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「桐葉知秋」とは、一枚の桐の葉の落葉から秋を知るの意で、僅かな前兆から本質や事の趨勢を察知することを表現しています。<br />落葉もさることながら、初秋の代名詞と言えばやっぱりコスモス。秋空に映え、清々しい爽風に揺らぐコスモスは、どことなく郷愁の念を彩る風物詩と言えます。秋の草花を愛でに訪れた京都府立植物園。<br /><br />第二弾は、京都府立植物園内にある観覧温室と京都府立陶板名画の庭をレポートします。<br />観覧温室の外観は池に浮かぶ金閣寺のイメージと北山連峰のシルエットを取り入れた斬新かつ優雅なデザイン。延床面積は4612平方m、高さは14.8m。内部は9つのゾーンで構成され、展示植栽植物は4500種類、25000本に及び、国内初展示、初開花の植物も多く、名実ともに日本最大級の温室と言える規模を誇ります。入り口から出口までの歩道が全スロープのバリアフリーで車イスでの観覧にも優しく配慮されています。<br /><br />

桐葉知秋 京都府立植物園散策紀行<後編>

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2012/10/06 - 2012/10/06

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montsaintmichel

montsaintmichelさん

「桐葉知秋」とは、一枚の桐の葉の落葉から秋を知るの意で、僅かな前兆から本質や事の趨勢を察知することを表現しています。
落葉もさることながら、初秋の代名詞と言えばやっぱりコスモス。秋空に映え、清々しい爽風に揺らぐコスモスは、どことなく郷愁の念を彩る風物詩と言えます。秋の草花を愛でに訪れた京都府立植物園。

第二弾は、京都府立植物園内にある観覧温室と京都府立陶板名画の庭をレポートします。
観覧温室の外観は池に浮かぶ金閣寺のイメージと北山連峰のシルエットを取り入れた斬新かつ優雅なデザイン。延床面積は4612平方m、高さは14.8m。内部は9つのゾーンで構成され、展示植栽植物は4500種類、25000本に及び、国内初展示、初開花の植物も多く、名実ともに日本最大級の温室と言える規模を誇ります。入り口から出口までの歩道が全スロープのバリアフリーで車イスでの観覧にも優しく配慮されています。

同行者
カップル・夫婦
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
私鉄

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  • 京都府立植物園 観覧温室<br />温室の手前に何ともド派手なオブジェが展示されています。題名は「植ギャランダフル」。題名を見ても凡庸な当方にはシュール過ぎてピンときません。イマジネーションを駆使してやっとのことで思いついたのが、女郎蜘蛛。作者の意図が何なのか知りたい気分です。<br /><br />観覧温室は、1924年の開園以来3代目で、1992年に国内最大級の施設として完成し、今年開室20周年を迎えています。これを記念して「観覧温室20年のあゆみ展」と講演会を開催しています。期間中は、温室観覧料が無料となっています。<br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室
    温室の手前に何ともド派手なオブジェが展示されています。題名は「植ギャランダフル」。題名を見ても凡庸な当方にはシュール過ぎてピンときません。イマジネーションを駆使してやっとのことで思いついたのが、女郎蜘蛛。作者の意図が何なのか知りたい気分です。

    観覧温室は、1924年の開園以来3代目で、1992年に国内最大級の施設として完成し、今年開室20周年を迎えています。これを記念して「観覧温室20年のあゆみ展」と講演会を開催しています。期間中は、温室観覧料が無料となっています。


  • 京都府立植物園 観覧温室<br />オオオニバスと池面に映りこんだ温室の造形美。キラキラ輝いて目に眩しいです。太陽と自然が織りなすアートです。<br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室
    オオオニバスと池面に映りこんだ温室の造形美。キラキラ輝いて目に眩しいです。太陽と自然が織りなすアートです。

  • 京都府立植物園 観覧温室 パキスタキス・ルテア<br />キツネノマゴ科パキスタキス属。原産地は、メキシコ〜ペルー。<br />茎の先端に長さ10cmほどの花序があり、美しい黄色の苞が整然と重なっています。花冠は白い楚々とした二唇形です。属名Pachystachsは、ギリシャ語のpachys(太い)とstachys(穂)の2語からなり、花穂の形に由来します。英名はゴールデンキャンドル(golden candle)です。<br /><br /><br />非日常的な空間にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。暫くの間は、見るもの全てが新鮮で、どれを被写体にするか迷ってしまいます。<br />

    京都府立植物園 観覧温室 パキスタキス・ルテア
    キツネノマゴ科パキスタキス属。原産地は、メキシコ〜ペルー。
    茎の先端に長さ10cmほどの花序があり、美しい黄色の苞が整然と重なっています。花冠は白い楚々とした二唇形です。属名Pachystachsは、ギリシャ語のpachys(太い)とstachys(穂)の2語からなり、花穂の形に由来します。英名はゴールデンキャンドル(golden candle)です。


    非日常的な空間にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。暫くの間は、見るもの全てが新鮮で、どれを被写体にするか迷ってしまいます。

  • 京都府立植物園 観覧温室 ハエトリグサ <br />室内で賑わっている人気スポットがここ、すなわち、食虫植物エリア。<br />ハエトリグサは、北アメリカ原産の食虫植物。別名、ハエトリソウ、ハエジゴク。葉を素早く閉じて獲物を捕食する姿が特徴的で、ウツボカズラと並ぶ有名な食虫植物です。英語の&quot;Venus Flytrap&quot;(女神のハエ取り罠)は、2枚の葉の縁の「トゲ」を女神のまつ毛に見立てたことに由来します。<br /><br />昆虫が2回または2本以上の感覚毛に同時に触れると、0.5秒で葉を閉じます。葉が閉じると同時に周辺のトゲが内に曲がり、トゲで獲物を閉じ込めます。葉を閉じるのに必要な刺激が2回なのは、近くの葉や雨の水滴などが触れた時の誤作動を防いだり、獲物を確実に捕えるための適応と考えられています。また、一度触れた後、もう一度触れるまでに20秒以上の間隔があると、葉は半分程度しか閉じないそうです。この時間を記憶し、リセットする仕組みについては未解明だそうです。<br /><br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 ハエトリグサ 
    室内で賑わっている人気スポットがここ、すなわち、食虫植物エリア。
    ハエトリグサは、北アメリカ原産の食虫植物。別名、ハエトリソウ、ハエジゴク。葉を素早く閉じて獲物を捕食する姿が特徴的で、ウツボカズラと並ぶ有名な食虫植物です。英語の"Venus Flytrap"(女神のハエ取り罠)は、2枚の葉の縁の「トゲ」を女神のまつ毛に見立てたことに由来します。

    昆虫が2回または2本以上の感覚毛に同時に触れると、0.5秒で葉を閉じます。葉が閉じると同時に周辺のトゲが内に曲がり、トゲで獲物を閉じ込めます。葉を閉じるのに必要な刺激が2回なのは、近くの葉や雨の水滴などが触れた時の誤作動を防いだり、獲物を確実に捕えるための適応と考えられています。また、一度触れた後、もう一度触れるまでに20秒以上の間隔があると、葉は半分程度しか閉じないそうです。この時間を記憶し、リセットする仕組みについては未解明だそうです。



  • 京都府立植物園 観覧温室 モウセンゴケ・アデラエ<br />モウセンゴケ科モウセンゴケ属の常緑多年草。オーストラリアの北東部、クイーンズランド州の熱帯雨林に分布しています。短い茎から、狭い披針形の捕虫葉を伸ばし、長さは20〜25cmになります。葉の長さと光量には相関関係があり、光量が多いと葉は小さく、赤色に変わります。花茎を伸ばして、赤色から赤褐色の花を咲かせます。腺毛の先の小球体に粘液を付け、昆虫を捕獲します。<br />

    京都府立植物園 観覧温室 モウセンゴケ・アデラエ
    モウセンゴケ科モウセンゴケ属の常緑多年草。オーストラリアの北東部、クイーンズランド州の熱帯雨林に分布しています。短い茎から、狭い披針形の捕虫葉を伸ばし、長さは20〜25cmになります。葉の長さと光量には相関関係があり、光量が多いと葉は小さく、赤色に変わります。花茎を伸ばして、赤色から赤褐色の花を咲かせます。腺毛の先の小球体に粘液を付け、昆虫を捕獲します。

