2000/06/03 - 2000/06/05
498位(同エリア971件中)
どんぴさん
この旅もメインイベントのK-1 FIGHTNIGHT'2000を残すのみ!
06:30、ホテルを出発。アムステルダム中央駅に向かう途中で5ギルダーを拾って超ゴキゲン。
09:30、アムス発チューリヒ着のスイス航空に搭乗。
□5/29(月) 成田(11:35) →(パリ経由) →チューリヒ
□5/30(火) チューリヒ →ベルン →グリンデルワルド
□5/31(水) グリンデルワルド →ルツェルン
□6/1(木) ルツェルン →Horw →(飛行機でオランダへ)→アムステルダム
□6/2(金) アムステルダム
■6/3(土) アムステルダム →(飛行機でスイスへ)→チューリヒでK-1観戦
■6/4(日) チューリヒ →(パリ経由)→成田
■6/5(月) 成田着(15:00)
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
- 交通手段
- 鉄道
- 航空会社
- ANA
PR
-
11:30、チューリヒ着。キヨスクで「SPORT MAGAZIN」というスポーツ雑誌を発見。巻頭カラーでアンディ・フグの7ページ大特集記事を組んでいる!その中にあった素晴らしいショットがコレ。Geishaの横で嬉しそうだ(笑)
他にも金閣寺の前で構えるアンディとかあって横隔膜を痛めるほど大爆笑。
13:00、空港からホテルのシャトルバスでルネッサンスホテルに到着。
ホテルに入るといきなりミルコ・クロコップとステファン・レコ、そして昨日会ったばかりのピーター・アーツもロビーでくつろいでいる。アーツに声をかけたら「今日もまた会ったなガハハハハ」と豪快に笑われた。偶然だけど選手達もこのホテルに泊まっているみたいだ。他にも石井館長(当時のK−1プロデューサー)、角田信朗、現K−1プロデューサーの谷川貞治がいた。 -
18:00、ホテルから20分くらい歩いて、試合会場である憧れのハレンスタジオンに到着。入口付近は大混雑。ダフ屋はスイスにもいるようだ。
日本人も報道関係を除いて30人以上はいたかな?中には日本のK−1会場でもよく見かける人もいた。
夕食代わりに会場前の屋台で白い極太ソーセージと缶ビール1本を注文。ビールの銘柄は当然、今大会スポンサーでもある「FELDSCHLOSSCHEN」。
入場口ではかなり入念な荷物チェックを受け、カメラ没収を没収される。しかも預かり料2Sfrとられた。というわけで試合中の写真は友人にもらったものです。 -
「ガッハッハ!」
カメラを預けに行く途中、いきなりトム・ハーリック(ドージョー・チャクリキの名物トレーナー)とヨハン・ボス(ボスジムのトレーナー)が大笑いしていた。
「昨日、チャクリキを訪れてノブと一緒にメシを食べたんですよ〜」と言うと、
「もっと早くくれば私もいたのになガッハッハ!」と豪快に笑われた。
2人に写真を撮ってとお願いしたら、シャイなボス親父はさささっと遠くに行ってしまった。
席はリングサイドで前から4列目、赤コーナーのすぐ近く。チケット代は290Sfr(約2万円)で、日本に比べて全体的に安い。また、リングと客席を仕切る鉄柵が無く、距離を近くてとても良い。 -
もうすぐ試合開始。ビジョンにCMが流れ始め、AZMという牛乳会社のアンディ出演のCMが流れた。アンディが牛乳のフタに後ろ回し蹴りを浴びせると、フタがぽーんと飛んでいき、アンディがゴクゴクと牛乳を一気飲み!最後にアンディがニッコー!とさわやか笑顔で微笑む。腸捻転になるほど大爆笑。お腹がゴロゴロしないアンディ牛乳、なんちゃって。
-
開会式ではアンディが何やらドイツ語でMC。アンディはドイツ語になるとペラペラとよく喋る。
この後、第1試合開始。
○ビヨン・ブレギー(スイス)vsラインハード・ウルツ(オーストリア) 2RKO
1R、しょっぱなからクリンチばかりのしょっぱい展開。
2R、ブレギーの右ストレートが決まりKO勝利。
勝利したものの、ブレギーは動きが遅くキックもパンチも切れがない。当時はあまり将来性を感じなかったが、最近は活躍を見ると成長したんだなぁ。 -
第2試合の前にいきなりライブが始まった。ラップで「アンディ・フグがどーのこーの」と歌ってるけど、客は盛り上がらず。この後も試合の間に何度かライブがあった。テンポの悪い興行だな。
第2試合は アセム・マクスタイ(スイス)vsファイサル・レディング(オランダ)
マクスタイが2RKO勝ちを収めたが、なぜか地元スイスのマクスタイに大して入場時からブーイングの嵐。何でこんなに嫌われてるんだろう? -
第3試合 ジャビット・バイラミ(スイス)vsサミール・ベナゾーズ(モロッコ)
バイラミ(写真右)がローキックで1Rに2回、2Rに1回、計3回のダウンを奪う。が、3R以降は失速して非常に退屈な展開に。結局、バイラミが5R判定勝ちを収めた。
バイラミはスイス期待の若手ヘビー級ファイターだが、あまりにも不甲斐ない試合内容に大ブーイングが浴びせられた。
第4試合 マリノ・デフローリン(スイス)vs小比類巻貴之(日本)
マリノの入場前から場内はヒートアップ。スイスでのマリノ人気はアンディに次ぐと言われていたが、これほどとは。小比類巻にも日本から来たファンらしき女性の声援が送られる。
3R、身長わずか165cmのマリノがまさかの左ハイキックで長身の小比類巻からダウンを奪う。4R以降はマリノが攻めるシーンが極端に少なくなり、終盤はクリンチしまくり。結局マリノが5R判定勝ちを収めたが、最後の逃げの姿勢はファイターとしていただけない。 -
第5試合。ステファン・レコ(ドイツ)vsリッキー・ニッケルソン(イギリス)
ニッケルソンの入場時、いきなりバグパイプの音色が場内に響く。バトンを持った指揮者を先頭に30人を越える大楽団が登場!超ド派手な演出にはさすがにビックリ!
