2014/03/28 - 2014/03/30
982位(同エリア6885件中)
ハンクさん
今年の3月末、1週間の休暇を取って始めてスペインを訪れた。イタリアに次いで43ヶ所の世界遺産を持つこの観光大国スペイン、訪問国としては51ヶ国目とかなり遅くなってしまった。これまで何度かスペイン旅行を計画したのであるがなかなか実現せず、フラメンコ好きの家内との約束をやっと果たすことができた。
元々今年3月末に個人ツアーでスペインツアーを計画していたところ、昨年11月末に新聞広告で、ほとんど同じ日程でHISのクリスマスフェア、スペイン&ポルトガル9日間で15.9万円というツアーを見つけ、迷うことなく予約した。個人旅行の場合、航空券以外にも燃油サーチャージが6万円、ユーレイルスペインパスが6日間で約5万円、これにホテル代を加えると値段的には比較にならない。添乗員付きで一部の食事と移動、ホテル全て込みの価格としては破格であると思う。はるか昔に同種の添乗員付きのツアー旅行した時は、余り自由時間がなく、やたらと行きたくもないショッピングセンターに連れて行かれるなど好印象がなく、長年ツアー旅行は避けていた。今回の添乗員のFさんはベテランで押し付けがましいところがなく、適度な自由時間が確保してあり、ツアー旅行としては満足度は高かった。
スペインは人口は約4,700万人と日本の3分の1であるが、面積は日本の1.3倍あり、43ヶ所ある世界遺産巡りも公共交通機関では容易ではない。その意味では、バスツアーを選ぶメリットは大きく、今回のツアーでは実質7日間でスペイン7ヶ所、ポルトガル2ヶ所の世界遺産を訪れることができた。特に混み合うアルハンブラ宮殿などの予約の心配が不要であることが有難い。逆に旅程を自分で作らないのと、公共交通機関をあまり使わないので、都市の構造を把握することが難しく、観光スポットの位置関係が記憶に残りにくいのが難点ではある。
さて、イスタンブール経由のトルコ航空でスペイン最初に到着したのはバルセロナ、言うまでもなく首都マドリードに次ぐスペイン第2の都市で人口は162万人、大都市圏人口は421万人。ローマ時代からの長い歴史を誇り、1992年にはバルセロナオリンピックが開催されるなどヨーロッパを代表する都市の一つで、比較的物価や人件費も安いため、日本企業も多く進出している。
バルセロナの起源は古く、伝説によれば紀元前3世紀にハンニバルの父バルカがこの地にカルタゴ人都市を建設、ポエニ戦争でカルタゴに勝利したローマが紀元前20年ごろ植民都市とした。5世紀に西ゴート王国の首都になったが、8世紀初頭にイスラム勢力のウマイヤ朝によって征服された。801年にカール大帝治世のフランク王国の遠征によってスペイン辺境領に組み込まれた。9世紀末になるとフランク王国からの自立を進め10世紀末に独立、11世紀にはバルセロナ伯領を中心とするカタルーニャ君主国を建設した。
その後12世紀に入るとバルセロナは、アラゴン連合王国の一つとして多数の海外領土、バルセロナからアテネに至る地中海を支配するようになり、活気ある港町に発展した。 しかし15世紀にはスペインの中心はマドリードへと移行し、バルセロナは衰退、スペイン内戦(1936 - 1939)の間はフランコ政権に対抗する無政府主義運動の拠点となるが、1939年にフランコの軍勢に侵略された。1975年の独裁者の死去以後にカタルーニャ州は自治権を獲得し、バルセロナは文化的活動の中心として繁栄を取り戻した。
この町には建築家アントニ・ガウディ(1852 - 1926)の建築群と、カタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院の2ヶ所の世界遺産がある。ガウディは生涯のほとんどをバルセロナで過ごし、支援者で富豪グエルの邸宅、グエル公園や、巨大で今なお未完成のサグラダ・ファミリア教会のようなユニークな作品をいくつか残した。彼の教師だったバルセロナ建築学校校長で建築家のアリアス・ルジェンは、ガウディについて「彼が狂人なのか天才なのかはわからない、時が明らかにするだろう」と語っていたことは非常に興味深い。
スペイン・アール・ヌーヴォーに属する彼の建築は、「曲線と細部の装飾を多用した、生物的な建築を得意とし、その独創的なデザインは多くの建築家や芸術家に影響を与えた。その設計手法は独自の構造力学的合理性と物語性に満ちた装飾の二つの側面より成立し、装飾は形式的なものに留まらず、植物・動物・怪物・人間などをリアルに表現した」と言われる。現実に彼の作品を眼前にすると、他の例を見ない極めてユニークな造形に驚嘆を禁じ得ない。リズムを持った躍動感とともに、人を不安にさせるような人骨、デフォルメされた顔などを随所に織り込んでいる。先の教師のコメントのように、天才と狂人の紙一重にある稀有の建築家と呼ぶべきであろう。なおサグラダ・ファミリアは2010年、教皇ベネディクト16世が訪れミサを執り行い、聖堂に聖水を注いで聖別、バシリカとなったと言う。また、ガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定と発表しているそうだ。効率化と採算性に奔走する現代の日本の技術者にとっては、これはおとぎ話の世界としか思えない。
一方のカタルーニャ音楽堂は建築家ドゥメナク・イ・ムンタネールによってムダルニズマの様式で設計されたコンサートホールである。1905年から1908年にかけて、カタルーニャ・ルネサンスにおいて指導的役割を果たした合唱団、ウルフェオー・カタラーのために建設された。強い雨の中、外観と窓ガラス越しにロビーを眺めることしかできなかったが、演奏会予定のポスターには、ラットル・ベルリンフィル、ドュダメル・ミラノスカラ座歌劇場など錚々たる団体が名を連ねており驚かされた。
上記の2ヶ所はツアーの中に含まれていたが、到着初日の午後は自由行動となっていたため、眠い目をこすりながら、市の中心から臨海地区まで走るランブラス通りを散策した。ここには市場、花屋、鳥屋、大道芸人、カフェテリア、レストランが並び、名高いリセウ大劇場、ガウディ作のグエル邸、南の終端にはコロンブスの像がアメリカ大陸のある海を指して立っている。
またショッピング目的でランブラス通りの北に続くグラシア通りに出かけた。ロエヴェ、バーバリー、マンゴ、ザラ、リヤドロなどブランド店が並んでおり、この近くにはガウディの作品であるカサ・ミラ(全面修復中)、カサ・バトリョを見ることができる。
夜はオプショナルツアーでバルを3つはしごした。ゴシック様式のサンタ・エウラリア大聖堂の趣のある街並みを眺めながら、スペイン名産のシードラ(リンゴ酒)、赤ワイン、地ビールと、タパス、カナッペ、ソーセージ、カルパッチョなどを文字通りつまみ食いしながらスペイン初日の夜を楽しんだ。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道 観光バス タクシー 徒歩 飛行機
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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バルセロナ、プラット国際空港、ガラス張りの近代的な建築