  • 京都府立植物園 観覧温室 ツボウツボカズラ<br />ウツボカズラ科ウツボカズラ属(ネペンテス属)の常緑蔓性低木。原産地は、マレー半島、ニューギニア島、カリマンタン島など。国際自然保護連合のレッドリストでは軽度懸念(LC)に指定されています。<br />代表的な食虫植物の1つで、壷状の袋に落ちた虫を消化して栄養にします。生育している場所が十分な栄養の摂れない環境のため、足りない養分を虫を食べて補います。<br /><br />ツボの口元に蜜のようなものを分泌して昆虫を誘い、足を踏み外した虫を落とし込むみます。内部は滑々状態で、一度落ちると這い上がれません。そしてそのままツボの下部の酵素液で溶かされ、植物体の養分とされてしまいます。尚、酵素液の量は自己調節するそうです。仮に雨水が入ってツボからあふれ出したとしても、暫くすると一定の量になるそうです。これも自然の神秘です。<br /><br /><br /><br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 ツボウツボカズラ
    ウツボカズラ科ウツボカズラ属(ネペンテス属)の常緑蔓性低木。原産地は、マレー半島、ニューギニア島、カリマンタン島など。国際自然保護連合のレッドリストでは軽度懸念(LC)に指定されています。
    代表的な食虫植物の1つで、壷状の袋に落ちた虫を消化して栄養にします。生育している場所が十分な栄養の摂れない環境のため、足りない養分を虫を食べて補います。

    ツボの口元に蜜のようなものを分泌して昆虫を誘い、足を踏み外した虫を落とし込むみます。内部は滑々状態で、一度落ちると這い上がれません。そしてそのままツボの下部の酵素液で溶かされ、植物体の養分とされてしまいます。尚、酵素液の量は自己調節するそうです。仮に雨水が入ってツボからあふれ出したとしても、暫くすると一定の量になるそうです。これも自然の神秘です。





  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />熱帯スイレン ダイレクターGTムーア<br />スイレン科の一年生の水生植物。スイレン科ですが、ハスのように水面から距離を置いて花を咲かせています。青紫系熱帯スイレンの代表的存在。<br />花の右側にある葉の上には小さなカエルが見られます。

    京都府立植物園 観覧温室
    熱帯スイレン ダイレクターGTムーア
    スイレン科の一年生の水生植物。スイレン科ですが、ハスのように水面から距離を置いて花を咲かせています。青紫系熱帯スイレンの代表的存在。
    花の右側にある葉の上には小さなカエルが見られます。

  • 京都府立植物園 観覧温室 熱帯スイレン<br />淡いブルー色の珍しい睡蓮。<br />熱帯地方でも極楽浄土があるのでしょうか?

    京都府立植物園 観覧温室 熱帯スイレン
    淡いブルー色の珍しい睡蓮。
    熱帯地方でも極楽浄土があるのでしょうか?

  • 京都府立植物園 観覧温室<br />ハスの葉の下にはマナズのような小魚が悠々と泳いでいます。<br />金魚のような真っ赤な小魚もいます。

    京都府立植物園 観覧温室
    ハスの葉の下にはマナズのような小魚が悠々と泳いでいます。
    金魚のような真っ赤な小魚もいます。

  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />ヘリコニア プシタコルム・ゴールデントーチ<br />オウムバナ科。ヘリコニアはバナナに近い植物で、原種は中南米の熱帯地域に分布しています。熱帯の植物特有の鮮やかな黄色をしてます。ジャングルの雰囲気が漂ってきました。<br />

    京都府立植物園 観覧温室
    ヘリコニア プシタコルム・ゴールデントーチ
    オウムバナ科。ヘリコニアはバナナに近い植物で、原種は中南米の熱帯地域に分布しています。熱帯の植物特有の鮮やかな黄色をしてます。ジャングルの雰囲気が漂ってきました。

  • 京都府立植物園 観覧温室 ヘリコニア マリエ<br />オウムバナ科。原産地は、コスタリカからペルー。<br />巨大なムカデのようなグロテスクな植物です。英名はビーフステーキ・ヘリコニア(Beafsteak heliconia)。これを見てビーフステーキと命名するとは、文化の違いでしょうね?因みに、植物学的にはバナナに近い種だそうです。実際に食べられるのかも?<br />

    京都府立植物園 観覧温室 ヘリコニア マリエ
    オウムバナ科。原産地は、コスタリカからペルー。
    巨大なムカデのようなグロテスクな植物です。英名はビーフステーキ・ヘリコニア(Beafsteak heliconia)。これを見てビーフステーキと命名するとは、文化の違いでしょうね?因みに、植物学的にはバナナに近い種だそうです。実際に食べられるのかも?

  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />オスモキシロン リネアレ・ヴァリエガタ<br />ウコギ科オスモキシロン属の常緑小低木。原産地は、フィリピンからマレーシア。<br />葉は掌状に5裂し、小葉は細長い剣状です。茎頂に散形花序を出し、球形のつぼみは暗紫色で、花は白褐色です。葉は、目が覚めるような鮮やかな緑色で、黄色の斑入り葉の品種です。つぼみは、まるで正露丸のようです。<br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室
    オスモキシロン リネアレ・ヴァリエガタ
    ウコギ科オスモキシロン属の常緑小低木。原産地は、フィリピンからマレーシア。
    葉は掌状に5裂し、小葉は細長い剣状です。茎頂に散形花序を出し、球形のつぼみは暗紫色で、花は白褐色です。葉は、目が覚めるような鮮やかな緑色で、黄色の斑入り葉の品種です。つぼみは、まるで正露丸のようです。

  • 京都府立植物園 観覧温室 カラテア・タエニオサ<br />クズウコン科カラテア属。原産地は、ブラジル。<br />なんとなく笑ってしまいそうな植物です。ベルベットのような質感で、足元でとても目立っていました。まるで絵に描いたような模様の葉で、熱帯ジャングルを満喫させる雰囲気を醸します。どことなく素朴派の巨匠アンリ・ルソーが手がけた傑作『蛇使いの女』を彷彿とさせます。<br />『蛇使いの女』は次のサイトを参照ください。<br />http://www.salvastyle.info/menu_impressionism/view.cgi?file=rousseau_serpents00&amp;picture=%8E%D6%8Eg%82%A2%82%CC%8F%97&amp;person=%83A%83%93%83%8A%81E%83%8B%83%5C%81%5B&amp;back=rousseau_serpents

    京都府立植物園 観覧温室 カラテア・タエニオサ
    クズウコン科カラテア属。原産地は、ブラジル。
    なんとなく笑ってしまいそうな植物です。ベルベットのような質感で、足元でとても目立っていました。まるで絵に描いたような模様の葉で、熱帯ジャングルを満喫させる雰囲気を醸します。どことなく素朴派の巨匠アンリ・ルソーが手がけた傑作『蛇使いの女』を彷彿とさせます。
    『蛇使いの女』は次のサイトを参照ください。
    http://www.salvastyle.info/menu_impressionism/view.cgi?file=rousseau_serpents00&picture=%8E%D6%8Eg%82%A2%82%CC%8F%97&person=%83A%83%93%83%8A%81E%83%8B%83%5C%81%5B&back=rousseau_serpents

  • 京都府立植物園 観覧温室 マドカズラ<br />サトイモ科モンステラ属。<br />熱帯アメリカに20〜30種類が分布しています。虫に食われたようなユニークな葉がエキゾチックで、ジャングルゾーンにぴったりです。ヤシの大木の幹に絡み付いているツル性植物。葉に穴が開く姿が、和名の由来にもなっています。<br />属名は、モンステラ・フリードリヒスタリー(Monstera friendrichsthalii )。Monsteraの由来は、葉形より怪物を意味するラテン語monstrumに因むという説があります。<br />果実は食用になり、パイナップルとバナナを混ぜたような味だとか。<br />

    京都府立植物園 観覧温室 マドカズラ
    サトイモ科モンステラ属。
    熱帯アメリカに20〜30種類が分布しています。虫に食われたようなユニークな葉がエキゾチックで、ジャングルゾーンにぴったりです。ヤシの大木の幹に絡み付いているツル性植物。葉に穴が開く姿が、和名の由来にもなっています。
    属名は、モンステラ・フリードリヒスタリー(Monstera friendrichsthalii )。Monsteraの由来は、葉形より怪物を意味するラテン語monstrumに因むという説があります。
    果実は食用になり、パイナップルとバナナを混ぜたような味だとか。

  • 京都府立植物園 観覧温室 カラテア・マコヤナ<br />クズウコン科カラテア属の常緑多年草。原産地は、ブラジル。<br />広楕円形の葉を叢生する中小型種で、葉色は淡黄緑色地に濃緑色の斑紋模様が矢羽根状に入り、独特な色彩と変化に富んだ模様が大変美しく、どことなく孔雀が羽根を広げた姿を彷彿とさせます。葉裏は、同じ模様で色だけが紅紫色になっているのもユニークです。でも、意外に色調は和風な感じです。葉は、夜になると睡眠運動をするそうです。<br />属名の Calathea はラテン語の「calathus(籠)」から由来しています。種小名の makoyana はベルギー人の園芸家「マコイ(J. Makoy)さんの」という意味。<br />