関係ないけど、試合前の休憩中に当時K−1中継番組の司会をしていた田代まさし(笑)が俺のすぐ横を通った。 -
1R、実力者レコは試合を優位に進め、ニッケルソンをコーナーに追い詰めて右ローキックで早くもダウンを奪う。楽勝ムードが漂うが、2Rにガードが空いた瞬間にニッケルソンの右ストレートが炸裂してダウンを奪い返される。
3R以降はレコが盛り返して試合を支配し、レコが5R判定勝ちを収めた。しかし気を抜いて一発をもらう悪い癖が出た課題の多い試合内容だった(ポカ癖は今も直ってないけどな…) -
いよいよ第6試合メインイベントが始まる。
アンディ・フグ(スイス)vsミルコ・クロコップ(クロアチア)
先に入場したミルコには怒涛のブーイングが浴びせられる。一方のアンディ・フグが入場すると大歓声を越え、もはや狂気。『WE WILL ROCK YOU』のリズムに合わせて「バンバン(手拍子)、フー!」と大合唱。
続いて両国の国歌斉唱(写真)。クロアチアの国歌が流れるとミルコはじっと祈るような表情をする。続いてスイス国歌。ステージに黒いコートを着た男性歌手が現れ、アカペラで国歌を熱唱する。 -
「アン・ディ!パパパン(←手拍子)」という四拍子のアンディコールの中、試合開始。
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1R、試合開始直後にアンディはいきなり後ろ回し蹴りでミルコを牽制。そしてバックスピン、フグトルネードと回転系の大技を連発。ミルコも素早く懐に入って左ストレートから猛ラッシュをかけ、左アッパーでアンディの顔をカチ上げる。ガードに徹していたアンディも堰を切ったようにパンチで大反撃。そしてR終了間際に踵落としをヒットさせ、観客を沸かせる。
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2R、客席から「フー!フー!フー!フー!」と一拍子のフグコール。スイスの観客はいろんなパターンのコールを持ってるな。
アンディはバックスピン、フグトルネードと相変わらず大技連発。 -
3R、アンディの踵落としがクリーンヒット。ミルコはなかなか調子が出ない。
このRは双方の応援団もヒートアップ。アンディコールが止んだ直後にミルコ応援団がミルココールを開始。それをアンディ応援団がムキになってアンディコールで声をかき消そうとする。
4R、アンディの踵落としが今日一番の大ヒット!しかし直後にミルコも踵落としで反撃!なんて強気な男だろうか。
そして、ミルコの左アッパーでアンディの腰がガクッと落ちた。ミルコは一気に猛ラッシュ!アンディ大ピンチ! -
5R、フグトルネード、踵落とし、後ろ回し蹴りとアンディはとにかく大技連発。恐らくはジャッジに対する印象を良くして判定勝利をもぎ取る作戦なのだろう。私は最初から判定勝利狙いの消極的な選手は大嫌いだ。しかし、地元の英雄として負けられないプレッシャーの中、新世代で最も勢いがあり最も危険なファイターであるミルコ・クロコップを相手にして、必死に戦うアンディの姿には魂を揺さぶられるほど感動した。
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試合終了15秒前、観客が一斉に足を踏み鳴らし、まるで地震のような地鳴りが響く。
終盤ミルコに何もさせなかったアンディが5R判定勝利をもぎ取った。場内は総立ち、ミルコも笑顔でアンディの勝利を称える。
リングサイドには大会1ヶ月前にアンディと離婚したイローナさんがいた。ビジョンに写された彼女はメイクが流れ落ちそうなほど号泣していた。
そして、歌手がステージに登場してアンディを讃える歌を熱唱する。アンディはこれがスイスでの最後の試合となる。アンディの目の下には二本の涙が…。
ふと周囲を見渡すと、驚くべき光景が広がっていた。
観客全員が泣いている。
大袈裟ではなく本当に全ての人が涙を流していた。ショックだった。こんな経験は初めてだ。テレビや雑誌を見ても、この時の衝撃・感動は1%も伝わらない。この空間を経験することでアンディがスイスの英雄ということが理解できた。