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空港に迎えに来てくれた大型バス、まずはホテルに向かう
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バルセロナの市民の足メトロ
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イチオシ
ガウディ設計のカサ・バトリョはグラシア通りに面する
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カサ・バトリョとグラシア通りの街並み
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革製品の名門ロエヴェの入るグラシア通りに面するユニークな建物
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同じくグラシア通りに面するガウディ設計のカサ・ミラは全面修復中
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グラシア通りに面するユニークなファサードを持つ建物
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グラシア通りの街並み
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ガウディ設計のグエル邸のあるランブラ通り
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グエル邸の近景
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カタルーニャ音楽堂のファサード
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カタルーニャ音楽堂のコーナーの装飾
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ガラス越しのカタルーニャ音楽堂の内部
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昼食は名物のパエリア
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いよいよガウディの傑作、サグラダ・ファミリアを訪れる
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ガウディの傑作、サグラダ・ファミリアのファサード
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イチオシ
ガウディの傑作、サグラダ・ファミリアの近景
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ガウディの傑作、サグラダ・ファミリアの内部、人骨を思わせる柱構造
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ガウディの傑作、サグラダ・ファミリアの内部
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サグラダ・ファミリアの床の装飾
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サグラダ・ファミリアの壁のモニュメント
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ガウディの傑作、サグラダ・ファミリアの側面
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ガウディの傑作、サグラダ・ファミリアの設計図
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ガウディの傑作、サグラダ・ファミリアの模型
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2010年11月7日に教皇ベネディクト16世が訪れ、ミサを執り行い、聖堂に聖水を注いで聖別。サグラダ・ファミリアはバシリカとなった
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カタルーニャ海軍の建物、歴史を感じさせる
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バルセロナ港に面する重厚な建築
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コロンブスの像、アメリカ大陸のある海を指差して立つ
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バルセロナ港に面する港湾管理事務所の建物
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サン・ジュゼップ市場の入り口
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カタルーニャ広場の一角の街並み
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ランブラス通りに面する劇場のファサード
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バルセロナの誇るオペラ劇場、リセウ劇場のファサード
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バルセロナの誇るオペラ劇場、リセウ劇場の天井の写真
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サンタ・エウラリア大聖堂の夜景、バルのはしごにでかける
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バルで樽からシードラを注いでもらう
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バルの店内に並ぶつまみのタパス、カナッペ、ソーセージなど
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バルの並ぶ街並み
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代表的なバルのひとつ
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