    京都府立植物園 観覧温室 カラテア・マコヤナ
    クズウコン科カラテア属の常緑多年草。原産地は、ブラジル。
    広楕円形の葉を叢生する中小型種で、葉色は淡黄緑色地に濃緑色の斑紋模様が矢羽根状に入り、独特な色彩と変化に富んだ模様が大変美しく、どことなく孔雀が羽根を広げた姿を彷彿とさせます。葉裏は、同じ模様で色だけが紅紫色になっているのもユニークです。でも、意外に色調は和風な感じです。葉は、夜になると睡眠運動をするそうです。
    属名の Calathea はラテン語の「calathus(籠)」から由来しています。種小名の makoyana はベルギー人の園芸家「マコイ(J. Makoy)さんの」という意味。

  • 京都府立植物園 観覧温室 サガリバナ<br />サガリバナ科。原産地は、東南アジアから太平洋諸島の湿地。<br />薄いピンク色で糸状に広がっている部分は、おしべです。その下に短い花弁がつき、芳香があります。花序は長さ50cm以上になり、15〜20の花をつけます。いったん花が終わるとその花序がさらに伸びて次の花をつけます。通常は暗闇で芳香とともに白やピンクの花を咲かせ、その朝におしべ(花びら)を散らすそうです。その光景はさぞかし幻想的なのでしょうね。このように咲いている姿を観たい方は、午前中の入室がお奨めです。<br /><br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 サガリバナ
    サガリバナ科。原産地は、東南アジアから太平洋諸島の湿地。
    薄いピンク色で糸状に広がっている部分は、おしべです。その下に短い花弁がつき、芳香があります。花序は長さ50cm以上になり、15〜20の花をつけます。いったん花が終わるとその花序がさらに伸びて次の花をつけます。通常は暗闇で芳香とともに白やピンクの花を咲かせ、その朝におしべ(花びら)を散らすそうです。その光景はさぞかし幻想的なのでしょうね。このように咲いている姿を観たい方は、午前中の入室がお奨めです。



  • 京都府立植物園 観覧温室 サガリバナ<br />食虫植物の展示されていた池に散った花が置かれていました。新種の水生植物かと思いましたが、後でサガリバナを見て納得です。水面に浮かぶ姿も華麗です。

    京都府立植物園 観覧温室 サガリバナ
    食虫植物の展示されていた池に散った花が置かれていました。新種の水生植物かと思いましたが、後でサガリバナを見て納得です。水面に浮かぶ姿も華麗です。

  • 京都府立植物園 観覧温室 カラテア・ロエセネリ <br />クズウコン科カラテア属の常緑多年草。原産地は、ペルー、ボリビア、コロンビア、エクアドルなど。別名、姫芭蕉(ヒメバショウ)。<br />花は遠慮がちに淡いピンクがかかり、目立たずに楚々と咲いていました。葉裏には、細かい産毛が生えています。

    京都府立植物園 観覧温室 カラテア・ロエセネリ
    クズウコン科カラテア属の常緑多年草。原産地は、ペルー、ボリビア、コロンビア、エクアドルなど。別名、姫芭蕉(ヒメバショウ)。
    花は遠慮がちに淡いピンクがかかり、目立たずに楚々と咲いていました。葉裏には、細かい産毛が生えています。

  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />パウォニア ストリクティフロラ<br />アオイ科。原産地は、ブラジル。<br />幹から直接花を咲かせる変わり種です。花は小さく房状に群がってつき、帯紫白色。赤くて美しい部分は副萼と呼ばれます。楚々とした花ですが、こうした咲き方を見ると逞しくも見えます。<br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室
    パウォニア ストリクティフロラ
    アオイ科。原産地は、ブラジル。
    幹から直接花を咲かせる変わり種です。花は小さく房状に群がってつき、帯紫白色。赤くて美しい部分は副萼と呼ばれます。楚々とした花ですが、こうした咲き方を見ると逞しくも見えます。


  • 京都府立植物園 観覧温室 ボンテンカ<br />アオイ科の落葉低木。原産地は、日本などアジアを中心とする熱帯地方。<br />梵天(ボンテン)とは仏法用語で、インドの花ということで付けられています。<br />日本では絶滅危惧種に指定されています。切れ込んだ葉と斑の入り方に特徴があり、大変美しいです。花は、儚い一日花です。林芙美子が『浮雲』の最後に記した詩、「花の命は短くて 苦しきことのみ多かれど 風も吹くなり 雲も光るなり」を彷彿とさせる花一輪でした。<br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 ボンテンカ
    アオイ科の落葉低木。原産地は、日本などアジアを中心とする熱帯地方。
    梵天(ボンテン)とは仏法用語で、インドの花ということで付けられています。
    日本では絶滅危惧種に指定されています。切れ込んだ葉と斑の入り方に特徴があり、大変美しいです。花は、儚い一日花です。林芙美子が『浮雲』の最後に記した詩、「花の命は短くて 苦しきことのみ多かれど 風も吹くなり 雲も光るなり」を彷彿とさせる花一輪でした。


  • 京都府立植物園 観覧温室 フウリンブッソウゲ<br />アオイ科。原産地は、タンザニア・ザンジバル島。<br />だらりと垂れ下がって咲いているのは、ハイビスカスの原種の一種だそうです。花弁は5つで弁縁はサンゴ状に深裂します。薄暗い温室にあって、この深い赤色は実に印象的な色でした。花の色は赤を基本に、ピンクや白の絞りなどがあります。花全体の形が風鈴のような形をしていることから、女性に大人気だそうです。<br />垂れ下がって咲く花の姿を「風鈴」に譬えたのが名の由来です。「仏桑華」はハイビスカスの和名。英名はコーラル・ハイビスカス(coral hibiscus)。これは、花の色や形を珊瑚に譬えたものです。<br /><br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 フウリンブッソウゲ
    アオイ科。原産地は、タンザニア・ザンジバル島。
    だらりと垂れ下がって咲いているのは、ハイビスカスの原種の一種だそうです。花弁は5つで弁縁はサンゴ状に深裂します。薄暗い温室にあって、この深い赤色は実に印象的な色でした。花の色は赤を基本に、ピンクや白の絞りなどがあります。花全体の形が風鈴のような形をしていることから、女性に大人気だそうです。
    垂れ下がって咲く花の姿を「風鈴」に譬えたのが名の由来です。「仏桑華」はハイビスカスの和名。英名はコーラル・ハイビスカス(coral hibiscus)。これは、花の色や形を珊瑚に譬えたものです。



  • 京都府立植物園 観覧温室 カカオ(果実)<br />アオイ科。原産地は、中央・南アフリカ。高さ8〜10mになる常緑の小高木です。花は幹生花で多数がつき、直径1.5cmほどです。結実は少なく、200〜300分の1の確率です。果実は紡錘形で、はじめは緑白色ですが熟すと濃黄色から赤紫色になります。花の大きさと実の大きさのギャップがサプライズです。見頃は10月下旬まで。<br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 カカオ(果実)
    アオイ科。原産地は、中央・南アフリカ。高さ8〜10mになる常緑の小高木です。花は幹生花で多数がつき、直径1.5cmほどです。結実は少なく、200〜300分の1の確率です。果実は紡錘形で、はじめは緑白色ですが熟すと濃黄色から赤紫色になります。花の大きさと実の大きさのギャップがサプライズです。見頃は10月下旬まで。


  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />トリコグロッティス フィリピネンシス ブラキアタ<br />ラン科トリコグロッティス属の多年草。原産地は、フィリピン。<br />花は直径約3cm。通常、フィリピネンシスは花披片が茶色ですが、本種は花披片が赤紫で非常に鮮やかです。唇弁は紅紫色目を引きます。ほのかな香りがします。<br />

    京都府立植物園 観覧温室
    トリコグロッティス フィリピネンシス ブラキアタ
    ラン科トリコグロッティス属の多年草。原産地は、フィリピン。
    花は直径約3cm。通常、フィリピネンシスは花披片が茶色ですが、本種は花披片が赤紫で非常に鮮やかです。唇弁は紅紫色目を引きます。ほのかな香りがします。

  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />デンドロビウム サングイノレンツム<br />ラン科の植物で、原産地はタイ、マレーシア。<br />見上げると風変わりな花?がありました。高級梨園のように翼のようなものが実を保護しています。それも目立たない地味な色のカバーです。

    京都府立植物園 観覧温室
    デンドロビウム サングイノレンツム
    ラン科の植物で、原産地はタイ、マレーシア。
    見上げると風変わりな花?がありました。高級梨園のように翼のようなものが実を保護しています。それも目立たない地味な色のカバーです。

