには願掛けに関連した説法の音声が自動的に流れてくる。すべてコンピュータ制御のハイテク閻魔大王なのである。
-
仙台堀川
大横川とそっくりの桜並木が続いているが、こちらには花見客はだれもいない。特にイベントをやっているわけでもない。
これだけ見事に咲いているのに、誰も見ていないなんて、もったいない気がする。大勢の人出で混雑しているのはイヤだが、全く人気(ひとけ)がないのも、ちょっと寂しい気もするな〜と身勝手なことを思いながら海辺橋の上から運河沿いの桜並木をしばし眺める。仙台堀川 寺・神社・教会
-
松尾芭蕉が奥の細道紀行に旅立っていったのは、この橋の袂からである。奥の細道の最初の句
「行く春や鳥蹄魚の目は泪(ゆくはるや とりなきうおのめはなみだ)」
で、これから遭遇するかもしれぬ三千里に及ぶ旅の困難に不安を覚え、見送りに集まった人達との惜別の気持ちを詠んだのも、まさに桜が散り始めるこの日のような時期だったのであろう。 -
仙台堀川を渡ると、右側に小さな空き地のような公園があり、そこに立て札がたっていた。そこの空き地は江戸時代の長編読本「南総里見八犬伝」の作者、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の住居跡だった。馬琴本人の銅像ではなく、里見八犬伝の本の銅像が置かれているのが面白い。
滝沢馬琴住居跡 名所・史跡
-
馬琴の住居跡の道路の反対側に広大な清澄公園がある。その一角が林泉回遊式日本庭園の清澄庭園になっている。都立の庭園九つ(浜離宮、清澄庭園、六義園、小石川後楽園、旧芝離宮、旧岩崎邸庭園、殿ケ谷戸庭園、向島百花園、旧古河庭園)の中でも庭の美しさは際立っているという評価なので、入ってみよう。実は玄白は浜離宮と旧古河庭園しか行ったことがない。これでやっと1/3を制覇だ。
清澄庭園 公園・植物園
-
池(大泉水)には、キンクロハジロという鴨の一種が群れている。
-
鯉も餌付けに慣れているせいか、足音を聞いただけで寄ってきて、大きな口をパクパクさせている。
-
イチオシ
池の岸辺に点々と石を並べ、歩けるようになっている。歩を進めるごとに微妙に庭園の景観が変化するように設計されているというのだが、そんなに景色が変わるようには思えないな〜。和の美が分かるデリカシーを持ち合わせていないからだと言われればそれまでだが・・・・
-
池のほとりに座ってスケッチを楽しんでいる年配の男性。
絵心があれば、こういうのも楽しいだろうな〜。玄白は絵を書くのは全くダメ(見るのは好きだが)なので、写真に走っている。 -
この庭園は、かつては江戸の豪商、紀伊国屋文左衛門の屋敷があったところと伝えられている。明治11年に三菱財閥の創設者、岩崎彌太郎が、荒れ地になっていたこの地域を買い取り、貴賓の招待や社員の福祉のために造園したものだそうだ。
伊豆の磯石、伊予の青石、備中御影石など全国の名石を三菱財閥傘下の三菱汽船会社の船で運んで、庭園に据えたという。池泉回遊式庭園だが、石庭の趣もある。写真の石は伊豆川奈から運んだ石である。 -
池には3つの中島がある。そのうちのひとつで、橋を渡って行ける島に一本桜が見頃を迎えている。大島桜かな。
奥にみえる数寄屋造りの建物は「涼亭」という茶屋。明治42年に国賓として来日したイギリス陸軍のキッチナー元帥という人物を持て成すために建てられたという。
やはり、日本庭園の情緒を表現するためには、数寄屋造りの茶屋は欠かせない。 -
中島に渡る橋。
-
-
青空に白い大島桜の花。
-
春の季節感を演出する桜餅に使う桜の葉は、この大島桜の葉を塩漬けにしたもの。ソメイヨシノなどの葉は食用にはならないらしい。
-
富士山と名付けられた築山
-
キンクロハジロばかりに見えたが、カルガモ君もいた。
-
姿形はアオサギのようだが、羽が妙に白っぽく、傷んでいるようにみえる。年を取ったアオサギかな?
-
築山「富士山」の裏にあった石仏群。江東区文化財に指定されているという。
-
-
自由広場の桜。日本庭園の中なので、レジャーシートを敷いての宴会は禁止。静かで落ち着いた花見が楽しめる。
-
庭園の片隅に咲いていたハナニラ。もともと、明治時代に園芸種として日本に持ち込まれたが、繁殖力旺盛で、今ではいろいろなところで野生化した花が見られる。
-
シャガの群落。中国原産の花で、生殖による実をつけない三倍体という生物学的性質があるので、すべて人の手によって増殖した花だそうだ。人がいない山中には生えることはなく、彼岸花などと同様、いわゆる人里植物である。
全国すべてのシャガは全く同じ遺伝子を持つ。ソメイヨシノと同じである。 -
シャガ
-
芭蕉の句碑 「古池や、かわづ飛び込む水の音」
-
涼亭。 池に飛び出した形で建てられている。
-
涼亭のそばからは、スカイツリーが遠望できる。
-
清澄庭園を一周したあと、、小名木川の桜を見に行ってみる。小名木川に架かる高橋という橋の上から眺めた桜並木。
小名木川 自然・景勝地
-
運河沿いをちょっと歩いてみる。ここもまた、仙台堀川と同様、花見をしている人は誰もいない。
ここまで、ぶらぶら歩いて、思わぬところで江戸時代の著名人に縁があるところを見つけたりして、江戸情緒を楽しんだ散策だった。
夕方の飲み会まで、まだ時間はたっぷりある。隅田川に出て、清洲橋から吾妻橋まで川沿いを散策しながら、途中、ベンチで握り飯をほおばりながら隅田公園の桜を見に行ってみよう。
以下、次の旅行記に続く。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
-
- belleduneさん 2016/04/18 09:33:02
- 和船は猪牙舟?
- 玄白さん、桜を舟から眺めるとは、良いですね。でも、やはり並ばなければならないとは、どこでも人気のものは行列を覚悟しなければならないのでしょうか。
先日、神戸の竹中大工道具館で、和船の展示があり、知らないことがたくさんありました。和船の猪牙舟も江東区深川資料館で以前展示されたことがあったそうですね。
まだ清澄庭園は行ったことがないので、一度行ってみようと思います。
楽しそうな和船の時間を乗ったつもりで想像しながら、拝見しました。又お邪魔します。
- 玄白さん からの返信 2016/04/20 22:12:44
- RE: 和船は猪牙舟?
- belleduneさん、こんばんは
返信が遅れてすみませんでした。
あの和船は猪牙舟(チョキブネ)って言うんですね。勉強になりました。ちょっと調べてみたら、細長い船体で船底が絞ってあるため、横に揺れやすく、櫂で漕ぐ力が水にうまく伝わって、スピードが出る舟なのだそうです。ただ安定性が悪いので波が荒い海では使えず、もっぱら深川のような運河や川で使われたのだそうです。
花見のときは、乗り心地は悪くなかったですよ。
実は動画でも撮影してみたのですが、揺れる船上での撮影のせいか、玄白の動画撮影が下手なのか、とても見られたものではないので、アップしませんでした。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
2
73