24:00頃、大会は終了した(ホントにファイトナイトだな)。会場近くの駐車場で中学生くらいの男の子たちが"K−1ごっこ"をしていたのが印象的だった。
K−1を見にわざわざスイスまで来て本当に良かった。 -
ホテルに戻ると、大会の打ち上げパーティが始まるところだった。ホテルの2階を1フロアまるごと借り切った壮大なパーティで、ホテルは人で溢れかえっている。
寝付けない俺はロビーで(パーティのチケットが無いので)同じく観戦に来ていたk−1仲間と夜通し話をした。
05:00頃、アンディがホテルから出ていくアンディに声をかけて写真を撮ってもらってから寝た。長い1日だった。 -
10:00ごろ起床。ねむいー!なぜか足が痛いー!朝食を食い逃したー!
出発までの時間、ホテルのロビーで時間を潰した。今日もアンディやアーツやミルコがうろうろしている。段々ありがたみが無くなってきたな(^_^;)
フロントでは当時まだそれほど有名じゃなかった長谷川京子がいた。声をかけたらギロー!と睨まれた…。「あのー、ファンなので一緒に写真を…」と言うと、途端にニッコー!と天使ような笑顔に。旅行記の皆さん、この笑顔はいつわりの笑顔ですよ!(^_^;)
ちなみに、友人が同じく田代まさし(笑)に声をかけたら、チンピラみたいな態度で怒鳴られたそうだ。 -
12:30、チューリヒ空港へ向かうシャトルバスに乗る。小比類巻貴之選手と前田憲作トレーナーなどチームドラゴンの面々と乗り合わせた。バスの中で前田憲作さんとアムスに言った時の話などでやたら盛り上がった。
チームドラゴンとは搭乗する便が違うので空港でお別れした。憲作さんは丁寧に何度もお辞儀をしてくれるので、こちらもペコペコと頭を下げる。水を飲む鳥のオモチャみたいにお互い頭を下げまくるので、近くにいた外人に笑われてしまった。
17:00チューリヒ発パリ行きのスイス航空に搭乗。成田に着いたのは翌日15:00。 -
スイス大会から約1ヵ月後の7月7日、仙台でK−1ジャパンシリーズ"K-1 SPIRITS'2000"が開催された。写真は仙台大会の入場時のアンディである。
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アンディの対戦相手は、オランダ旅行記(http://4travel.jp/traveler/donpi/album/10159407/)にも登場したノブ・ハヤシ選手。
アンディは左ストレートで2度のダウンを奪いノブを圧倒。1R2分05秒、KOで勝利した。 -
仙台大会の約1ヶ月半後の8月24日18時21分、みなさんもご存知の通り、アンディは突然この世を去った。享年35歳、死因は「急性前骨髄球性白血病」。
後の報道によると、病気が発覚したのは死のわずか5日前の8月19日。闘病を宣言するファンに向けてのメッセージを用意したものの、それを発表する間も無いほど急激に病状が悪化し、アンディはこの世を去った。
我々ファンにとっては突然の訃報だった。特にスイスと仙台でアンディのファイトを見てきた自分にはアンディの死がとても信じられなかった。仙台で撮った試合後の踵落としパフォーマンスの写真が私がアンディを撮影した最後の写真になってしまった。
8月27日、東京港区の麻布山善福寺において告別式が行われた。参加したファンは何と12,000人。行列は2kmにも達したという。
私はアンディの遺影の前に設けられた献花台に花を捧げた。退場するため寺の門をくぐる直前、急に涙があふれてきた。門を抜けたらアンディと二度と会えないと思ってしまって…。
告別式の最後、K−1リングアナのボンバー森尾氏によって「180cm、97.7kg。K-1 GP'96王者、アンディー!フーグー!」とコールされた。アンディの入場曲だった『WE WILL ROCK YOU』が流れ、集まったファンの手拍子の中、アンディの遺体を乗せた車が寺を出てた。
この2ヶ月はスイス、仙台、東京とアンディ・フグという英雄を追い続ける長い旅だったような気がする。アンディの勇姿を私は二度と忘れないだろう。アンディ・フグよ、永遠なれ。
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