  • 京都府立植物園 観覧温室 ディモルフォルキス ロウイ<br />ラン科。原産地は、ボルネオ。花茎は長く下垂します。花茎の基部につく2〜3の花は黄色地に赤褐色の斑点が入り、他の花は白色地に赤褐色斑となります。1つの花茎に2つの異なる形態の花を咲かせるランは、ディモルフォルキス属の2種だけで、その理由は解明されていません。見頃は8月下旬まで。<br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 ディモルフォルキス ロウイ
    ラン科。原産地は、ボルネオ。花茎は長く下垂します。花茎の基部につく2〜3の花は黄色地に赤褐色の斑点が入り、他の花は白色地に赤褐色斑となります。1つの花茎に2つの異なる形態の花を咲かせるランは、ディモルフォルキス属の2種だけで、その理由は解明されていません。見頃は8月下旬まで。


  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />アリストロキア サルバドレンシス<br />メキシコ原産のウマノスズクサ科。種によって姿は様々ですが、奇妙奇天烈な形の花を咲かせます。一般的な「美しい」とはまた違った個性的な姿が最大の魅力だそうです。まるで人や動物の目玉を思わせる白い斑点は、虫たちに蜜があることを教える目印の役目をするそうです。主な開花期は気温の高い初夏〜秋。一個の花の寿命は一週間だそうです。美人短命とは申しますが…。<br /><br />ところで、この花、何かに似ていると思いませんか? そうです、スターウォーズの「ダース・ベイダー」にそっくりというので評判になっているそうです。<br /><br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室
    アリストロキア サルバドレンシス
    メキシコ原産のウマノスズクサ科。種によって姿は様々ですが、奇妙奇天烈な形の花を咲かせます。一般的な「美しい」とはまた違った個性的な姿が最大の魅力だそうです。まるで人や動物の目玉を思わせる白い斑点は、虫たちに蜜があることを教える目印の役目をするそうです。主な開花期は気温の高い初夏〜秋。一個の花の寿命は一週間だそうです。美人短命とは申しますが…。

    ところで、この花、何かに似ていると思いませんか? そうです、スターウォーズの「ダース・ベイダー」にそっくりというので評判になっているそうです。



  • 京都府立植物園 観覧温室 古曽部の金鯱<br />巨大な金鯱のすぐ脇に立て札があり、由来が記されていました。<br />『メキシコ中部のサン・ルイス・ボトシ州〜イダルゴ州原産。植物体はほぼ球体であるが、古くなると径90cm、高さ1.3mの円柱状になる。本園のこの固体は、昭和5年11月にメキシコのバルメー博士が、宮内庁に献上されたものの一つで、本種が日本で最初に導入された固体である。1990年に京都大学農学部附属農場古曽部温室より寄贈された。』<br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 古曽部の金鯱
    巨大な金鯱のすぐ脇に立て札があり、由来が記されていました。
    『メキシコ中部のサン・ルイス・ボトシ州〜イダルゴ州原産。植物体はほぼ球体であるが、古くなると径90cm、高さ1.3mの円柱状になる。本園のこの固体は、昭和5年11月にメキシコのバルメー博士が、宮内庁に献上されたものの一つで、本種が日本で最初に導入された固体である。1990年に京都大学農学部附属農場古曽部温室より寄贈された。』

  • 京都府立植物園 観覧温室 パイナップル<br />こんな風に実が成るなんて知らない人も少なからずいるのでは?<br />かく言う当方も、沖縄のパイナップル園で初めて知りました。もう、17年も前のことで、記憶の彼方にありますが…。

    京都府立植物園 観覧温室 パイナップル
    こんな風に実が成るなんて知らない人も少なからずいるのでは?
    かく言う当方も、沖縄のパイナップル園で初めて知りました。もう、17年も前のことで、記憶の彼方にありますが…。

  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />ディコリサンドラ ティルシフロラ<br />ツユクサ科。原産地は、ブラジル。<br />濃青紫色の花が印象的です。通路から少し奥まったところに植栽されています。ブルージンジャー(青いショウガ)とも呼ばれ、草姿がショウガ科の植物に似ていることから名付けられました。<br />

    京都府立植物園 観覧温室
    ディコリサンドラ ティルシフロラ
    ツユクサ科。原産地は、ブラジル。
    濃青紫色の花が印象的です。通路から少し奥まったところに植栽されています。ブルージンジャー(青いショウガ)とも呼ばれ、草姿がショウガ科の植物に似ていることから名付けられました。

  • 京都府立植物園 観覧温室 <br />グアリアンテ ボウリンギアナ・ミカゲ<br />最終のランのゾーンでは、その華やかな雰囲気と香りが満喫できます。<br />

    京都府立植物園 観覧温室
    グアリアンテ ボウリンギアナ・ミカゲ
    最終のランのゾーンでは、その華やかな雰囲気と香りが満喫できます。

  • 京都府立植物園 観覧温室 フラグミ・ペディルム<br />ラン科フラグミ・ペディルム属。<br />その名は女神の靴という意味で、膨らんだ下の花弁の形から付けられたそうです。女神にふさわしい華麗な靴に見えなくもありません。<br /><br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 フラグミ・ペディルム
    ラン科フラグミ・ペディルム属。
    その名は女神の靴という意味で、膨らんだ下の花弁の形から付けられたそうです。女神にふさわしい華麗な靴に見えなくもありません。


  • 京都府立植物園 観覧温室 パフィオペディルム・シャンハイ<br />ラン科パフィオ・ペディルム属の交雑種。<br />縦縞の入った端正な容姿が目に留まります。リボンのようにカールした長い花弁が印象的ですが、よく観ると棘だらけです。これも身を守るための智慧なのでしょう。<br /><br />

    京都府立植物園 観覧温室 パフィオペディルム・シャンハイ
    ラン科パフィオ・ペディルム属の交雑種。
    縦縞の入った端正な容姿が目に留まります。リボンのようにカールした長い花弁が印象的ですが、よく観ると棘だらけです。これも身を守るための智慧なのでしょう。

  • 京都府立植物園 クスノキ並木<br />園の南部(洋風庭園の近く)には東西方向に伸びる全長200mのクスノキ並木があります。開園当初に植えられたクスノキで、樹齢が90年になるそうです。<br />碧のトンネル。この雰囲気がいいですね。四季折々の風情が楽しめそうです。 <br />

    京都府立植物園 クスノキ並木
    園の南部(洋風庭園の近く)には東西方向に伸びる全長200mのクスノキ並木があります。開園当初に植えられたクスノキで、樹齢が90年になるそうです。
    碧のトンネル。この雰囲気がいいですね。四季折々の風情が楽しめそうです。

  • 京都府立陶板名画の庭<br />京都府立植物園北山門出口東隣にある府立陶板名画の庭は、名画の美しさをそのままに再現した陶板画を安藤忠雄氏設計の施設に展示するもの。水とコンクリートの直線的なオープンエアの建物は、安藤忠雄の設計で1994年に完成。屋外鑑賞できる美術展示施設としては、世界初のものだそうです。<br />陶板画は全8点。このうち「最後の審判」など4点は1990年の国際花と緑の博覧会の為に制作され、安藤忠雄氏設計によるパヴィリオン『名画の庭』に展示されていたもの。「テラスにて」など4点は、この施設のために新規制作されたものです。 陶板制作は、大塚オーミ陶業株式会社の信楽工場で行われました。陶板画は、堺屋太一氏の発案企画により、ダイコク電機株式会社代表取締役 栢森新治氏から京都府に寄贈されたものです。<br />

    京都府立陶板名画の庭
    京都府立植物園北山門出口東隣にある府立陶板名画の庭は、名画の美しさをそのままに再現した陶板画を安藤忠雄氏設計の施設に展示するもの。水とコンクリートの直線的なオープンエアの建物は、安藤忠雄の設計で1994年に完成。屋外鑑賞できる美術展示施設としては、世界初のものだそうです。
    陶板画は全8点。このうち「最後の審判」など4点は1990年の国際花と緑の博覧会の為に制作され、安藤忠雄氏設計によるパヴィリオン『名画の庭』に展示されていたもの。「テラスにて」など4点は、この施設のために新規制作されたものです。 陶板制作は、大塚オーミ陶業株式会社の信楽工場で行われました。陶板画は、堺屋太一氏の発案企画により、ダイコク電機株式会社代表取締役 栢森新治氏から京都府に寄贈されたものです。

  • 京都府立陶板名画の庭 『最後の晩餐』<br />サンタ・マリア・デル・グラツィエ修道院 432cm x 886cm(ほぼ原寸) <br />待望の謎多き『最後の晩餐』とのご対面。<br />因みに、陶板画は1990年当時の状態を復元したもの。<br />『「<最後の晩餐>の中には、確かに聖杯がその姿を現している。レオナルドはそこにはっきり描いたんだ」。 ソフィーはキリストの横の女性から目を離せなかった。<最後の晩餐>は13人の男の絵のはずだ。この女性はだれだろう。何度も目にした名画なのに、この異常きわまりない特徴には一度も気づかなかった。』 このように、マグダラのマリアがキリストの妻であり、イエスの子孫が脈々と受け継がれてきたという仮説をベースに聖杯の秘密を追ってスリリングな物語を展開するのが、ダン・ブラウン著「ダ・ヴィンチ・コード」です。 <br />「ダ・ヴィンチ・コード」の中で、強烈な衝撃を受けるのは「最後の晩餐」の解釈でしょう。 確かに、小説を読んだ後では、イエスの隣にいる人物は女性にしか見えません。以前は気にも留めなかったことですので、多分に暗示による心理効果の類が作用していることは否めません。M字<マグダラのマリア>の暗喩やV字<聖杯>の暗喩の解釈は、読者へのサービスでしょうが・・・。 一方、謎のナイフを持った手は、確かに「悲しむ女性とそれを脅す老人」という構図にも見えます。 この構図が、「マグダラのマリアの福音書」等に記されるマリアとペテロの犬猿の仲を彷彿とさせることに着目したのが、ダン・ブラウンの才気煥発の極みでしょう。ところが、研究者や美術歴史家から、明確に否定され、酷評される解釈も他に類がないのです。 なぜでしょうか?徹底的に否定されると、逆に「真実を隠匿しているのでは?」という懐疑心が芽生えます。<br />Newyork Timesは2012年9月、イエスが自身の「妻」について言及したと記された文献を発見したと報じました。4世紀のもので、イエスに妻がいた可能性を示す初の文献だそうです。同紙は「マグダラのマリアがイエスの妻だったか、イエスに女性の弟子がいたか、をめぐる論争が再燃する可能性がある」と述べています。<br />もう少し詳しい情報は、次のサイトを参照してください。<br />http://4travel.jp/traveler/montsaintmichel/pict/23931000/

    京都府立陶板名画の庭 『最後の晩餐』
    サンタ・マリア・デル・グラツィエ修道院 432cm x 886cm(ほぼ原寸)
    待望の謎多き『最後の晩餐』とのご対面。
    因みに、陶板画は1990年当時の状態を復元したもの。
    『「<最後の晩餐>の中には、確かに聖杯がその姿を現している。レオナルドはそこにはっきり描いたんだ」。 ソフィーはキリストの横の女性から目を離せなかった。<最後の晩餐>は13人の男の絵のはずだ。この女性はだれだろう。何度も目にした名画なのに、この異常きわまりない特徴には一度も気づかなかった。』 このように、マグダラのマリアがキリストの妻であり、イエスの子孫が脈々と受け継がれてきたという仮説をベースに聖杯の秘密を追ってスリリングな物語を展開するのが、ダン・ブラウン著「ダ・ヴィンチ・コード」です。
    「ダ・ヴィンチ・コード」の中で、強烈な衝撃を受けるのは「最後の晩餐」の解釈でしょう。 確かに、小説を読んだ後では、イエスの隣にいる人物は女性にしか見えません。以前は気にも留めなかったことですので、多分に暗示による心理効果の類が作用していることは否めません。M字<マグダラのマリア>の暗喩やV字<聖杯>の暗喩の解釈は、読者へのサービスでしょうが・・・。 一方、謎のナイフを持った手は、確かに「悲しむ女性とそれを脅す老人」という構図にも見えます。 この構図が、「マグダラのマリアの福音書」等に記されるマリアとペテロの犬猿の仲を彷彿とさせることに着目したのが、ダン・ブラウンの才気煥発の極みでしょう。ところが、研究者や美術歴史家から、明確に否定され、酷評される解釈も他に類がないのです。 なぜでしょうか?徹底的に否定されると、逆に「真実を隠匿しているのでは?」という懐疑心が芽生えます。
    Newyork Timesは2012年9月、イエスが自身の「妻」について言及したと記された文献を発見したと報じました。4世紀のもので、イエスに妻がいた可能性を示す初の文献だそうです。同紙は「マグダラのマリアがイエスの妻だったか、イエスに女性の弟子がいたか、をめぐる論争が再燃する可能性がある」と述べています。
    もう少し詳しい情報は、次のサイトを参照してください。
    http://4travel.jp/traveler/montsaintmichel/pict/23931000/

  • 京都府立陶板名画の庭 『最後の晩餐』<br />①イエスの隣にいるのは女性なのか? <br />TV番組「ダ・ヴィンチ・コード 真実と虚構の境界線」では次のように解説していました。 「この人物を女性と考える著名な美術史専門家は、一人しか見つかりませんでした。世界有数のレオナルド研究家テドレッティ氏です」。なぜなら、レオナルドの弟子が模写を残し、それが明確に女性に見えるからとの主張です。 他の研究者は、全員、ヨハネと考えています。なぜなら、聖書の記述でもイエスの隣はヨハネであり、その顔は髭も生えておらず歳も若く、イエスの胸に寄りかかったりすることもあった。つまり、元々女性的に表現され易いキャラクターであり、レオナルド以外の画家でも同様に描かれるのは珍しくありません。また、レオナルド作『洗礼者 聖ヨハネ』も女性的な雰囲気を醸す絵に仕上がっています。 <br />更に、「最後の晩餐」には制作手記が残され、そこには登場人物が「男」か「もう一人」と表現されており、「女」という表記は見当たらない。例えば、「もう一人は、別の男に囁いている。それを聞く男は、耳を貸そうと振り向いている。片手にはナイフ、他の手には半分切りかけのパンを握ったまま。他の男は、ナイフを握って振り向きざまに、手でテーブルの上の杯をひっくり返す」。この手記は、現存する「最後の晩餐」とは若干違う構図を表したものですが、ヨハネ=女性=マグダラのマリアという謎解きに焦点を当てる意図は読み取れないそうです。 <br />残念ながら、女性説は旗色が悪いような気がします。 <br /><br />②聖杯はどこに描かれているのか? <br />「ダ・ヴィンチ・コード」では、杯が描かれていない点に着目し、V字構図が聖杯の暗喩だと畳み掛けます。ところが、この点についても否定論は跋扈の如く後を絶ちません。実際に至近距離で観ると、ガラスコップが描かれているのが分かります。確かに、「聖杯」という印象は希薄ですが、「杯がない」とは断言できません。杯とコップの相違点は、大きさや表現の差でしかないからです。レオナルドの手記にも「テーブルの上の杯をひっくり返す」などの表現があり、ワイン《イエスの血》を飲んでいたことは明白です。後は、それが「聖杯」というイメージにどこまで近いかという感覚的な判定に委ねられます。

    京都府立陶板名画の庭 『最後の晩餐』
    ①イエスの隣にいるのは女性なのか?
    TV番組「ダ・ヴィンチ・コード 真実と虚構の境界線」では次のように解説していました。 「この人物を女性と考える著名な美術史専門家は、一人しか見つかりませんでした。世界有数のレオナルド研究家テドレッティ氏です」。なぜなら、レオナルドの弟子が模写を残し、それが明確に女性に見えるからとの主張です。 他の研究者は、全員、ヨハネと考えています。なぜなら、聖書の記述でもイエスの隣はヨハネであり、その顔は髭も生えておらず歳も若く、イエスの胸に寄りかかったりすることもあった。つまり、元々女性的に表現され易いキャラクターであり、レオナルド以外の画家でも同様に描かれるのは珍しくありません。また、レオナルド作『洗礼者 聖ヨハネ』も女性的な雰囲気を醸す絵に仕上がっています。
    更に、「最後の晩餐」には制作手記が残され、そこには登場人物が「男」か「もう一人」と表現されており、「女」という表記は見当たらない。例えば、「もう一人は、別の男に囁いている。それを聞く男は、耳を貸そうと振り向いている。片手にはナイフ、他の手には半分切りかけのパンを握ったまま。他の男は、ナイフを握って振り向きざまに、手でテーブルの上の杯をひっくり返す」。この手記は、現存する「最後の晩餐」とは若干違う構図を表したものですが、ヨハネ=女性=マグダラのマリアという謎解きに焦点を当てる意図は読み取れないそうです。
    残念ながら、女性説は旗色が悪いような気がします。

    ②聖杯はどこに描かれているのか?
    「ダ・ヴィンチ・コード」では、杯が描かれていない点に着目し、V字構図が聖杯の暗喩だと畳み掛けます。ところが、この点についても否定論は跋扈の如く後を絶ちません。実際に至近距離で観ると、ガラスコップが描かれているのが分かります。確かに、「聖杯」という印象は希薄ですが、「杯がない」とは断言できません。杯とコップの相違点は、大きさや表現の差でしかないからです。レオナルドの手記にも「テーブルの上の杯をひっくり返す」などの表現があり、ワイン《イエスの血》を飲んでいたことは明白です。後は、それが「聖杯」というイメージにどこまで近いかという感覚的な判定に委ねられます。

  • ルーヴル美術館 <br />『洗礼者 聖ヨハネ』(1513−16年頃)<br />暗闇に浮かび上がる、滑らかな姿態。意味深な微笑みを浮かべながら、天を指す人差し指のポーズ。端正な顔立ちとその微笑みは、あの「モナリザ」を彷彿とさせます。この絵のモデルは美男子だったといわれる弟子の一人、サライをモデルにして描かれているという説があります。ダ・ヴィンチが、死ぬまで手放さなかった絵の一つです。こうして『最後の晩餐』のヨハネと見比べてみると違和感がないから不思議です。<br />この絵の存在によって、天を指す人差し指=洗礼者ヨハネ(救世主の到来を予告)の図式が明らかになったと言われています。<br />この写真は昨年、フランス旅行した際に撮影したものです。<br />ヨハネの末期については、次を参照してください。<br />http://4travel.jp/traveler/montsaintmichel/pict/23868238/<br /><br /><br />

    ルーヴル美術館
    『洗礼者 聖ヨハネ』(1513−16年頃)
    暗闇に浮かび上がる、滑らかな姿態。意味深な微笑みを浮かべながら、天を指す人差し指のポーズ。端正な顔立ちとその微笑みは、あの「モナリザ」を彷彿とさせます。この絵のモデルは美男子だったといわれる弟子の一人、サライをモデルにして描かれているという説があります。ダ・ヴィンチが、死ぬまで手放さなかった絵の一つです。こうして『最後の晩餐』のヨハネと見比べてみると違和感がないから不思議です。
    この絵の存在によって、天を指す人差し指=洗礼者ヨハネ(救世主の到来を予告)の図式が明らかになったと言われています。
    この写真は昨年、フランス旅行した際に撮影したものです。
    ヨハネの末期については、次を参照してください。
    http://4travel.jp/traveler/montsaintmichel/pict/23868238/


  • 京都府立陶板名画の庭 『最後の晩餐』<br />③ナイフを持った手は、何を意味するのか? <br />最後の晩餐の絵画にナイフが登場するのは珍しく、専門家の解釈も諸説あり、決め手に欠けるように思います。 「ペテロが短剣を手にしているのは、この後キリストが捕らえられる場面で、彼が大祭司の手下の耳を切り落とすという暴力的な手段に出るのを予告しています。従って、その短剣は、ごく当たり前の象徴として使われているのです」。(「ダ・ヴィンチ・コードの真実」)ここで「象徴」という解釈基準を持ち出すなら、ダン・ブラウンが説くようにM字やV字の構図の解釈も同じ次元で扱う必要があります。 <br />ユニークな解釈としては、レオナルドの人物描写に関する手記の中で、ナイフを持つ男のイメージについての記述が挙げられます。『「絶望している男はどのように描くのか?」に対し、次のイメージを抱いていた。「絶望している男は、ナイフを振るい、両手で衣服を引き裂いてしまったように描かねばならない」。彼はナイフ自体を強い感情表現のためのモチーフであると考えていたのだ』。(「レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯」田中英道著)と言うことは、ナイフは、未来予知表現や威嚇表現ではなく、絶望表現なのでしょうか?<br />さて、レオナルドの手記には、パン《イエスの肉》を食するためにナイフを使うという記述が見られます(①の項)。ここからは、「この中に裏切り者がいる」というイエスの言葉に驚き、使徒たちが咄嗟にとる個々のリアクションをイメージして描いたと読み取れます。従って、「脅しに使われた謎の手」という解釈は難しいのではないでしょうか?<br /><br />所詮、作者が現存しない以上、正解はありません。感じたままを素直に受け入れられてはどうでしょうか?<br />

    京都府立陶板名画の庭 『最後の晩餐』
    ③ナイフを持った手は、何を意味するのか?
    最後の晩餐の絵画にナイフが登場するのは珍しく、専門家の解釈も諸説あり、決め手に欠けるように思います。 「ペテロが短剣を手にしているのは、この後キリストが捕らえられる場面で、彼が大祭司の手下の耳を切り落とすという暴力的な手段に出るのを予告しています。従って、その短剣は、ごく当たり前の象徴として使われているのです」。(「ダ・ヴィンチ・コードの真実」)ここで「象徴」という解釈基準を持ち出すなら、ダン・ブラウンが説くようにM字やV字の構図の解釈も同じ次元で扱う必要があります。
    ユニークな解釈としては、レオナルドの人物描写に関する手記の中で、ナイフを持つ男のイメージについての記述が挙げられます。『「絶望している男はどのように描くのか?」に対し、次のイメージを抱いていた。「絶望している男は、ナイフを振るい、両手で衣服を引き裂いてしまったように描かねばならない」。彼はナイフ自体を強い感情表現のためのモチーフであると考えていたのだ』。(「レオナルド・ダ・ヴィンチ 芸術と生涯」田中英道著)と言うことは、ナイフは、未来予知表現や威嚇表現ではなく、絶望表現なのでしょうか?
    さて、レオナルドの手記には、パン《イエスの肉》を食するためにナイフを使うという記述が見られます(①の項)。ここからは、「この中に裏切り者がいる」というイエスの言葉に驚き、使徒たちが咄嗟にとる個々のリアクションをイメージして描いたと読み取れます。従って、「脅しに使われた謎の手」という解釈は難しいのではないでしょうか?

    所詮、作者が現存しない以上、正解はありません。感じたままを素直に受け入れられてはどうでしょうか?

  • 京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』<br />システィナ礼拝堂 1430cm x 1309cm(ほぼ原寸)<br />ひときわ異彩を放つ巨大な絵画が目の前に迫ります。本物と違うのは、絵画を見下ろしたり、イエスと対峙する視点が特別に設けられていることです。<br />システィナ礼拝堂には、天才彫刻家ミケランジェロのフレスコ画が2点残されています。一つ目は、巨大な天井画『創世記』。そして2つ目が、縦14.5m、横13mの巨大な壁画『最後の審判』。ミケランジェロが『最後の審判』に着手したのは1535年、すでに60歳でした。5年の歳月を費やして描いたのは、画面いっぱいに広がるラピスラズリ色の鮮やかな天空とそこにひしめき合う400人もの裸体。独創的な発想、斬新な構図、そして途方もないスケールの大傑作です。<br />『最後の審判』とは、世界の終焉にイエスが再臨し、全ての人類と死者たちが主の裁きを受けるという新約聖書の教義です。画面に渦巻くのは恐怖と混乱。天国へ行けるのか、地獄に落とされるのか?誰もが固唾を呑んで運命の宣告を待っています。<br />しかし、不思議な点が多々あるのです。中央上部には、審判を下すイエスと聖母マリア、その周囲には使徒達が描かれています。注目すべきは、イエスの姿です。まるでホディビルダーのような逞しい肉体。長髪に髭、痩せ型という今までのイエス像とは全くかけ離れています。しかし、逞しいのはイエスだけではなく、登場する人間や地下から蘇る死者でさえも逞しい肉体で描かれています。<br />

    京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』
    システィナ礼拝堂 1430cm x 1309cm(ほぼ原寸)
    ひときわ異彩を放つ巨大な絵画が目の前に迫ります。本物と違うのは、絵画を見下ろしたり、イエスと対峙する視点が特別に設けられていることです。
    システィナ礼拝堂には、天才彫刻家ミケランジェロのフレスコ画が2点残されています。一つ目は、巨大な天井画『創世記』。そして2つ目が、縦14.5m、横13mの巨大な壁画『最後の審判』。ミケランジェロが『最後の審判』に着手したのは1535年、すでに60歳でした。5年の歳月を費やして描いたのは、画面いっぱいに広がるラピスラズリ色の鮮やかな天空とそこにひしめき合う400人もの裸体。独創的な発想、斬新な構図、そして途方もないスケールの大傑作です。
    『最後の審判』とは、世界の終焉にイエスが再臨し、全ての人類と死者たちが主の裁きを受けるという新約聖書の教義です。画面に渦巻くのは恐怖と混乱。天国へ行けるのか、地獄に落とされるのか?誰もが固唾を呑んで運命の宣告を待っています。
    しかし、不思議な点が多々あるのです。中央上部には、審判を下すイエスと聖母マリア、その周囲には使徒達が描かれています。注目すべきは、イエスの姿です。まるでホディビルダーのような逞しい肉体。長髪に髭、痩せ型という今までのイエス像とは全くかけ離れています。しかし、逞しいのはイエスだけではなく、登場する人間や地下から蘇る死者でさえも逞しい肉体で描かれています。

  • 京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』<br />なぜ、彼は『最後の審判』にかくも凄まじい肉体の群像劇を描いたのでしょうか? この謎を解く鍵は、20年前にミケランジェロが描いた礼拝堂の天井画のある一場面に隠されていました。 すなわち、『創世記』の「アダムの創造」を描いた部分です。神が初めて作った人間であるアダムの姿は『最後の審判』のイエスとそっくりです。彫刻家であるミケランジェロは、早くから人間の肉体こそが最高の神の創造物として作品にもその理想を追い求めてきました。<br />『最後の審判』は重過ぎるテーマであるし、また大変恐ろしい絵でもあるのですが、ミケランジェロはそこに最高の芸術である人間の理想の肉体への賛美を籠めたのです。<br />

    京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』
    なぜ、彼は『最後の審判』にかくも凄まじい肉体の群像劇を描いたのでしょうか? この謎を解く鍵は、20年前にミケランジェロが描いた礼拝堂の天井画のある一場面に隠されていました。 すなわち、『創世記』の「アダムの創造」を描いた部分です。神が初めて作った人間であるアダムの姿は『最後の審判』のイエスとそっくりです。彫刻家であるミケランジェロは、早くから人間の肉体こそが最高の神の創造物として作品にもその理想を追い求めてきました。
    『最後の審判』は重過ぎるテーマであるし、また大変恐ろしい絵でもあるのですが、ミケランジェロはそこに最高の芸術である人間の理想の肉体への賛美を籠めたのです。

  • 京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』<br />このような、本物では絶対に不可能なショットも可能です。<br />展示環境、つまり立体テラス空間が名画の良さを引き出しています。緩やかなスロープは歩く事を意識させず、緩やかに流れる水音が都会の喧騒や雑念を取り除いてくれ、居心地の良さを感じさせます。大抵の美術館は屋内ですが、こうしたオープンエアでの美術鑑賞も開放的で味わい深いものがあります。次回は、本物を見てみたいという気持ちが高揚してきました。<br />「陶板名画の庭」は、1994年に竣工され、同年に社団法人 日本サインデザイン協会シンボル部門サインデザイン優秀賞を受賞しています。一部、地下2Fへのアプローチが階段なのでバリアフリーとは言えませんが、そこさえ利用しなければ、車椅子でも気軽に鑑賞ができます。<br />写真はありませんが、水盤に配されたモネの「睡蓮・朝」の他、「鳥獣人物戯画」( 平安時代に描かれた楽しげな絵巻物。 猿、兎、蛙の遊戯の甲巻と、鳥獣の生態を描写した乙巻を展示。 それぞれ20m以上あり、歩きながら連続で観賞できます。 )、「清明上河図」 (中国の清明節における都城の賑う風景を描いたもの。 )が展示されています。

    京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』
    このような、本物では絶対に不可能なショットも可能です。
    展示環境、つまり立体テラス空間が名画の良さを引き出しています。緩やかなスロープは歩く事を意識させず、緩やかに流れる水音が都会の喧騒や雑念を取り除いてくれ、居心地の良さを感じさせます。大抵の美術館は屋内ですが、こうしたオープンエアでの美術鑑賞も開放的で味わい深いものがあります。次回は、本物を見てみたいという気持ちが高揚してきました。
    「陶板名画の庭」は、1994年に竣工され、同年に社団法人 日本サインデザイン協会シンボル部門サインデザイン優秀賞を受賞しています。一部、地下2Fへのアプローチが階段なのでバリアフリーとは言えませんが、そこさえ利用しなければ、車椅子でも気軽に鑑賞ができます。
    写真はありませんが、水盤に配されたモネの「睡蓮・朝」の他、「鳥獣人物戯画」( 平安時代に描かれた楽しげな絵巻物。 猿、兎、蛙の遊戯の甲巻と、鳥獣の生態を描写した乙巻を展示。 それぞれ20m以上あり、歩きながら連続で観賞できます。 )、「清明上河図」 (中国の清明節における都城の賑う風景を描いたもの。 )が展示されています。

  • 京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』絵画の説明書<br />巨大な陶板名画もさることながら、展示空間が非常にダイナミックでした。スロープや階段による立体的な観賞経路も趣きがあります。 おそらく雨の日は傘を差しての鑑賞になるでしょうが、それも一興。展示数は少ないですが、ひとつひとつを自分の目線に対峙させて心行くまで堪能できました。本物では到底できない体験ですので、それだけでも十分な価値があります。

    京都府立陶板名画の庭 『最後の審判』絵画の説明書
    巨大な陶板名画もさることながら、展示空間が非常にダイナミックでした。スロープや階段による立体的な観賞経路も趣きがあります。 おそらく雨の日は傘を差しての鑑賞になるでしょうが、それも一興。展示数は少ないですが、ひとつひとつを自分の目線に対峙させて心行くまで堪能できました。本物では到底できない体験ですので、それだけでも十分な価値があります。

  • 京都府立陶板名画の庭 <br />『グランド・ジャット島の日曜日の午後』ジョルジュ・スーラ(1859〜1891年)シカゴ美術館所蔵 205cm x 305cm (ほぼ原寸)<br />19世紀のフランスの画家。印象派の画家が用いた「筆触分割」の技法をさらに押し進め、光学的理論を取り入れた結果、点描という技法を開発しました。スーラは作品を仕上げるまでに多数の素描や下絵を制作し、入念に構想を練ったそうです。また、点描の大作を仕上げるには相当の時間を要しました。こうした制作方法に加え、弱冠31歳の若さで没したこともあって、作品の数は少ないそうです。<br /><br />1884年に生涯最大の大作で代表作でもある『グランド・ジャット島の日曜日の午後』の制作に着手し、1886年に完成させています。グランド・ジャット島に集う50人ほどの人物を点描で描き出したこの大作は、1886年の第8回印象派展(最後の印象派展)に出品されて話題となりました。「新印象派」という名称は、この作品を見た批評家フェリックス・フェネオンが同年発表した雑誌記事の中で最初に使われたものだそうです。この作品の題材となったグランド・ジャット島は、セーヌ川の中洲で、パリ北郊クールブヴォア付近にあります。<br />

    京都府立陶板名画の庭
    『グランド・ジャット島の日曜日の午後』ジョルジュ・スーラ(1859〜1891年)シカゴ美術館所蔵 205cm x 305cm (ほぼ原寸)
    19世紀のフランスの画家。印象派の画家が用いた「筆触分割」の技法をさらに押し進め、光学的理論を取り入れた結果、点描という技法を開発しました。スーラは作品を仕上げるまでに多数の素描や下絵を制作し、入念に構想を練ったそうです。また、点描の大作を仕上げるには相当の時間を要しました。こうした制作方法に加え、弱冠31歳の若さで没したこともあって、作品の数は少ないそうです。

    1884年に生涯最大の大作で代表作でもある『グランド・ジャット島の日曜日の午後』の制作に着手し、1886年に完成させています。グランド・ジャット島に集う50人ほどの人物を点描で描き出したこの大作は、1886年の第8回印象派展(最後の印象派展)に出品されて話題となりました。「新印象派」という名称は、この作品を見た批評家フェリックス・フェネオンが同年発表した雑誌記事の中で最初に使われたものだそうです。この作品の題材となったグランド・ジャット島は、セーヌ川の中洲で、パリ北郊クールブヴォア付近にあります。

  • 京都府立陶板名画の庭 <br />ながれのなかで〜溶岩流〜井川淑恵 作<br />「第44回京都野外彫刻展/京都彫刻家協会主催」が併催されていました。彫刻はすべて施設内水盤上に展示されていました。現代彫刻は、あまりにもシュール過ぎるので、ほぼ素通り状態でした。製作者の方、ごめんなさいね! <br /><br />敷地の一番奥には巨大な滝があり、水の落ちる音を聞きながら巡ります。<br />オープンエアは地下2Fまであり、水盤上に配されたルノワールやゴッホなどの絵画をあらゆる角度、高さ、あるいはコンクリート造りの窓枠から観賞する趣向です。 <br />

    京都府立陶板名画の庭
    ながれのなかで〜溶岩流〜井川淑恵 作
    「第44回京都野外彫刻展/京都彫刻家協会主催」が併催されていました。彫刻はすべて施設内水盤上に展示されていました。現代彫刻は、あまりにもシュール過ぎるので、ほぼ素通り状態でした。製作者の方、ごめんなさいね! 

    敷地の一番奥には巨大な滝があり、水の落ちる音を聞きながら巡ります。
    オープンエアは地下2Fまであり、水盤上に配されたルノワールやゴッホなどの絵画をあらゆる角度、高さ、あるいはコンクリート造りの窓枠から観賞する趣向です。

  • 京都府立陶板名画の庭 『テラスにて』<br />シカゴ美術館所蔵 100cm x 81cm(原寸のほぼ2倍)<br />印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール(1842〜1919年)の代表作で、若く美しい婦人と愛らしい少女の母子画『テラスにて』(1881年)。<br />若い婦人は、舞台女優ダーロウ。彼女のハイセンスな赤い帽子と洗練された紺色の衣服、さらにそのアクセントとして胸元に添えられた白花の飾りの色彩は、美貌を引き立てるだけではなく、少女の衣服や帽子、花飾り、テーブルの上の色とりどりの花々とも見事に調和しています。<br />観る者の目を惹きつける赤い帽子について、ルノワールは次のように述べています。「私は≪赤≫が呼鈴のように音色高く鳴り響くものにしてみたい。もし、そうならないのならば、もっと赤色を塗り重ねるか、他の色彩を組み合わせる」。前景の多様で豊潤な色彩の配置や各色彩の呼応的処理は、まさに言葉通りであり、今も色褪せず感動を与え続けています。<br />もう一つ注目する点は、前景と背景の色彩や画面構造的な関係性の秀逸さ。ダーロウ背後の手摺を境に前景と背景が明確に分けられています。前景は左から右へ斜めに視線が下がるように構成的な誘導が施されていますが、背景では逆に左から右へ斜め上に視線が向かう構図です。この斜めへの視線誘導はルネサンス時代から続く視線を画面へと向かわせる伝統的手法で、ここにルノワールの古典絵画への理解を見出せます。<br />

    京都府立陶板名画の庭 『テラスにて』
    シカゴ美術館所蔵 100cm x 81cm(原寸のほぼ2倍)
    印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール(1842〜1919年)の代表作で、若く美しい婦人と愛らしい少女の母子画『テラスにて』(1881年)。
    若い婦人は、舞台女優ダーロウ。彼女のハイセンスな赤い帽子と洗練された紺色の衣服、さらにそのアクセントとして胸元に添えられた白花の飾りの色彩は、美貌を引き立てるだけではなく、少女の衣服や帽子、花飾り、テーブルの上の色とりどりの花々とも見事に調和しています。
    観る者の目を惹きつける赤い帽子について、ルノワールは次のように述べています。「私は≪赤≫が呼鈴のように音色高く鳴り響くものにしてみたい。もし、そうならないのならば、もっと赤色を塗り重ねるか、他の色彩を組み合わせる」。前景の多様で豊潤な色彩の配置や各色彩の呼応的処理は、まさに言葉通りであり、今も色褪せず感動を与え続けています。
    もう一つ注目する点は、前景と背景の色彩や画面構造的な関係性の秀逸さ。ダーロウ背後の手摺を境に前景と背景が明確に分けられています。前景は左から右へ斜めに視線が下がるように構成的な誘導が施されていますが、背景では逆に左から右へ斜め上に視線が向かう構図です。この斜めへの視線誘導はルネサンス時代から続く視線を画面へと向かわせる伝統的手法で、ここにルノワールの古典絵画への理解を見出せます。

  • 京都府立陶板名画の庭 )『糸杉と星の見える道』<br />クレラー・ミュラー美術館所蔵 92cm x 73cm(原寸のほぼ2倍)<br />印象派の孤高な画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)『糸杉と星の見える道』(1890年)。自ら志願して入院したサン・レミの精神病院「サン・ポール」にて制作。画面中央には、大きく枝葉を揺らめかせて天上へと伸びる糸杉が一本、象徴的に配されています。糸杉を境に右側には煌々と照らす三日月、左側には明々と輝く星が描かれています。糸杉は人間の≪生≫、すなわち誕生や成長を意味すると共に、その終焉である≪死≫をも象徴し、精神的圧迫に苦悩していたゴッホには内面描写に最適なモチーフでした。さらに、下部には2人の農夫と一台の荷馬車が配され、迷宮的な孤独からの脱却願望を見出すことができます。また、やや長い筆触による荒々しい大胆な形態描写と印象表現は、異様な心象風景を見事に表現し、特に星や三日月の渦巻くような筆致による光と闇の対比的描写や、農夫たちを飲み込むかのような農道の質感には類稀な独創性が表現されています。<br />ゴッホは、この絵を描き終えた1890年5月、精神病院を退院してパリ近郊のオーヴェル=シュル=オワーズに移ります。その後、画作を続けますが、同年7月に自ら銃を撃って負傷し、その2日後に死亡しました。ただし、自殺説に対しては異論もあるそうです。<br />

    京都府立陶板名画の庭 )『糸杉と星の見える道』
    クレラー・ミュラー美術館所蔵 92cm x 73cm(原寸のほぼ2倍)
    印象派の孤高な画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890年)『糸杉と星の見える道』(1890年)。自ら志願して入院したサン・レミの精神病院「サン・ポール」にて制作。画面中央には、大きく枝葉を揺らめかせて天上へと伸びる糸杉が一本、象徴的に配されています。糸杉を境に右側には煌々と照らす三日月、左側には明々と輝く星が描かれています。糸杉は人間の≪生≫、すなわち誕生や成長を意味すると共に、その終焉である≪死≫をも象徴し、精神的圧迫に苦悩していたゴッホには内面描写に最適なモチーフでした。さらに、下部には2人の農夫と一台の荷馬車が配され、迷宮的な孤独からの脱却願望を見出すことができます。また、やや長い筆触による荒々しい大胆な形態描写と印象表現は、異様な心象風景を見事に表現し、特に星や三日月の渦巻くような筆致による光と闇の対比的描写や、農夫たちを飲み込むかのような農道の質感には類稀な独創性が表現されています。
    ゴッホは、この絵を描き終えた1890年5月、精神病院を退院してパリ近郊のオーヴェル=シュル=オワーズに移ります。その後、画作を続けますが、同年7月に自ら銃を撃って負傷し、その2日後に死亡しました。ただし、自殺説に対しては異論もあるそうです。

  • 京都北山 マールブランジュ北山本店<br />草木や名画を愛でた後は、お約束のスウィーツ三昧で疲労回復です。<br />15時過ぎでしたが、お店は結構繁盛していました。サロンは数人がウェイティング状態。昼食にパンを食べ過ぎたこともあり、テイクアウトにしました。

    京都北山 マールブランジュ北山本店
    草木や名画を愛でた後は、お約束のスウィーツ三昧で疲労回復です。
    15時過ぎでしたが、お店は結構繁盛していました。サロンは数人がウェイティング状態。昼食にパンを食べ過ぎたこともあり、テイクアウトにしました。

  • おまけ1<br />京都北山 マールブランジュ北山本店のショートケーキです。<br />どちらかと言うと、大人の味です。<br />左が、宇治茶のお紅茶ババロア。(¥380 消費税別)<br />宇治茶製の紅茶というインパクトで即決。<br />甘さ控えめで、主人でも美味しくいただけました。<br />右が、有精卵のいちごショート。(¥500)<br />定番ですが、食べ応え十分です。生地は、有精卵使用だけあっての黄色が鮮やかで、しつこさのない甘さでした。生クリームは、ふわりととろけて高級感ある優しさでした。

    おまけ1
    京都北山 マールブランジュ北山本店のショートケーキです。
    どちらかと言うと、大人の味です。
    左が、宇治茶のお紅茶ババロア。(¥380 消費税別)
    宇治茶製の紅茶というインパクトで即決。
    甘さ控えめで、主人でも美味しくいただけました。
    右が、有精卵のいちごショート。(¥500)
    定番ですが、食べ応え十分です。生地は、有精卵使用だけあっての黄色が鮮やかで、しつこさのない甘さでした。生クリームは、ふわりととろけて高級感ある優しさでした。

  • おまけ2<br />右が、ぱりぱりティラミス。(¥400)<br />薄いチョコレート層の食感が最高、大人の贅沢が堪能できます。<br />次回は、定評のあるモンブランをいただきたいと思います。<br /><br />最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。恥も外聞もなく、備忘録も兼ねて徒然に旅行記を認めてしまいました。当方の経験や情報が皆さんの旅行の参考になれば幸甚です。どこか見知らぬ旅先で、見知らぬ貴方とすれ違えることに心ときめかせております。<br /><br /><br />

    おまけ2
    右が、ぱりぱりティラミス。(¥400)
    薄いチョコレート層の食感が最高、大人の贅沢が堪能できます。
    次回は、定評のあるモンブランをいただきたいと思います。

    最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。恥も外聞もなく、備忘録も兼ねて徒然に旅行記を認めてしまいました。当方の経験や情報が皆さんの旅行の参考になれば幸甚です。どこか見知らぬ旅先で、見知らぬ貴方とすれ違えることに心ときめかせております。


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